宇宙人から好かれています 作:モブ地球人
私もメアちゃんといちゃいちゃ舌入れキスしたいです(性癖開示)
「ケイくん、映画館と水族館、どっちが好き?」
「どっちも好き」
「じゃあどっちに行きたいですか?」
「んー……」
しばらく水族館行ってないから行ってもいいんだよなー。映画って今何やってるんだろうか。面白そうなのがあれば映画でもいいかも。
「こんな映画が上映中のようですよ。江戸時代を舞台にした映画で、評判もいいみたいです。私歴史ものの映画好きなんですよ」
「それ、歴史ものに見せかけたギャグ映画だぞ。でも面白そうではある」
広告で予告を見たことあるがかなり面白そうだった。歴史ものと呼ぶにはあまりにもギャグ寄りすぎるけど。でも俺はギャグものは大好きなのでOKです。
「じゃあ映画にしちゃう?」
「いいですよ。水族館は別の機会に行けばいいですし」
「はいよー。予約するからチケットちょうだい」
「……」
「……」
「え、なに?」
先程までのなごやかな雰囲気が一変、一触即発の睨み合いが始まった。怖い。恋する乙女怖い。
「ケイさん、私のを使ってください」
「ケイくん、わたしの使って」
「別にどっちのでもよくない?」
「よくないです! これ、見てください!」
「ペアシート……ははーん」
どうやらこのペアチケット、割引だけではなくペアシートの優先権でもあるようだ。つまるところ、どちらと一緒にペアシートに座るか選べという話なのだ。ふむ、めんどくさいことになってしまった。本当にめんどくさいことになってしまったぞい。
「ケイくん、2人でイチャイチャしながら見よ?」
「正気か? ギャグ映画だぞ? 情緒おかしくなるって」
「では一緒にポップコーンを食べましょう」
「……モモ、チケットちょうだい」
「は、はい! よしっ」
モモからチケットを受け取り、メアの分含めささっと予約を済ませる。ペアシートに座れるのは2人までなので、なるべく近い座席にはしたが、残念ながらメアは別の座席だ。メアの悲しみに満ちた表情が視界に入って心が痛い。うーむ……どちらとも付き合ってない以上、なるべく平等に接するべきなんだよな。
「もう1個映画見てもいい? この恋愛映画」
「いいですけど……」
「メア、チケットちょうだい」
「……ケイくん好き!」
「う゛っ」
ものすごい勢いで飛び込んでくるメアを受け止められず、ダイビングヘッドの直撃を受ける。痛い。でもぐりぐりと頭を押し付けてくるメアは可愛い。子犬みたい。
「ケイくん、ケイくーん、んーケイくん匂い好きー」
「メアさんズルい……でも、こういうケイさんの優しいところ、私も大好きです」
「うーん、困った。動きづらい」
前方からメアに抱きしめられ、隣に腰を下ろしたモモに腕を抱きしめられる。いい匂いがする。いい匂いパラダイスだ。同じボディソープ、シャンプーを使ったはずなんだけどな、なんで女の子はこんなにもいい匂いがするんだろう。あと柔らかい。特にモモ。
まぁとりあえずメアに笑顔が戻ったのでよしとしよう。ギャグ映画の次にガチガチの恋愛映画を見るのは感情のジェットコースターになりそうな気もするが、順番を逆にしても変わらんだろうしこの際気にしないことにする。
「ほら、いい加減離れて」
「まだ1分も経っていませんよ?」
「寝る」
「えー、もうちょっとこうしてたいなー」
「明日があるんだからいいだろ」
「……明日はこうしてていいってこと?」
「そういうつもりで言ったんじゃないが、確かにそう受け取れる言い方だな……」
どちらにせよ2人がその気になったらこちらに拒否権はないのだ。力では絶対に勝てないので、手を握られようが腕を組まれようが振り解けない。
「デートが終わるころにはケイさんの方からくっついてくるようにしちゃいますから」
「まぁ、頑張って」
「私達なしじゃ生きられない体にしてあげますね」
耳元で囁かれる。うーんASMR。耳がぞわぞわする。俺の耳が敏感だったら耐えられなかった。
