オーバーロード 傾国狐の異世界日記   作:破戒僧

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聖王国編・完 ~結構な数の伏線を添えて~

 

 

【※日記 続き】

 

 漆黒の英雄モモンことアインズさんの参戦で、ようやく悪魔(という設定の牛頭)が倒され、戦いは終わった。

 乱入してきた牛頭のせいで全体がボロボロだけど、レメディオスもカルウィンも死なずに生き残り、町に帰ってくることができて……ケラルトがすごく喜んでた。

 

 なお、カルウィンは気絶してたから見てないわけだけど、モモンと牛頭の戦いは、今回の聖王国事変全体のベストバウトと言ってもいいくらいに激しい戦いだった。

 壮絶な斬り合いの末に金棒を破壊された牛頭が、強化形態というか暴走形態になって、巨大化した上に四つん這いで動き出し、まさに牛みたいにすさまじい勢いで突進してきたり、灼熱の炎を吐いて攻撃したりしてきたからね。

 

 それすらもはねのけ、聖騎士達も守り切った上で、最後には悪魔の首を斬り落として英雄モモンの勝利と相成りました。

 

 さて……南部のごみ掃除も大体終わったし、モモンの名声も一段と高まったし、オマケで進めてたラブコメ介入もいい感じでまとまったし……そろそろやることなくなってきたな。

 

 ぼちぼち、今回の聖王国編も終了になるかな。後は、デミウルゴスが北部の方で『仕上げ』をして終わり……だったっけ?

 ……いや、違った。当初の予定からシナリオ変えたから……ええと……

 

 ああ、そっか……私の方で子供達が進めてる作戦あったっけ。それの完了待ちか。進捗聞いてみなきゃ。

 上手く行ったかな……王兄殿下の篭絡。

 

 

 

【異世界転移400年目 ι日目】

 

 突然ですが聖王国編、クライマックスです!

 

 実は、私がラブコメにばかりうつつを抜かして、日記もそればっかになってた間に……書くの忘れてたけど、北部でも色々なことが進んでたんだよね。

 それ、ごめんだけど今から一気に書くから許して。

 

 数週間前、北部では、亜人達が南部の方に行っちゃったおかげで、攻め込んでくる数は少なくなって多少楽になってた。

 しかしゼロではなく……普段のそれと同じくらいの数の襲撃は、まだまだどんどん発生し続けていた。それらにも、南部に援軍を送ってしまって戦力の減ってしまった国軍が、必死で戦って応戦し続けていたのである。

 

 そんな、頑張ってる軍の人達を励まして士気を揚げるため、聖王女カルカ・ベサーレスは、腹心のカストディオ姉妹が南部に行っていて不在の間も、可能な限り兵士達に直接言葉をかけ、慰撫して回る勤めを欠かさなかった。

 そのおかげで、兵士達の士気は常に高く、続けざまに襲ってくる亜人の軍団を、1歩も北部の地を踏ませることなく撃退し続けていた。

 

 さらに、知っての通り、南部では聖王女カルカの懐刀であるカストディオ姉妹が亜人達を狩って狩って狩りまくり、『牛頭』の一件があってからさらに2週間ほど後、入り込んだ亜人を全て駆逐しつくすことに成功。

 国境付近の防備も『北部から来た指揮官達』のおかげで再び安定し、南部は平和を取り戻した。

 

 一方、南部の貴族達は、今回の失策続きのおかげで、王政府からも民からも白い目で見られるようになり、軒並みその力を落とすこととなった。

 そして、その南部貴族達が推してる王兄殿下も同じく、後ろ盾を失う形で勢いを失った。

 

 もっとも、王兄殿下は最初っから聖王女様を『自分よりも王にふさわしい』として認めていて、彼女がよっぽど王として不適格でもない限りは、それを邪魔するつもりはなく、支えていくつもりである、らしい。なのでまあ、特に問題はなかったりする。

 

 そして、カストディオ姉妹の活躍で、南部では民意すらも『カストディオ姉妹サイコー!』『その姉妹が推してる聖王女カルカ様サイコー!』に傾きつつあり……結果、今回のこの騒動を通して、聖王女カルカの権威基盤は、北部と南部両方……すなわち聖王国全域で盤石なものになりつつあるわけだ。

