オーバーロード 傾国狐の異世界日記   作:破戒僧

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原作300年前(2) 傾国の悪女

 

 

 今から10年ほど前、大陸に存在したとある大国が滅びた。

 

 1つの国だったいくつもの領地ないし地域はバラバラに分裂し、それぞれが独立して歩み始め……『都市国家』とも呼ぶべき小さな国の集まりとなった。

 それぞれのノウハウを持って、国として運営を始め……上手くいって勢力を伸ばしていくものもあれば、上手くいかずに力を弱めていき、そのまま滅んでしまうものもあった。

 

 その中の1つ。とある国は……どちらかと言えば後者。

 今はまだ力を持っている部類に入るものの、中枢の権力の腐敗は深刻。王族も貴族も、ろくに国の未来や国民の生活を考えない、ただ自分達が享楽にふけることしか頭にないような生活を送り、このままいけば亡国待ったなしではないかという見立てが周辺国ではされていて……。

 そして、そんな現状を、中枢にいる者達はわかっていないという救えない状態。

 

 数年後にはほぼ間違いなくこの世から消えているであろうと目されていたその国に……最近、妙な噂が新たに聞かれるようになった。

 

 曰く、最近の国王は、1人の美しい妾に夢中であり……その女に溺れるあまり、国政をさらにないがしろにしている。

 曰く、政治をよくわかってもいない一介の妾の意見……というよりも、単なる我儘に近いそれを聞いてころころと政策を変えてしまう。

 曰く、そのやり方に苦言を呈する者がいると、その妾はすぐに泣きだして王に泣きついてしまい……それを受けた王は激怒して、次々に忠臣を厳罰に処している。

 

 ……等々、聞くだけで顔をしかめざるを得ないような噂が広がっていた。

 

 その王宮、その中心部……王が執政のため、家臣達の意見を聞く会議の場では……

 

「おい子爵、これはどういうことだ? 私にはこの報告書、規定よりも随分と……納める税の額が足りないように思えるのだが?」

 

「お、恐れながら申し上げます、陛下……今年、我が領は天候に恵まれず、また山間部からの亜人や魔物の襲撃もあって農民たちが打撃を受けております。もちろん、召し上げられる分はしたのですが、来年度の種籾の確保などを考えると、これが精いっぱいの量でして……なにとぞ、ご容赦を……」

 

 玉座に座り、家臣に持ってこさせた資料に目を通したこの国の王が、その目の前で跪いて冷や汗を流している男……子爵、と呼んだ男に詰問する。

 子爵は、緊張からかしどろもどろになりながらも、懸命に自領の現状を説明して理解を得て、この場を乗り切ろうとするが……その説明が終わるよりも、王が何かを言うよりも早く、そのどちらでもない声が割り込んだ。

 

「やだぁ~……貴族ともあろうものが王の期待に応えられないどころか、こんな風に見苦しいでまかせを並べて言い訳するなんて。見ていて不愉快ですわぁ」

 

 王の座る玉座の隣。

 本来ならば、国の要職に就く者しか立つことを許されないそこにいたのは……1人の見目麗しい女性だった。

 

 彼女は、官僚でなければ貴族ですらない、無位無官の……立場的には平民である。

 しかし同時に、王がその好意を惜しみなく注いで溺愛している存在であり……単なる妾に過ぎない身でありながら、官僚よりも貴族よりも、それこそ、正妃を含めた王の家族よりも、王に大切にされている女性だった。

 

 当然、そんな女が国政に関して何の権限も持っているわけではないし、れっきとした公務の場であるここで、交わされる会話に割り込むなど言語道断。

 即刻つまみ出されるどころか、無礼打ちにされても文句は言えないだろう。

 

 しかし、王はというとそれを聞いて……

 

「おう、そうかそうかダッキィ、お主もそう思うか! すまぬなあ、見苦しいものを見せてしまったようだ……全く、余のかわいいダッキィに不快な思いをさせるとは、ますますもってけしからん!」

 

