オーバーロード 傾国狐の異世界日記   作:破戒僧

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実家に帰ろう(300年ぶり)

 

 

【異世界転移400年目 △日目】

 

 昨日に続いてナザリックにお邪魔してアインズさんと話してきた。

 なんか、相談したいことがあるから、都合いい時に会いたいって言われたので、『ちょうど今暇ですから』って言ってそのまま行った。

 

 もしかして、マーレのことでもう結論が出たのかと思ってドキドキしてたんだけど……残念ながらそれはまだ先になりそうだった。

 

 アインズさん、緊張してどう話せばいいかわかんなくて……まだマーレに話してないんだってさ。

 マーレを『空中庭園』への使節として固定に任命する、ってところまでは話したそうなんだけど……プラスして、私の『相手役』に任命する云々については話せなかったって。

 

 このヘタレ骸骨め……とは言えないよなあ。話の内容が内容だもの、緊張はするだろうし、言い出しづらくて当然だ。

『相手役』だけならともかく……『NTR前提』の件があるからな……。

 

 まあそれはさておき。

 それなら何の用だったのかというと……どうやらアインズさん、最近、例の『魔樹』云々に引き続いて、トブの大森林で色々やってたらしいんだが……その大森林に昔存在した『ダークエルフの国』について聞きたかったんだって。

 

 トブの大森林は、南、西、東にそれぞれ支配者というかヌシ的な存在がいた。

 それぞれ『南の大魔獣』『西の蛇』『東の巨人』と呼ばれてて……内、『南』のは、アインズさんがモモンとして従えているハムスケのことである。

 

 残る2つのうち『東の巨人』は、妖巨人(トロール)の部族を率いるボス個体だったらしいが、こいつはアインズさんが殺したそうだ。

 支配下に置こうとして交渉しに行ったけど、話が通じない上にこちらを見下して喧嘩売ってきたからって。……まあ、それじゃ仕方ないね。うん。

 妖巨人(トロール)大鬼(オーガ)なんかの脳筋種族は、中途半端に知恵があるとその方がかえって扱いづらいんだよね……力がない種族を見下して虐げる傾向にあるから。

 

 で、残る『西の蛇』は……これまた部族を率いるナーガだったらしいんだけど、そいつについては支配下に置くことに成功したって。

 普通に交渉できるだけの知能があり、なおかつ、自分と同格の妖巨人(トロール)の首領を瞬殺したアインズさんの力を見て、服従することを決めたそうだ。うん、賢い。

 

 で、前置きが長くなったんだけど……そのナーガから、トブの大森林には昔、ダークエルフ達が暮らしていた国があった、って話を聞いたんだって。

 しかし、強大な邪悪なる樹の魔物が現れて暮らせなくなり、森を去った、とも。それが、およそ300年前(推定)のことらしい。

 

 それを聞いてアインズさん、『あのザイトルクワエとかいう魔樹のことじゃね?』と思い至ったんだが……それ以上のことは、ナーガは知らなかった。

 そこを去ったダークエルフ達がどこに行ったのかについても、あちこちに散り散りに逃げたと思われる……という程度しか。

 

 で、アインズさん、『300年前ならもうラストさん達いるな……』と思って、何か知らないかと私に聞こうと思ったんだそうだ。

 

 それに関しては……残念ながら私も知らない。

 その時期はまだ、そんなに外に出てなかったし、情報収集も限定的な範囲でしかやってなかったからな……。

 

 私達の『空中庭園』がある場所は、位置的には、『アレフガルド都市国家連合』のさらに北東になる。今でこそ、王国や聖王国まで調査の手を伸ばしてはいるけど、300年前……つまりは転移後100年くらいだと、せいぜい今帝国があるあたりまでしか調査できてなかったと思う。

 トブの大森林は、ギリギリ範囲外だ。

 

 なので、それについては知らないんだが……この時私は、『そういえば』と思ったことがあった。

 うちの城下町に、新たに『ダークエルフ』の移民が入って来たのが……転移後100年以上経った後のことだったはずだな、と。

 

 もしかしたらそいつら……全員じゃないかもしれないけど、『トブの大森林』から逃れてこのへんにやってきた者もいたかもしれない。

『空中庭園』の周辺で、辛そうな生活を送っている人間や亜人に対して勧誘してたはずだから……それが元々どこにいたかまでは知らないし、特に理由がなければ過去とか聞かんのよね。

 

 ダークエルフは長命種だし、その時に保護した人がまだきちんと生きてるかもしれない。

 そう思って、ナザリックから帰った後、うちの城下町にいるダークエルフ達のうち、古株の何人かを呼び出して聞いてみた。

 