 

 なのでこのまま、『ゲゲル』も終わって、亜人も殲滅して、全てのトラブルが終わって、カストディオ姉妹が北部に帰ってミッションコンプリートの旨を報告すれば、これにて一件落着、めでたしめでたし、聖王国の未来に栄光あれ! と締めくくられるわけだが……さて、ここで1つ、疑問が出てくるだろう。

 

『あれ? 今回のコレ、何のためにわざわざデミウルゴス、もといナザリック陣営は。亜人の侵攻やらゲゲルやら吹っ掛けて騒動引き起こしたの? 何も変わってないけど』……と。

 

 しいて言えば、漆黒の英雄の名声が聖王国でも高まって、聖王国政府への覚えもめでたくなったくらいだろうが、国全体を巻き込んだ騒動を起こしたにしては、ナザリックや空中庭園へのリターンがしょぼくないか、と思うんじゃないかな?

 

 そんなあなた、心配ご無用。

 実はこの騒動の裏で、ナザリックと空中庭園への利益の吸い上げは既に終わっている。

 英雄モモンやカストディオ姉妹が派手に暴れている裏で……それを陽動に、全く目立たない形で目的は完遂されていたのである。

 

 ……目立たな過ぎて正直私も忘れそうだったし、実際日記に書くのは全く忘れてたが。

 

 さっき話に出て来た、王兄であるカスポンドについて。

 彼は決して無能というわけではなく、むしろ、次代の聖王として早くから英才教育を受けて育ったので、統治能力ならカルカよりも優秀だと言われているほどだ。

 

 それもあって、南部を中心に『カスポンド殿下の方が聖王にふさわしいだろうが!』とか『顔とえこひいきで選ばれた聖王女殿下(笑)』なんて声が絶えなかったわけで。

 実のところ、先代の聖王と神殿勢力は何を考えてカルカを指名したんだろうね……やっぱ国民受けがいいからなのかな?

 

 まあそれはともかく、そのカスポンド殿下についてだよ。

 さっき言った通り、彼を推していた南部貴族の多くが今回の『ゲゲル』で死んだり、私の破壊工作で破滅したりしたわけだが……それでも、そうならずに生き残り、これからも殿下を支えていきます、と決意表明した骨のある者達はいた。

 不正もせず、博打同然の無謀な施策もせず、運よくゲゲルの標的になることもなく、この騒乱を見事生き残った者達。

 

 王兄カスポンドは、自分はこれからもカルカを、そしてこの国を支えていくとした上で、彼らに自分を支えてほしいと言って、この先重用していくことを約束した。

 さらに、それらのいくつかの家からは、信頼の証と結束を深めるためとして、側室を取ることも決めたそうだ。聖王国は基本的に一夫一妻制なんだけど、さすがに王家はそうとは限らないのか。

 

 ……実はそれらの『重用していく』ことになった家、ぜーんぶ、ナザリックと空中庭園が乗っ取った家なんだよね。

 ドッペルゲンガーとか、妖狐とかの、変身能力がある下僕を使って成り代わっていて、姿かたちが同じだけの全く別な集団になってる。

 

 というのも、その生き残った家々は、むしろ真っ先に粛清対象になるような、どブラックな貴族ばっかりで、『じゃあいっそ皆殺しにして全とっかえしちゃったほうがいいんじゃね』ってことで。

 聖王国としても内部で甘い汁をすすっているばかりの癌がいなくなるし、ナザリック側としても内部に干渉するパイプになるから、WIN―WINって奴だ。

 

 基本的にはきちんと真面目に、聖王女カルカを支えるカスポンド殿下を支える忠臣達として活躍しつつ……実際はナザリックと空中庭園の意向を多分に汲んだ献策を行い、ナザリックの利益になるように動いていく、というわけ。

 

 そして、カスポンド殿下が娶った貴族の娘達ですが……全員、私の娘だったりする。

 全員、変身能力と演技力が超一級かつ、カスポンド殿下が好みのタイプだっていう妖狐である。

 

 条件に該当する子供達集めて『側室として潜入してもらいたいんだけど……ヤりたい人挙手!』って公募かけたら、『ハイハイハイハイハイハイ!!』ってもー大人気よ。

 最終的に抽選で決めることになったもん。ホント、私の子供達ってだいたい全員欲望に正直なんよな……大変結構だけども。

 