「陛下、もうこんな奴いなくなっても困りませんよ。むしろ陛下を困らせる無能な貴族なんていりません。さっさと首にしちゃいましょう?」

 

「うむ、全くその通りだ! おい近衛、この不忠者を牢に入れろ!」

 

「そ、そんな! お待ちください陛下!」

 

 寵姫の冗談のような一言で国王が自分の投獄を決めたのを見て、目を疑うように狼狽する子爵。

 兵士達に両脇を抱えられて連行されそうになりながらも、必死で声を上げる。

 

「へ、陛下、陛下! どうかお許しを! 我が領は、いえでしたらそのように税をどうにか……陛下、陛下ぁぁああ!」

 

 その必死な声は、国王に全く届いている様子はなかった。

 哀れにも連行されていく不届き者に、もうすでに国王は興味はなく……『もう愚か者はいなくなったからな?』『わぁい、陛下かっこいいです!』と猫なで声で甘えてくる妾の女を撫でまわしてかわいがっていた。

 最後の最後、玉座の間の扉が閉まってその向こうに子爵が消えていくまで、視線の一つすら向けられることはなかった。

 

 周囲にいる貴族達は、分をわきまえず王に気分でおねだりに近い進言をする妾の女と、その女の望みを聞き入れてしまう王に対してもの言いたげな視線を向けるが……それを口に出すことはしない。

 それをすれば、次に矛先が自分に向くことがわかり切っているからだ。

 

「それはそうと陛下ぁ、私、ちょっと欲しいものがあるんですけどぉ」

 

「おお、そうかそうか、何でも言ってみろ。お前の頼みなら何でも聞いてやるぞ、かわいいダッキィや」

 

 周囲の視線など目に入ってもいないのだろう。

 決してクリーンな領地運営をしているとは言えない貴族達ですら、王のその、1人の女に振り回される情けない姿を見て、この国の行く末を案じずにはいられない様子だった。

 

 

 ☆☆☆

 

 

【異世界転移 113年後】

 

 ユグドラシル時代から、私の『ラストにゃんにゃん』としてのキャラクターコンセプトだった、『傾国の悪女』。

 それを、実際にやってみる機会がとうとう巡ってきたことに……不謹慎ながら私、とてもわくわくしていた。

 

 舞台は、数年前にある大国の崩壊と同時に生まれた小国家群……そのうちの1つ。

 今もうすでに暗君の悪政によって国が徐々に傾いていっていて、放っておいても滅ぶ、と目されている国だ。どっちみち滅ぶなら、遠慮なくロールプレイで滅茶苦茶にできるってもんだ。

 

 もっとも、ただ滅茶苦茶にするだけじゃなくて……他にもきちんと目的あって『潜入』するんだけどね。

 国王でも貴族でもたらしこんで、国家中枢の伝手と権力を使って色々と調べ物をすれば、私達が独自に調べても見つからなかった情報とかも手に入るかもしれないし。

 そうして色々なことを調べて、いざとなったら責任は全部その国や王様に押し付けて、私達はさっさと逃げだして……そんで国が滅びれば尻尾切りも完了だ。

 

 私達がいつもやってる調査方針と同じこと。痕跡をできる限り残さずに調べる。それを、国家をスケープゴートに利用してやるってだけだ。

 元々この作戦は、適当な王族や貴族、高級官僚を『魅了』してやるつもりだった。

 そして、『魅了』系統の魔法の腕なら、全NPCを合わせても私が一番だ。だから、私がやることになったし……だったらそのついでに、せっかくだしロールプレイで遊んじゃえ、ってなったわけ。

 

 作戦は大成功。私はその国の王様の一番お気に入りの愛人になり、見事に『傾国の悪女』らしく、無位無官の小娘なのに政治や人事にガンガン口出せるくらいの立場になった。

 私の一言で貴族すら全てを失い、忌々しげに口をつぐんでもの言いたげな視線を向けてくるくらいしかできなくなっていた。

 

