赤の落日   作:むすけ

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ゆるゆるタイムは終わり。やっぱ滅びてこその赤の星だよね。

私の話だとジェイアークの格納庫に赤星人のエンジニアがいるって書いてますが、あそこまで技術がハッテンしているなら完全オートメーションしてても全是おかしく無いんですよね、って言うか無人がデフォの可能性大。

でも自分の仕事に誇りを持つ職人成分はあってもいいのかなって。


蟻の一噛み、或いは無駄な足掻き 後

 やっぱ運命ってのはクソだ。こっちの事なんてお構いなしに突然やってくる。空気読めっつーの。響き渡る警告音、建物を揺らす衝撃。始まったんだ、ゾンダーの、原種の攻撃が。

 

「きゃぁっ!」 「襲撃だ!戦闘が始まったんだ!」

 

 きょうだい達が騒ぐ。無理もない、計画では俺達はJ、トモロと一緒にジェイアーク艦隊に詰め込まれてる筈だからな。オマケに俺達の必要数も揃ってないって所がね、本当にクソですわ。

 

「おかしい、スクランブルが掛からない。ジェイアークに搭乗するのが安全面でも最適である筈なのに・・・」

 

 相変わらず真面目君は冷静で冴えてるな。トモロが押さえられた・・・ゾンダーの餌食になったんだ。ジェイアーク艦隊はその性能を発揮できない丈夫なだけの戦艦に成り果てたって訳だ。ってな訳でちょっとJを1人借りられないかちょっくら出てくるから真面目君この場を頼む。

 

「な!勝手な行動を慎みたまえ!君が1人出てたところで好転する可能性は無いんだぞ!?それに前々から思ってがその真面目君って呼称は何だ!?我々に個別の呼称など・・・」

 

 だってキミ、いつも冷静で物事考えられてるじゃん。それに本質を一発で理解できる、ハイ論破。それはさて置きここの防衛を頼むよ。Jが1人でも居てくれれば守りも安定するだろうし、それまでキミが保たせるって信じてる。何、こう見えてもおじいちゃん倶楽部で飛行移動は鍛えたんだ。ちょっと行って来て帰ってくれば済む話さ。

 

「おじいちゃん倶楽部??よく分からないが勝算があるんだな?ならば引き受けた。その代わり、キミも必ず戻るんだ」

 

 OKOKモチのロンよ。んじゃこっちからも一つ。道中の掃除はしてくからさ、キミの判断で少しでもマズい感じたら一番のチビに介護つけてジェイアークまで走らせて。トモロ無くても動かすくらいは出来るハズだから。

 

「・・・分かった。それとキミ、何か隠してないかい?」

 

 アーハイハイ何も聞かないキコエナーイ。んじゃ行ってくらぁ!頼んだよ~!

 

 ジェイアーク格納庫への道を進むが幸いまだ排除する様な敵はこっちまで来てない様だけど格納庫の方はチィと大変かな?怪我人もいるっぽいし何よりゾンダー人間が発生してるって事は侵入されてるのは確実、か。力を解放し浄解モードになった俺は迷う事無く怪我人へと飛び掛かるゾンダー人間へとPKをぶっ放す。

 

「坊主・・・アルマか!?何でお前がこっちに来るんだ!」

 

 チッ、うっせえな反省してまーすって訳で動けるオッチャンは避難と今からゾンダー人間治すからそいつらも引っ張ってって!

 

テンペルム・・・ムンドゥース・・・

飛び掛かってるゾンダー人間を弾き飛ばし

 

インフィニ・・・トゥーム・・・

そのままゾンダー人間を一カ所にフッ飛ばして集めて

 

レディーレ!

浄解する!

 

 紅い光が収まれば何と言う事でしょう!涙をダバダバ流す人々が!いきなり多人数浄解って人間やればできるもんだな、って俺は正確には人間とは言い辛いけど・・・ッ!?何だコレ!?半端無ぇ威圧感、ってか近っ、速っ!

 爆音と共に格納庫の壁をブチ破って頭からローブを被ったヒトガタが現れた。原種、だよな?でもこいつは何だ?この時点で依り代持ってた原種なんて腕と大腸くらいしか知らねぇ、けどここで暴れられてもマズイ。オッチャン達は出来るだけ離れ・・・あ、もしかしたら後で2人ほど俺等が来るかもだから動かせる艦を教えてやってくんない?これからアレを追い出すんでいっちょヨロシク!

 

 背後から聞こえる声を無視してPKを障壁として展開しながら体当たりで原種ごと外へと飛び出す。建物から十分に離れた事を確認すると障壁に使っていたPKを攻撃に変換、直に叩きつけて距離を取る。結構離せたと思うけどコレってJ達とも離れちゃってない?やっちまったか?内心冷や汗だが、かと言ってあそこに留まっていても・・・と考えていたら原種に動きがあった。こちらを向いたと思えば恐ろしい数の、は?歯ァァ?!慌てて集中し直して障壁を展開、障壁に当たって砕け塵となって行く歯の弾幕。歯原種・・・いや顎門原種、だったか?・・・コイツも依り代あったのか・・・なんて考えてたら目の前に!限界を超えて開かれた大口が!障壁を!齧ってるぅぅ!思わず身を反らしたら相手の突進力の流れが変わり斜め上に吹っ飛んで行く顎門原種。

 

 スッゲェ怖い。足もガクガクだし。考えが甘すぎた。戦いってこんなに恐ろしかったんだ。どうしてこんな目に・・・何で俺達に感情なんて持たせたんだよ。感情なんて無ければ何も考えずに原種と対消滅して終われたのに。何d

 

お前達とて赤の星の、私達の子である事には変わらないのに・・・

 

 あ。

 

 バクバクとうるさい心臓を深呼吸して落ち着かせ、顔をブン殴る。何が゛感情なんて持たせた”だ、な~にが゛貴女様のお言葉、忘れません”だ!