 彼女達には、側室としてカスポンド殿下のところに嫁いでもらい、子供を産んでもらって、聖王国の王族の血筋をガッツリ私の親戚にしてもらう。そして将来は、カスポンド殿下の血筋目当てに政略結婚を組んできた貴族家にも私の血縁を広げてもらって、どんどん聖王国を侵食していく。

 もちろん、子供が生まれた後に面倒を見る乳母とか教育係もこっちで手配するので、半妖の子供を育てていくにも何も問題はありません。

 

 同時進行で、カスポンド殿下へ精神誘導を行い――気付かれないように時間かけてちょっとずつ――その子達や『忠臣達』の要望をよく聞いてくれるように『教育』していく。

 カスポンド殿下、誠実で実直な性格のようだけど……淫魔系統の異形種の夜のテクニックと、私仕込みの精神制御系の妖術のコンボにどこまで抗えるかな……? 早いとこ正直(パー)になっちゃった方が楽だぞ♪

 

 そんなわけで、聖王国の偉い人達も国民達も、聖王女カルカやその腹心達、そして国外から来てくれた英雄達の活躍をたたえて夢中になっている間に……こっちとしてはもうやること全部終えてしまって、あとは時間と共に徐々に聖王国が侵食されていくだけだよ……というお話でした。

 

 まあ侵食っつっても何か悪いことが起こるわけじゃないし?

 むしろ私達と深くつながって国の安定につながっていくからプラスになるはずだし? いいよねこのくらい。

 放っといたら腐敗した貴族達のおかげであれやこれや大変な未来だったと思うし、ね?

 

 というわけで。

 無事に今回『聖王国編』のラスボス予定だった『牛頭(ごず)』も倒し、『ゲゲル』も終わった、亜人達も殲滅完了したってことで、カストディオ姉妹には、『漆黒』と『蒼の薔薇』、そして今回、予想外に台風の目だったカルウィン君と一緒に、聖都ホバンスに凱旋してもらいましょう!

 皆さん、お疲れさまでした!

 

 

 

【異世界転移400年目 ;日目】

 

 前回の日記で私は、聖王国編はもう終わったと書いたな?

 悪いな、ありゃ嘘だ。

 

 ……いや、ゴメン。アインズさんやデミウルゴスと話して、もう1つか2つ、今後の布石のためにやっておきたいことがあったんで、もうひと騒動起こしました。

『凱旋』はもう始まっちゃってたので、その道すがら、モモン一行もカストディオ姉妹も飛び込めるように……『北部』で。

 

 使ったのは、私が召喚できる妖怪の内、『牛頭(ごず)』と対になる、馬の頭を持った筋骨隆々の妖怪『馬頭(めず)』。

 これを、裏ボスとして召喚して差し向け、聖都を直で襲撃させた。

 

 設定としては、兄弟分である『牛頭』がやられた復讐のため。

 牛頭を討ち取った漆黒の英雄とカストディオ姉妹に見せつけてやるために、聖都を滅ぼして瓦礫の山に変え、さらにカストディオ姉妹の主君であるカルカを殺して死体を晒してやる、的な感じのことを言わせて暴れさせました。

 

 無論、聖王国側も必死で抵抗した。

 

 聖王の御膝元ってことで、精鋭の兵隊達が当然揃ってたわけだし、聖王国において特に評価されている者に送られる『九色』の称号を持つ者もその中にはいた。

 普段は国境付近の守りについてる人らしいんだけど、交代でこっちに戻ってきていたらしい。タイミングいいんだか悪いんだか。

『遠隔視の鏡』で見物してて思ったんだが……なんか、やたら目が鋭いというか、人相が悪い人だったな。

 

 しかし、そんな彼らの力をもってしても……さすがに相手が悪すぎた。

 何せ、歴代最強の聖騎士とまで言われたレメディオスですら一蹴される強さだった『牛頭』と同格の悪魔(妖怪)である。その剛腕から繰り出される暴力や、口から吐き出す吹雪のようなブレスに、全く歯が立たずに皆、蹴散らされていく。