「メアとモモはそこの布団使って」
「3人でそのベッドは狭いもんね」
「そもそも1人用のベッドだからな」
「2人でも結構ギリギリだもん。そろそろダブルベッドにする?」
「しない。そもそも君と一緒のベッドで寝ることは想定してませーん」
「ケイさんケイさん。私もケイさんと一緒のベッドで寝てみたいです」
うーん、困った。少し頬を赤らめ、上目遣いでモモからお願いをされる。理性崩壊云々の前に、誰かと一緒だと暑苦しくて寝づらいんだよな。冬なら大歓迎なのに……。
「……どうしても一緒に寝たい?」
「もちろんです」
「ダメでーす。一緒には寝ませーん」
「……メアさん、今ここでケイさんを気絶するまでボコボコにして、2人の間に寝かせるのもアリだと思いませんか?」
「アリじゃないよ。ボコさないで。怖いよ」
「気絶させるのはアリだけど、力加減できる? ケイくん結構貧弱だよ。モモちゃんの植物でどうにかできない?」
「なるほど……ではニャンニャン草でも使ってみましょうか」
「うーん、寝るが勝ち。おやすみー」
なんとなくで煽ってみたらモモを怒らせてしまったようだ。気絶させるだのボコボコにするだの、物騒なことを言っている。怖いよぅ。どうやらモモの親は”他人をボコボコにしてはいけない”という常識を教えていない様子。まぁ父親のギドさんがあんな感じだし、むしろボコボコにしろと教えられているかもしれない。
そしてニャンニャン草ってなんだよ。なんか言葉の響きがいやらしい。何をされるかわからないので、こういう時はとっとと寝てしまうに限る。寝てしまえば2人も乱暴な手は使ってこないだろう。代わりに無防備になるので簡単にベッドに潜り込まれてしまうのだが、まぁ仕方がない。謎のニャンニャン草を使われるよりマシ。
「ケイさんが寝たら2人で潜り込みましょう」
「そうだね。でもモモちゃんも寝ちゃってたらわたし一人でやっちゃうよ」
「それは私も同じよ」
やっぱり。だが対策しようとするとずっと起きていないといけないので、諦めてとっとと寝てしまおう。おやすみなさーい。
「失礼しまーす」
「ん……」
両隣からゴソゴソという音が聞こえる。そのせいで目が覚めてしまった。多分2人が潜り込んできたんだろう。眠い……。
「うふふ、ケイさん可愛い」
「いいなー」
「私がじゃんけんで勝ったんですもの、ケイさんの寝顔は独占ですよ。はぁ、なんて可愛い寝顔……今すぐ食べちゃいたい……」
いつも壁の方を向いて寝るから、どちらが俺の正面を陣取るか勝負していたのだろう。まぁ寝てないんですけどね。
あの、唇ぷにぷに触るのやめてもらっていいですか。すっかりスヤスヤだと勘違いしているのか、モモはやりたい放題だ。熱い吐息が顔にかかって、その、少し興奮してしまう。起きないとマジで食べられちゃうかもしれない。
『このまま寝たふりを続けて。何があっても』
こいつ、直接脳内に……サイコダイブでつながったメアに思考を直接流し込まれる。寝たふりし続けないといけないならいっそ寝たいのだが。
『ダメー』
えー、絶対面白がってるだろ。モモにじゃんけん負けた腹いせか? 勘弁してほしい。ていうか狭い。
『襲われそうになったらわたしが守ってあげるから。約束破ったら村雨せんぱいのこと言いふらしちゃうからね』
それは困る。静ちゃん先輩との約束を破るわけにはいかない。メアからムカムカした感情が流れ込んでくるが、まぁ、うん。だって静ちゃん先輩は日ごろからお世話になってる尊敬できる人だし。
「ほんと、ケイくんって罪な男の子だよねー。わたし達侍らせるし、他の女の子にも手出してるし」
「……いきなり何?」
「なんとなく。でもモモちゃんもそう思わない?」
「うーん、そこまで他の方に手出してます?」
「出してるよー。リトせんぱい程じゃないけど。ヤミお姉ちゃんとも村雨せんぱいとも仲良しだし」
