転生者『虚飾の魔女』(なお中身)   作:白金の絹糸

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破面篇
破面(アランカル)出現


 

 

 少し前に、藍染一派が動きを見せるまでは様子見しようという内容の隊首会があって、それから少ししてまた隊首会が開かれる事になった。

 

「何か動きでもありましたか?」

「藍染ではないが、動きはあった。破面(アランカル)の成体が現世に現れよった。恐らくは『崩玉』による影響じゃろう」

「アランカル……成体……?」

「何故貴様が破面を知らん……! 以前戦った事があったじゃろうが……!」

 

 そんな事言われましても。

 破面(アランカル)ってなんだっけ? エキドナ先生教えてプリーズ。

 

『破面は簡単に言えば虚の仮面が剥がれたものだね。一度戦った事があっただろう? 触れた対象を霊子へ分解する能力を持っていた虚も、途中で仮面が剥がれて破面へと変化したじゃないか』

 

 あー。アレ。アレ破面っていうんだ。

 え、マズくない? あんなの現世に出たらかなりヤバいと思うんだけど。

 

「思い出しました。しかし、アレと同じような存在が現世に出現したとなれば、こんな事をしている場合ではないのでは? こうしている間にも街の一つや二つ、消し飛んでいるかもしれません」

 

 それは困る。大変困る。

 私にとって現世はなくてはならないもの。お気に入りの場所もあるし、何より今は夏梨がいる。

 

「ボラール・アランX」

「ぼら……?」

「…………。貴様が倒した破面の名じゃ」

 

 そんな名前だったの? 

 

『討伐後に識別のために付けられたのだろうね』

 

 へー。全然知らなかった。

 

「例の流魂街の跡地を作った原因になったっていう虚だね」

「初代の隊長が3人もやられたというアレか……」

 

 春水と十四郎は知ってたらしい。跡地はアル・シャリオでできた大穴の事だろう。

 

「アレは例外も例外。あんなものは他にいても数えるほどじゃろう。そも、藍染惣右介に従う理由がない。虚を従えるとすれば、それは純粋に力のみ。自らの力を上回るものは従えられん」

「そうでしたか。それは安心ですね」

 

 まぁ確かに話が通じるような感じじゃなかったし。あのレベルを仲間にしてるとかなら、あの自信も納得がいくところではあったが、さすがにそこまではないらしい。

 

「まァ、安心までは出来ないんだけどね。虚飾隊長が本気にならないといけないような相手に出て来られるとさすがに困るけど、そもそも普通の隊長クラスの破面が出てくるだけで現世は壊滅的な被害を受ける可能性があるんだから」

「確かにそうですね」

 

 春水の言う通りだ。それは困る。

 

「では、この件が解決するまでは最低でも誰か隊長クラスが現世に駐在するべきですね」

「今回は随分と真面目に参加しておるのう、虚飾」

「当然でしょう? 現世は私にとって第二の故郷のようなもの。もちろん死神として守らなければならないと自負しています」

「…………。まぁ良い。癪じゃが、お主の言う通り現世への駐在戦力を増強する必要がある」

「一言余計では?」

「…………」

「まァまァ、落ち着いて二人とも」

 

 というか、破面が惣右介の仲間なのは確定なのね? 

 

『前回の隊首会で藍染惣右介が持ち去った『崩玉』によって起こる事柄について話していただろう? 虚と手を組んでいるという事実と、藍染惣右介が接触してから突然現れた破面の成体。まぁ、全く別口の可能性もなくはないけれど、現状では一番可能性が高いだろうね』

 

 へー。

 

「現世へ送る者を考えねばならん」

「もちろん私が行きましょう」

「……もうそれで良い」

 

 ▼△▼△▼△

 

 現世へ向かう人員については、私が決めて良い事になった。あまりに不適切なら止めるが、そうでないなら好きにしろというのが元柳斎の言葉。

 何も言わなくてもついてくる桃は確定として、現世側戦力である一護たちと合流する事も考えたらルキアもいた方が良いかと考えて。戦力的にはもう一人ぐらい隊長がいても良いかなという事でこの前一緒に現世に行った冬獅郎に声をかけたら何故か冬獅郎ではなく乱菊が一緒に行く事になった。

