オーバーロード 傾国狐の異世界日記   作:破戒僧

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棄てる竜あれば、拾う竜あり(ただし半分狐)

 

 

【異世界転移400年目 !日目】

 

 おい、マジか。

 

 

 

 

 

【異世界転移400年目 ?日目】

 

 ちょっと昨日、色々ありすぎて日記ほっぽり出してしまったので……昨日の分も含めて書くことをお許しください。

 いや、色々あってね……ホントに。ちょっと頭の中で受け入れというか処理追いつかなくて。

 

 ええと……どこから話そうかな。

 

 少し前に、法国でちょっと騒ぎを起こすために、だいぶ人道に後ろ足で砂かけてる作戦を実行に移したじゃん? 死人に鞭打つどころか三角木馬に乗せてローソク垂らして熱湯風呂に突き落としてる感じのやつ。

 アレの結果というか結末が予想外な感じになっちゃって……お母さんびっくりしちゃったの。

 

 まず、あの元第一席次アンデッド……『憎悪の狂騎士(ディテスト・マッドナイト)』についてだが、『番外席次』ことアンティリーネちゃんが倒した。

 どうも、『最高執行会議』とかいうのの承認を得ずに独断で出撃したっぽい。……ヘイムダールの時に色々やったから知ってはいたけど、行動力あるな……。

 

 そして、最終的に自分の母が元になったアンデッドを倒して……その瞬間、『パワードスーツ』に仕込んでおいた自爆魔法が発動して、『狂騎士』もろとも木っ端みじんになっちゃったので、死体の回収とかはされてない。

 何か痕跡が残ってて、それを解析されたりとかするのは防ぎたかったもんでね。

 

 で、問題はその後でさ……

 

 討伐から数週間後のことだったんだけど……アベリオン丘陵はずれの山の一角で、なんかヤバい爆発みたいなのが起こってた……って、ちょうどそこで冒険者活動してた子供達の1人が教えてくれたんだよね。

 何だろうと思って、そこ調べてもらったら……まるで超位魔法でも着弾したのかってくらいのすさまじい破壊痕が確認された。

 少しだけど、地形が変わるレベルの爆発(多分)だったみたい。

 

 ……これはもう少し後で明らかになることなんだけど……どうやらそこで、アンティリーネちゃんと……『竜王』の1体であり、現存する中では最強とまで言われる『白金の竜王』が戦ったそうなんだ。

 ただし、『竜王』は……ドラゴンそのものが来たわけじゃなく、遠隔操作できる『鎧』を動かして派遣してきたらしい。それも『始原の魔法』か。

 

『鎧』の強さは、竜王そのものほどではないにせよ、この世界基準では十分というか、カンスト間近のユグドラシルプレイヤー相手でもある程度は戦えるくらいのレベルらしい。

 目算90レベル前後だと思われたアンティリーネちゃんと、かなり接戦だったらしいし。

 

 最終的には、僅差でアンティリーネちゃんが勝つ……その直前まで行ったらしいんだけど、その『鎧』、最後の最後で、『始原の魔法(ワイルドマジック)』使って自爆しやがったんだって。

 恐らくはそれが、うちの子が見た『とんでもない爆発』の正体だ。最後の最後の自己犠牲の一撃で、アンティリーネちゃんを仕留めようとしたんだろう。

 

 そしてそれは、成功した。

 それなしでも割とボロボロだったアンティリーネちゃんだったが、自爆をもろに食らって致命傷になり……咄嗟に使った『不落要塞』の武技も貫通されて吹き飛ばされた。

 その後、崖から転がり落ちて、川に落ちて……そこまでのどこかで、彼女は力尽き、絶命した。

 

 

 

 で、その死んだアンティリーネちゃんを……うちの『双子』が見つけ出して連れ帰ってきた。

 そして、『かわいいしもったいないから蘇生よろ!』ってゼルエル捕まえて生き返らせた。

 

