魔王様は義理の娘と冒険者になって旅に出ます   作:Revak

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第二十九話 取材

 

「かんぱーい!」

 

 黒風と赤焔の翼、メイ子を含めた一行は酒場に来ていた。

 大衆酒場の一つでありオークの店主が経営する酒場だ。

 

 大きなテーブルを幾つか使い一行は乾杯をする。

 正しレイとメイ子はジュースである。メイ子は未成年なので飲酒は出来ないと断った。

 この国の成年は十六歳からであり飲酒も十六歳から許可されるがメイ子は日本のルールに従うつもりらしい。

 尚メイ子は配信していない。オフである。

 

 テーブルには肉料理の数々が並ぶ。

 七面鳥の丸焼きに豚串に焼き鳥のタレにトンテキ等。茶色一色である。

 

「今日は私の我儘に付き合ってくれてありがとう~」

 

 カレンがそう礼を言いながらぐびぐびと酒を飲む。

 飲んでいるのは麦を使ったビールだ。よく冷えている。

 

「いえいえ。私達もレベリングが出来るとなれば願っても無い事でした。誘ってくださりありがとうございます」

 

 メアリーがそう言う。

 

「うちも配信のいいネタになったんで大丈夫っす! なんならまたこういうのあったら誘ってください!」

 

 メアリーもメイ子も地味にレベルが上がっている。

 二人とも四十近くまで上がっており実力は確実に上がった。今なら赤焔の翼だけでアークレイの討伐も出来るかもしれない。

 ただメイ子一人は大分きついが。レベル三十が三十体居るのは普通にキツイ。

 

「今後もレベリングするのもいいかもね~ただ……あのドラゴン倒してからになると思うけど」

「中位のフロスト・ドラゴンですか……前と同じようにレイドを組みますか?」

 

 メアリーがふむ、と顎に手を当て考える。

 

「いや。私達だけで行ける所まではやってみようと思う。挑戦しないで何が冒険者かってね」

 

 カレンはニヤリと笑みを浮かべる。

 

「おおー流石は冒険者の先輩っすね!」

 

 メイ子は両手をブンブン振って喜びを表現する。

 

「けど先に二十層に行かれるとは思ってなかったぜ。俺たちも負けてらんないな」

 

 メラニがビールをグイっと飲みながらそう言う。

 

「だが二十層のボスがレベル五十となると……二十五層のボスのレベルも相応に高いと思われるな」

 

 セレナがそう呟く。

 

「そこが問題だな……となると三十層、最後のボスのレベルも非常に高いと思われる」

 

 レイがどうしたものか、と唐揚げを食いながら考える。

 

「俺としてはあのドラゴンが例外なだけな気がするぜ。ありゃ最後のダンジョンボスでもおかしくないレベルの強さだ」

「そっか……気合入れて挑まないとね」

 

 その為に今日は飲もう! とカレンは笑いながら酒を飲んだ。

 

 

 ■

 

 翌日、朝。毒無効の装備のおかけで二日酔いなどには成らなかった一行は休日とすることにした。

 肉体的疲労は無いが精神的疲労はあるのである。魔法で癒すよりこうして癒す方が健康にいいとしたのだ。

 

 各々好きな事をしに行っている。

 デヴォンは魔王城でフクスと特訓。カレンも魔王城でアーリンドラと特訓でエルミナは教会に用があるらしく教会に行っている。

 

 一人暇なレイは何か依頼でも無いかと冒険者ギルドに来ていた。

 

 冒険者ギルドのクエストボード前でレイは何かいいクエストが無いかと探す。

 日にちのかかる物は無理だが一日で終わる依頼なら受けれるという考えだ。

 依頼の大半は凍てつく王廟のドロップアイテムをとって来てほしいという物だ。

 

 さてどの依頼を受けようか、と頭を悩ませていると声がかかった。

 

「アーヴェルスさん。ちょっといいですか?」

 

 声をかけて来たのはギルド職員だ。男である。

 

「何の用だ?」

「ここではちょっと……二階の会議室まで来て貰えますか?」

 

 はてなんだろうか、とレイは疑問に思いながら了承し職員に連れられ二階の会議室に入る。

 U字がたの長机がある部屋だ。椅子は八つある。

 会議室には先客が居た。エルフェリアのギルドマスターのヘレン・ルースだ。ヘレンはは奥の椅子に座っている。

 妙齢の女であるスーツを着ている姿は出来るOLといった雰囲気が出ている。

 

「どうぞおかけになってください」

 

 ヘレンは立ってそういいレイに座るよう促す。

 レイがヘレンの向かい側に座るとヘレンも再度座る。

 