 で、最終的に先遣隊のメンバーは私と桃、ルキアに加えて乱菊、恋次、ネム、勇音となった。

 

「制服も良いものですね」

「すごくお似合いですっ! 隊長っ!」

「どこの教室でしたっけ?」

「忘れちゃったー」

「なんだか私だけ浮いているような……」

「問題ありません。マユリ様の仕立ては完璧です」

 

 そして、潜入したのは一護たちが通っているという高校。制服を着るなんていつ振りだろうか。なんとも懐かしい気分である。

 こういうのは技術開発局かと思って、全員分の義骸に加えて制服もマユリに用意してもらった。

 

「少し振りですね、一護」

 

 ガラガラと扉を開けてご挨拶。一護は頭に包帯を巻いていた。破面にやられたのだろうか。見渡せば、織姫はもっと重傷そう。

 

「パンドラ!?」

「パンドラ“様”」

「うおっ!? 雛森さん……」

 

 私は呼び捨てで桃はさん付け。べつに良いんだけど、やっぱり桃に色々と教育されたのかな。

 

 その後、扉とは逆方向の窓際でスタンバっていたルキアが一護の霊体を連れ去ってしまったので、詳しい話は放課後、一護の家で行う事になった。

 

「──っていうのが破面だ。ここまでは分かったか?」

 

 破面に関しては代表して恋次が一護に説明してくれた。

 

「まぁ、大体な。で、この人選はなんなんだよ?」

「ああ、それは……」

 

 今さらだが、メンバーが女子に偏りすぎて恋次にとってはやりづらいかもしれない。

 

「まずは虚飾隊長が一番現世に詳しいって事で選ばれて……ッスよね?」

「ええ」

「雛森は虚飾隊長にくっついてきて」

「隊長のお供をするのがあたしの役目だから」

「お前と一番仲が良いって事でルキアが選ばれて」

「実力で選ばれたのだ!」

「虚飾隊長が日番谷隊長を誘いにいったら代わりに乱菊さんが行く事になって」

「面白そうだったしー」

「回道が使える奴がいた方が良いかって事で勇音さんもついてくる事になって」

「ど、どうも……」

「途中で見かけたからって事で俺も誘われて」

「なんかお前だけ雑じゃねぇか?」

「ウッセ、黙ってろ! そんで、十二番隊長で義骸とか用意してもらってる時に」

「マユリ様からデータを取ってくるようにと命じられました」

 

 端的に恋次がメンバーの選定理由を一護に語ってくれた。まぁ、そんな大層な理由があったわけではないが。

 

「つまるところ、私たち尸魂界とあなた方現世の戦力で協力して破面および藍染一派に対抗しましょうというお話です」

「なるほどな……」

「一体や二体現れる程度なら私一人で事足りますが、同時に何体も分かれて現れれば、私一人では手が足りなくなるかもしれませんから。元はと言えば尸魂界の問題。出来る限り私たちで対応したいと考えてはいますが、万が一の際にはお願いしますね」

「ああ、分かった。その時は任せてくれ」

 

 という事で、ひとまず説明すべき事は説明完了。

 

「今はする事もありませんし、これからカラオケでも行きましょうか」

「嘘だろ、この流れで遊びに行くのかよ……」

「ああ、一護。夏梨は在宅でしょうか? よろしければ、彼女も共にと思ったのですが」

「虚飾隊長、もうちょっとコイツに虚の事教えといた方が良いんじゃないッスか?」

「おや、そうですか?」

 

 流れでカラオケに行こうとしたら、恋次からストップがかかった。とはいっても、教えておいた方が良いと言われても、私から教えるような事はなさそうなのだが。

 死神代行としてずっと現世で虚倒してたなら私より詳しいんじゃなかろうか。

 

「では恋次、説明をお願いします」

 