 あとついでに、自爆したけど辛うじて残った『鎧』の残骸も持って帰ってきた。

 これに関しては『竜王』及び『始原の魔法』関連の貴重な資料だってことで、デミアの研究室に持ち込んでた。デミアとその部下達が狂喜乱舞して、さっそく解析に取り掛かってたよ。

 

 鎧の方は置いといて……そんなわけで、今、アンティリーネちゃん、空中庭園(うち)にいます。

 しかも、紆余曲折あって……双子とくっついて、うちの新たな『家族』になる見込みです。

 

 あ、うん。『紆余曲折』の部分もちゃんと書くから。大丈夫。

 

 アンティリーネちゃん、蘇生した直後は、まあ無理もないけど色々と混乱してた。

『絶対死んだと思ったのに』って……いやまあ、死んだけどね実際に。死んだ後生き返らせたんだけどね。

 

 その後、双子の口から……死んでたアンティリーネちゃんを蘇生して保護していることや、ここは法国はもちろん『竜王』にもまず見つからない秘密の場所であること、その他、必要そうなことを諸々説明。

 なお、念のため武器とかそのへんは取り上げて預かっていることも告げた。

 

 アンティリーネちゃんは、蘇生したばかりで本調子じゃないことに加えて、自分にはもう帰る場所がないこともあって……暴れたり逃げ出したりはせず、少なくともしばらくの間は、おとなしくしていてくれると約束してくれた。これが今から数日前。

 

 それからしばし、アンティリーネちゃんは『空中庭園』で療養していた。

 約束通り大人しく……していてくれるかと思ったんだけど、微妙にそうもいかなかった。

 

 というのも、彼女、今まで法国からどころか、神都から出たこともほとんどなかったみたいで――『竜王』から隠さなきゃいけないからだろうな――見るもの全てが物珍しくて、あっちこっち目移りしてる感じだったんだよね。ずっと。

 それで、『せっかくだから色々見てみたいんだけど』って言いだして……ま、まあ、勝手に出歩かないできちんと許可取ろうとしてくれただけよかった、かな?

 

 まあ、一般に開放してる区画ならいいか、と思って……もしもの時のための監視兼制圧要員として、双子を一緒につけることを条件に、出歩くことを許可した。

 

 あんたらが拾ってきたんだから、きちんとあんたらが面倒見なさい、っていう意図もあって指名したんだけど……どうやら双子的には全然ウェルカムだったみたいで。

 

 というのも、こいつら……オルガもシーナも、2人して、案内してる最中から、アンティリーネちゃんを口説きだしたのである。

 一応というかもちろん、案内とか監視もちゃんとしてたんだけど……それはそれとして、同時進行で。

 

 アンティリーネちゃんとしては、さすがに鬱陶しいかと思ったんだけど……意外にもそうは思わなかった。

 むしろ、自分を口説いてくる奴なんて今まで1人だっていなかったからって――まあ、法国最強らしいからなこの子。そういう目で見てくる人いなかったんだろう――面白がってさ、逆にうちの双子の方を振り回しつつ連れ回してたらしい。

『ほらほら、もっと私を楽しませて!』的な感じで。

 

 色々予想外ではあったものの、歓楽街やレストラン街、スポーツ施設なんかを案内しつつ、何日も遊んで回ったそう。

 

 特に『ルビクキュー』―――ルービックキューブくらいしか遊びらしい遊びを知らなかったらしいアンティリーネちゃんを、『遊享郭』のゲーセンに連れてって、筐体のゲーム機で遊びまくって1日溶かしたっていってたな……。

 お前らさ、加減ってもんを……あの手のは、それまで触れてこなかった人とか、はまる人はとことんはまっちゃうんだから……(実体験)。

 

 そんなアンティリーネちゃんだが……彼女には、ある口癖がある。

 それは……『敗北を知りたい』というもの。

 

