宇宙人から好かれています   作:モブ地球人

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お静ちゃん好き好きチャンネルです。対戦よろしくお願いします。


The cutest girls ~ 心を狙い撃ちされてるし、命も狙われています ~

「ケイくん、ケイくーん」

「なに?」

「えへへ、呼んだだけー」

「そ」

 

 うーむ、周りからの視線が怖い。まるで二股屑男を見るような視線だ。失礼な、どちらとも付き合ってないし、なんなら告白すらされてないから、二股じゃなくてただの女友達とのお出かけですわよ。さーてと、映画館はまだかな?

 

「あのお店のクレープ美味しいんだよ。一緒に食べよー」

 

 テンションの上がったメアはいつもよりスリスリくっついてきて、時折ぎゅーっと手を握りしめてくる。可愛いし温かい。普段から抱きつかれたりしているが、手を繋ぐと抱きつかれるのとはまた違った気持ちになるな。堕とされそう。

 

「さっき朝飯食べたところでしょーが。お昼にはまだ早い」

「女の子にとっては甘いものは別腹なんですよ」

「そうそう」

 

 そんなこと言ってたら太るぞ、という言葉は禁句だろうから口を噤む。昔たい焼き爆食いお嬢様部のヤミに同じことを言ったらトランスでボコボコにされてしまったのだ。その後1週間くらい口を利いてくれなかった。人は学習する生き物である。

 

「……ケイくん

なに?

後ろ。尾行されてる

マジ?

 

 ちらりと後ろを見るが、人通りがあるのでさすがに分からない。メアは殺気とかで気づいたのだろうか。

 

「2人で内緒話してズルいです。私も混ぜてください」

「なんでもないよー」

「ズルい……」

 

 狙いはモモか、あるいはメアか。モモはデビルークの第三王女らしいし、狙われてもおかしくない。メアもなんか賞金稼ぎ的なことをやってたらしいし、どこかで恨みを買ってるかもしれない。

 何が狙いかは知らないが、俺なんかで2人を守れるだろうか。武器なんてないし、もちろん素手ではクソザコパンチしか繰り出せない。

 ザスティンさんを呼ぶべきだろうか。そろそろ原稿の締め切りだろうし忙しいかもしれないが、なんかデビルークの親衛隊が本業らしいし、呼べば駆けつけてくれるだろう。なんかかっちょいい剣持ってたし、ザスティンさんならやっつけてくれるはず。

 

「大丈夫だよ。尾けてるの、ナナちゃんとララせんぱいだから」

「あ、そうなの?」

「ほら、あの脇道のところ見て」

「んー? ……あっ」

 

 メアが指差した先、人の姿は見えないけれど、わずかながらピンクの髪と黒い尻尾が見える。それも2人分。メアの言う通りナナとララ先輩のようだ。

 よかった、メアとモモを狙う不届者はいなかったようだ。まぁ代わりに俺が狙われているのだが。気のせいかもしれないが、ナナの尻尾がこちらを向いているような気がする。もし俺がケダモノ行為をした時に即座に殺せるようにだろうか。命だけは助けてクレメンス。

 

「何の話です?」

「君のお姉様方が尾行してるみたいよ。ほれ、あそこ」

「……お姉様に、ナナまで……ちょっと待っててください」

「まぁまぁまぁ。いいじゃないか」

 

 珍しくブチギレた表情になったモモが2人のもとに向かおうとしたので、どうどうとあやす。VMC以外にキレてるのは初めて見たな。

 

「ナナってばケイさんのことをケダモノ扱いしてるんですよ。きっと今日もケイさんを監視しに来てるに決まってます」

「モモのこと心配してるんだよ。ナナにとってモモは大切な家族なんだし」

「ですが……」

「今日一日じっくり監視してもらって誤解を解けばいいじゃん。俺はケダモノじゃないってさ。ほらほら」

「ひゃっ……いきなりすぎますよぅ、心の準備が……」

「だってそろそろ30分経ったし」

 

 モモの手を強引に握り、進行方向に引っ張る。そろそろメアと交代の時間だ。モモの手はモチモチで柔らかい。そして温かい。恥ずかしがる表情もキューティー。堕とされそう。

 傍から見たら完全に女の子をとっかえひっかえしてる屑男なので、ますますナナの警戒心が強くなってしまう気がする。が、一旦目を瞑る。目を瞑ってその問題と向き合わないことにより、実質その問題を解決したと言ってもよいってティアーユ先生が昨日のHRで言ってた気がする。

 

「ね、モモちゃん。きっとナナちゃんもケイくんの良さを分かってくれるよ」

ぶっちゃけ面倒ごとに巻き込まれたくないだけだけど

「ケイくんは黙ってて。……まぁナナちゃんにデートの行き先教えたのわたしだけど」

「おい」

「だって聞かれたんだもーん」

「……分かりました。ナナが分かってくれるかはわかりませんけど、お二人がそう言うなら」

「ん、分かってくれたならよし」

 

