また少しプロット組み立て等のためのお時間をしばらくいただきまして、次の章に入らせていただければと思っております。
どうぞよろしくお願いします。
……あと、明日は選挙の日ですね。
公務員である作者は、朝6時半から夜中まで、投票と開票のために休日出勤です……皆、投票行こうね。
【※日記 続き】
そんなわけで……アンティリーネは、うちの子になりました。
思いっきり泣いて、そのまま寝ちゃったので……ゲストハウスの部屋に連れて行ってあげた。
そのまま朝までぐっすりだった。……疲れてたんだろうな、きっと。100年弱分。
その翌日には、憑き物が落ちたようなすっきりした顔になって『おはよう、お母さん!』って私に声かけて来たので、それ見てた皆が『誰!?』ってびっくりしてた。
ただこれは、アンティリーネの変わりようにびっくりしたのであって、彼女が私を母と呼んだことに驚いたわけじゃない。
『うちの子にします』っていうのは、前日中にアナウンスしといたからね。
なおその時、アンティリーネから双子に対して
「ごめん! 私に勝ったら私のこと好きにしていいって言ったけど、やっぱアレなし! 子供作る相手は自分できちんと選びたいし!」
との通告があったため、2人とも『えー!?』って感じになってた。
けど、彼女にどんなことがあってこうなったのかも知ってるから、『じゃあ仕方ないか』ってすぐに納得してけろっとしてたよ。我が子ながら切り替えが早いね。
それはそれとして、口説くのはやめるつもりはないっぽいけど。
そんなにタイプだったのか。
で、アンティリーネ……長いのでリーネでいいって言われたけど、彼女は、昨日までにもましてこの『空中庭園』を楽しんでいる。
『遊享郭』でゲーセンに入り浸ったり、『練武郭』で模擬戦しまくったり、『萌緑郭』の産直レストランで美味しいものいっぱい食べたり。
あ、そのへんで遊ぶのに必要なお金は、当面のお小遣いってことで私があげました。
というか、アレだな。自分の人生を楽しみ始めたんだな、きっと。ようやく。
ちなみに、今後、法国に帰るつもりはあるのかって聞いたら、きっぱりと『ない』と答えた。
昨日聞いた通り、リーネは『竜王』に追われる身である。だから、今の状況で祖国に戻っても、迷惑がかかるだけになる。
法国だって、最終的には、国を守るために自分を見捨てる決断をせざるを得ないだろう。まあ、それは元々自分の独断専行が原因の1つだから、そうなっても文句はないらしいが。
リーネとしては、自分を縛り付けて閉じ込めていた、母が所属していた国である法国は、あまり好きじゃないというか……ぶっちゃけ嫌いらしい。
それでも、そんな辛い中でも、怯えながらもよくしてくれた人がいないわけじゃないから……滅べばいい、とまでは思ってない。
何だったら、『1回くらいならあの国のために戦ってあげるくらいはしてもいい』という程度には……愛着?みたいなものも、なくはない、らしい。
……早くもこの『空中庭園』の方が自分のホームみたいに思えて来てて、徐々に法国への愛着は薄れて来てるらしいけど(笑)。
そして、こういう身の上なので、法国に所属しているかどうかに限らず、リーネはあんまり自由に外を出歩くことができないんだけど……これについては、いずれどうにかしてあげるつもりでいます。
色々考えてる計画があってさ……それに便乗すれば、うまいこと何とかなりそうなんだ。
……そんな感じで、色々な暗くて重い過去から解放されて、新しい人生を歩み始めたリーネなわけだが……
そういう、いいニュースばかりで締めくくることができたら、よかったんだけどな……。
……いや、今回、最後に判明した『コレ』も、いいニュースには違いないんだ。今までずっと知りたくて、調べ続けていたことだから。
率直に言おう。
リーネの証言で……シャルティアを洗脳した黒幕が『法国』だと、裏が取れた。
この瞬間、法国の命運は……まあ、うん、決まった……と言っていい。
……新しくうちの子になった、リーネの故郷なんだけど、な……でも、シャルティアがつらい思いをしちゃった以上、そしてアインズさんがマジギレしている以上……殺らない、って選択肢はないし……。
でも、リーネ悲しむかもなあ……ああもう、せっかくうちの子になって、新しい人生を歩み出した矢先だってのに……!