 

 さっき言った目つきの悪い『九色』の弓使いの人も、他の兵士に比べれば善戦していたようだけど……必殺の一撃でもダメージをろくに与えられず。

 鬱陶しく思った『馬頭』の氷のブレスを食らって……死にはしなかったものの、全身氷漬けになってしまい、リタイア。

 

 あとその際、『お父さん!』って駆け寄って助けようとした女の子がいて――何がとは言わないけど、一目で『親子だ』ってわかる、似た特徴の顔をしていました――父親は必死で『来るな!』って声を張ってたんだけど、聞かずに駆け寄って、倒れて動けない父親を助けようとしてた。

 凍り付いた父の体を抱きかかえて、重いわ冷たいわで大変だっただろうに、諦めずに。

 

 それを見た馬頭が近づいていくと、父が使っていた弓を拾って必死に射かけて、父を守ろうと必死に戦ってみせた。

 父親の『やめろ! お前じゃ無理だネイア、逃げろ、逃げてくれ!』っていう、悲鳴みたいな声も無視して……涙を浮かべながら、父を見捨てられずに。

 

 絶対勝ち目ないし、無謀ではあるけど……根性あるな、って思った。好印象。

 名前……ネイアちゃんだったか、覚えておこう。

 

 しかし、馬頭の手が彼女に届く直前、その視線が大きく逸れて、明後日の方向をにらみつけた。

 何が起きたかというと……王城にいた全ての戦力を率いて、聖王女カルカと王兄カスポンドが、そろって参陣してきたのである。国家の危機に、自分達が座して見ているわけにはいかないと。

 

 その決断は、為政者として、人の上に立つ者として立派なそれではあった。

 しかし、同時に……明らかに無謀でもあった。自分達を守る十分な戦力がいないままに、総大将が敵の前に姿を見せてしまったんだから。

 

 ネイアちゃん親子を放っておいて、馬頭はのっしのっしと聖王女兄妹の方に歩いていく。

 もちろん、聖騎士とか神官、それに彼らが召喚した天使がかかってくるんだけど、手に持った金棒の一振りで全部まとめて吹き飛ばされる。

 

 あるいは、馬頭が眷属として召喚した悪魔や妖怪達に襲われ、その進路妨害すらろくにできずにやられていく。

 神の使徒であるはずの『天使』が、空中戦の末に悪魔に引き裂かれて消えていくのは、宗教色が強い聖王国の皆さんにとっては、かなりこたえる光景だっただろう。

 

 聖王女カルカは、自身も第4位階の魔法詠唱者なので、魔法で攻撃に加わるんだけど……当然、その程度の魔法じゃ馬頭にはてんで効かない。

 馬頭は弱点属性の1つが神聖属性だから、多少はダメージ通ったかもしれないけど、それですらこのレベル差はいかんともしがない。

 

 もう目と鼻の先まで来た馬頭を見て、聖騎士の人達は覚悟を決め、自分達が殿(しんがり)になってカルカとカスポンドを逃がそうとし、馬頭の前に立ちはだかった。

 馬頭は、『またか』とでも言いたげな表情――異形種なのでわかりにくいけども――で、金棒を振り上げ、その決死隊めがけて振り下ろし、望み通り叩き潰して殺してやろうとした……その時。

 

 ガキィン、と硬質な音を立てて、金棒が大きく弾かれた。

 

『邪魔だ。勝つ気がねえなら下がってろ』

 

 聖騎士達と『馬頭』の間に立ちはだかったのは、灰色のフード付きの服を着た、褐色の肌に金髪の青年。

 その青年……ソーマの手には、大柄な彼の身の丈よりもさらに大きな、白い肉厚の刃の、ノコギリのような大剣があり……馬頭の金棒を大きく跳ね上げていた。

 

 同時に、空を飛んでいた何匹もの眷属悪魔が、長距離から飛来した魔力弾に貫かれ、頭がはじけとんだり、胸に大穴が開いたりして墜落し……地面に激突して、あるいはするまえに消滅する。

 

『お待たせしました、救援です』

 

『これでも大急ぎで来たんだから、『遅いぞ!』とかベタな苦情はなしでお願いね!』

 

