天国のお正月。
門松、鏡餅、のんびりした空気――
……のはずだった。
「緊急会議にゃーーー!!」
広場に響く、ふー子の声。
ミケミケは餅を手にしたまま眉をひそめた。
「ちょっと……正月から何よ」
クロベエはあくび交じりに腕を組む。
「なんだよ、せっかくの正月だぞ」
コロはびくっと肩をすくめる。
「ふ、ふー子先輩がそこまで慌てるなんて……な、なにか大変なことが……?」
白雪は一歩前に出て、穏やかに微笑んだ。
「まぁまぁ、皆さん。まずはふー子さんのお話を聞きましょう」
ふー子は床をドン!と前足で叩いた。
「とんでもないことが起きてるにゃ!!」
「だから何だよ」
「また変なこと言うんじゃないでしょうねぇ」
「こ、こわいです……」
四者四様の反応の中、
ふー子は深呼吸して言った。
「……最近……」
一同、じっと見る。
「ふー子の話が、ぜんぜん更新されてないにゃ!!」
――沈黙。
ミケミケがゆっくり頷く。
「……言われてみれば」
コロもおずおずと。
「た、たしかに……最近、他のお話は見かけますけど……」
白雪も首を傾げる。
「そうですね……」
クロベエは肩をすくめた。
「まぁ、そりゃ色々事情もあるだろ。正月だしよ」
その瞬間。
「そんな大人ぶったこと言ってる場合じゃないにゃーー!!」
ふー子が指を突きつける。
「久々すぎて!!
みんな!!
キャラぶれぶれにゃ!!」
「「「「……!!」」」」
愕然。
ミケミケは額を押さえた。
「……それ、ちょっと思ってたわ」
コロは耳を伏せる。
「ぼ、ぼく……前よりびびってる気が……」
白雪は困ったように微笑む。
「私も……少し硬くなっていたかもしれませんね……」
クロベエだけが、黙っていた。
やがて、低い声で言う。
「……俺は知ってるぞ」
一同、ぴくり。
「一番キャラがぶれてるやつが誰か」
ふー子の背中に、冷たい汗が流れる。
「……な、なんのことにゃ?」
クロベエはじっとふー子を見る。
「なんだかんだ言ってるがよ……
おまえ、他作品に出張ってるらしいな」
「ぎくっ」
「えっ!?」
コロが目を見開く。
「ほ、ほんとですか!? ふー子先輩!!」
ミケミケは腕を組んで頷く。
「本当よ。最近じゃ、主人公の家で飼われてるらしいわ」
「まぁ……」
白雪が小さく驚く。
クロベエは畳みかける。
「しかもな……
なんかミステリアスな雄猫になってるしよ」
「……」
「一番キャラぶれてんの、おまえじゃねーか?」
――沈黙。
次の瞬間。
「うるさいにゃーーー!!」
ふー子、半泣きで突撃。
「ふー子は!
ふー子は!!
生きるために必死だったにゃーーー!!」
「ちょ、こらっ!」
「ふー子先輩落ち着いて!!」
「お正月ですよ!? お正月!!」
白雪は慌てて止めに入り、
ミケミケは笑いをこらえきれず肩を震わせる。
「……もう、あんたってほんと……」
クロベエは殴られながら、苦笑した。
「でもよ……ちゃんと戻ってきて、こうして騒いでんだろ」
ふー子の動きが、少し止まる。
「……それだけで、十分じゃねぇか」
ふー子は鼻をすすり、ぷいっと横を向いた。
「……知らないにゃ……」
コロはほっとした顔で頷き、
白雪は静かに微笑んだ。
「では……今年も、皆さんでゆっくり参りましょう」
ミケミケが言う。
「そうね。正月だし」
ふー子は小さく呟く。
「……次は、ちゃんと“ふー子”でいるにゃ」
その声に、誰も突っ込まなかった。
天国のお正月は、
こうして少し騒がしく――
でも、いつも通りに過ぎていった。
明けましておめでとう御座います