 必殺、人任せ。まぁ、恋次が言い出した事だし。

 

「いいか? 破面は虚の仮面を剥いだら生まれるとは言ったが、その辺のザコ虚を破面にしたところでたかが知れる。尸魂界に喧嘩を売ろうってんだ。むこうも戦力としてくるのは最低でも最下級大虚(ギリアン)からになる」

「ギリアン……?」

大虚(メノスグランデ)は知ってるか?」

「いや……」

大虚(メノスグランデ)っつって普通の虚とは段違いの強さを持つ虚がいるんだが、その中でも三つの階級に分かれててな。その一番下が最下級大虚(ギリアン)だ。100メートルぐらいあってかなりデカいからコイツは分かりやすい」

 

 確かにそういう分類は一護は知らないかもしれない。私も昔は知らなかったし。

 

「このレベルなら俺たちでも倒せる範囲だが、次からが問題だ。中級大虚(アジューカス)最上級大虚(ヴァストローデ)。強くなるに従って身体も小さくなっていって、最上級大虚(ヴァストローデ)に至っては人と同じぐらいのサイズとかいう話だが、コイツは隊長クラスでも相手をするのは厳しいっつう話だ」

「隊長クラスでも、か。パンドラ……サマ、でもか?」

「いや、この人は例外だから気にしなくて良い。昔、その最上級大虚の中でも特にヤバかったっていう……どこ見てんスか、虚飾隊長」

「いえ、ギリアンは見た目が同じような個体ばかりですから分類するのは簡単ですが、最初に分類した方はアジューカスとヴァストローデをどのように区別したのかと、ふと思いまして。ギリアンに比べてこの二つは同じように見えませんか?」

 

 だって、ギリアンは100メートルクラスだから見間違える事はないにしても、普通の虚ぐらいのサイズと言われるアジューカスと人サイズぐらいと言われるヴァストローデって、サイズで区切るには微妙な個体があるくない? 

 普通の虚って言ってもサイズのバラつきはあるし、小さいのも普通にいる。逆もまた然り。そもそも破面になっても同じサイズ感なのかとか疑問もあるし。

 

「……まぁ、こんな感じで中級大虚と最上級大虚の区別もついてねぇぐらいだ。良い意味でな」

「──阿散井くん、今隊長のこと馬鹿にした?」

「してねぇよ! 良い意味でって言ったろ!?」

 

 良い意味でって付けたら許されるってわけでもないけどね? いや、全然良いんだけど。

 

「つまり、だ。藍染が破面にしてくるとすればこの辺りになる。そうそうないとは思うが、最上級大虚なんかと出くわしたらすぐに虚飾隊長に連絡入れろって事だ」

「そういえば連絡先の交換をしていませんでしたね。伝令神機はお持ちですか?」

「持ってねぇな」

「それでは、鬼道はどうですか? 縛道の七十七である天挺空羅(てんていくうら)が使えるなら問題ありませんが」

「鬼道のきの字も使えねぇよ」

「……困りましたね」

 

 ずっと一緒にいるわけにもいかないし、連絡手段はどうしようかという問題が出てきた。

 ただ、最終的にはルキアが一緒にいるから、何かあったらルキアを通して連絡という事になった。

 

 あと、夏梨も一緒にカラオケに行きたいと思ったが、こんな死神だらけの中に一人放り込めるかと一護に断られたのでルキアと恋次の二人を除いた死神組で行く事にした。ルキアは一護のところに、恋次は喜助のところに行くらしい。

 当時私と同じように冤罪を掛けられたというのが犯人の口から聞けたので、見つけたところで捕縛対象というわけではないが、喜助の居場所って普通に分かるのね? 

