第2話 天国ごはんと雲遊びの巻
天国の朝は、いつもほんのり甘い香りで始まる。
“天国キッチン”から漂ってくる、できたてのふわふわごはんの匂いだ。
ふー子は、その香りに誘われて、
もぞもぞと雲ベッドの上で寝返りを打つ。
「うにゃ……ん?ごはんの時間だにゃ?」
寝ぼけながら体を起こし、のび〜〜っと背中を伸ばしたところへ、
仲良しの三毛猫・ミケミケがやってきた。
「ふー子、おはよー。今日の猫ごはん、鶏ささみだってさ」
「ささみ!? 行くにゃ!!」
寝ぼけてたのに一気に覚醒。
やっぱり食べ物の力は偉大だ。
天国の食堂には、猫や犬、時々うさぎまで並んでいた。
みんな自分の好きなメニューを選べるシステムで、
今日の猫メニューは――
• ふわふわ鶏ささみ
• しっとり白身魚
• 香ばしカリカリ(天国版・無限に噛んでも減らない)
ふー子は迷うことなく、ささみに突撃した。
「うにゃ〜〜!!しあわせにゃ……」
その幸せ顔を見て、近くの黒犬・クロベエが呆れ気味にくちをゆがめた。
「お前、毎日同じリアクションだな」
「にゃ!毎日おいしいからいいのにゃ!」
それからふー子は、お水もぺろぺろ飲んだ。
地上のおじさんが、ふー子の簡易仏壇に供えてくれた“お水”の味が、時々ふわっと天国の水に混じることがある。
今日は……ちょっとだけ、そういう味がした。
(おじさん……今日も供えてくれたのかにゃ)
ふー子は一瞬しんみり……したかと思えば、
「にゃっ!」と頭を振って切り替えた。
「おじさん、カリカリも供えてくれたかにゃ?
きっと今日のカリカリはスペシャルに違いないにゃ!」
ミケミケがくすっと笑う。
「ふー子、お供えは“天国に届く”っていうけど、
届くタイミングはランダムなんだよ?」
「でも届く時はあるにゃ!この前もカリっとした味がしたにゃ!」
どうやら、ふー子はおじさんのカリカリが恋しいらしい。
天国のお楽しみは、ごはんだけじゃない。
“雲滑り台”や“もこもこトランポリン”が人気スポットだ。
ふー子は、今日も雲トランポリンへ一直線。
「ぽよん!ぽよん!にゃはははは!」
勢いよく跳ねていたら、思ったより高く跳んでしまい、
空中でちょっと焦る。
「うにゃ!? た、高いにゃーー!」
ビビり発動。
空中で変なひねり方をしたせいで、
ポスン、と尻もちをついて雲に落ちた。
クロベエが苦笑しながら近づく。
「おいおい、大丈夫か?」
「だ、だいじょうぶにゃ……!ちょっとだけ…怖かっただけにゃ……!」
(ちょっと、じゃなかったにゃ……)
心の声は小さめ。
でも、落ち込むふー子に、ミケミケが言った。
「ふー子ってさ、怖がりなのに挑戦するところがいいよね」
「にゃ……?そうかにゃ?」
「そうだよ。だからみんな、ふー子のこと好きなんだよ」
ふー子のしっぽが、くるんと丸くなった。
「……へへ。そう言われると、照れるにゃ……!」
遊び疲れたふー子は、ふわふわの雲の端に寝転んだ。
視線を少し下に向けると、虹の橋の方がぼんやり見える。
すると、ふわっと胸の奥に“呼ばれるような感覚”がした。
――おじさんの気持ちが、少しだけ届いたときに感じる合図だ。
そっと虹の橋に歩み寄り、下界をのぞく。
おじさんは、ふー子の簡易仏壇の前に座っていた。
カリカリを供え、水を入れ替えて、
少しだけ笑って、少しだけ寂しそうで。
(おじさん……。ちゃんと見守ってるからにゃ……)
ふー子は胸を張った。
「明日は、虹の橋の見張り番をがんばるにゃ!
……でも、その前にお昼寝にゃ!」
やっぱり最後は、ふー子らしい“ふにゃっ”とした締めだった。
投稿の仕方が良くわからない ⋯