魔王様は義理の娘と冒険者になって旅に出ます   作:Revak

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第十八話 第十層ボス戦

 

「第六階層攻略、行くわよー!」

 

 第五階層のボス部屋後の階段前でカレンはそう生き込んだ。

 翌日の朝。一行はダンジョン内に入って転移魔法で一気に第五階層まで転移して来ていた。

 転移魔法はダンジョン内では変な挙動をする。ダンジョン内から外に出る分は普通に機能するがダンジョン外からダンジョン内に転移する事は出来ないのだ。

 ただダンジョン内に入ってしまえばダンジョン内のマーキングした場所や視界内には転移出来るが。

 今のところ最高位ダンジョン等では転移魔法そのものを阻害する結界が張られているところもあったりするので全部が全部そうではないが。

 

「行くわよー」

 

 いつも通りカレンが先頭に立ち階段を下っていく。

 長い階段を降りた先はまたも通路だ。だが一風変わっている。

 

「これは、迷宮か?」

 

 レイがふむ、と顎に手を当て考える。

 その作りは迷宮そのものだ。

 石で出来た壁に床とビギナーズダンジョンと左程変わらない創りの迷宮である。

 だが当然凍てつく王廟内部である為少し肌寒いのは変わらない。

 広さは上の階層以上だ。横にも充分以上に広く縦は二十メートルはある。

 発光している事は無いが灯りがぽつぽつと置かれているので灯りを用意する必要はなさそうだ。

 

「んじゃあ行くぜ」

 

 歩きながらデヴォンが探知の特殊能力(スキル)である<罠感知>と<敵感知>を常時発動する。

<罠感知>は名の通り罠を感知し<敵感知>も名の通り敵を感知する特殊能力(スキル)だ。

 使用者のレベルに応じて探知阻害の突破率が上がり感知範囲も広がるという特殊能力(スキル)だ。

 今のデヴォンのレベルは三十と同時に六つまで特殊能力(スキル)を行使できるので枠のうち二つが探知で埋まっていても問題はない。

 

 そうして歩く事五分、デヴォンが敵を探知する。

 

「敵だ。数は三」

 

 出てきたのは二メートル程の人型のモンスターだ。

 氷で出来た人形だ。名を氷牙(ひょうが)ゴーレムというゴーレムだ。

 

 ゴーレムとは魔法的手段をもって作り出せるモンスターだ。分類上は種族判定ではなく魔法道具(マジックアイテム)となる。

 ゴーレムにもレベルの概念がありレベル二十や三十のゴーレムも当然ある。

 作るには第三環魔法の<動人形作成>(クリエイト・ゴーレム)を使う必要があり、レベルは元となった素材と呪文詠唱者(スペル・キャスター)の技量に依存する。

 ただ第五環魔法により上位のゴーレム作成の魔法がありそちらのが最低レベルと作れる上限レベルも高いが。勿論更に上の環位により上位のゴーレムを作る魔法もある。

 

 自我無き人形であり創造主、または主の命令を忠実に熟す存在だ。

 

 人形である為即死魔法が聞かず生命でもない為レイでは探知出来ない存在だったりする。

 

 氷牙ゴーレムたちは武装していないが二メートルというガタイの良さによってカレンたちに襲い掛かる。

 

<火炎球>(ファイヤーボール)

 

 カレンは攻撃魔法を放つ。

 火球が真っすぐと飛び横並びになっている氷牙ゴーレムに命中し爆炎を起こす。

 

 その爆炎によって当たった一体のゴーレムは溶けて崩壊し壊れ、片方も溶けて動かなくなる。

 

 最後の一体に向かってレイが<瞬歩>で接近。胸を殴って全損させ壊した。

 

「よし。このままいこう」

 

 

 ■

 

 

 その後も黒風の一行はモンスターを倒しつつ進んでいった。

 アイスミノタウロス。攻撃に冷気属性が乗る特殊なミノタウロス。

 フロストハーピー。亜人種であり冷気属性の範囲攻撃を行うレベル二十のモンスター等、モンスターを倒しつつ先へと進む。

 

