転生者『虚飾の魔女』(なお中身)   作:白金の絹糸

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九番隊のお仕事:取材編

 

 

 惣右介、要、ギンの通称藍染一派による反乱から一週間の時間が経過した。

 一護たち現世からの来訪者は九番隊隊舎の空き部屋を宿にして、尸魂界に滞在して色々と騒がしくやっていた。一護なんかは昨日も十一番隊に交ざって訓練とかしていたみたいだし。一応旅禍だったはずが、どうしてこんなに馴染んでいるのかは分からない。

 まぁ、たぶん色々とゴタゴタしたので有耶無耶になったのだろう。ルキアの件も有耶無耶になったし。一応人間に霊力を渡した事自体は惣右介とか喜助とか関係なく罪な気はするが、判決を下す四十六室もいない現状で下手につつく必要もないか。後で聞いた話だと、私が帰った後に不老不死が元柳斎に喧嘩を売りにいったのを仲裁した(させられた?)らしいので、ある程度罰は受けたと言えるかもしれない。

 

「こちらでの生活には慣れましたか?」

「ああ、結構慣れたよ。みんな仲良くしてくれるし」

「それは良かったです。隊士たちも良い刺激を頂いていますから」

 

 この一週間で一護たち現世一行とは結構仲良くなれた気はしている。斬りかかってきた時とは大違いである。

 

「私もあなた方には感謝していますし」

「アンタが俺に?」

「ええ。正直なところ、ルキアの処刑は止めようとしていましたが、その手段が思い付きませんでしたから」

 

 結局権能を使おうって最終手段を取るところだったので、掻き回してくれた一護たちには感謝しているのだ。

 

「そういえば、一週間も家を空けて家族は心配していませんか? 家族を悲しませてはいけませんよ。あなたには大切な妹もいるのですから、あまり長居しすぎないように気を付けてくださいね」

「あっ、そうだお前! じゃなくてパンドラサン、アンタなんで夏梨のこと気に入ってるんだよ」

 

 呼び方を言い直したあたり、九番隊の誰かに矯正されたのかもしれない。桃かな? 

 

「あなたは普段彼女と暮らしていて気付きませんか?」

「気付くって、何にだよ」

「彼女の声。あれはまさに天より授かりし至宝。大切に保護しなければなりません」

「はぁ……?」

 

 まだ分からないか。

 まぁ、仕方ない。人はある日突然それに気付く。私もその声に魅力されてから改めて確認してみれば、実は過去に見た作品にくぎゅうが出演していたという事があった。

 しかし、身内に拗らせると面倒な事になるかもしれないので、ある意味知らない方が幸せなのかもしれない。

 

「ところで話は変わりますが、あなたは瀞霊廷通信をご存知ですか?」

「ああ、九番隊で作ってる雑誌みたいなやつだろ?」

「ええ。せっかくですから、現世の特集を組もうかと思いまして。よろしければ、取材させて頂いてもよろしいでしょうか。織姫や泰虎も一緒に」

「それは構わねぇけど」

 

 せっかく現世の人間が訪れているという事で、特別コーナー。次号の瀞霊廷通信は現世特集だ。

 

 ▼△▼△▼△

 

「ふひひひ……」

「それではお話を聞かせて頂きますね。まずは、現世と尸魂界を比べた時に率直に感じた違いを聞きたいと思います」

「ああ、最初に思ったのは何というか……」

「ふへへ……」

「って、インタビューに集中出来ねーんだけど!?」

「あら」

 

 隊首室に一護、織姫、泰虎を招いて取材。代表して最初に答えようとした一護が、メモを取るために私の横に座っている桃へ指を向けた。

 

「さっきから変な声ばっかり出しやがって!」

「──何ですか? あたしが副隊長に任命された事に文句でもあるんですか? 裏切り者が何処かにやったからって隊長が手ずから作ってくれた副官章に文句でもあるんですか? 侮辱するつもりですか? 隊長を侮辱するつもりですか?」

「怖ぇって! パンドラを侮辱なんかしてねぇだろ!? どこをどう聞いたらそうなるんだよ!」

「パンドラ“様”」

「だぁ──っ!? やりづれ──!!」

 

 まぁ、要がいなくなってずっとなりたかった副隊長になれたからね。多少浮かれるぐらいは仕方ない。副官章もたぶん要が持っていったか、裏切る時にどこかに捨てていっただろうから、有り合わせではあるが木の板に私が文字を書いて副官章(仮)として渡したのだ。

 

「桃の事は気にしないであげてください。念願の副隊長ですから。気になるようでしたら別の方を呼びますが、どういたしましょうか」

「いや別に、良いんだけどよ……」

 

 口ではそう言いつつ、普通にやりづらそうだが、自分で良いと言ったのだからこのままいかせてもらおう。

 

「……こっちに来てまず思ったのは、なんか古いって感じ。建物とか昔ながらの木造みたいに見えたし」

「なるほど、建物。確かに、現世と比べると建築様式も古く感じるかもしれませんね。尸魂界はどうも現世に比べると技術の進歩が遅いので、技術の発展も遅れてしまいます。以前は現世も尸魂界も似た風景だったのですが、いつの間にか全く別物になっていましたね」