 とりあえず丸く収まったようだ。面倒事に巻き込まれたくないのもあるが、できることならナナとも仲良くしたい。クラスメイトなんだし。あと可愛いし。わずかでもいいから仲良くなるきっかけがほしい。

 ちなみに、後ろをちらりと見るとナナと思しき手が壁をメキメキ粉砕していた。怖い。手を繋いでとっくに恋する乙女モードになったモモの目には映ってない様子。双子だし、モモもあんなことできるのだろうか……モモと繋いだこの手、大丈夫かなぁ?

 

「んふふ、ケイさーん」

「なに?」

「なんでもないでーす」

「そ」

 

 ふむ、今のところ上機嫌そうだ。モモの機嫌を損ねないよう気を付けていれば俺の手の安全は守られるだろう。でもナナの機嫌については話が別。殺されるならビームで殺されたい。

 

「最初に見る映画ってこれだっけ?」

「そうそれ」

「ふーん……モモちゃんもこういうギャグもの好きなの?」

「嫌いじゃないけど、歴史ものの方が好きですよ」

「歴史ものなの、これ?」

「びみょーなところ」

 

 少なくとも正統派な歴史ものではない。100人に聞いたら90人はギャグものと答えるだろう。

 

「そういうメアさんは?」

「えっちぃ映画ー」

「そんなもん全国の劇場で公開できるわけないでしょうが」

「ちょっとベッドシーンがあるくらいのやつだよ。ガッツリえっちぃのも好きだけど」

「うんうん、分かるわ」

「だよねー。モモちゃんなら分かってくれると思ってたよ」

 

 会話の内容が男子中学生レベルだ。まぁ2人の実年齢は中学生なので妥当なのかもしれないが。というか道の真ん中でこんな会話しないでくれ。俺までそんな奴だと思われてしまう。

 

「ケイくんの好きな映画のジャンルは?」

「んー、アクションものかなー。パルクールとか格闘とか超かっこいいし」

 

 俺もヌンチャクブンブンして、敵をバッタバッタなぎ倒したい。何十年かかってもいいから少林寺拳法を極めてサッカーしたい。

 

「あー」

「何だよその反応」

「ケイくんそういうの好きそうだなーって。背負ってパルクールしてあげよっか?」

「いや、いい。実際にやったら怖そうだし」

「えー」

 

 というか実際怖かった。前にヤミにやってもらった時にめっちゃ恐怖を感じたので、自分ではもうやりたくない。その時はおんぶじゃなくてトランスで簀巻きにされた状態だったけど。図書館に強制連行される時にお願いしてやってもらったのだ。いつも連行されてるんだし、たまにはこういう我儘も許されるでしょ。

 

「……何か隠してます?」

「何も隠してないけど? そんなに俺怪しい?」

「そういうわけではないのですが、その、乙女の勘的な……」

 

 恐ろしいなー乙女の勘。このことがバレて対抗心を燃やされたら絶対に面倒事になる。それは避けたい。

 ヤミと一緒にいる時、メアと一緒にいる時、モモと一緒にいる時、それぞれ過ごし方は違うけど、どれも俺にとっては大切な時間なのだから、それで満足してほしい。誰が一番とかないんですよ。

 そもそもヤミとの恋愛関係は微塵もないんだし。多分。きっと。メイビー。連行されてたまに遊びに行ってるけど、デートじゃないしセーフだよね。ヤミもデートだとか言ったことないし。

 

「きっとまた元カノ関連だよ」

「もう……今は私達がいるんですよ? いい加減引きずるのはやめてください」

「いや、まったく引きずってないし、むしろ君達の方が引きずってない?」

 

 そんなに過去の女が気になるのだろうか。乙女心はわからん……いや、もし静ちゃん先輩に過去の男がいたら俺もめっちゃ追求したくなるし、気が気でないかもしれない。それと同じなのかもしれない。つまり俺は静ちゃん先輩に恋してる乙女、ってコト!?