 後で挨拶にでも行った方が良いのかな。現世勢力って、今は喜助も含んでそうだし。まぁ、今度で良いか。

 

 ▼△▼△▼△

 

 夜。高級ホテル。

 現世で使えるお金もいっぱいあるので、泊まるホテルも高級なところ。せっかくだからね。あんまり現世に泊まる事ってないし。

 一緒の場所で泊まる事になっているのは桃一人。

 みんなで泊まっても良いと思っていたが、一か所に固まると本来の目的が果たせなくなるのではないかというネムの助言に従って他は違う場所に泊まる事になった。一応いつ来るか分からない敵勢力への警戒も任務の内だから、固まっていたら万が一の時に対応しづらいというのはごもっともだし。

 

「美味しかったですねっ、隊長!」

「ええ。高級なだけあって、食事まで素晴らしいものでしたね」

 

 とはいっても何かあるまでは現世を満喫するぐらいしかやる事はないのだが。

 

「しかしこのベッドもなかなか……」

「……! 隊長、出ました」

「…………。タイミングが良くありませんね」

 

 ベッドにダイブした瞬間の事だ。

 今の状況で出たといえば破面か藍染一派の誰かとかだろう。ちょっと気が進まないが、仕方ない。

 

「あたしが片付けてきます!」

 

 桃が先に向かったが、私は行かないなんてさすがにダメなので、ベッドから離れ……いや、あと10秒だけ。

 

 はぁ……めんどくさいタイミングで来よってからに。

 せっかくパジャマに着替えたのに。また着替えるのめんどくさい……。まぁ、べつにこのままでも良いか。

 

 屋上に出ると、そこには桃の他に一つの影があった。

 白い衣装で、顔には仮面のようなものの一部が貼り付いている。

 

「破面でしょうか?」

「改めて名乗りましょう。破面No.11(アランカル・ウンデシーモ)シャウロンと申します」

 

 名乗りながら、刀を向けてくる破面。その刀は桃が受け止めた。

 

「これはご丁寧に。護廷十三隊所属九番隊隊長、虚飾パンドラと申します」

「隊長に刃を向ける愚行。万死に値します」

 

 サイズ的には普通の人サイズなんだけど、もしかしてヴァストローデの破面だったりするのだろうか。それにしては限定霊印ありの桃が全然力負けしていないが。

 

「九番隊隊長。それは素晴らしい。ならば私は当たり──」

「破道の八十八──飛竜撃賊震天雷炮(ひりゅうげきぞくしんてんらいほう)

 

 あ、セリフの途中でぶっ放した。

 もしかして終わった? 

 

「この程度ですか?」

 

 終わってなかったっぽい。

 いくら桃でもさすがに一撃では終わらないか。

 

 集中して霊圧を探ってみると、他のみんなのところにも出たみたい。

 恋次と乱菊がそれぞれ一人で戦っていて、ルキアは一護と一緒。あとはネムと勇音も二人組になって戦っている。

 桃は一人で大丈夫として、助けに行くとしたら乱菊と恋次が優先度高めかな? 一人で戦ってるし。

 

「桃、ここは任せて構いませんか?」

「はい! 任せてください!」

 

 とりあえずは乱菊のところに行こうかな。

 

 この場は桃に任せて、私は飛んだ。

 

 

 

 






 ○ボラール・アランX
 第5話『この世界でただ一人の』に登場した虚。途中で破面化した。
 最上級大虚の中でもトップクラスに危険であり、放置していたら尸魂界中が霊子に分解されていき、最終的に崩壊していた可能性がある。
 再登場とかは特にないので覚える必要はない。
 
 ○VS.破面マッチアップ
 雛森桃 VS シャウロン・クーファン
 阿散井恋次 VS イールフォルト・グランツ
 松本乱菊 VS エドラド・リオネス
 涅ネム&虎徹勇音 VS ナキーム・グリンディーナ
 黒崎一護&朽木ルキア VS ディ・ロイ・リンカー

 ちなみに、破面組が来たのはもちろん藍染の命令ではない。

 ○パンドラ主
 原作とは違い、パンドラ主がメンバーを選抜したため、先遣隊のメンバーも変化している。現世には一応任務で来ているのだが、普通に遊んでいた。

 ○雛森桃
 当然ついてきた人。仕事は三席に繰り上がった檜佐木に押し付けてきた。
 
 
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