 

 確かにぱっと見で違うところといえば、建物系が目につくかもしれない。尸魂界は住人の寿命が長い事もあってか文化の発展が遅い。霊子が関係するものとか尸魂界限定のもの以外の技術はたぶんほとんど現世に負けている気がする。

 

「あなたたちはどうですか?」

「あたしは門番の人が大きくてびっくりしました」

「兕丹坊ですね。確かに現世で彼ほどの身体の大きさになる方はいないでしょう。魂魄だから身体の大きさに自由度が高いのでしょうか。改めて考えると興味深いですね」

 

 ファンタジー世界みたいなものだからこれまで気にならなかったが、よくよく考えてみると同じ種族のはずなのに兕丹坊とか門番の身体の大きさヤバい。兄弟か親戚かは普通のサイズなのに、何であんなに大きいんだろうか。個人差にしても限度があると思う。

 

「すまない。向かってくる死神たちへの対応に手一杯で、一護や井上以上の答えは出せそうにない」

「大丈夫ですよ。ある意味、護廷十三隊というシステムも現世と違うものですから。では、次は現世について。特に娯楽について聞かせてください」

 

 個人的にはカラオケとか音楽関係について。

 尸魂界でも流行ったら嬉しいので。

 

 ▼△▼△▼△

 

「突然悪い」

「構いませんよ。あなたも思うところがあったのでしょう。怪我はもう大丈夫なのですか?」

 

 取材も一段落した頃、冬獅郎が訪ねてきた。

 

「ああ」

「桃、お茶を入れてあげてください」

「はいっ、隊長!」

 

 隊首室。

 当たり前のようにいる桃にお茶を入れてもらい、冬獅郎と向かい合うようにソファーに座る。

 隊長という立場ではあるが、姿だけ見れば遊んでいるのが似合うような白髪の子供に見える。本人が気にしているようだから口には出さないが。

 

「さて、お話を聞きましょうか」

「そうだな……」

 

 まぁ、大体何を考えていたのかは分かる。惣右介の事だろう。

 冬獅郎は惣右介に懐いていたように見えたし、今回の件はショックだっただろう。話伝手ではあるが、惣右介に斬られたとも聞いた。

 うーん、気の毒。

 

「藍染の野郎が何を考えてたのかなんて分からねぇし、いつから裏切ってたのかも分からねぇ。それを見抜けずに暢気に奴を慕ってた俺自身にも腹が立つ」

「ええ。心中はお察しします」

 

 裏切られたという意味では私も同じだし。今思い出しても腹立ってきたな。

 

「だから言ったのに。藍染は邪な理由で隊長に近付こうとする男だから気を付けた方が良いって」

「それはお前がいつもの発作を起こしただけだろ…………っていうのもあの野郎が言ってただけか……」

 

 全然知らなかった。惣右介って私に近付こうとしてたんだ。

 

「アンタも東仙に裏切られたっていうのに、俺ばっかり悪い」

「いえ。長く隊長をしていると副隊長が変わる事は少なくありませんでしたから。あなたが思うほど傷心はしていませんよ。裏切られた事に対する相応の怒りはありますが」

「隊長を不快にさせたあんな奴ら、あたしが見つけ出して処してきます!」

「ええ、頼りにしていますよ」

 

 冬獅郎はまだ子供? だし、裏切られた事で精神的なショックは大きかっただろう。私はムカつきはしても実はそれほどダメージは大きくなかったりする。

 私としては冬獅郎がショックで寝込んだりしていなかったかの方が心配である。

 それとは別として、桃が単身で虚圏に乗り込んだりしないかも心配である。

 

「わざわざ訪ねてきたのはこんな事を言うためじゃねぇんだ」

「おや、そうなのですか?」

「ああ。今回の一件で、俺は自分自身の力不足を痛感した」

「惣右介が相手では仕方がなかったのではありませんか? 彼はあなたよりも百年以上も前から死神でしたから。経験の差というものは埋めるのが難しいと聞きますし、何より鏡花水月を隠していたのですから」

 

『すぐに他の隊長たちを返り討ちにしていた誰かさんが言うと説得力が違うね』

 

 だまらっしゃい。

 冬獅郎にはエキドナみたいなのがいないんだから仕方ないでしょうが。

 

『そうだね。君はもっとボクに感謝するべきだと思うよ』

 

 はいはい。感謝してますよ。

 

「俺を、鍛えてくれ……!」

「はい……?」

 

 ▼△▼△▼△

 

 どうやら話を聞くと、桃が異常な速度で強くなっているので、その訓練を自分にも、という話だった。

 まぁ確かに、長い間隊長をやっている私から見ても桃の成長速度は結構なものだと思う。他隊ではあるが、現在の護廷十三隊は定期的に合同訓練を行っているため、冬獅郎が九番隊と訓練するのも何ら不自然な事でもない。

