【異世界転移400年目 ▽日目】
アインズさんに相談して、件の『ザイトルクワエ』の種を分けてもらった。
戦った時に、散弾みたいにしてぶっ放してまき散らしてきたもので、放っておくと発芽するかもしれないので、可能な限り回収してあったんだそうだ。
けど、使い道もないのでただナザリックで保管してただけだったから、『全然いいですよ、どうぞどうぞ』っていっぱい貰っちゃった。
今はデミアとサンゴに任せて研究してもらってるけど、レベル80超の強力なモンスターが放出したものだけあって、研究素材としてはなかなか優秀らしい。
まだ構想段階だけど、上手くすれば何やら面白いものが作れるかもしれない……と、テンションを上げていたので、ちょっと期待して待っていようと思ってます。
それはそれとして、建国からしばらく経ったわけだが、ダークエルフの国こと『エルヘヴン』の運営はすこぶる順調である。
生まれ故郷の森に戻って来れて嬉しいのか、ダークエルフ達は毎日せっせと働いている。
農作業をして野菜や穀物を作ったり、飼ってる家畜の世話をしたり、森に出て獲物を狩って来たり、日用品その他を作ったり……各々の仕事を精力的にこなしている。
え、やってることが普通の村人とかと同じに見えるって? そりゃまあ……今のところはね。
彼ら彼女らは、『城下町』からただ単に移り住んできただけで、ひとまずはこの『新天地』で自分達の生活基盤を整えるところから始めなきゃだから、今はまだその段階なのだ。
大方のところは私達が援助して整えたとはいっても、いきなりロケットスタート的に高度に文明的な暮らしができるわけでもないだろう。暮らしに慣れてきたら、ちょっとずつレベルが高い形になっていくだろう。
尤も、それにはあんまり時間はかからないと思うけど。
それができるだけの能力は、彼ら彼女らは既に持ってるから。技術的にも、学力的にも。
彼らの多くは、城下町で既に何かしらの仕事を持っていて、それを生業にして生活できていたわけだから、この国での生活でもそれを生かすことができるだろう。ものづくりだったり、運搬や流通、その他の管理だったりね。
また、これまで触れる機会なかったけど、『
そこで、この世界の共通語の読み書きや四則演算、その他知っておいた方がいいことを学ぶことができ、論理的な思考もできるようになるまで教育される。
そのかいあって、識字率は100%だし、ある程度のレベルの事務仕事ならできる程度の能力はほぼ全員持ってる。だから、社会システムを発展させる余力はきちんとあるはずだ。
今後、国が大きくなり、仕事の種類が増えていっても、しばらくは十分対応できるだろう。
デミウルゴスやデミアといった知識人枠の見通しでは、今後、この『エルヘヴン』の人口規模はどんどん大きくなっていくとのこと。
その理由は、これも以前言ったと思うけど、『空中庭園』以外の別な場所に逃げ延びていたダークエルフ達が合流すると目されるからだ。
エイヴァーシャー大森林やアベリオン丘陵、その他あちこちに、ダークエルフ達の隠れ里的な場所があるらしい。そこにいる彼らにも、いずれ『災いの魔樹が倒された』『トブの大森林でまた暮らせるようになった』『既にダークエルフ達が国を再興しているらしい』という情報は届くだろう。
その中にはやはり、『生まれ故郷に戻りたい』と考えて合流して来る者達もいるだろうから……それらを受け入れていけば、まだまだ大きくなっていくだろう。
人口規模だけじゃない。今後、他の国から人が入ってくることもあるだろう。観光客としてだったり、移民希望だったり、商売だったり、冒険者だったり……形は様々だろうが。
あるいは、周辺国のどこかが、『外交』という形での対話を申し込んでくることだってあるだろう。仮にもこちらも『国』を名乗ってるんだから。
人やモノの流れが生まれれば、それを扱う『立場』もまた生まれる。そうなれば、商業やその他のサービス業に携わる者だって出てくるだろう。
そしてそれはそのまま、この国に暮らす者達にとっても、日々の生活の潤いにつながる。