 これは、前もってクレマンティーヌからも聞いたことあったのに加えて、『ヘイムダール』での一件の際に、ユリーシャやゼルエルから上がってきた報告でも聞いていたことだ。

 強すぎて国内に相手になる人がいないから、自分に敗北をおしえてくれるくらいに強い人に会ってみたいって。

 そして、もしその人が男なら……その人の子供を産みたい、という願望も同時に持っている……とのこと。それがたとえ、人間じゃなくても全然いいって。

 

 このことを双子に対しても言ってさ、『私と勝負して勝ったら好きにしていいわよ? ただし、やるならさすがに武器は返してね』って、挑発的に。

 この申し出に、双子も乗って……『練武郭』に場所を移して、模擬戦をすることになった。

 

 結果? そんなもん、双子の勝ちに決まってるでしょ。

 

 あ、もちろん、2対1で戦ったわけじゃないよ? ちゃんと1対1で戦って……どっちも勝ちました。

 

 まず、シーナとアンティリーネちゃんが戦った。

 戦う順番は、じゃんけんで決めてた。

 

 結果はまあ……推定90前後のアンティリーネちゃんと、カンストまで鍛えてるシーナじゃね……ほとんど勝負にならなかった。

 手も足も出ずに、ってほどじゃないにしても、終始圧倒された挙句に、手に持ってた鎌を弾き飛ばされて手ぶらになり、首元に双剣の刃が『ぴたっ』と触れて……首を斬られる1秒前、みたいな感じになって。

 その時のアンティリーネちゃん、『信じられない』って顔に書いてあった。

 

 その後、割と時間をかけて自分の敗北を認識した後、『まだ負けてない!』『もう1回!』って言ってきて……なんだ随分負けず嫌いというか、往生際の悪い子だな、と思ってた。

 

 けど、シーナが終わったんだから今度はオルガです。

 順番だからってことで、再戦要求は却下してバトンタッチしました。

 どうしてもやりたければ、オルガともちゃんとやった後にしなさいってことで。

 

 で、もちろんオルガにも負けたわけだが。

 シーナとはまたタイプの違う戦士であるオルガ。直線的かつパワータイプなので、技術はそこそこなアンティリーネちゃんは、受け流したり回避し続けて隙を窺う戦い方を模索してた。

 が、それをスピードとパワーにものを言わせて食い破るオルガに押し切られ、さっきと同じ感じで鎌を吹っ飛ばされて、首筋に刃ピタリ。

 

 で、2連敗を喫したアンティリーネちゃんだが……なんか様子がおかしかった。

 

『敗北を知りたい』なんて言ってたのに、いざ負けてみると、すごいショックを受けたような顔になってて……ワナワナ震えて、冷や汗?も流して……なんか予想と違う感じに。

 実際に負けて、初めて『負けたくない』という思いが湧き上がってあふれ出しそうになってる……そんな感じである。

 

 ……ま、こんなこったろうと思ってたんだけどねー実は。最初から。

 

 ヘイムダールの時に既に、ちょっとハードな育ち方をしたのに加えて、どうしようもなく彼女の世界が狭かったせいで、ピントのずれたおかしな『夢』を持っちゃったんだろうって。

 そして、きっと……実際に『敗北』したときになって、初めて自分の本心に気付いて……しかしその時にはもう既に手遅れで、取り返しのつかない事態になってしまった後だろう、って。

 

 ……それを考えると、彼女、幸運だったかもな。

 

 文句のつけようもない『敗北』を2度も経験して……しかし、必ずしも『取り返しがつかない』というほどのことにはなってないわけだし。

 命もある。尊厳もある。自由も……まあ、ある。ちゃんと全部持ってる状態で、その『勘違い』に気づくことができたんだから。

 

 ……ああでも、もし最初の『敗北』に、あの『鎧』との戦いをカウントするなら……その時は一回死んじゃったわけだし……まあでも、こうして生き返って、今生きてるから別にそれは……セーフってことでいいか。

 

 さて、それで……バトルになる前、彼女、『勝ったら自分を好きにしていい』って挑発的なこと言ってたじゃん? それってつまり……そういうことじゃん?