私としても、ペロロンさんの子供であるシャルティアを悲しませたことは許せないし、その犯人には思いっきり『めっ!』してやるつもりでいたけど……
でも、聞いた感じだと、割と情状酌量の余地ありそうなんだよなあ……案の定、手出したのはシャルティアの方からだったし。
何にせよ、このことは、アインズさんに報告しないわけにはいかない。
その上で……どうするか話し合って決めないと、な。
【異世界転移400年目 †日目】
アインズさんにアポを取り、リーネちゃんの聴取の結果について話しました。
順序立てて話すと、以下の通り。
ここからの内容は、あちこちから情報収集して集まった情報と、リーネから聞き出した結果としてわかったこと、そしてシャルティアの持っているスキルや、彼女の性格から『多分こうだったんじゃないか』として推理したものである。
ほら、シャルティアがアインズさんに殺されちゃったせいで、ナザリックを出た後の記憶がないからさ……推測で補完するしかないんだよ、どうしても。
遡ること数か月前。まだセバスやソリュシャンが王都に行っておらず、エ・ランテル周辺にいた頃のこと。
その2人に合流して、盗賊くずれの傭兵団(というか最早盗賊団)の中から、『武技』を使える適当な人間を探し出して捕らえるために動いていたシャルティア。
しかし、色々あって冒険者達――その盗賊団を討伐しに来たと思われる――に見つかってしまった上に、何人かに逃げられてしまい、森に逃げ込まれて見失ってしまった。
事前に『無用な騒ぎを起こすな』って言われてたので、変な目撃証言が残るのはまずい。
なのでシャルティアは、動物型の眷属を大量に召喚し、『森にいる人間を皆殺しにしろ』って命令を出したらしい。
仮に無関係の人間がそこにいても巻き込むことに躊躇がない……さすがナザリック。
しかし、現地の人間くらいなら容易く殺戮できるはずの眷属達が、森の中で次々と返り討ちにされていったのを感じ、『何だ!?』と思ったシャルティア。自らそこに向かっていった。
そこで遭遇したのが……法国の誇る特殊部隊『漆黒聖典』。
彼らは、ある
法国の最秘宝の1つである、『ケイ・セケ・コゥク』を……あらゆる対象を魅了することができる
なお、それを装備していたのは、御年80歳を超えているらしいおばあさんだったらしい。法国で、秘宝を使えるのがその人ただ1人だけらしいんだが……えっと、すごい上の方までスリットが入ってるチャイナドレスを、女性高齢者が身に着けてらしたの……?
……まあそれはともかく。
いざという時は、それを使って『破滅の竜王』を洗脳するつもりだったらしいんだけど、その途中で運悪く、凶悪な吸血鬼……すなわち、シャルティアに遭遇してしまった。
問答無用で襲い掛かってきたので、やむを得ないとして、『傾城傾国』を使い、シャルティアを洗脳した。しかし、洗脳が完了するまでのわずかな間にシャルティアが大暴れして、甚大な被害を出した。
その中には、『傾城傾国』の使用者である、『カイレ』さんの死亡も含まれるらしい。
ご高齢だったため、蘇生も不可能で……現在、法国には『傾城傾国』を使える人がおらず、死蔵されている状態らしい。
……あのアイテム、いくつか装備条件あったはずだな……それに該当する人がカイレさんだけだったのか……。
あるいはそのカイレさんが、条件に合う
まあそんな感じで、最終的に洗脳もとい魅了が完了したシャルティアは、しかし命令が出されていないのでその場で沈黙。動かなくなった。
甚大な被害を出した漆黒聖典は、やむを得ずその場から撤収。
そこから先は……知っての通りだ。
そもそもの原因は、やっぱりというか、シャルティア側だったか……無差別攻撃で喧嘩を売った結果、それ相応の手段を以て対応されただけ、と。
しかも、さっきは省いちゃったけど、目撃者である冒険者の逃走を許したそもそもの原因は……シャルティアが『血の狂乱』で見境なく大暴れしてたから、っていうのもあるんだよなあ……あ、このへん、シャルティアが連れてた『
……彼女の過失が思いのほか大きいな、やっぱ……。
法国の皆さんとしては、正当防衛、って言えばそれまでだけど……かといって『こっちが悪かったですごめんなさい』なんて言うわけにもいかない。
……ここは、『お母さん』として、道徳的に正しい、子供の見本になるような行いを示す場面じゃない。『悪女』として、開き直って自分達の利益や感情を優先して動かなきゃいけない場面だ。
経緯がどうあれ、シャルティアと……ナザリックと法国は敵対してしまったことになる。なら、敵は倒さなきゃならない。
……でもなあ、だからってあんまりひどいこと……例えば、問答無用で法国を滅ぼすとかまではしたくないなあ……。
リーネの故郷だし……それに、ついこないだ、『ヘイムダール』との間に国交正常化し始めたばっかだもん。滅ぼしたりなんかしたら、そこから繋がってる全部が大変なことになる……。
ヘイムダールと法国が合同で支援してる、竜王国も含めて。
上手いこと、落としどころを見つけられればいいんだけど……コレ、アインズさんに相談するのかあ……上手くできるかなあ……?