 ああ、もちろん私は、わかりやすく異形な『九尾の狐』ではなく、そのスキルを使って人間の姿に変化して、特徴とかも全然違う姿になった上で悪女やってますよ。

 黒髪黒目で、さらさらのロングヘアに、やや小柄で線の細い、雪のように色白な肌の美人……っていうのが、その国で知られている私こと『ダッキィ』の姿です。

 

 そんな感じで、毎日王様に甘えて媚びてしなだれかかりながら、あれやこれやの我儘を言ってめちゃくちゃに振り回して……けれど王様はそれも含めて楽しそう。

 そのやり取りの中に、上手いこと情報収集にかかわるものを混ぜ込んで……という感じで、調査もきちんと進めていた。

 

 そして……そんな日々を続けること、実に5年。

 

 ただでさえ、国力はともかく腐敗っぷりは末期に近い状態だった国は―――

 

 

 

 ―――すっかり立ち直って、周辺国家と比べても頭一つ抜け出た強国となっていた。

 

 

 

 ……あれぇ、何で!?

 

 

 

 ☆☆☆

 

 

「……情報収集しつつ、トカゲのしっぽ切りみたいに国は滅ぼすんじゃなかったんですか?」

 

「何で亡国まっしぐらだった国がむしろ持ち直して盤石になっちまってんだよ。ボスあんた何してきたんだ?」

 

「そんなの私が知りたいよ……」

 

 場所は、『ニューコロロ空中庭園』の内部にある会議室。

 ラストと最高幹部達が毎回、全体での会議を行っているその場所で……既に『傾国の悪女』としての潜入・調査作戦を終えて帰還したラストが、疲れたように机に突っ伏していた。

 

 そのラストに、不思議なものを見るような目を向けている、サンゴとミルコのセリフがさっきのそれである。

 

 状況はだいたい2人のセリフの通りで……5年前、既に『もうほぼ亡国確定』という評価だったその国……ラストが潜入して調査しつつ、ロールプレイで遊んで、最終的に滅ぼす予定だったその国は、今、5年前からは想像もできなかったほどに精強で盤石な国家に生まれ変わっていた。

 そして、それを成し遂げたにもかかわらず、そのつもりが一切ないラスト。

 

 同じく会議室の卓についているカリンとデミアは、呆れたような目を向けていた。

 

「私達から見ても、少なくとも単体で持ち直すのはほぼ不可能だと思っていた国を、こうも見事に立ち直らせてみせるとはね」

 

「頭のいいおバカだっていうのは知ってたけれど……さすがは私達の支配者様、ってとこかしら」

 

「デミア、ひどい……いや実際私も何が何だかまだわかってないよ。なんであんだけわがまま放題好き放題やってたのに、傾くどころか持ち直してるのあの国? 何が起こったの?」

 

「何が起こったっていうか、何を起こしたのさラスト()ぇ? 我儘放題……って、ちな具体的に何?」

 

 アカネにそう尋ねられて、『えーと……』と、悪女としてその国でやったことを思い出して並べていくラスト。

 

 

「言葉通りだけど……あれが欲しい、これが欲しい、あれが見たい、これが食べたい、って感じで、国中からちょっとでも話題になったものやことを見たり食べたりしたいっておねだりしまくった。すごい田舎の特産の果物をわざわざ取り寄せたり、辺境でだけ作られてる工芸品を持ってこさせて献上させたりした」

 

「そのおかげで地方の名産品が中央でも知られて一目置かれるようになって、需要が生まれて流通に乗り始めてあちこちの限界集落が潤って活性化したのよね」

 

「その流通とか運搬に携わる業者に雇用を生み出す結果にもなったわね」

 

 

「政治にもガンガン口出しして、気に入らない貴族とか片っ端から左遷や処刑させまくった」

 

「その大半が公金を着服横領していた汚職貴族だったり、単に能力がないくせに長男だからってだけの理由で後を継いでた無能だったのよね」

 

「結果的にだけど、同じようになってはかなわないって思った他の貴族が奮起して個々に努力して能力を上げていったし、無能が担っていて滞りがちだった事業は有能なものに割り振り直されて円滑に業務が進むようになっていたわ」

 

 