もしかしたらその途中で、彼ら彼女らだけでは解決が難しい問題に直面するかもしれないけど……その時は、ナザリックや空中庭園が色々フォローする。
ゆくゆくは、立派でまともな、どこに出しても誰に見られても恥ずかしくない『ダークエルフの国』ができあがることだろう。その時が今から楽しみだ。
捕らぬ狸の皮算用、だとは思わない。
きっとこうなる、そうしてみせる、っていう、未来予想図だよ、どちらかと言えばね。
【異世界転移400年目 ◇】
えー……いいニュースと悪いニュースがそれぞれ入ってきました。
まず、いいニュースの方から。
前から予想してた通りと言えばそうなんだけど、あちこちに散っていたダークエルフ達……かつてトブの大森林に住んでいた者達が、『エルヘヴン』に続々と合流しつつある。
そして戻って来てみれば、今までよりも断然豊かで文明的な暮らしができる環境が整っていた。
もちろん、まだまだ未完成なところが多い国だから、自分達も色々仕事をして支え合っていかなきゃいけないけど、それでも今までより全然楽だし、快適である……らしい。
……言っちゃなんだけど、まだ割と原始的……とまでは言わないけど、割と未発達なレベルの社会構造だと思うんだけども……いやまあ、皆さんがそう思うんなら別に結構だけども。
ともあれ、そんな感じのこの国に希望を見出したダークエルフ達は、まるで若返ったように活力を取り戻し、精力的に働いて、どんどんこの国を発展させ始めているところだ。
これはこの先の発展のペース、想像以上に早くなるかもしれない。期待させてもらおう。
さて、ここまでがいいニュースで……じゃあ悪いニュースは何かというと、だ。
結論から言おう。エルヘヴンに、他国の密偵が侵入してきた。
まあ、これも一応予想してたことではある。
情報ってものの価値をわかっている国であれば、すぐ近くにできた新たな、しかも亜人種族の国となれば、それが一体どんな国なのかを探りたくなるのは、当然と言えば当然だ。
色々と甘すぎる上に他国を舐めくさってる王国や、距離があるからそこまで早くは動かないだろうと思っている聖王国や竜王国はともかくとして……帝国や法国は、割と早い段階で密偵を送り込んできてもおかしくはないと思っていた。
こっそり『忍び込む』形をとるのか、それとも、一般人の旅人や冒険者を装って送り込んでくるかはわからなかったし、どっちもありそうではあったけど。
そういうのが来た場合どうするのかって言うと、見つけ次第問答無用で排除……ということは別にしません。
なぜかというと……密偵と一言に言っても、必ずしも何か害意をもって忍び込んできているとは限らないからだ。
むしろ、初期段階で『とりあえず』送り込まれてくるようなのは、あくまで、『どんな国か』を調べに来ているだけの場合がほとんどだったりする。
自分達の国と上手く付き合えそうか、国交を結ぶ旨味はあるか、町の活気はどうか、発展度合いはどの程度か……その他色々。
そんな感じのことを調べて、今後の向き合い方を決める判断材料を集めに来ているわけだ。
そういう『密偵』であれば、別にそういった情報は持って帰ってもらって構わない。むしろ、労せずして他国にこの国の状態をアピールできるため、好都合ですらある。
なんならこっちでガイドをつけてあちこち案内してあげてもいいくらいだ。そこから国交が結ばれて、実りある付き合いをできるようになるなら、だけど。
ただ、中にはそうじゃない密偵も当然いる。
情報や物品を盗むのが目的だったり、要人の誘拐や暗殺を企てたりしてるようなのがね。
そういうのに対しては遠慮はいらない。発見したら始末するか、あるいは捕縛して尋問して背後関係を吐かせる。そういう対応でOK。
……で、今回やってきた密偵っていうのが……こっちの、嬉しくない方の奴だったんだよね。
友好的な関係を模索するための使者としてじゃなく、盗むとか奪うとかするための不法侵入者。
しかも、送り込んできた国がまた、想定外だった。
帝国でも、法国でもなく……『エルフ王国』だったのだ。
当然ながら、進入してきた連中は全員エルフだったので、捕まえたって報告が届いた時には『え、まさか』って思っちゃったんだが……尋問してみたらビンゴだったってわけ。