 そしたら、ビンゴ。かつてトブの大森林にあった、ダークエルフの国の出身者が何人かいた。

 アインズさんの予想通り、『世界を滅ぼすほどに危険な魔樹』に対応できず、やむを得ず国を捨てて逃げ出して……しかし中々定住できる場所がなくて放浪してたところを、空中庭園(ここ)に行きついたそうだ。

 

 アインズさんには事前に話す許可は取ってあったので、『その魔樹、私の知り合いがぶっ殺したけど、元居た場所に帰りたい?』って聞いてみたら……驚きつつも、しばらく悩んでいた。

 

 返事としては、『帰りたいと思っている者もいれば、別にいいと思っている者もいる』だった。

 古株のダークエルフの中には、捨てざるを得なかったとはいえ、生まれ故郷の森だから、かなうなら戻りたいと思ってる者もいる。一方で、ここでの暮らしに慣れてしまったし、様々な種族の隣人達との過ごす日々の暖かさを大事にしたいから、もう戻らなくていい、という者も。

 

 それが原因でダークエルフ達の間に不和が起こるとか、そういう雰囲気ではなかったけど、皆で話し合ってどうするか決めたい、と言われた。

 

 基本的に空中庭園(うち)は、場所及び存在の秘匿のため、『来る者は拒まずだけど、去るのはダメ』的なスタンスである。例外は、私の子供達のうち、外の世界でやっていくのに十分な実力と知識を身に着け、『外出許可』が出た者のみ。

 なお、引率アリでも本人がレベル40以上、引率なしならレベル50以上、同行者なしの単独ならレベル60以上であることが絶対条件。

 

 それ以外の例外措置もないことはないけど、その場合は、魔法的な契約を結んで、ここに関する情報の一切を口外しないことを約束させている。

 それこそ、拷問されようが自白剤を使われようが、魔法で魅了・洗脳・その他情報を直接抜き出すような手段を使われてもばらさないような、強力な奴を使って。

 

 もしもダークエルフ達が……全員じゃないにしても、多くがここを出てトブの大森林に戻り、国を復活させたいって希望したら……さて、どうするか。

 情報封鎖さえ徹底すれば別に許可してもいいだろうけど、何せ森を出てから300年経ってる。昔とは色々変わっちゃってるだろうし、色々と危険な魔物も住んでるはずだし……果たして無事にそこに元通り居つけるかどうか。

 

 ……ただまあ、城下町のダークエルフの中にも、例によって私が産んだ子供が何人かいる。

 きちんと『練武郭』で修行してるから、この世界の基準で言えば、ほぼ全員が『英雄』の領域にまで至っていて……何人か『逸脱者』やそれ以上のもいたはず。

 

 彼らがいれば、まあ、トブの大森林の魔物ごときに後れを取ることはないだろうし……手伝い兼監視役として出向させる手もあるかもしれない。

 ……一時的にでもここを出ちゃうわけだから、ちょっとさびしいけど……。

 

 後で、デミアやカリンに相談しよう。

 ああ、あとアインズさんにもかな。今、実質トブの大森林を支配してるの、アインズさんだし。

 

 

 

【異世界転移400年目 □日目】

 

 城下町に住んでるダークエルフ達の間で、どうしたいのかの意見がまとまったみたい。早かったな意外と。

 

 結論としては、『生まれ故郷の森に戻りたい』と思ってるのが3割ほど。残る7割は、『このままここにいたい』と思っているそうだ。

 

 なお、私の血を引いている子供達や孫たちについては、ほとんどが残留組の方に入っているものの……ごく一部、帰還組の方に入ってるらしい。

 当然、彼ら彼女らは空中庭園(ここ)の生まれだから、帰りたいなんてことは思うはずもないんだが……単に、『家族が帰りたがってるから、それについていく』っていう理由だってさ。

 

 私からこのことについて、反対とか賛成とかをすることはないです。

 帰還組も残留組も、どちらも希望通りにさせてあげるつもりだ。……寂しくなるけど。

 

 ただしもちろん、帰還組にはいつも通り、魔法的な『契約』によって、ここの存在その他を徹底的に秘匿する措置を取らせてもらうけどね。

 

 それと、帰還組がトブの大森林に戻るに際して、もう1つ問題があった。

 ズバリ、彼らには『帰る場所』がもうない、ってことだ。

 

 彼らが大森林に暮らしていたのは、もう300年も前だ。その時に暮らしていた家……どころか、町とか国は、もう残っていない。

 荒れ果てるどころじゃなくて、本当に何1つ残っていないだろう。動物や魔物がわんさかいる危険地帯の中にあって、無事で残ってるはずがないし……そもそも、ダークエルフ達がそこを捨てる原因になった例の魔樹に蹴散らされて滅びたかもしれないし。