「早速本題ですが貴方方黒風を黄金級にあげるという話が出ています」

「……急だな。まだ白金級になって二ヵ月しか経ってないぞ」

 

 本来ランクアップは半年から一年かけて行われる物だ。

 如何に実力だけあっても信用が無ければランクは上がらない。

 これが全員白銀級の力を持っている等のふざけた場合なら別だがレイ以外はつい先日のレベリングまではランク相応の実力しか持ってなかった。

 

「貴方方の凍てつく王廟の攻略ペースは速い。このままいけばあなた達はこの二百年攻略されなかった凍てつく王廟のボスを倒し攻略するでしょう……未来ある冒険者に投資するのはギルドとして当然の事です」

「……そうか。それでなんだ? 昇級試験でも実地するのか?」

「はい。昇級試験の内容はこちらの依頼の達成をしてもらおうと思います」

 

 ヘレンは依頼書を見せる。

 

 レイは依頼書を読む。

 

(凍てつく王廟の第十五層までの探索……内容は……)

 

「大分無理があるんじゃないか?」

 

 内容はこうだ。

 回復アイテムの持ち込み禁止。回復魔法は三度まで使用を許可。バフ魔法の使用も禁止。

 その状態でギルド側が用意した要救助者の救出。そして第一そうから順に攻略していき最後に第十五層のボスアークレイの討伐だ。

 それを一日でこなせと言う依頼である。

 

「ですがそれが出来てこその黄金級、ひいては白銀級です」

「白銀級は言い過ぎだろう。まだ白金になって二ヵ月の小娘だぞ」

「ですが既にレベルは五十に到達したという事を聞いています」

「……誰から聞いた?」

「華伯メイ子という冒険者の方が聞いても無いのに話してくださいましたよ」

 

(あのアマ、ギャルはやっぱ信用ならんな!)

 

 レイは内心舌打ちをする。不機嫌になったのが露骨にわかる。

 

「どうでしょうか? 是非ともリーダーであるカレンさんと相談し何時受けるか教えてください」

 

 レイは考え、最終的にため息を吐きつつ了承した。

 

 

 ■

 

「てなわけで昇級試験が行われる」

 

 その日の夜。雪華の館の食堂でレイはそう口を開いた。

 黒風のパーティメンバー一行はレイの台詞に苦い顔をする。

 

「黄金級への昇級か……」

「回復魔法が殆ど使えないのは厳しいですね」

支援(バフ)魔法も禁止は流石にきびしーかな。それにまたアークレイ討伐か……」

 

 うぅーん、と一行は頭を悩ませる。

 

「余としては正直この段階で昇級は早すぎると思う。断っても良いと考える」

「確かにな……普通一年くらいかけて昇級するのをまだ俺たちパーティ組んで二ヵ月程度だもんな」

「……私としては受けたく思いますが」

 

 エルミナがレイとデヴォンの台詞とは反対の事を言う。

 

「ランクというのは高ければ高い程いいです。低ランクと比べ社会的信用も得られますし、まずこの国には黄金級も白銀級もいません。初の黄金級冒険者に成れる唯一のチャンスだと思います」

「別に初だからいいという物でもないと思うが……」

 

 レイが晩食の肉を食べながら言う。

 

「私もエルミナと同意見かな。今後冒険者として活動するにあたって最速で黄金級まで上がったって言う称号は欲しい」

 

 カレンがぎらついた目で言う。

 その台詞にデヴォンがしょうがねぇな、という顔をする。

 

「リーダーがそう言うならしょうがね。なってやろうじゃねぇか、黄金級」

「むぅ……バフ魔法が使えないのは大分きついと思うが、それでもいいのか?」

「大丈夫! もうレベル五十だよ、心配しなくとも大丈夫だって!」

「そうか……そうだな。ならば余も賛成という事で」

 

 という訳で一行は昇級試験を受けることにした。

 

 

 ■

 

 

 翌日。一行は新聞社に訪れていた。

 完全に忘れていたが公王主催のパーティで新聞に載らないかという誘いを受けていたのを思い出したのだ。

 その為一行は何時もの冒険者装備に身を包んできていた。

 

「でっけぇ建物だ」

 

 デヴォンがそう呟いた。

 四階建てというエルフェリアでも早々見ない建物だ。

 場所もエルフェリアの一等地であり金が相当にあると分かる。

 入口の自動ドアの魔法道具(マジックアイテム)を潜ると其処は受付だ。

 

 受付にはハーフエルフらしき眼鏡をかけた女性の受付が居る。

 カレンが受付に行くと受付嬢が口を開く。

 