 また<罠感知>で罠を探り解除しつつ進んだ。

 この階層には氷の棘が飛び出してくる罠がある。魔法的効果を持っていないのでカレンとエルミナには効かない。

 エルミナの種族である天使は魔法的効果を持たない攻撃の完全無効化を持つ。

 だがレイとデヴォンには普通に効く為解除する必要がある。といってもレイは見てから回避余裕だし<肉体操作>で骨の盾を作って防ぐことも出来るが。

 

 そしてデヴォンも疲労無効の指輪を買って装備した為疲労を考慮する必要が無くなった為順調に進み黒風の一行は第十階層、ボスが居る階層にまで進んでいた。

 

「さて、ここのボスだが……ちょっと特殊ってのは言っておいたよな」

「ああ。聞いている」

 

 この第十層にボス部屋は無い。

 普通のダンジョンならばボスはボス部屋という専用のルームにいるが、このダンジョンは別だ。

 

 第十層のボスの名はブルガルムという氷の角を持つ巨人という異形種のモンスターだ。

 巨人に寿命は無いとされている為異形種判定になっている。

 名の通り巨人で十メートルの体躯に白い皮膚を持つモンスターであり武器は氷で出来た戦鎚。

 レベルも高く三十二と非常に高い。

 

 このボスの特徴としてダンジョンの壁を破壊しながら徘徊しているというのがある。

 非常に厄介な特徴だ。壁向こうに敵がいると思ったら壁をぶち壊してやって来るのだ。警戒してもしようがない。

 

 その為第十層は人気の無い階層だ。何時何処でボスに襲われるかわからないのだ。

 一応この階層にもセーフエリアはあるしセーフエリアに自らボスが侵入してくることはないが、気休めのようなものだ。

 

「じゃあボス探しながら歩くわよ!」

 

 だが今回の目的はボス討伐だ。

 ボス部屋に存在しない為階段を探せば倒さずとも下の階層に行けるが、倒せる物なら倒しておきたいというのがカレンの考えだ。

 このダンジョンを真に攻略するには全てのボスを倒す必要があるだろう、と考えているのだ。

 

 そうして歩いているとデヴォンが敵を探知する。

 

「敵だ。感覚からして氷牙ゴーレム一体とアイスミノタウロス二体だな」

 

 デヴォンは<敵探知>の特殊能力(スキル)も行使する。

<敵探知>は敵の種族やレベルを探知する事が出来る特殊能力(スキル)だ。これも使用者の技量に応じて探知できる内容量が変わる。

 類似特殊能力(スキル)に<罠探知>がある。こちらは罠バージョンの探知特殊能力(スキル)だ。

 

「じゃあ開幕私が魔法ブッパするわね」

「待ってくれ。俺もレベルを上げたいから氷牙ゴーレムだけ倒してくれないか?」

「ん、わかったわ」

 

 基本レベルが上がるのは直接戦った者だけだ。

 パーティにいるからといって経験値が分配されるような仕様は無い。

 

 奥の通路から氷で出来たゴーレムとアイスミノタウロスが歩いて来る。

 アイスミノタウロスは皮膚が白いミノタウロスだ。

 頭と足は牛。体と腕は人という異形種だ。

 ミノタウロスはダンジョン外でも普通に異種族として暮らしている種族でもある。

 

「じゃあ<魔法矢>(マジックアロー)!」

 

 <魔法矢>(マジックアロー)によって六つの魔法の矢が生成される。

 魔法の矢は氷牙ゴーレムにだけ命中し破壊する。

 

(ほう。隠密特殊能力(スキル)をそこまで鍛えたか)

 

 レイは隠れて消えたデヴォンを内心称賛する。

<隠密>の特殊能力(スキル)は気配を消す事が出来る初期特殊能力(スキル)であり、高レベルになっても使える特殊技術(スキル)だ。

 高レベルの者は自身の生命力すら隠しアンデッドや<生命探知>(ライフ・ディテクション)の魔法の探知すら欺く。

 レイも<生命感知>の特殊能力(スキル)でまだ探知出来るがもう少しレベルが上がれば探知出来なくなるだろう。

 

 そして視界に入らないのはレイ以外の黒風の面々とアイスミノタウロスだ。カレンは第五環魔法で探知しようと思えば探知できるが使わない。エルミナは探知系の魔法を習得できないので探知出来ない。

 

「ブモォォォ!」

 

 アイスミノタウロスは雄たけびを上げカレンに突撃しようとする。

 

 だがその寸前。首筋に刃が当てられ首を斬られた。

 