「ひどい統治者で定番の、人の生き死にを見世物にする系の娯楽もやったよ? 奴隷や犯罪者を、闘技場で猛獣や魔物と戦わせてそれを眺めるのとか」

 

「その程度ならこの世界じゃ普通にやってる国結構あるのよ。モラルハザードだとは思うけど、わざわざ特筆して『悪行』っていうほどじゃないの。犯罪者や奴隷は命が軽いから」

 

「その見世物のために、辺境ないし国境付近に住んでる亜人や魔物を命令して取り寄せたでしょ? そのおかげで、中枢にいる者達にはなじみがなかった魔物を貴族達が生で目の当たりにする機会が生まれたわ。結果、『辺境ではこんな恐ろしい怪物を相手に兵達が懸命に戦って国を守っているのか』って王族や貴族が知ることになって、防衛予算や装備設備の増強につながったのよ」

 

 

「毎年お花見に行きたいから、ってだけの理由で、辺境にあるきれいな花畑がある領地まで直通の過剰なほど大きい道路とか作らせたよ? 農民とか徴用して馬車馬のごとく使って、花が咲くのに間に合わせるために過酷な超突貫工事でやらせたって聞いてるし、私そこ、年1回そのお花見の時しか使ってない無駄遣いっぷりだよ?」

 

「あなたが年1回しか使ってないだけで、役人とか商人とか他国の使節とかがバンバン利用してたわよ。ほぼ国を縦断する形で走ってる道路だから、そのおかげで国全体の規模で流通や人と金の流れが加速して経済が活性化、国の大動脈として機能してたわ。知ってるラスト? 税金を使ってそういうインフラを整備するのって、公共事業っていうのよ」

 

「しかも、『花が綺麗に咲く前の時期に超突貫工事で』作らせたんでしょ? つまり、農民にとって仕事がない冬の時期に、過酷とはいえ収入につながる『雇用』を作ったってこと。そのおかげで食料を買うことができて冬を越すことができた家も多かったみたいね。あと、それらを売り買いした商人も儲かってウハウハ、ここでも経済活性化の後押し」

 

 

「私以外の王様に近づく女性とか片っ端から飛ばしてやったり生き地獄的なひどい目にあわせたりしたよ? 王様の寵愛を独占する的な意味で」

 

「その『その他大勢の女達』全員ろくでもないバック持ってたわよ。王様を傀儡にして好きなように操って、実家の貴族家の私腹を肥やす気満々」

 

「中には実質クーデターまがいのことを目論んでるところもあって……その実家もあなたの我儘で潰してたから、むしろあなたが国王の権威権力を守る最後の砦になってたわね」

 

 

「それと、今の国王って単に愚鈍なわけじゃなくて、まだ教育も不十分だったうちに先代の国王が急逝して若くして王位を継いだから貴族達の手綱を握り切れずに暴走を許してた、それを把握もしきれてなかった部分があったでしょう? むしろ周囲の貴族達の何割かは、それをわかっていてあえて国王を堕落させていいように利用しようとしてたし……それを、国王からの信頼と愛情を独占して釘付けにすることで、結果的に自分達からの誘導誘惑をシャットアウトして国王を守っていたあなたはさぞ目障りで邪魔だったでしょうね」

 

「しかも国王様、ちょいちょいあなたに政治関連の相談とか、もっとプライベートな……国王としての心構え系の悩み事とかも相談してて、あなたその全部に律儀かつ的確に答えて励ましてあげてたわよね。そのおかげで国王様、5年間で相当まっとうに成長遂げたわよ」

 

「だって、周りに全然味方がいなくて心細そうで可哀そうだったし……そんな中で割と必死で、責任感も持って頑張ろうとしてたのに、周りが最悪だから成長の機会も奪われてたし……その努力が形になる機会も潰されてたから、見てらんなくて応援してあげたくなって……」

 

「完全に『傾国の悪女』より『世話焼きのお母さん』が勝っちゃってるじゃん。オニウケるwww」

 

「さすがこの一世紀で1000人以上子供産んでるだけのことはあるねー……この母性よ」

 