自分達は、エイヴァーシャー大森林にある、エルフの王国から送り込まれた者だって白状した。
彼ら彼女らは、長い寿命の中できちんと訓練を積んだ、それなりに優秀なスキルを持つ隠密だったようだけど……残念なことに、この国において防衛関係のバックアップをしてるのは、外ならぬナザリックなんだよね。
国内の各所……特に、中央政府的な機能を持たせている『元老院』関係の建物には、レベル49の『
……と、ここまでの内容を、アインズさんから今朝『
『
その後、私にアインズさんから教えてくれたってわけなの。
で、もちろんその侵入者エルフ達の目的についても聞いたらしいんだが……どうも彼ら、『魔樹』を倒した者が誰なのかを調べていたらしい。
そして、もしそれが女だった場合、攫っていくつもりだったとのことだ。
……ここまで聞いた時点で、私は、これを命じたのであろうエルフ王が何のつもりでこんなことをやったのか、考えるまでもなく理解した。
あの国にいるエルフ王――名前、『デケム・ホウガン』だったかな――には、ある野望がある。
それはズバリ、世界征服である。
自分の種族であるエルフは寿命も長く、魔法の扱いにも長けている者が多い、極めて優れた種族である。その中でも最強の力を持つ自分の血を引く者達であれば、他の国々などなぎ倒して、この世界を自分の元に統一することができるはずだ。
……というようなことを大真面目に考えて、自国民(の女)を片っ端から孕ませまくって子供を産ませまくって、それらを戦場に送り込んでいる。
しかし現実にはそんなにうまくいくはずもなく……もう戦争が始まって100年も経つのに、現在戦争中の法国1つ落とせずにいる現状を不満に思っている。
優れた血筋のはずなのにそんなこともできないなんて、なんて使えない奴らだ、と。
なお、前述した自国民を片っ端から孕ませている点については、高貴で優れた自分の血筋を与えられることは国民達にとって喜びであることは間違いないため、正しいことだ、と本気で信じているらしい。
本当に頭に脳みそが入ってるのか疑わしくなるほどの愚劣っぷりである。リ・エスティーゼ王国の貴族連中といい勝負だ。
当然ながら、自国民からの評判は最悪である。本人気付いていないだけで。
ただ、推定でレベル80にもなる強さを持っており、その強さだけは本物。言っても聞かないし戦って抗っても勝てないことがわかり切っているため、皆諦めているんだそうだ。
今回、エルヘヴンに忍び込んできた隠密エルフ達も、そんな感じだった。
で、そんなエルフ王が彼らを送り込んできた目的……というか、どういう経緯でこんなことになったのかというと、だ。
ある日、エルフ王の元にも、ダークエルフがトブの大森林に国を興したというニュースが飛び込んできた。
それ自体は、エルフ王にとってはどうでもいいことだった。いずれは他の国もろとも征服するわけだし、今どこがどうなっていようと構いはしない、という感じ。
ただ、エルフ王が気にかけたのは、その知らせと一緒に耳に入った、『災いの魔樹を討伐した』という情報だ。
かつてダークエルフ達がトブの大森林を去る原因になった、とてつもなく強い『災いの魔樹』というモンスターについては、エルフ王も聞いたことがあった。そこから逃げて来たダークエルフの一部がエイヴァーシャー大森林にも住んでいたから、噂話程度に聞こえて来ていたのかも。
どれだけ強いのかは知らないし、自分より強いということなどはないだろうが(根拠なし)、それを倒したというのなら、ダークエルフの中にもそれなりに強い者がいるのかもしれない。
なら、もしその強者が女であれば……そいつを孕ませれば、自分の優秀な血筋と合わさって、少しはマシな子供が生まれるかもしれない。
よし、やってみよう。連れてこい。
……以上。
☆☆☆
「なんだそれは……よくそれで、小さくて閉鎖的な国とは言え、一国の王が務まるな……」
「王国貴族も大概でしたが、そんなところにも斯様な愚者がいるとは……やれやれ、呆れてものも言えませんね。支配されているというエルフ達も哀れなものだ」