<隠密>からの<奇襲>の特殊能力(スキル)だ。

<奇襲>は<隠密>状態で見つかってない相手に対し攻撃すると攻撃力が使用者のレベルにも依存するが最大五十倍にまで増加する特殊能力(スキル)だ。

 デヴォンの短剣によってアイスミノタウロスは絶命した。

 

「うっし。じゃあいこ──」

 

 その続きの言葉は轟音によって遮られた。

 

 通路の少し奥の壁が壊されたのだ。

 壁が瓦礫となって舞い、瓦礫の奥から異形が這い出る。

 

 身長十メートルという圧倒的巨体。

 シアン色の肌。頭からは氷で出来た角が一本伸びている。

 その手に握るは壁を破壊した氷で出来た戦鎚。

 第十層のボスモンスター、氷角大王ブルガルムだ。

 余談だがボスモンスター等の名前は名付け好きな冒険者が付けている。玉に情報系魔法で名前が判明する事もあるが大半は勝手に名付けられた名前だ。

 

「嘘だろ、俺が探知出来なかった?!」

 

 デヴォンはそう叫んだ。デヴォンのレベルは三十と非常に高い。カレンと同じ白金級はあるのだ。

 そのレベルで探知出来ないとなると何か種がある。もしくはダンジョンその物のギミックかだ。

 

「私が前衛! デヴォンは隠れてスニークアタックを! エルミナは強化魔法を! 父さんはエルミナを守って!」

「わかった」

「わかりました!」

「了解!」

 

 すぐさまカレンが指示を出し全員了解する。

 

<魔法集団化・(マスマジック)神速励起>(アクセル・テンペスト)<魔法集団化・(マスマジック)不壊身化>(インデストラクション)<魔法集団化・(マスマジック)全霊補正>(オール・ブースト)──」

 

 エルミナは幾つかのバフ魔法をかける。

 その間にレイはエルミナの前に立ち防御の構えをとる。変則的だがレイが防御役をするのだ。

 

 カレンが蒼風の覇剣(アエロ・ドミニオン)を手にブルガルムに斬りかかる。

 ブルガルムは戦鎚を構えカレンの剣と衝突させる。

 

 カレンが斬りかかるのをブルガルムが戦鎚で弾く、というのが何度か続く。

 

 それによって戦鎚も斬られるが修復機能が強いのか直っていく。

 魔法道具(マジックアイテム)全般には自動修復機能がある為経年劣化で壊れる事は無い。だが修復機能と言っても微々たる物だがブルガルムの戦鎚はその能力が強化されているのか格が上の魔法道具(マジックアイテム)と撃ち合っても壊れる様子が無い。

 

「オォォオォオ!」

 

 ブルガルムは何かしらの特殊能力(スキル)──おそらくは<肉体向上>等の自身のレベルをプラスする特殊能力(スキル)──を使い自己強化をする。

 特殊能力(スキル)の使用は人間にだけ許された特権ではない。亜人種でも異形種でもモンスターでも使ってくるのだ。

 

 何かしらの連撃系の特殊能力(スキル)を使いブルガルムは怒涛の攻めを見せる。

 カレンは余裕の表情で攻撃を捌いて見せる。

 

<天使召喚8th>(サモンエンジェル・エイス)

 

 そこでエルミナが魔法を行使する。使ったのは天使を召喚する魔法だ。

 といってもエルミナのようなネームドの天使を召喚する事は出来ない。

 天使や悪魔はネームドという固有の存在が居る。アルト・アンティークのような固有の悪魔ではなく環魔法で召喚できる悪魔や天使は雑多な存在だ。

 召喚するのは五十六レベルの天使守護の大天使(ガーディアン・アークエンジェル)だ。

 両手に盾を持つ天使であり顔は何処か機械的であり全体的に青い姿をしている。背中には勿論天使の翼があり頭上には天使の輪がある。

 名の通り防御能力に長けた天使だ。その分攻撃性能は低いというかほぼ持っていない。

 

 守護の大天使(ガーディアン・アークエンジェル)は<位置交換>の特殊能力(スキル)でカレンと位置を変わる。

 位置を瞬時に入れ替える特殊能力(スキル)だ。

 

