転生者『虚飾の魔女』(なお中身)   作:白金の絹糸

1 / 34

 リゼロ3期パンドラ再登場記念に初投稿です(周回遅れ)




原作開始前
転生?


 

 

 目が覚めた時、何かがおかしいと直感した。

 

 だって、普通におかしいよね? なんでこんな大自然のど真ん中で寝てるんですかね。ふかふかのベッドはどこ行った? 

 森の中、土の上に寝転がっていた記憶なんてもちろんない。というか、ここどこ? もしかして誘拐されて森の中に捨てられた? 洒落にならないんですが。虫とかいそうだし。ほんと最悪。

 

 ひとまず現在地を、とポケットを探ろうとして気付いたが、纏っている服がパジャマではなくボロボロの布切れになっている。気付いてみれば肌触り最悪。肌荒れそう。もちろんスマホなんてなく。

 

「あーもぉ〜〜んんん!?」

 

 一体どういう状況か分からず、せめてもの抵抗として悪態をついてやろうとして、声がおかしくなっている事に気が付いた。

 

「あー、あー、あー……」

 

 普段のガサガサ声とは似ても似つかない甘ロリな感じの美声。

 

「あー、コホン。あー、いー、うー」

 

 あるいはツンデレキャラの金字塔(個人調べ)とも言えるその声は。

 

「くぎゅうボイス!?」

 

 くぎゅうこと釘○理恵様のお声そのもの。

 間違っても真似など出来るはずもないその声。それが、こんな間近で……! 耳が妊娠してしまう! というか脳全体が妊娠してしまう! 

 

「くっ……」

 

 まずい……うっかり喋ると脳が溶けてしまいそうだ。

 モノマネのようなパチモンではなく、正真正銘本物のくぎゅうボイス。私の魂がそう言っている。

 

「あ……ぁふん……って、汚い!」

 

 一言“あ”と呟くだけでゾクリとした感覚が駆け巡り、身体を抱くようにして、身に纏っているのが汚い布切れであるのを思い出した。

 

 まずは何かきれいな服を探さなくては。

 普通に夢な気もするし、こんなトンチンカンな状況夢ぐらいしかあり得ないとは思うが、いくら夢の中とはいえボロ切れを着ている状態はさすがに耐えられない。

 

 ▼△▼△▼△

 

 で、色々歩いたりしてみて分かったこと。

 

 その1。

 私の身体はどうやら声帯だけでなく全身が変わっているようで。まぁ、視界の隅に白金の髪がチラチラ見えていたから変わっているんだろうなぁとは思っていたが、川があったので覗いてみれば、なんとパンドラ様の姿。

 念のために説明しておくと、私が言うパンドラ様は『Re:ゼロから始める異世界生活』という作品に登場するキャラクター(CV:くぎゅう)の事だ。白金の髪を持ち、身には白いポンチョのような布一枚を纏った絶世の美少女。作中では色々と暗躍していたが、アニメ版での洗脳ASMRによって堕ちた視聴者は数知れず。

 

 その2。 

 ここは日本語を話す人間たちが生活しているにも関わらず、明らかに日本ではないということ。というか、流魂街(るこんがい)ってなに……? 魂が漂ってるの……? 最初に会った人が流魂街って名前しか教えてくれなかったから全然分からない。というか、治安が終わり過ぎている。

 

「そこで大人しくしとけ。お楽しみはもうすぐだ。けひひっ」

 

 最初に声をかけた男に拉致された私。両手を後ろで結ばれ、どこかから奪ってきたのであろう物々と並べるように転がされていた。

 たまたま運悪く悪人に声をかけてしまったのかと思ったが、他の人も助けるどころか“いいぞいいぞー”みたいな事を言っていたので、全体的に終わってるのだと思う。

 

「痛……」

 

 “お楽しみ”が何なのか、想像出来ないほど子どもではない。

 つくづく夢なら早く覚めてくれという状況だ。とても声帯がくぎゅうで容姿がパンドラ様だったとしても取り返せる悪さではない。

 

 冷たい床に転がされた形のまま、首を動かして周囲を見渡す。適当に放置されているように見えるのは、剣や槍などの武器たち。ここが武器庫ではなく、盗られた物だと思ったのは、その中に明らかに戦う用ではない宝石コテコテ装飾のものがあったり、隅の方に申し訳程度の宝石類が見えたからだ。

 

 せめてナイフでも落ちてないかと縛られた手を背中越しに動かす。

 そうすると、何かが手に触れた。

 

『招こう──魔女の茶会へ』

 

 こ、この声は!! 

