魔王様は義理の娘と冒険者になって旅に出ます   作:Revak

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第40話

 

「ただいまー」

 

 魔王城の玉座の間にカレンはやってきた。

 玉座の間にはリナとアトラシア、レイが居る。

 

「あれ、知らない人がいる」

 

 カレンはアトラシアとは初対面だ。

 

「うむ。初めましてじゃな。わらわはアトラシア・ドレッドムーン。真祖の吸血鬼(トゥルーヴァンパイア)じゃ」

「真祖の吸血鬼……」

 

 真祖は吸血鬼の中でも上から三番目の段階だ。

 更に上に始祖の吸血鬼というのがいる。神祖の吸血鬼の始まりだ。

 その吸血鬼は人の世界に関わらずある島に城を作りひそかに暮らしている。

 アトラシアは元その城の勢力ブルートの一員だった。

 

「それでじゃ、ちょっとおぬしたち黒風に依頼したいことがあるんじゃが、いいかな?」

 

 ニヤリ、とアトラシアは笑みを浮かべた。

 

 

 ■

 

「ネクロポリスの事変解決……」

 

 おおよその話をカレンはアトラシアから聞いた。

 魔王城の客間でカレンは頭を捻らせる。

 相手が最悪元魔王軍幹部となると自分たちではてこずるどころか敗北、死ぬかもしれない相手だ。

 リスクをとってまで受けるような物じゃないという正論とカレン個人の父と関りのある者からの依頼を断りたくないという思いが交差する。

 

「私としては受けようと思います。けどパーティメンバーと相談してからでいいですか?」

「構わん。暫くは魔王城に滞在するから決めたら連絡をくれ」

「ありがとうございます」

 

 そうしてカレンは魔王城を出て聖王国に取っている宿に戻った。

 

「ただまー」

「おかえりー」

 

 宿の部屋に戻ったカレンに返事をするのはエルミナとデヴォンだ。

 

「新しい依頼の話があるんだけど、相談いい?」

「おう、いいぞ」

「構いませんわ」

 

 そうして椅子に座って三人相談する。

 

「ネクロポリスですか……」

 

 一通りの話を聞いたエルミナが呟いた。

 

「やっぱ天使としてはアンデッドの依頼を受けるのは……てきな?」

「いえ、アンデッドの方にそう言った思いはありません。受けたく思います」

 

 エルミナはにこりと笑った。

 

「俺も問題ないぜ。黄金級初の依頼だ。腕が鳴るな」

「そう……ありがとう、二人とも」

 

 よし、とカレンは立ち上がった。

 

「じゃあ、さっそくネクロポリスへ行こう!」

「おう!」

 

 

 

 

 

 ■

 

「ついたぞ。ここがネクロポリスじゃ」

 

 翌日。黒風一行はネクロポリス前に<転移門>(ゲート)で来ていた。

 旅の道中全カットだが仕事は早い方がいいとアトラシアが言ったのでカットである。

 

「ここがネクロポリス……なんか暗いね」

「まぁ、この都市には吸血鬼も多く住まう。更にアンデッドは種族的に暗視能力を持つから暗くても問題ないのじゃ」

「へぇ……」

 

 などと話しながら一行はアトラシアの屋敷に向かう。

 当面はアトラシアの屋敷で暮らすことになるだろう。問題の堕天使をどうにかするまで。

 

 街道を歩いて行く。

 街の作りは整備されている。二百年の歴史を持つ都市だが毎年整備されている為時代にあった進化をしている。

 

 通行人は吸血鬼やスケルトン、ゾンビなどのアンデッドが大半だ。生者である黒風一行を興味深い目で見ている。

 知性の無いアンデッドは衝動的に生命を襲うが知性あるアンデッドはその衝動がないため問題ない。

 

 歩いているとでかい城に到達した。

 

「でっか」

 

 思わずそう言葉が漏れるぐらいにはでかかった。

 百メートルほどの高さがある紅い城だ。塔が四つ生えている。

 

「ふふん、凄いじゃろ。といってもまぁわらわの城じゃないんじゃがな」

「え、そうなの?」

「ああ。この城は借り受けているだけじゃ。所有権は神祖様にある」

「真祖様?」

「真祖ではなく神祖、じゃ。全ての吸血鬼の元ととなった御方じゃ。わらわも一度しかお目にしたことがない」

「へぇ……」

「さ、中に入ろう」

 

 門が自動的に開いて行く。

 中に入ると其処は玄関だ。靴を脱いで上がっていく。

 

 そうして玄関に上がると執事がやってくる。

 執事のスケルトン・ウォーリアーだ。レベルは二十。

 骸骨が執事服を着ている。眼孔には赤い炎が灯っている。

 

「ようこそお客人。私が皆様を客室まで案内させていただきます」

「よろしくお願いします」

 

 カレンは小さく頭を下げた。

 

 そうして一行は客室に案内され、一晩ぐっすり眠って移動の疲れをとるのだった。

 

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