 続いて守護の大天使(ガーディアン・アークエンジェル)は<鉄壁守>に<堅牢陣>(けんろうじん)を、追加で<不屈>を使う。

<鉄壁守>は自身の防御力上昇の特殊能力(スキル)<堅牢陣>(けんろうじん)はその場から動かない限り防御力を超上昇する特殊能力(スキル)だ。

<不屈>はノックバッグ無効の特殊能力(スキル)であり吹き飛ばされることはこれで無くなる。

 更に<挑発>の特殊能力(スキル)をブルガルムに使う。

<挑発>は対象一体に対し挑発しヘイトを集める特殊能力(スキル)だ。だがこれは精神系に分類されるため精神干渉を無効化するアンデッド等には通じない。

 だが巨人であるブルガルムには通じ攻撃の矛先が守護の大天使(ガーディアン・アークエンジェル)に向かう。

 

「オオォォオォ!」

 

 ブルガルムは、<六連撃>の特殊能力(スキル)を使い守護の大天使(ガーディアン・アークエンジェル)に怒涛の攻撃を与える。

 

(──貰った!)

 

 その隙をついてデヴォンが背後から跳躍しブルガルムの首を裂こうと動く。

<隠密>からの<奇襲>だ。これで並大抵の相手は死ぬ。

 

「オオオ!」

 

 だがブルガルムは振り返りデヴォンに気づいた。

 それどころか<即応打撃>の特殊能力(スキル)を使い戦鎚を振り回しデヴォンの腹に攻撃を入れる。

 デヴォンは咄嗟に短剣を挟むことで防御出来たが短剣は折れ、吹き飛ばされてしまった。

 

「デヴォン!」

 

 エルミナが悲鳴にも近い声を上げた。

 

「お父さんはデヴォンを回収!」

 

 即座にカレンが作戦を指示した。

「了解」とレイは短く返し<瞬歩>の特殊能力(スキル)でデヴォン前まで移動する。

 

 レイは無限収納の腕輪(インフィニティ・ボックスリング)からポーションを一つ取り出す。

 赤色、体力や傷回復のポーションだ。ランクは中級。

 込められた回復量は第五環魔法相応であり欠損すら治す事が出来る治癒効力を持つ。

 これによりデヴォンの折れた肋骨も治る。

 レイはポーションをデヴォンに振りかける。

 

 ポーションは飲むかかけるかでも効果を発揮する為かけても問題ない。

 

「これでいいだろう」

「う……ありがとう。くそ、奴は探知系の特殊能力(スキル)でも持ってるのか?」

 

 デヴォンが悪態をついた。

 探知系の特殊能力(スキル)でも持ってなければ説明がつかない挙動だった。

 

「だろうな。恐らくは先読み系の特殊能力(スキル)も持っている。カレンの攻撃が全ていなされている」

 

 見れば、カレンが果敢に斬りかかっても全て戦鎚で防がれていた。

 何かしらの高度な探知系特殊能力(スキル)を持っていないと出来ない事だ。レイもやろうと思えば同じことは出来るが。

 

「恐らく使っているのは<先読み>だろうな」

 

<先読み>は相手の攻撃の一手先を読むことが出来る特殊能力(スキル)だ。

 攻撃予測系の特殊能力(スキル)であり、これを使えば相手の一手が分かる。だが当然探知系の特殊能力(スキル)に分類されるため探知阻害を持っているレイには通じない。

 だがカレンは探知阻害系の装備品を持っていない。その為通じてしまっている。

 相手の動きが分かるというのは強い。その為格下であるはずのブルガルムが優位に立てているのだ。

 ブルガルムのレベルは三十二でカレンは今四十二。レベル十の差があるのに勝負が終わっていないのはこういった理由だ。

 習得している特殊能力(スキル)や装備品の質によっては時にレベル差を覆すことがある。

 雑に考えれば自分の能力に合った装備品を纏えばレベルがプラス五から十五されると考えていい。レイは実質レベル百七分あるとも言えるのだ。

 

「と、余はもう戻る」

 

 レイは<瞬歩>でエルミナの傍まで戻る。ヒーラーを一人置いておくわけにはいかない。

 デヴォンの傷も治ったのでもういいと判断したのだ。

 

「……くそ、どうする……」

 

 デヴォンは完全な隠密不意打ち特化のビルドをしている。その為相手の探知能力のが上の場合出来る事は少ないのだ。

 デヴォンは歯ぎしりをする。この戦場で何も出来ない自分を恥じて。

 