「……ボス、おい。どこがどう『傾国の悪女』なんだよ。ガッツリ傾いてたの叩き直しに行ってんじゃねーかどれもこれも」

 

「きっとアレよ。元々傾いてた国だったから、それを逆に傾けた結果元に戻ってまっすぐになったのよ」

 

「何にせよ逆にすごいというか、普通に偉業だと思うよ。これだけの規模での……世直し、とでも言うべきか……狙ってやったってできるもんじゃない」

 

「……ラスト。あなたやっぱり悪女とか向いてないと思うわ」

 

 それぞれ好き勝手を言ってくる下僕達。

 何も言い返せない支配者。

 

 そして、それらのエピソードのうち、最大にして極めつけのラストもとい“ダッキィ”の『功績』は、何と言ってもその『最期』だろう。

 

 ある日、ダッキィもろとも王を謀殺しようとした貴族の手によって、ダッキィの住処である離宮に火が放たれた。夜、寝所を訪れた王を相手に、ダッキィが寝台の上で寵姫としての務めを果たしていた時の凶行だった。

 

 燃焼促進剤も用意されていたため、火の勢いは極めて強く、消火もままならない。

 中に取り残された2人の生存は絶望的だと思われていたが……ダッキィはあらかじめ、火事の時にどう逃げればいいか、事前に調べて頭に叩き込んでいた。

 

 ダッキィに先導される形で、手を引かれて必死に走り、炎と煙に巻かれる前に外に出ようとする王。しかし、その頭上から焼け崩れた建物のがれきが落ちてきそうになり……その瞬間、ダッキィが王を突き飛ばして助けた。

 王はそのまま外に出ることに成功したものの……ダッキィはそのせいで中に取り残されてしまった。避難ルートは完全に崩れ、もう中に入ることも外に出ることもできない。

 

 何としても彼女を助けろ、できないのなら私が行く、と叫ぶ王を必死で兵士達が止める中……燃えて崩れていく離宮の中から聞こえてくるのは、ダッキィの歌声だった。

 紡がれているのは、この国の国歌。己の最期を悟り覚悟したダッキィが、せめて最後にこの国の未来を、繁栄を願い、命ある限りそれを伝えんがために歌っている……歌声を耳にした者達は、一様にそう受け止めた。

 決して少なくない数の者達が――王も、貴族も、兵士も問わず――耐え切れず泣き崩れた。

 

 何が悪女だ。何が身の程知らずの生意気な、いやらしい女だというのだ。

 愚者の振りをしてこの国を幾度も良い方向へ導いてみせたうえに、最後の最後までその命を張って王を助けた彼女の、どこが悪女だというのか。

 無位無官の平民だからなんだというのだ。妾だからなんだというのだ。

 彼女こそ、真にこの国にその身の全てを捧げた忠臣ではないか。

 

 朝になって火が消えたが、瓦礫の中から彼女の遺体は出てこなかった。

 瓦礫の山に押しつぶされて骨も残らなかったのだと思われ、墓に収めてやることもできないことを王は悲しんだが……その悲しみを背負って、王は前を向き、歩み始めた。

 

 この国を絶対に、彼女の献身に報いるような立派な国にしてみせるために。

 

 

 

 もちろん、ダッキィことラストにゃんにゃんはその程度の火事でどうにかなるはずもなく、ただ『ちょうどいいしこれにてドロンしますか』と転移門(ゲート)を開いて離脱しただけなのだが。

 

「ねえラスト姉ぇ、せっかくだからこの話、図書館島の連中に文章に起こさせて製本出版しようよ。そんで下僕達に貸し出したり、あと城下町にも売り出そ? 絶対人気出るって」

 

「やめい」

 

 この国が……本来ならば、カリン達の見立て通り、数年で亡国となって歴史から消えるはずだったこの国が、存在し続けられなかったはずののちの世にまでその名を遺した結果、世にいう『原作』の時代にどのような影響を及ぼすこととなるのか……それはまだ、誰も知らない。

 

 

 

 

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