 

 となると、文明の気配がすっかり消え去った森の中を一から切り開いて、また国を……というか、住める場所を作らなきゃいけないわけだ。

 

 一応、今、実質トブの大森林の支配者になってるアインズさんには、許可は取ってある。

『うちにいるダークエルフの子達が帰りたいらしいんですけど……』って相談したら、『どうぞどうぞ』って気前よく移住(帰郷)の許可出してくれた。

 

 けど、そこに送り届けて、『はい、じゃあ後は自力で頑張ってね』って放り出すのも……なんだかなあ……。

 今言った通り、ゼロから開発して国作らなきゃいけないわけで……絶対大変だよね。

 

 それを承知で『帰る』ことを選んだんでしょ、と言ってしまえばそれまでなんだけど……少し前まで空中庭園(うち)の住人だったし、少なからず私の子供達も混じってる彼らを、そんな風に放り出して後は知らない、っていうのは……なんか気がひける……

 ぶっちゃけて言うと、色々援助してあげたいというか、もうちょっと甘やかしてあげたいというか……ダメかなあ……?

 

 ……というのを、雑談がてらデミアに話したら、『いいんじゃない?』と言ってくれた。

 と同時に、『いいこと思いついた』と言って……彼ら帰還組をうまいこと利用した、ある『計画』を考えて、提案してくれた。

 

 それを聞いた私は、『それいいかも』と思って……その後すぐにアインズさんに連絡を取り、急だけど『提案』と『打ち合わせ』をさせてもらうことに。

 デミアが提案してくれた計画って、ナザリックも巻き込むし、ナザリックにも大いにメリットがある内容だったからね。

 

 

 

 その数時間後、私とデミアはナザリックに出向き、アインズさんとアルベドとその『計画』について話し合い……『よし、やろう』ということに決まった。

 

 その計画とは……簡単に言えば、ナザリックと空中庭園が、ダークエルフ達の国造りないし復興をバックアップする代わりに、その国を実質裏から支配ないし管理することで、フロント企業みたいなものとして利用しちゃおう、というものだ。

 

 ナザリックは元々、リ・エスティーゼ王国を支配して利用するつもりでいるけど、今後、徐々に表舞台に進出していくことを考えれば、影響力がある国家はいくつあっても困らない。

 

 それに、支配地域を効率よく増やし、そして管理していくには、建国時点で自分達に確実に従う形で一から作ってしまうのは、確実性も高いし効率もいい、最良に近い方法だ。

 

 今回は都合よく、これから独立国家を立ち上げたがっている勢力が既にあるので、それをそのまま利用すれば……つぎ込む労力とかの初期投資も最小限で済む。

 加えて、同じ対象に私達が一緒に投資するから、なおのこと節約になる。

 

 アルベドに加えて、事前に話を通していたらしいデミウルゴスからも『よい案かと』って太鼓判もらえたらしい。完璧じゃん。

 ……そんな案をさっと考えて提示できるうちのデミアがすごい頼もしいし誇らしい。

 

 そしてこの計画に、私達『空中庭園』からも支援する形をとってあげれば……こちらもその国に対して影響力を持てるのに加えて、子供達を手伝ってあげるいい口実になる。

 

 ……しかし、なんか、単なる私の気まぐれと我儘から始まったのが、気づけば随分と話が大きくなっちゃったな……うまいことまとまりそうで嬉しいは嬉しいんだけど、ちょっとだけ『おォう…』ってたじろいでいる自分がいる。

 

 ……毎度デミウルゴスに『なるほどそういう(略)』って言われて、全く意図してないことまで付け足されていつの間にか実行されてるアインズさんは、こんな気持ちなんだろうか、ってちょっと思った。

 

 

 

【異世界転移400年目 ▽日目】

 

 ナザリックと空中庭園から支援を出して大森林を切り開き、超特急かつ安全第一で整地やら建築やらを進めた結果、驚くほど早く、ダークエルフ達が住む都が完成した。

 

 そこに引っ越すと同時に彼らは、周辺各国に対して、ダークエルフの国……正式名称『エルヘヴン』の発足を発表。トブの大森林全域を国土として設定し、支配する旨を公に喧伝した。

 

 ただし、トブの大森林については、国土とはするものの、いくつかの他国にも接している地域であることから、森に入ることまでは禁止はしないこととした。

 が、森の中層から深層についてはダークエルフの領域であり、訪問自体は禁じないものの、その周辺における動植物は国の資源であるとし、狩猟や採取などを行うのは認めないものとした。