 私としては桃は勝手に強くなっていった感じなので、同じように強くしてくれと言われても困るところはあるが、桃と同じような事をさせておけば良いだろう。

 

「で、何で俺は現世に来てるんだ……?」

「文句があるの? 隊長と一緒に現世に来れるなんて、そんなありがたい事なんてそうそうないんだよ? ホントは連れて来なくても良いのに隊長はシロちゃんの事を気遣って連れて来てくれてるんだよ。現世は息抜きに良いって普段から仰ってるから。シロちゃんの息抜きになれば良いって考えてくれてるんだよ。それなのに文句があるの? 信じられない、信じられない」

「も、文句は言ってねぇだろ……ちょっと疑問に思っただけだっつーの」

「次の瀞霊廷通信は現世特集を組む予定ですから。あまり馴染みのない視点からの率直な意見を聞かせてください」

 

 個人的に頼まれた事だし、どうせならこっちの頼みも聞いてもらおうという事で、現世である。

 まぁ、桃の言う通り連れて来なくても現世についてどう思うかみたいな話は聞けるし、それで枠は埋められるが、せっかくだから楽しんでもらおうという粋な計らいなのだ。

 

「冬獅郎、あなたは音楽に興味はありますか?」

「音楽? いや、別に……」

「それではこれを機に触れてみるのはどうでしょうか。現世の特集とはいっても、それだけでは範囲が広すぎますから。今回は特に音楽関係に焦点を当てようと考えているのです」

 

 ちょうどバンドのライブをやっているところがあったので当日券で入場して聞かせて。

 その帰り道に楽器屋さんに寄って楽器に触らせて。

 そして、最後にカラオケに行った。私の歌を聞いた桃は興奮しすぎて倒れた。

 

 ▼△▼△▼△

 

「隊長、今お話良いですか」

「ええ、構いませんよ」

 

 冬獅郎を現世に連れて行ってから数日。一護たちも現世に帰って瀞霊廷にも少しずつ平穏が戻ってきた頃に、修兵が訪ねてきた。神妙な面持ちで。

 なんとなくデジャヴ。前にもこんな事があった。

 

「席官の話でしょうか?」

「いえ、今回は違います」

「そうでしたか。安心しました。それでは、お話を聞かせてください」

 

 どうやら、今回は席官を辞めるみたいな話ではないらしい。要のせいで穴が空いたので、さらに穴を空けるような事にならなくてひとまず安心。

 

「今回の一件、俺は何も出来ませんでした。同志で後輩のはずの雛森にも置いていかれて、改めて自分の不甲斐なさが身に沁みました。だから、あの時の隊長のお言葉。俺も、本気で目指したいと思いました」

「あの時の言葉……」

「──卍解を。修得したいです」

「ああ……なるほど」

 

 いつになく本気の目だ。

 うんうん。精神的にも立派になったようで、上司として鼻が高い。

 

「良いでしょう。あなたの覚悟が伝わってきました。私も出来る事は惜しまずにするとしましょうか」

「ありがとうございます!」

 

 まぁ、私が直接教えられたら良いのだが、それは難しいので。

 

「あなたは桃に対抗心を抱いているかもしれませんが、成長するための方法を知るという意味では彼女以上の適任もそういないでしょう。一度、桃と共に鍛練してみてください」

「はい、隊長」

「ちょうど今は冬獅郎も一緒になって鍛練していますから。良い刺激になるでしょう」

「日番谷隊長も……」

「そうですね、不老不死も呼びましょうか」

「はい……はい?」

「彼女もちょうど白哉を鍛え直していると言っていましたし、あの2人を一緒に呼びましょうか」

「え、あの……」

「春水と十四郎も始解の元柳斎を相手に危なかったと言っていましたし、鍛え直すためにあの2人も呼びましょうか」

「あの……あの……」

「そろそろ始解の元柳斎ぐらいは超えてもらわなければいけませんから」

「あの……あの……あの……」

 

 まぁ、せっかくだし。

 春水とか十四郎は丁寧に教えてくれそう。不老不死も経験は積ませてくれるんじゃないかな。

 

 





 ○パンドラ主
 鍛練とか強くなる系は大体雛森に任せておけば良いと考えている。それだけ雛森の成長スピードが異常。

 ○黒崎一護&現世一行
 尸魂界にいる間は九番隊で寝泊まりしていた。特に一護はパンドラ主に対する接し方を矯正され続けた。主に雛森から。

 ○日番谷冬獅郎
 力不足を痛感し、パンドラ主に相談したところ現世を連れ回され、その後雛森と訓練する事になった。原作よりも雛森との関係が(実力的にも)対等?になって少し違っているが、これはこれで悪くない。
 ただし、地雷を踏まないように注意する必要がある。

 ○檜佐木修兵
 以前パンドラ主が言っていた、卍解を身に着けたら自信が付く理論を実践しようと決心した。
 思ったよりもパンドラ主が張り切って雛森+(元も含めて)隊長5人を引っ張ってきて決意が揺らぎそうになった。
 
 
 
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