 

 けど、実際に彼女を負かしてみた後……さすがに彼女の様子がちょっとおかしくて、そういうことを誘える、要求できる感じでもないことは、双子も察していた。

 なので、『好きにしていい』という賞品については一旦忘れることにして、アンティリーネちゃんが気持ちの整理がついて落ち着くまで、そっとしておいてあげるそうだ。

 

 欲望一直線なわけじゃなく、きちんと相手の心についても考えて上げられるようになってくれて嬉しいよ、私は。

 

 ま、そんなわけで、ひとまずアンティリーネちゃんは放置……

 

 

 

 ……の、予定だったんだけど……。

 

 

 

 ☆☆☆

 

 

 敗北を知りたい。

 自分を敗北させるくらい強い男の種で孕みたい。

 

 それが、このろくでもない人生の中で思い描いた、自分の望みである……はずだった。

 

 しかし……実際にその『敗北』を知ってみて……自分が大きな、とんでもない勘違いをしていたことに気づいた。気づかされた。

 

 あのがらんどうの『鎧』との戦いを別としても……狐の耳と尻尾が特徴的な『双子』との戦いで敗北したアンティリーネの胸に、それまで求め続けたものが手に入った、という歓喜や高揚は……ひとかけらも訪れなかった。

 

 代わりに襲ってきたのは、焦燥と絶望、そして安堵。

 自分が負けるなんて信じられない、認めたくないという、みっともない焦り。ともすれば、そのまま現実逃避しかねないくらいに、取り乱した。

 

 もしこれが、実戦……命を懸けた殺し合いであったなら、自分は死んでいた。

 これが手合せでなければ……自分は、そのまま首を落とされていた。首に残る、刃の冷たい感触がそう、否応なしに突きつけてくる……絶望感。

 そして同時に、手合わせだから死ぬことはない、何も失う、奪われることはないという、安堵。

 

(……バカみたい。いえ……『みたい』じゃなくて、バカだったのね、私……)

 

『双子』に連れてこられた闘技場で、その2人に続けて敗北し……みっともなく取り乱してしまった自分。

 そんな自分に対し、その2人……オルガとシーナは、何も要求してくることはなく、『落ち着くまでゆっくりしていきなよ』と、休憩室を案内してくれた。自分達がいては落ち着かないかもしれないからと――監視役であるはずなのにも関わらず――席を外してくれている。

 

 戦う前、まだ自分が『バカ』だと知らなかった時に……アンティリーネは、双子に対して、『自分に勝ったら自分を好きにしていい』とまで言った。

 その権利を行使することもせず、自分を気遣って休ませてくれた。それが、ありがたいやら、情けないやら。

 

 アンティリーネは今、戦い、敗れる前と後で、自分が別人になってしまったかのような感覚に陥っていた。

 数十分前の自分が、どうしてあんなことを大真面目に考えていたのか……理解できない。

 

『敗北を知りたい』はずだった。

 いざ負けてみると、負けたくなかった、悔しい、認めたくない、と思っている。

 

『強者の種で孕みたい』と思っていたはずだった。

 今思い返すと、何を言っていたんだ自分は、と呆れ果てる。頭のどこから出ていた欲求だ、と。

 

 幸いにも今、自分はそれが『なぜだったのか』を考える余裕がある。

 ともすれば、そんなことを考える暇もなく、命を、貞操を、尊厳を、全てを奪われていたかもしれないのに――そして今は、それが『嫌だ』とはっきり思える――考える余裕があることは、まぎれもなくアンティリーネにとって『幸運』だ。

 無駄にしてはいけない。考えて、答えを出さなければならない、と思った。

 

 誰もいない、静かな休憩室で、邪魔されることなくじっと考えて……しばし後。

 ふっと、頭の中の霧が晴れた。

 

 ああ、そうか。

 

「私……母親(あの女)を否定したかったのか」

 

 アンティリーネは、母親を強姦して自分を産ませた父親が……前エルフ王が嫌いだった。

 