 

 ……実態はもちろん、ナザリックと空中庭園の傘下企業みたいなもんだけどね。

 建国の際の開発だけじゃなく、国家運営や生活その他に関しても、継続して支援してるから。

 

 ナザリックからは、アインズさんが作ったアンデッドを始め、他にもゴーレムその他を労働力や防衛戦力として提供。大森林の魔物達や、まだないとは思うけど、他国からの攻撃等に対する備えとして置いている。

 

 一方空中庭園(うち)からは、食料とか物資とか、生活支援的なものを。

 といっても、うちで作った食料とかを届けて配給している……みたいな意味ではないです。そんなんじゃとても自立できてる一つの国家とは言えないでしょ。ちゃんと自分達で農業やら畜産やらやって、あるいは狩猟や採取もやって、食料はきちんと確保して生活していく予定だ。

 

 ただ、私達がやってるのはその前段階……増やすための家畜(子牛、子豚、子竜など)や、植えて増やすための種や苗を提供している。

 いうなれば、スタートダッシュの段階だけ手を貸してあげてるわけだ。そのへんはさすがに、全くのゼロから始めさせるのは無理だからね。

 普通の人間の国にある町や村なら、栄えている都市部で家畜や種苗を買い付けてこれるだろうけど、この辺にはそういうのないし、人間の国から買い求めることもできないし。

 

 いずれはきちんと、これらを育てて生活を成り立たせることができるようになるだろう。彼らの中には、『空中庭園』の城下町にいた頃にもそういう仕事をやってた経験者もいることだし。

 

 それと、これはただ単に形式的なものではあるんだけど……『エルヘヴン』は、国の中枢に『元老院』という意思決定機関が置かれている。そこに所属する7名の『元老院議員』が色々と話し合って国としての政策、方向性なんかを決めて、それを実行するという仕組みだ。

 

 ……と、対外的に言っているものの、実際はその『元老院』も含めてナザリックと空中庭園の影響下にあるので、最高決定権は私らにあるんだけどね。

 私達がアレコレ言う必要もない些細なことであれば、その元老院で実際に話し合って決めたりもするけども。

 

 で、その元老院議員の中に、ナザリックからアウラとマーレも加盟している。

 この国に住んでるわけじゃないけど、『管理者』サイドとしてそういう席を用意させているわけ。

 加えて、空中庭園(うち)からも、私の子供のダークエルフを2名、議員の座に座らせている。理由は同じです。

 

 合わせると、7名中4名……過半数がナザリックと空中庭園の関係者なので、実質、私達が通したい事柄は絶対通るし、通したくない事柄は通らないのです。

 

 なお、こんな風に国としての手綱を私達に握られていることについて、住民であるダークエルフ達はどう思っているのかというと……別に何とも思っていないそうです。

 

 そもそも彼ら、国として何かしたいだとか、そういうことは全然思ってなくて……ただ故郷に帰りたいとか、家族と一緒に暮らしたいとか、そういうことを思ってただけだ。

 よく言えば……ささやかな願いで満足する謙虚な性質。悪く言えば……『意識高い系』がいない。

 

 空中庭園にいた頃も、ただ平和にのんびり暮らしていただけだったしね。その時より多少忙しくなった程度で、本質のところは何も変わってないし、変えたいとも思ってないんだよ、彼ら。

 まあ、私らからしたら実に助かるというか、都合がいいわけだが。

 

 さて、国の内側はそんな感じとして……外側はこれからどう動くかね。

 このエルヘヴンの突然の建国に対して、周辺各国がどんな反応を見せるか、慎重に見ておかないと。

 

 直接かかわることになりそうなのは、大森林と接している、王国と帝国。次いで、位置的に近い法国や竜王国あたりだと思うけど……

 

 外交や防衛に関してはナザリックの担当になるので、これに関してはデミウルゴスが既に目算をつけていた。

 

 といっても、元々トブの大森林はモンスター達の領域で、人の手が及ばない、及んでいなかった場所だ。

 いきなり国が興って『ここ領地ね』って主張し始めたとしても、驚きはするだろうけど過剰に反発したりはしないだろう、という見込みである。

 

 むしろ、『そんなとこ領地にしてどうすんだよ』って思ってる人の方が多そうだしね……トブの大森林の危険度を知ってる人なら、特に。

 

 一番早く反応しそうなのは、大森林と国境を接している帝国だろう。突然現れた得体の知れない勢力に対し、まずは様子見がてら接触して反応をうかがってくる可能性は大いに高い。

 軍事的に揺さぶってくるとかじゃなく、ひとまず平和的に外交を結びたい的な感じで。

 ……というのが、デミウルゴスの読みである。

 