で、話した結果なんだけど。
意外にも、アインズさんも、『報復は確定事項だけど、そこまでやりすぎな対応は……俺としてもしたくないです』とのことだった。
シャルティアの一件の時、見てるこっちが怖くなるくらい『許さん……!』的な感じだったので……これマジでやった奴国ごと滅ぶんじゃないかって思ってたんだよね、正直。
アインズさんの力なら、そのくらい簡単にできてしまうから。それができる手段が、ぱっと思いつくだけでもいくつもあるから。
けど、アインズさん曰く……時間がたって幾分冷静になっているのに加えて、
「お互いにとって不幸な遭遇戦だった、っていうのに加えて……先に手を出したのも、その原因になる失敗をしたのもシャルティアだったみたいなので……その全部の責任を『知るか、お前達が悪い。死ね』って押し付けるのは……ちょっと抵抗が……」
とのこと。
許すつもりはさらさらないにせよ、そこまで過剰にやりたくはない、ってことのようだ。少なくとも、怒りに任せて法国を滅ぼすようなことはしたくない、と。
今言った呵責以外にも、こないだ私も考えてた、ヘイムダールのこともあるからって。
せっかく、法国との関係改善込みで上手いこと利用するような作戦を立てて、それが上手くいってるのに……それを台無しにするのも抵抗があるって。
あと……こうも言ってたな。
「もし俺が、ナザリックのしもべ達と同じような……人間のことを何とも思わない『
「たまに、非情に徹する必要がある時とかに、この『人の心』が煩わしく感じる時があるんですけど……でもやっぱり、これがあるからご飯が美味しいし、ベッドで寝るのが気持ちいいし、ゲームが楽しいし……あの子らを大切に思えるんだろうなあ……。うん、やっぱり、俺は今の俺のままでいたいです。だから……本当の意味での『
そういうことなら、ね。
うん。何も迷うことない。私も協力するから……法国をきっちり懲らしめつつ、滅ぼすまではせずに、これからも利用する方法、考えましょう。……ってことになった。
リーネに、つらい報告をしなくて済んで……こっちとしてもよかったよ。
【追記】
アインズさんの方で、『シャルティアの件、犯人が法国だとわかった』『制裁はするが、滅ぼすまではしない。生かしたまま今後利用する形にする』っていう結論を、シャルティアを含むしもべ達に言って聞かせたらしい。
若干、『手ぬるいのでは……?』って意見が出たものの、アインズさんの決定は絶対。最終的には皆、納得したそうだ。
具体的にどういう感じにするかは、今後考えることにするって。
……ただ……
『……! なるほど、そういうことですか』
例によってデミウルゴスがこんなことを言っていたらしいので、『今度は何ぃ!?』って、アインズさんの方が恐々としているらしい。
『今は作戦を練る段階ゆえ、各々勝手な動きはせぬようにな!』ってよく言って聞かせたから、知らないうちに変な作戦が進行していることはないだろうけど……って、不安そうだった。
おいたわしや……。
【追記2】
「ああ、なるほど、そういうことね」
いや何でお前まで同じこと言うのデミア!?
なるほどって何よ!? 私何にも裏であくどい計略とか考えてないよ!? 知恵者枠だけで分かった気にならないでよ怖いから!
しかし残念。アインズさんと違って、私はデミア相手に無理して外面をよくするような必要はないんだなこれが!
デミアだって、私が知恵者でもなんでもないって知ってるし、何だったら前に『頭のいいおバカ』なんて言われたくらいだからね!
なので遠慮なく聞くよ!
さあ話せエロ魔女、何を思いついた!?
より正確に言えば、あんたが予想できた『デミウルゴスが何を思いついた』のかを話せ! ハリーハリーハリー!
……え、聖王国?
確かにそのへんはアインズさん、っていうかナザリック担当の予定だけど……
……ええ、デミウルゴスそんな計画(予想)立ててんの? 怖ぁ……っていうか、えぐぅ……
そして……ああなるほど、そうか、それに状況が似てる……似せる?から、そっちに利用できるって判断したわけね。
そこまで説明してもらえれば私にもわかるわ。
その後、アレコレ全部まとめ上げて、孤立させて……うん、うんうん。
……いいアイデアだとは思うんだけどさ……それ、もうちょっと穏便な形にならん?
あ、マジで? 案ある? よし、じゃ、それで行こう。
アインズさんも多分そっちの方がいいと思うから。明日さっそくアポとって話そう。うん。
……事前の協議というか、『報連相』って、やっぱ大切だな……。