 

 

 

「せやぁぁ!」

 

 カレンは<魔力鋼刃>と<超斬撃>に<鬼断流>を使う。

 更に自己バフ特殊能力(スキル)である<肉体向上>と<肉体超向上>、レベル四十になって覚えた<真・肉体向上>を使う。

<真・肉体抗上>はレベルをプラス三する特殊能力(スキル)だ。これでステータス上では実質四十八となる。

 四十レベルになった事で同時に使える特殊能力(スキル)の数は八つに増えた。枠が二つ余っているが枠を全て潰すように使うのは負荷が大きいため使っていない。

 

<魔力鋼刃>で伸びた刃で守護の大天使(ガーディアン・アークエンジェル)事カレンはブルガルムを斬る。

 これが召喚モンスターの便利な所だ。魔力さえあれば幾らでも再召喚出来るので同士討ちを気にしないですむ。

 

 守護の大天使(ガーディアン・アークエンジェル)にもダメージが入るがそれ以上にブルガルムに大ダメージが入る。

 胸が大きく斬り裂かれ、出血を起こす。

 

「グゥゥゥゥ……」

 

 だがブルガルムは頑丈で倒れる様な事はない。

 それどころか<自己再生>の特殊能力(スキル)を使い傷を治している。

<自己再生>は簡単な出血や骨折程度なら治す事が出来る特殊能力(スキル)だがコストは重い。

 再生系能力は種族特性や固有(ユニーク)特殊能力(スキル)魔法道具(マジックアイテム)を除き何かしらの代償が居る。

 使用回数制限だったり魔力やスタミナ消費等だ。

<自己再生>は魔力を消費する事で再生する特殊能力(スキル)だ。その為戦士系であるブルガルムがもう一度使う事はない。単にもう一度使うには魔力が足りないのだ。

 だがそれでも与えたダメージが治された、というのは痛い。

 

「オオオオオオ!」

 

 ブルガルムは怒涛の攻撃を仕掛ける。

 

<十六連撃>の特殊能力(スキル)だ。名の通り怒涛の十六攻撃を行う特殊能力(スキル)だ。

 

「ヤバ!」

 

 カレンは咄嗟に<後退>の特殊能力(スキル)で体を強制的に動かし後ろに移動する。

 咄嗟に守護の大天使(ガーディアン・アークエンジェル)が入りブルガルムの攻撃を全て受ける。

 

 戦鎚と盾がぶつかった轟音が響く。

 流石は五十六レベルのモンスターと言ったところか。攻撃を受けても消える様な事はない。

 ふらつく事も無く、攻撃を全て受けて耐えきって見せた。

 

「おんどりゃぁぁぁ!」

 

 ブルガルムの攻撃が終わった隙をついてカレンが攻撃を仕掛ける。

<肉体向上>に<肉体超向上>、<真・肉体向上>からの<超斬撃>に<鬼断流>に<致命の斬撃>に<断嵐・剣禍輪(だんらん・けんかりん)>プラスおまけの<斬撃>

 自分が使える限界までの特殊能力(スキル)を行使した攻撃だ。ブルガルムは怒涛の斬撃の嵐を受け全身から血を流す。

断嵐・剣禍輪(だんらん・けんかりん)>は広範囲に怒涛の攻撃を与える特殊能力(スキル)だ。本来は一体多で使うような特殊能力(スキル)だが巨体相手には都合がいいとカレンはこの特殊能力(スキル)を選択した。

<致命の斬撃>は確定でクリティカルダメージを出す特殊能力(スキル)だ。これで全ての攻撃がクリティカル判定になる。

 

 斬撃の嵐がブルガルムに襲い掛かる。

 

「オオォオォォオ?!」

 

 ブルガルムは全身を斬られ、血を大量に流す。絶命一歩手前と言ったところだ。

 

 だがまだ動く。ブルガルムは自分を斬ったカレンを叩き潰さんと戦鎚を振るう。

 しかしそれよりもカレンの方が速い。

 特殊能力(スキル)<即斬>を使いカレンはブルガルムの胸を大きく斬り裂いた。

 

「オォォオォオ……」

 

 そうしてブルガルムは絶命し──ドロップアイテムとなって消えた。

 

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