同日午後。
午前中に『エルヘヴンへの侵入者』についてアインズから報告をもらっていたラストは、件のエルフ王国について詳しいことを話すため、ナザリックを訪れていた。
顔を合わせている場所は、アインズの執務室の応接スペースで……アインズ以外に、デミウルゴスとマーレが同席している。
ラストの方からは、デミアとトールを連れて来ていた。
今しがた、アインズの求めに応じて、エルフ王についてラストが知っていることを説明したところであるが……ラスト以外全員が呆れた顔になっていた。
話した内容は、一部は既に尋問でアインズ達も前もって知っていたことではあったが、ラストの口から改めて聞いてそれを確認すると、余計に大きな脱力感に襲われる。
「王国貴族にも多かったですけど、典型的な、自分に都合のいいようにしか物事を考えられないタイプの愚者です。自分を客観的に見るっていうことができないし、そもそもそういう発想がない。だから自分のやることや考えることに疑いを持てずに、反対する奴全部悪とみなして踏みつぶしながら進んでいく……なまじ力は本物なせいで、誰もそれを止められず……かれこれ100年以上そんな感じですねずっと」
『ボロクソ言いますね』
『これでもだいぶ甘いくらいですよ』
こっそり『
さらには、自分が産ませた子供達を容赦なく戦場に送り、弱ければそのまま使い捨て、強ければその子供をさらに自分が強姦して孕ませて、子供を産ませてまた戦場に送り出す……などということをやっている、と付け加えて説明した際には、その場にいるほぼ全員の顔に、呆れをさらに通り越して、嫌悪感が浮かんだ。
「滑稽なだけならまだかわいげもあったものだが……ここまで来るとさすがに不愉快だな」
「そんな話をアインズ様のお耳に入れることになったこと自体が不快な存在ですね……ああもちろん、ラストにゃんにゃん様を悪く言うつもりはないのですが」
「いいよデミウルゴス。わかってるから。とまあ、そういう感じで頭が残念な王様なので……今回侵入者たちから聞き出したっていう目的も、ごまかしとかでもなんでもなく真実だと思いますよ。なんなら、エルフ王国の密偵だって聞いた段階で、すぐに私コレ予想できたくらいですから」
「そうか……いや、あまりに荒唐無稽な話だったのでな。念のため確認したかったのだ……すまなかったな、ラストよ」
「いえいえ、とんでもないです。アインズさんの役に立てたなら嬉しいですよ」
なお、そのエルフの侵入者達はというと、ひとまず今は第5階層の氷結牢獄に閉じ込めているらしい。今後、どのように扱うか検討するということだ。
何かの形で『有効利用』するか、それとも苦痛なき死を与えるかの二択らしいけどね……どちらにせよ未来は暗い。
「……そうだな……仮にだが、ラストよ」
ふと思いついたように、アインズがラストに尋ねる。
「あまり考えたくもないことなのだが……もしその愚王が、こちらの女性の下僕達の存在を知った場合、どうすると思う?」
「アルベドとかアウラとかですか? そうですね……」
ラストは少し考えて、
「二択ですね。いきなり引き渡しを要求して来るか、何も言わずに攫おうとするか。目的はもう、説明する必要はないと思いますので、割愛します」
「……やはり不快だな」
交渉するなどということはしないだろう、とラストは確信していた。
あの男はもう、世界は自分によって征服されて、全ては自分の思い通りになって当然だと考えて疑わない、そんな頭の持ち主だ。
誰かに配慮するだとか、譲歩するだとか、そういう『他人のためになる』行動をとる意味をそもそも理解できない頭の持ち主だ。
100年前にやったように、平和的な話し合いだと銘打ってだまし討ちして、使者として来た者をさらっていく、くらいのことはするかもしれないが……あの王が頭を使ってやることなど、せいぜいそのくらいであろう。
いや、ともすれば、そのだまし討ちとて王ではなく側近か誰かの案かも知れないが。
そしてそれは自国民に対しても同じであり……仮にも自分の血を引いた子を戦場に送り出しておきながら、その者が戻らなくても何も悪いとも、可哀そうだとも思ったりはしない。