 

 カッコつけてた馬鹿野郎は誰だよ。俺だよ!

 

 あの人の、アベルの想いを踏みにじる所だった自分を恥じる。確かに俺は道具(アルマ)だ、けど俺は人間(アルマ)だ!体に纏う紅い光が強まった気がする、俺にも?勇気が・・・もしそうであればJジュエル、力を貸してくれ!

 

 原種の攻撃を障壁で防いでしまったけど、冷静に考えれば避けて攻撃の目もあったんだな、と今更になって思う。J達も言ってたな、回避からの攻撃は一連と考えろって。ぶっつけ本番で試すにゃ随分高いハードルだがやらなきゃ詰む、やらなくても詰む。だったらやるしかねぇよなぁ!なんたって僕は男の子!腹括って原種に向けて俺はダッシュ飛行を敢行した。

 

 PKを弾にして打ち出す。当たるは当たるが原種の再生能力がパねぇので正直ダメージになってるかは怪しい。けど俺の本命は浄解の力だ。証拠に浄解の力を込めてソフトタッチに成功して一部が崩壊して以来、相手は距離を取るようになり中距離での差し合いになったがここは焦った方が負けだ。敵弾を避け、相殺しつつ時折フワっと距離を詰めて威圧を掛け続ける。出来るだけ攻撃を単調に見せつけながら位置取りを調整して攻防を続ける

 何度目かの弾幕、仕掛けるならココ!PKを弾では無く細長く伸ばした束ねた棒をイメージして振り抜く!歯弾幕だけを相殺した俺は振り抜いたままの態勢で動けない、隙だらけに見える姿・・・となれば来るよなぁ!散らされた歯の残骸の中から大口開けて突進してくる顎門原種。

 

 割と気を使ったんだぜ?単調な攻撃と思わせるために何回も同じ行動見せたり本体に当たらないように威力と距離を調整すんの。

 

(テンペルム ムンドゥース)

原種は果たして背中越しに嗤う俺を見たのだろうか。

 

(インフィニ トゥーム)

待ってたんだよ、この瞬間をさぁ!突進してくる原種の横をPKを用いた姿勢制御でスライド移動、背後を取った俺がするのは聖印を結んだ右手を奴に叩きつけるだけ!ベロだけで逃げ出せない様に浄解してやる!今!ここで!

 

 

ゼ ツ ボ ウ ハ ソ ラ カ ラ フ ッ テ キ タ

 

 

 完全に意識外からの衝撃。障壁を張る暇もなかった俺は気が付けば顎門原種と共に地面に叩きつけられていた。体中痛すぎて呻く事しか出来ない。なにか聞こえるような気がするが耳鳴りも酷くて聞き取れない。

 

『羽・・・如・・・ザマ・・・恥さ・・・・・・邪魔・・・様は下・・・』

 

 何とか顔を上げ、赤く染まって霞む視界に映ったのは何か真っ黒い大きな影・・・大きい、黒い、影?まさか・・・咳をすると込み上げてくる血。でも霞む視界の中で見えたんだ、黒い影の背後の空、打ち上がって行く2つの光点。あぁ・・・繋がったんだな、って。へへ・・・ザマぁみろ、これでお前らの滅びは決定したぞ・・・あ、そういえば真面目君との約束、守れ―

 

超重力波ァ!

 

 

 

 

 頭を潰され物言わぬ肉塊となったアルマを見下ろし腕原種は思う。道具は道具らしく使われるまで大人しくしていれば誤差でしか無いとは言え寿命が延びたものを。

 

『大腸、残りのガラクタの始末をしろ。この残骸でも投げ込んでやれば簡単に崩れるだろう』

 

 言いながら目を向けるは赤の星の空中庭園。あそこが落とせば実質赤の星の機界昇華も完了となる。骨のあるソルダートが残っていれば良い最後の娯楽として楽しめそうだが・・・腕原種は悠々と歩を進めるのだった。




アベルが自分の遺伝子情報を用い、緑の星から提供されたラティオの生体データを組み合わせ、強化させた(思われる)、生体兵器アルマ。

ならばアルマをアルマ足らしめている物とは?人の形をしている意味はあるのでしょうか?人型でないと浄解能力を発揮できない理由~呪文の詠唱が必要など~があるのか?
自我を、自意識を持たせる必要があったのか?コマンド1つで対消滅させた方が遥かに楽であったであろうに?

ファイブスター物語でも「無形ファティマが理想のあるべき姿だったのでは?」みたいなやり取りがあったような気がするのですが(有識者の方どうなんでしょ?)・・・まぁファティマとアルマとでは求められる役割が違うので一概に同じだとは言えませんが。

元々は「大きな鉄球 in PKは定着したが浄解能力が付与できなかった出来損ないアルマ」を私のアルマと執着する狂ったJと002・戒道ペアがそれぞれと対峙し決着を・・・って思いついたネタを再利用した今回の短編でありました。
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