 逆にほとんど何の反応も示さない、示せないだろうという見込みなのが、竜王国。

 あの国は、年がら年中ビーストマンの侵略にさらされていて、忙しい。

 

 現状そこまで切羽詰まってはいないというのもあるし、唐突に出現したとはいえ、よくわからない国を相手に、よくも悪くもちょっかい出してくる余裕はないだろう、との見立てである。

 

 ただし、エルヘヴンの国力(軍事力含む)が想像よりずっと多い、と知った場合には、ビーストマンに対抗するために協力関係を築こうと接触して来る可能性はなくはないそうだ。

 

 続いて王国だが、本来であれば、『いきなり国を名乗った上に森を領土にするとは何事だ!』とかいちゃもんつけてくる可能性があったけど、今は国内が『ゲゲル』からの立て直しでちょうど大変な時期にあるため、余裕がない。

 なので、しばらくはスルーするだろうとのこと。

 

 というか、そもそもラナー王女達には事前に知らせてある話なので、『敵ではない』ことはわかっている。むしろこの先どう付き合っていくか、どうすれば王国のためになるかを、ザナック王子達も一緒になって模索していくはずだ。

 

 そして法国は、人間至上主義を掲げている関係上、友好的に接して来ることはないだろう。

 けど、向こうからちょっかいをかけてくることもないだろう。少なくとも表面上は何もせず、しばらくは慎重に様子見に入ると思う。

 

 法国は今既に、エイヴァーシャー大森林のエルフ王国と戦争中だ。他に敵を増やすような真似はしたくないだろうし。

 

 ……まあでも、情報を手に入れるために、密偵くらいは寄越してきても不思議じゃないが。

 

 それと……これまで言った国々よりも距離があるから、すぐにどうこう動きはしないだろうけど……聖王国に関しては、法国と同様、友好的に付き合うのは難しそうかも。

 あそこも、亜人蔑視……ないし敵視の風潮がかなり強いからね。国境を接していて、侵略してこようとする亜人達と日夜戦ってると、どうしてもね……。

 

 そして、同じく距離があるものの、アレフガルド都市国家連合については……こちらは聖王国とは真逆で、亜人だろうが何だろうが差別意識はほぼない。距離の問題さえ目をつぶれば、なんなら帝国と並ぶか追い越す勢いで、一番早く国交を始めるんじゃないかと思っている。

 

 そもそもこの国々には、最初から私達『空中庭園』の息がかかってる国が多く存在するわけだしね……彼らからすれば、同じように私達が世話を焼いている『兄弟国家』みたいな立ち位置として受け取ってもおかしくない、かも。全然友好的に付き合いそうだな。

 ……というか、実際に兄弟姉妹、ないし身内が治めてる国なんだよな……。

 

 あと、一応、さっき法国の話の時にちらっと出てきた『エルフ王国』。あれも国と言えば国だが……あそこはなあ……。

 どう出るかちょっと予想がつかないし、そもそもあんまり関わりたくないというか……。

 

 それと、国じゃないけどちょっと反応が気になっているのが、空中庭園(うち)に逃げ込んだ以外のダークエルフ達の生き残りについてだ。

 一部のダークエルフ達は、エイヴァーシャー大森林をはじめ、大陸の各地に逃げ延びて集落をつくって暮らしているらしい。その彼らが、故郷を追われる原因になった『魔樹』が討伐されたと聞いて、戻ってくる可能性もある。

 

 その際は、今既にあるエルヘヴンという国を乱さないことを条件に、それらを受け入れる用意は一応できてる。向こうもいきなり喧嘩腰で来やしないと思うけど……何もトラブルなく合流して、そのままなじんでいってくれればいいと思う。

 

 寿命の長い種族だから、散り散りになる前の知り合いとか普通に生き残っててもおかしくないしね。300年越しの感動の再会とかもありえるわけか……。

 

 色々落ち着いたら、私も子供達を連れて(ダークエルフ含む)遊びに行こうかな。

 それか、デミアやカリン、アインズさん達とも相談して……問題ないと判断したら、時々、残留組と帰還組が交流する場を設けるくらいのことはしてあげてもいいかもしれない。

『空中庭園』では一緒に住んでたのに、その時の選択の違いでもう二度と会えないとか、さすがに寂しいだろうし。

 

 ただその時は、今以上にきちんと情報封鎖をしっかりする方法を考えなきゃいけないだろうけどね……これも、デミアに要相談だ。

 

 ……それでもやっぱり、子供達には、そして家族には……笑っていてほしいもんなんだよね。

 

 

 

 

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