 

 ▼△▼△▼△

 

 見渡す限りに青々とした草が生い茂り、空には一面の青色と一部を遮る白い雲。

 小高い丘の頂上を見れば、白い丸テーブルにパラソル。そして、椅子に腰掛ける純白を黒で彩ったような女性。

 

 魔女の茶会だ、これ! 

 その女性は『強欲の魔女』エキドナ。美しすぎて直視出来ない! 

 

「まずは座ったらどうだい?」

「え、あ、はひ……」

 

 そう言われたので、お言葉に甘えて丘を登り、向かい合うように置かれたもう一つの椅子に腰を下ろす。

 

「よく来たね。天上の観覧者」

 

 目を直視するのはちょっと無理で、かといって少し目線を下にズラすと胸をガン見しているようになって、もっと目線を下げるとテーブルの上に二つのティーカップが用意されていた。ファンの間でドナ茶と呼ばれているものだ。エキドナの体液でできているらしい。飲んでも良いのだろうか。

 

「せっかく用意したんだ。飲んでくれて構わないよ」

「あのっ、体液って、どの体液だったり……?」

「どの体液だろうね?」

 

 魔女の茶会が行われるここは、エキドナの精神というか夢というか、そんな感じの場所だったはずだ。しかし、自分の身体を見直してみても、相変わらずパンドラ様の姿のまま。ただし、衣服が汚いボロ切れからお馴染み白ポンチョに変わっていた。

 

「さて。話をしようじゃないか、天上の観覧者。その姿には、言いたい事はあるけれどね」

「聞きたい事が多すぎる……!」

「ゆっくり話そうじゃないか。ボクも、君には興味がある」

 

 ニコリと微笑まれる。

 あっ、顔が良い……! 

 

 ▼△▼△▼△

 

 で、さらに色々と分かったこと。

 

 その1。

 なんとなく分かっていたが、これは夢でも何でもなく、私はいわゆる異世界転生というものをしたらしい。それで、なぜかはよく分からないが、パンドラ様の姿に転生したってワケ。

 確かにリゼロは好きだし、その中の最推しはパンドラ様だったから、それが理由だったりするのだろうか。

 

 その2。

 ここはリゼロ世界ではない。まぁ、ある意味助かったとも言える。だって、本物のパンドラ様と間違えて襲われたりしたらたまったものじゃないし。実際にした事はないが、コスプレにも興味がないではなかったので、この身体に文句はないとはいえ、さすがに人違いで襲われるのは困る。

 

 その3。

 この魔女の茶会が行われているのはエキドナの夢の中ではなく、私の精神でできた世界らしい。私の精神ならもっと別の形なんじゃ? と思わなくもないが、そうらしい。斬魄刀とはそういうものだとか。

 斬魄刀とは? と思ったが、茶会に招かれる直前に触れたものが斬魄刀という刀らしい。なんか、始解とか卍解とかいうのをする事で能力を引き出す事が出来るらしく、エキドナはその斬魄刀の化身のようなものだと。

 

 あー、はいはい卍解ね。

 つまりアレね? ここブリーチの世界ってワケ? 

 

 知ってるよ卍解。あの必殺技みたいなやつでしょ? 知ってる知ってる卍解。ビームでも出るの? 

 

 “あまり強い言葉を使うなよ”ってヤツ? 