 しかし同時に、母親も嫌いだった。

 親らしいことなどひとつもしてくれず、ただ毎日自分を痛めつけて『修行』をつけ続け、自分の憎悪のはけ口にすると同時に、法国にとっての戦力として育て上げようとしたあの女が。

 

 母親は……自分が、法国を、人類を守る最強の戦士になることを望んで……否、そうなるように強要していた。アンティリーネの意思どころか、周囲の心配や気遣いすらも一顧だにせずに。

 

 それだけが、あの男の種から生まれた穢れた子供であるお前が、その生まれ持った罪を許される唯一の道であると。

 この私を穢してお前を産ませたあの男の罪を、お前が償えと。

 

 あれが、普通の母親が自分の娘に向けるような態度では絶対になかったことくらい、世間知らずな自分でもわかっている。

 

 結局あの女は、自分が戦士として大成するよりも早く、人間としての寿命を迎えて、死んだ。

 血のつながりと、その強さ以外に、母親としてアンティリーネに何一つ残すことなく。

 

(だから私、それに反発して……自分でも気づかないうちに、あんなトチ狂った『夢』を……)

 

 嫌いな母親に、最強の戦士になれと望まれた。

 だから、自分が『最強』でなくなるために、自分を倒してくれるくらい強い者を欲した。

 

 嫌いな母親は、あの男に穢されて孕まされた事実を、生まれた娘ごと、ひたすら疎んでいた。

 だから、その当てつけのように、強い男に自分は孕まされたいと思っていた。

 

 なんて幼稚な、幼子の癇癪にも似た……自分で欠片もそんなことは思っていない『夢』を、大真面目に語っていたのだろう。

 そしていざその時になれば、『こんなの違う』と取り乱し、混乱する始末。

 

 

『あ、あの……それ以上は、訓練として適正な量を逸脱するかと……続きは明日にするか、せめて少し休憩を入れては?』

 

『問題ありません。ほら、立ちなさい。できるでしょう? 傷は癒してあげたのだから』

 

『は……はい、できます……っ』

 

 

(好きでもなんでもなかった、あの女が言っていたことに……自分から……囚われに行っていたんだ。がんじがらめになって、それに気づくこともなく……今まで……)

 

 

『素晴らしい素養と異能(タレント)だ。この子はかならずや、人類を守る最強の切り札となるだろう……!』

 

『お褒めに預かり光栄です。この子の身命を賭して、その使命に向けて邁進させる所存です。ほら……あなたからも挨拶なさい』

 

『は、はい……よろしくお願いします……!』

 

 

(私の人生を、私から奪って……それに疑問を抱くことすら許さなかった、あの女に……っ!)

 

 

『……い、痛い、っ……なんで……?』

 

『……二度とその質問はしないで。あなたに父親はいない。あなたは私の子で、法国の、人類のために戦う戦士……それだけよ。わかったわね?』

 

『はい……』

 

 

(やめろ、嫌だ……思い出したくない! こんなっ……こんなのが、私の……!)

 

(返してよ……もっと、もっと楽しくて、刺激的で、自由だったはずの……私の人生を……!)

 

 

 

『あなたは私の子供なの。だから、あなたの未来は私と法国のもの。わかったら―――』

 

 

 

(違う!)

 

(お前なんかいらない! お前なんか母親じゃない! 返せ……私の人生を―――)

 

 

 

「返せっ!!」

 

「うわ、びっくりした!」

 

 

「…………えっ……?」

 

 

 絶叫と共に……アンティリーネは、目を覚ました。

 いつの間にか、横になって寝てしまっていた、休憩室のソファーから……上体を跳ねさせるように起き上がって……きょとんとしていた。

 

 その目の前には……見覚えのない、しかしどこか既視感を覚える……鮮やかな金髪と、狐の耳としっぽが特徴的な美女がいて……どうやらたった今まで、自分の寝顔を覗き込んでいたらしい、というのがわかった。

 

 

 

 

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