戦場で死のうとも、捕虜になって奴隷にされてしまったとしても、『あいつも使えなかった』と考えて、すぐさま名前も忘れるだろう。そういう男だ。
さらに言えば、そうして戦場で捕まって捕虜になったエルフは、耳を半ばから切り落とされて奴隷にされ、さらにその一部は帝国などの他国に輸出されている。
結果的にエルフ王国は、法国や帝国が流通させているエルフの奴隷の主な産地になってしまっているのだ。
「そんな感じですから、割とガチであの国、国民ほぼ全員がエルフ王の被害者なんですよね……。エルフ王に忠誠を誓ってるのって、ごく一部の信奉者的なエルフ達だけだったと思います」
「ふむ……そうであれば、その者達をすべて処分した上で、頭を挿げ替えるだけで、かの国を占領統治するのは容易にできそうですね」
そうデミウルゴスが呟いたのを聞いて、ラストは『あら』と声を出した。
「ひょっとして、エルフ王国を攻め滅ぼす的なこと考えてました?」
「ああ。ダークエルフとは近縁種でもあるし、国同士で健全な国交が結べるのであればそれもよかったが……聞く限り期待できなさそうだ。それどころか、まともに外交筋で交渉できる相手ですらないようだし、今回のようなちょっかいをかけてくるのであれば……」
「いっそ滅ぼしてしまうのも手、ですか……どう思う、デミア?」
「大いにありだと思います。こちらで把握できている限り、かの国は外部にまともな国交を結んでいる国が1つとして存在しません。100年前までは法国とは友好的な関係だったのですが、今となってはご存じのとおりですし。あの国が滅んだところで気に掛ける者はいないでしょう」
会談の場なので、デミアもラストに対して丁寧な余所行き口調で話す。
「付随して面倒ごとは発生しない、ってわけね。アインズさん、仮にエルフ王を倒したとして……その後、エルフ王国そのものはどうする予定だとか、もう考えていますか?」
「いや、まだ特には考えていないな。反発が強く、占領統治に難があるようであれば、国の規模にもよるが、殲滅も考えてはいたのだが……先の話を聞く限り、その必要はなさそうだ。とはいえ、先にダークエルフの国を興したばかりで、この短期間でまた支配地域を増やすのもな……」
そう言ってアインズが、ちらっとデミウルゴスの方を見たのにラストは気づいた。
内政特化のアルベドに対して、デミウルゴスは外交事が得意な下僕である。ナザリックそのものの外交交渉に加え、エルヘヴンのそれについても顧問的な立場で携わっており、そのタスクは今の時点でも非常に多い。
(これ以上デミウルゴスの負担を増やすのはためらわれる……王様だけ倒して新政権を樹立させた後、ナザリックと空中庭園に敵対しないことを厳命した上で後は自由にさせるか? でもせっかく制圧するなら、もっと有効利用しないともったいない気も……でもそれだと結局タスクが発生して仕事が増えることに……堂々巡りだ……)
内心で大いに悩んでいるアインズに、ラストから声がかかる。
「アインズさん。提案なんですが……」
その『提案』を聞いた後、アインズはデミウルゴスと軽く相談してから、『よし、それで行こう』と決定を下した。
同時に、今回の密偵の件を理由として、準備ができ次第速やかに『エルフ王国』への遠征を決定。現政権を打倒し、かの国を支配下に置くことを決定した。
その際、国内の統治を主導するのは……ラストが手配した次の王となる。
ここからは、その会談が終わった後……アインズとラストが『
『それにしてもラストさん、あんたホントにもう……やけにエルフ王国の内情に詳しいから、まさかとは思ってましたけど……』
『あはははは……いやあ、お恥ずかしい。興味を持ったことを試さずにはいられないのが私の悪い癖でして』
『だからって自分からそのエルフ王に……はぁ……。まあ、そのおかげで、今後その国を手っ取り早くまとめて治める目処が付きましたけど』
『正真正銘の直系血族ですし、うち3人は父親と同じでオッドアイですから、内外に説明する建前は全く問題なしですよ。じゃ……それぞれ準備始めましょうか、『エルフ王国クーデター計画』の』