 うーわ。ブリーチ全然知らないんだけどどうしよ。ネットで有名な名言みたいなヤツしか知らないんだが。こんな事になるならちゃんと読んでおけばよかったよ。

 

「そうは言っても、どうやらボクたちは特殊な例のようだ。君が望むなら、始解でも卍解でもさせてあげようじゃないか」

「ちなみに叡智の書でこの世界の事を知れたりとかは……」

「残念ながら、知る事が出来るのは君がリゼロ世界と呼ぶ世界のものだけだね。それも、君が知るより以前のもののようだが」

 

 エキドナが作中において弟子や娘に渡した黒い『叡智の書』ではなく、エキドナ本人が持つ白い『叡智の書』は世界の歴史とも言うべき事実が記された書だ。それがこの世界の歴史にも適応されるなら、色々と知れて便利だと思ったのだが、どうやらその案は使えないらしい。

 

「あっ、今役立たずとか良くない事を考えただろう!?」

「いやいや、まさかそんな……」

「どうやら君は忘れているようだ。今、現実世界で君の身体がどうなっているか」

「あっ……!」

 

 そういえば完全に忘れていたが、今の私は誘拐されて貞操の危機なのだった。

 

「ど、どうしたら……?」

「ふっ、そのためのボクさ。戻ったらこう唱えるといい──」

 

 ▼△▼△▼△

 

 意識が浮上する。

 相変わらず冷たい床に転がったままだ。せっかく良い気分だったのに、最悪の気分だ。

 私の最推しはパンドラ様だが、リゼロのキャラクターはすべからく愛している箱推しだ。もちろんエキドナだって推しなワケで。推しとの会話から一転コレである。

 

 ともかく、戻って来る前にエキドナから教えてもらった詠唱的なヤツ。

 

「確か…………遍く叡智をこの手に──『強欲の魔女(エキドナ)』」

 

 直後、背中越しに触れていた刀の形が変わっていく。

 

『無事に始解出来たようだね』

 

 さらに、目の前にエキドナが現れた。

 エキドナは屈むと、ツンツンと私の頭をつついてくる。

 

『始解とは言っても、ボクのこれは刀で直接戦うようなものじゃない。見た目は君も知っての通り叡智の書。もちろんこれで殴ったりするのもおすすめしない』

 

 ひとりでに白い書が浮かび、エキドナの周囲をくるくると回る。

 

『ボクが与えるのは叡智、その一端さ。まずは手短に、魔法を』

 

 精神世界じゃないのに普通に現れているのはなんで? とか聞きたい事はあるけど、まずは手を縛ってるのを解いてほしい。ツンツンしてないで。

 

『本当は術式を一から形成する必要があるのだけどね。君は馬鹿だから特別だ。ただ唱えるだけでいい』

 

 ねぇ、今私のこと貶す必要あった? 

 馬鹿なのは否定しないけどさ。

 

『──シャリオ、と』

「え? シャリオ?」

 

 直後、白光が瞬いた。

 その白光は私が転がされていた部屋の壁をブチ抜き、さらにその向こうの壁、さらにさらにその向こうと、どこまでもブチ抜いていった。

 

「…………」

『どうやら成功したようだね』

 

 いやいやいや! 

 成功したようだね、じゃないんだけど! 

 

『さあ、まだ見ぬ世界へ共に踏み出そうじゃないか』

 

 そう言ってエキドナはたった今空いた穴の向こうへ歩いていく。

 

「あっ、ちょっと先に解いて……」

 

 未だに床に転がった私を放置したまま。

 

『そんなもの、『虚飾の権能』を使えばどうという事はないだろう?』

 

 えっ! 『虚飾の権能』使えるんですか!? 

 く、詳しく……! 

 





 ○パンドラガワ転生オリ主
 この度パンドラの姿でブリーチ世界に転生した元一般リゼロオタク女子。最推しはパンドラであるが、斬魄刀は『強欲の魔』エキドナ。始解では斬魄刀が白い叡智の書の形となり、エキドナの知識にある魔法の全てを使用出来るようになる。また、始解中はイマジナリーエキドナが周囲を好き勝手に動く。
 斬魄刀とは別に、『虚飾の権能』が使えるらしい。

 ○斬魄刀『強欲の魔女(エキドナ)
 人物像は基本的にリゼロ4章の魔女の茶会に現れたエキドナと同じ。ただし、パンドラ主の斬魄刀ではあるので100%味方。エキドナというか、茶会が行われる精神世界まで含めて本体といえる。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。