失礼な。静ちゃん先輩とは確かに仲は良いが、それ以上でもそれ以下でもないんだぞ。デートなんてしたことないし、学校ですれ違ったら立ち話する程度だ。静ちゃん先輩からしても可愛い後輩程度にしか思っていないだろう。
ヤミに関しても、たまに遊ぶ……というより強制連行される程度の仲でしかない。むしろメアとの関係の進展を聞いてきたりして、メアのことを気にかけている様子だった。恋愛感情なんてないだろう。もしこれが『妹の恋愛も気にしつつ、意中の相手の気持ちを聞いちゃおう』的な作戦なのだとしたらあまりにも可愛すぎる。ただでさえ普段から可愛いのに。
「いいんじゃないかしら。ケイさんが女性に興味を持つのはいいことですし。それにどれだけライバルが増えようと、最後に勝つのは私だから」
「最後に勝つのはわたしだもーん。わたしが一番で、ヤミお姉ちゃんが二番、モモちゃんは三番目かなー」
うーん、照れくさい。特にメアとは精神が繋がっているため、好きという気持ちがダイレクトに伝わってきて嬉しいけど照れる。こう見えても純情な一般男子高校生なのでね。
「いいえ、最後に選ばれるのは私です」
「……モモちゃん。ケイくんでもやらないの、あの計画」
「もちろん実行しますよ。私もメアさんも、2人とも幸せになるためにはこれしかないから」
計画とはなんぞや。変な計画に巻き込まないでほしい。……もしかしてあれか、結城先輩がぼやいてたハーレム計画とやらか?
「でもその前に、しっかりと私に惚れてもらって、デビルークに婿入りしていただかなくては」
本人曰くモモは王女様らしく、彼女の母国のデビルークでは王族の一夫多妻は普通の感覚らしい。故に結城先輩をデビルークの王にして、結城先輩にベタ惚れな方達を皆娶る、というのがハーレム計画とやららしい。あの人良い人すぎてモテまくりだからな。彩南町で一番のモテ男である。
で、だ。どうやら俺も巻き込まれてしまうらしい。ハーレム計画を実行するのは構わないのだが、俺が2人に同時に惚れてしまってからにしてほしい。モモだけに惚れたらモモと結婚するし、メアだけに惚れたらメアと結婚するし。
「んんっ」
「メアさん? なんですか、いきなり」
「ケイくんが、結婚なんて言うから……」
「……ケイさん、もしかして寝たふりしてます?」
いいえ、寝てます。ぐっすり寝てますよー。メアのせいでバレたのだから、メアからもフォローしてほしい。
「おーい、起きてますかー? 起きてますよねー?」
「……」
「なんでそんなに寝息の真似が上手いんですか。そもそも今更寝息を立てたところで意味ないですよ。先程まで静かだったのに……ケイさん、今起きてくれたらイイコトしてあげますよ」
別にしてもらわなくていいなぁ。とりあえず寝かせてほしい。
「わっ、ケイくん、やっぱりわたしの方がいいのー?」
「むっ」
メアの方に寝返りをうつとぎゅーと抱きしめられる。暑苦しいけど、イイコトとやらをされるよりは寝やすいか。いつものことだから慣れてるし。
「ケイくんに色仕掛けは通じないよ。モモちゃんもまだまだ甘いねー」
「くっ……」
「色仕掛けもモモの武器の一つではあるだろ。誰にでもできるわけじゃないし。まぁ俺は色仕掛けされるより、昼休みみたいに一緒にまったり過ごす方が好きだけど」
「……私も、あの時間が大好きです」
ぴたりとモモが背面に引っ付いてくる。うーん、本人は意識してないのだろうが、豊満なお胸が押し付けられて勝手に色仕掛けになってしまっている。まぁこれもモモの武器だし。とりあえず目の前でニヤニヤするメアの頬を引っ張っておく。
「あうー……もう寝たふりやめるんだ」
「だってバレたし。メアがバラしたようなもんだから、あの約束は無効だからな。てか勝手に取り付けられた約束だし」
「わかってるよー」
「もう寝てもいい?」
「うん、いいよ。明日もあるもんね」
「じゃあ寝る。おやすみー」
「おやすみなさい、ケイさん、メアさん」
「うん、おやすみ」