 かなり離れた位置、高い建物の屋根の上に立つ青白髪の美女、ホロウが、手に持った火縄銃のような武器で、次々に悪魔を狙撃して仕留めていく。

 そのホロウを守るように立ち、両手の双剣で近づいてくる悪魔を切って捨てていくキリン。特徴的な刃の形をしているそれらは、切った瞬間に稲光が迸り、悪魔を黒焦げの消し炭にしていく雷の魔法武器のようだ。

 

 そして、

 

 

 「―――【死神の円舞曲(サイレントワルツ)】」

 

 

 地上にいた眷属達の大半が、一斉に、体を真っ二つにされて一掃された。

 その中心にいつの間にか立っていたのは、白い長髪に三白眼、青い帽子が特徴的な、長身で細身の若い男だった。

 着ている服は、外套以外はまるで普段着のような、セーターにジーンズという軽装。それでいて……並みいる悪魔達を全く恐れない風格をもってそこに立っている。

 

 手には、身の丈ほどに長い柄と、そこから延びる凶悪な鋭さの巨大な刃を持った大鎌が。恐らくは今、悪魔達を一瞬で両断したのは、目にもとまらぬ速さで振るわれたその刃だろう。

 

 ……とまあ、何か途中からナレーション的な口調で話してたけども……要するに、聖都が本当に取り返しのつかないレベルで大変なことになる前に救援が来ましたよ、って話。

 リ・エスティーゼ王国のアダマンタイト級冒険者チーム『白の猟団』がね。

 

 大剣(ノコギリだけど)使いのソーマ、双剣使いのキリン、魔法詠唱者にして『魔銃』使いのホロウ、そして……チームのリーダーであり、オールラウンダーのカイト。

 内、キリンとホロウは私の子。ソーマはミルコの孫で、カイトはヤマトの孫だ。

 

 聖王女兄妹に加え、ネイアちゃんとそのお父さんとか、そのへんにいる聖騎士他も守りつつ、悪魔達や、馬頭が嫌がらせに呼び込んだ亜人達も片っ端から『狩って』いく。召喚悪魔や野良の亜人達では全く相手にならず、次々倒されていく。

 ボスである馬頭も、ソーマが一対一で抑え込んでおり、雑魚戦力が減っていくのでどんどん聖王国側が有利に。余裕が出てくる。

 

 それでも、聖王女直下の精鋭たちも含めて、『馬頭』と戦えるような戦力はいないので、ソーマの戦いを見ていることしかできないんだけど。

 

 そして彼らが時間を稼いでいる間に、南部から大急ぎでこっちに戻ってきたカストディオ姉妹と『漆黒』のモモンその他冒険者達が到着。

 魔法で馬のスタミナその他を強化支援してかっ飛ばし、どうにか間に合わせた感じである。

 

 到着直前、聖都が見える位置に来て、同時にそこが襲撃されているってことに気づいた彼らは、モモンとナーベが『飛行』の魔法で先行。

 

 加えて、カルウィンがパワードスーツで飛んで、レメディオスとケラルト(どうにか回復)がその上に強引に乗って一緒に飛んできた。

 背中のスラスターの邪魔にならないような位置で、両肩にそれぞれ立って乗るようなすごい無理やりな乗り方だったので、乗ってる方も乗せてる方もすごく大変そうで……『重っ……それに飛びづらい!』『重いとか言うんじゃないわよ!』『弱音言ってる暇があったら急げ、根性を見せろ!』よく落下せずに聖都まで飛んで行けたな、って思った。

 

 あと、『蒼の薔薇』からは魔法で飛べるイビルアイのみが同行。

 

 そんな感じで、フルメンバーでこそないものの、『漆黒』『蒼の薔薇』『白の猟団』のアダマンタイト級3チームが合同で、さらにそこに聖王国最強のカストディオ姉妹も加わっての戦い。

 さすがに馬頭も相手が悪く、逃亡すらできないままに討ち取られたのでした。

 

 これで、直接それを目にしていない北部の民達にも、改めて悪魔や亜人の恐ろしさ、そしてそれを討伐する『漆黒の英雄』達の強さを知らしめることができた。

 若干、最初に戦い始めた『白の猟団』が目立ちすぎちゃったかもしれないけどね。ま、許容範囲だろう。

 