 

「そういうモモこそ過去の男いないの? 王女なんだろ、縁談の1個や2個あるんじゃない?」

「いえ、縁談なんてしたことありませんよ」

「そうなの? モモちゃん可愛いのにー」

「私は第三王女だから、縁談は第一王女のお姉様に集まるのよ。お姉様と結婚すれば次期デビルークの王に……つまり銀河の支配者になれるから」

 

 銀河の支配者ねぇ、なんだかめんどくさそうだ。モビルスーツに乗って銀河中を駆け巡れるのであれば、支配者になるのもやぶさかではないけど。

 

「デビルークにモビルスーツってないの?」

「ありません。研究もされてません」

「宇宙中探してもないんじゃない? 銀河大戦も終わっちゃったし」

「えー……」

「もし仮にモビルスーツがあったとしても、お父様なら簡単に落としてしまいそうですし」

「君の父上こわ。怒らせないようにしよ」

 

 モモを泣かせでもしたらギドさんに消し炭にされちゃう。なんなら炭すら残らないかもしれない。せめて炭くらい残ってないと捜査とか葬式とか大変だろう。消し炭からDNA検査できるのか知らんけど。

 

「わたしもケイくんくらいなら消し炭にできるよ?」

「私だってそれくらいできます」

「そんなことで張り合わないでくれ」

 

 ぴえーん、怖いよー。やっぱり静ちゃん先輩が一番だ。念力使えるし、かといってそれで消し炭にしてきたりしない。それに可愛い。メアもモモもめちゃくちゃ可愛いが、個人的な好みは静ちゃん先輩。VMCに対抗して、俺もV(ヴィーナス)S(静ちゃん先輩)C(クラブ)を立ち上げるか。

 

「もー、また別の女の子のこと考えてるよねー?」

「違うよ、そんなことないよ」

「そんなことあります。だって映画館に着いたのにそのまま通り過ぎようとしてますもん」

「あっ」

 

 気づけば映画館を少し通り過ぎていた。いかんいかん。

 

「いつもは周りが良く見えてるのに、こうやってぼーっとしている時はいっつも女の子のこと考えてるんですから……」

「否定はできない。でもモモとかメアのこと考えてた可能性もあるだろ?」

「そこは乙女の勘です」

「勘かー」

「ヤミお姉ちゃんのこと考えてた?」

「違うよ」

「村雨せんぱいのこと?」

「チガウヨ。いてっ」

 

 メアには横腹を殴られ、モモには手を握りしめられる。痛い。特にモモ。手が壊れるか壊れないかギリギリのラインで力を込めてくる。

 

「ちょ、ギブギブ」

「うふふ」

 

 口元はにこやかだが目が笑っていない。ギドさんもヤバいが、モモも怒らせるとかなりヤバいらしい。消し炭にされちゃう……。

 

「ケイさん。女の子とデートしている時、他の女の子のこと考えちゃダメですよ。お姉様とナナは尾行されてるのでギリギリセーフとしますが、ヤミさんとお静さんはアウトです」

「そうそう、デートの基本だよ」

「そもそもデートじゃないし」

「いい加減認めなよー。誰がどう見てもデートだって。折角だしナナちゃんに聞いてみる?」

「では私はお姉様に」

 

 何が折角なのか分からないが、2人してスマホでチャットを打ち始める。どんな反応をするのかと気になり後ろを振り返ると、ナナは隠れていて見えないが、ララ先輩はこちらが見ていることに気付いてにこやかに手を振ってくれた。可愛い。さすがモモとナナのお姉さんだ。というかこんなにバレバレで尾行と呼べるのか?

 

「ナナちゃんはデートだって言ってるよ。ケダモノって言ってるし、しぶしぶって感じだけど」

「お姉様もデートだって言っていますよ」

「ならデートかぁ」

「うん、デートだよ」

 

 2人とも腕を絡めてくる。うーん、人目が気になるぅ。そして後方ナナから怒りの波動を感じる。マジで殺されてしまうかもしれない。

 

「これからはデートじゃないって言っちゃダメですよ。他の女の子のことを考えるのも禁止です」

「分かったよ。これはデート、これはデート。静ちゃん先輩のことは考えちゃダメ」

「なんか言い聞かせてません?」

「そんなことないって」

 

 個人的にはこれがデートということに若干違和感があるが、ララ先輩とナナも2人と同意見なら受け入れるしかない。

 

「約束破ったら何してもらう?」

「そうね……私達の好きなところを1つずつ言ってもらうとかどうかしら。私達も嬉しいし、恥ずかしがるケイさんも見れますし」

「それ素敵っ!」

「ということでケイさん、次に約束を破ったら、私達の好きなところを1つずつ言ってもらいますからね」

「はいはい」

 

 微笑ましい罰だ。2人の好きなところはパッと思いつくとこでも10個くらいは言えるし、10回は静ちゃん先輩のことを考えられるのか。余裕だな。ちなみに静ちゃん先輩の好きなところは30個くらいは言える。




主人公はお静ちゃん好き好きクラブの会長です。
でも同時にメアちゃんとモモちゃんのことも同じくらい大事に想っています。
ヤミちゃんも同じくらい大事、ナナちゃんとも同じくらい仲良くなりたいと思っています。

最近お静ちゃんの可愛さに悩殺され気味なので、お静ちゃんの話題を出しすぎかも。
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