「いらっしゃいませ。本日は何用でいらっしゃいましたか?」

 

 受付嬢はにっこりと笑顔で問いかける。

 

「えっと、リック・F・モリセットさんから取材の申し込みがあって……私はカレン・アーヴェルスです」

「アーヴェルス様ですね。少々お待ちください」

 

 受付嬢は驚いた表情をするとおいてある水晶に手を貸さず。

 

念話水晶(リンク・クリスタル)か)

 

 念話水晶(リンク・クリスタル)<念話>(テレパシー)が込められた魔法道具(マジックアイテム)だ。

 一日二十四回まで使えるアイテムであり効果時間は五分。呪文詠唱者(スペル・キャスター)としての特殊能力(スキル)やクラスを持っていても効果時間は変わらない。

 

「リック様。黒風の御一行がお見えになっております……はい。わかりました。お伝えしますね」

 

 受付嬢は繋げた相手、リックと何かしら話すと念話を切る。

 

「黒風の皆さま。これからインタビュールームへご案内します。どうぞこちらへ」

 

 受付嬢は立って一行を案内する。

 

 エレベーター型魔道具に乗って三階に着く。

 エレベーターは八人乗りだ。五人乗っても余裕がある。

 

 新聞社内の通路を少し歩くとインタビュールームに着く。

 

「どうぞこちらでおかけになってお待ちください」

「ありがとうございます」

 

 一行はインタビュールームには黒い長机とソファが二つある。

 一行は片方のソファに固まって座る。

 

「なんか緊張してきた」

「初めての取材だしな……」

 

 斯く言うレイも取材をするのは初めてである。

 魔王軍全盛の時代には新聞社何て物はなく、顔写真を公開する気も無かったので公開していない。

 絵を描かれた事も無い。提案自体はされていたが面倒なので断っていた。そも後の時代に魔王の姿を知られていると面倒だと思ったのもあるが。

 

 少しばかり雑談する事五分。部屋にノックが入り男が入って来る。

 入って来たのはリック・F・モリセットだ。黒髪黒目に眼鏡をかけたスーツ姿の者である。

 

「ようこそ我が新聞社へ。いやはや来てくれないのかと少し焦っていましたよ」

「すみません、ダンジョン攻略が今佳境でして……中々時間が取れず」

「いえ。冒険者の方の忙しさはよく知っていますからお気になさらずに。では早速インタビューを始めたいのですがよろしいですか?」

 

 リックは「失礼」と向かいのソファに座る。

 

「では今からインタビューを行いますがお答えしたくない事、しにくいことは答えなくて大丈夫です。こちらで事前に質問を用意しておきましたのでそれに答える形でお願いします」

「わかりました」

 

 黒風一行は全員了承する。

 

「では皆さんが冒険者になった動機をお聞きしても? まずはカレンさんからお願いします」

 

「私は幼い頃父に連れられた街で冒険者の方にあって、気になってその人達の訓練の風景を見させてもらったんです。それで冒険者という職業が気になって気づけば冒険者になる! って言ってましたね」

「なるほど。レイさんは?」

「余はカレンが冒険者に成ると言ったから心配でついてきた。娘の身を守らねばならん」

「な、なるほど……ではデヴォンさんは?」

「俺の能力で真っ当に働いて金稼げるのが冒険者ぐらいしか思いつかなかったからな。消去法で冒険者になった」

「では最後にエルミナさんは?」

「デヴォンが冒険者に成ると言い出したのがきっかけですね。ただ教会の上層部から"冒険者に成って名声を得る様に"とも言われたので……私自身のきっかけとしてはやはりデヴォンの方が大きいと思います」

「なるほどなるほど。ありがとうございます。では次に皆さんのパーティでの役割を──」

 

 その後も幾つか質問をされ答えるというのが続き、一時間程取材は続いた。

 

 

 ■

 

「終わった~!」

 

 新聞社を出てカレンが一声呟いた。

 

「結構時間かかったな」

 

 とレイが言う。

 取材を受けるのが初めてなのでどうなるかわからない為一時間というのは長いのか短いのかよくわかっていない。

 

「ま、取材なんだからこんなもんだろ」

 

 とはデヴォンの言だ。

 

「今日はどうする?」

 

 朝から来ていた為時刻は十一時程。昼飯には少し早い時間である。

 

「ん-、今日はこのままダンジョンで試走しない? 例の昇級試験で。一層から攻略してみるのはどう?」

「いいですわね。支援魔法無しで何処まで戦えるのか、そして今の私達だけでアークレイを倒せるのかよい検証になると思います」

「じゃあいこっか!」

 

 という訳で一行はダンジョンへ行くことになった。

 

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