 

 

 ……ちなみにその時……聖王女カルカの前に、ようやくたどり着くことができたカストディオ姉妹……と、南部で仲良くなったカルウィン(アーバレスト装備)が立ちふさがり、彼女達を守るように布陣したわけなんだけど……

 その時、聖王女カルカは、最初確かに『2人ともよく無事で!』って感じで嬉しそうな顔を、確かにしてたんだが……

 

 

『カルカ様、お下がりください!』

 

『ここからは私達が請け負います! やれるな、ケラルト、カルウィン?』

 

『もちろんよ、姉様!』

 

『やれやれ、俺、単なる一冒険者なんだが……なんだってこんな大舞台にまで出るようになっちまったのかね!』

 

『つべこべ言うな男だろ! こういう時に女を守って戦場に立つのは(ほまれ)だと習わなかったのか!?』

 

『習ってねえし、その男より率先して大暴れしてる女が何か言ってるよ……』

 

『まあ、姉さまは全てにおいてほら、例外だから。そんなことより、見るからにあの牛頭の悪魔と同系統っぽいし、眷属もやばいのが多そう。頼りにしてるわよ、カルウィン!』

 ※ウインクしながら

 

 

 そんな感じで、軽口を言い合いながらも、お互いを信頼している空気間で話す姉妹+誰か(声からして多分男だとわかる)を見て……

 

 

『えっ……えっ? ええと、け、ケラルト……レメディオス……と、誰? え、なんか仲いい……何で、誰、いつの間に…………えっ?』

 

 

 なんか目が点になってすっごい挙動不審なような……『置いて行かれた』とか『裏切られた』的な目になってた様な気がしたんだが……何でだろ?

 

 ともあれ、そんな感じで……裏ボスである『馬頭』とその軍団との、不意打ち気味のラストバトルも無事に終わり、聖王国での亜人襲撃+ゲゲルの大騒動は、今度こそ、ようやく終わったのでした。めでたしめでたし。

 

 

 

【追記】

 

 なーにもー! そう言うことだったのカルカちゃん!

 

 なんか気になったから管狐飛ばしてちょっと探らせてたらえー! 何、結婚願望あったんだねー聖王女様! 年齢気にしてたんだー、そっかーそーなのかー!

 やだもうそれならそうと早く言ってくれたらよかったのに!(ここまで超早口)

 

 そうか、それなら……お姉さんがお世話してあげなくっちゃねえ……!

 

 カルカちゃんかわいいし、真面目だし優しいし健気だし、絶対うちの子達にも人気出るって!

 

 何か聖王国じゃ、美しさと有能さと身分の高さとその他諸々あって、『高嶺の花』すぎて逆にモテなかったみたいじゃん。敬遠されるというか。

 そのせいで女として見てもらえる機会がなくて、今に至るまで独身と……。

 

 この世界、王族や貴族ともなれば10代で結婚することも珍しくなく、少なくとも婚約者くらいはいるのが普通だ。

 逆に、それを過ぎてまで何もそれらしい相手なんかがおらず、仕方ない理由なんかもない場合、徐々に『行き遅れ』扱いされ始める。

 

 ……なるほど、カルカちゃんもう二十代半ばだもんね。そりゃ焦り始めるか……。

 

 でも大丈夫、うちの子らにはそんな、一国の王族なんて立場程度でしり込みするようなか細い神経の子はあんまりいないから。

 きちんとあなたを見て、あなたを好きになってくれると思うよ!

 

 そして見せなさいお義母さんに! あなたにそっくりな私の孫あるいはひ孫あたりのかわいい顔を!

 

 あーでももう聖王国編は一旦終わりだから、今からお見合いセッティングするのはいくらなんでも無理だな……。うちの子達から代表して会わせる子も選ばなきゃだし、さすがに時間ない。

 

 となると……『アレ』の最中に入れるのがやっぱ一番いいか。

 ちょっとばかりシナリオに手を加える必要があるな……よし、デミア達と打ち合わせだ!

 

 

 

 





……だ、誰も『白の猟団』のリーダーが『狩りゲー』出身だとは言ってないから(震え声)。
ちゃんとほら、一応『狩り』関係ではあるから。
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