転生者『虚飾の魔女』(なお中身)   作:白金の絹糸

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相変わらず初代護廷十三隊関係はほとんど捏造です。




滅却師(クインシー)撃退?戦

 

 護廷十三隊とかいう組織に所属して数週間が過ぎた。

 頭の元柳斎を筆頭として野蛮人が大半で居心地が良いとは言えないが、不老不死をはじめとして女の子組とは仲良くやれている感じがするので、まだセーフといったところ。

 

「虚飾隊長。(ホロウ)の討伐完了しました」

「ご苦労さまでした。被害者がいないかを確認し、隊舎へと戻りましょう」

「了解です」

 

 パッと現れてサッといなくなった黒い装束の男。私の部下である。

 ちなみに虚飾隊長というのは私の事だ。元々名前はパンドラで通そうと思っていたのに、名字がないのは不自然な感じだったので、それっぽい名字を付けてみた。虚飾パンドラ。あの時は名案だと思ったけど、後々考えてみれば普通に違和感しかない。

 だってパンドラ様といえば『虚飾』、『虚飾』といえばパンドラ様みたいなものだから。でも、今さらパンドラって呼んでとか言うのも部下に下の名前で呼ばせる上司みたいでアレだし……。

 

 あと、(ホロウ)っていうのは転生当初に襲われた化け物の事だ。部下が色々と説明してくれたが、とりあえず悪霊みたいなもので、これを倒すのも護廷十三隊の役目だとか。

 

 あとあともう一つ言っておくと、部下も着ていた黒い装束は私も着用している。死覇装(しはくしょう)と言って、死神の正式衣装らしい。ただ、隊長は白い隊長羽織を羽織る事になっているから、私はまだそこまで黒一色という訳でない。パンドラ様は白の方が似合うし。

 あ、死神っていうのは…………。まぁいいや。

 

「お、今日はあの娘らいないじゃん」

「エル・シャリオ」

「いい加減にせんかァ!! 『流刃若火』ァ!!」

「エル・シャリオ」

 

 私の隊である九番隊の隊舎に戻る途中、別の隊舎の近くを通った時に襲撃された。今は不老不死も八千流(やちる)抜雲斎(ばつうんさい)もいないから、自分で対処するしかない。

 エル・シャリオ一発。近くの建物が更地になったが、最近は誰かが私に襲撃をかましてくる時は、近くにいる者は屋外に避難するという流れができたらしいのでたぶん問題なし。近くで「隊長──!?」ってギャグシーンみたいなセリフ聞こえてきたし。

 なんか元柳斎が飛んできたけど、流刃若火(それ)を向けるのは私じゃないと思う。正当防衛。

 

『最初はあんなに怖がっていたのに、君は案外図太いね』

 

 慣れてみたら、なんかね。

 普通に対処出来るのが分かったし、最悪『虚飾の権能』で私の事知ってる人みんなの記憶改ざんして逃げればいいし。

 

『思考が魔女に染まってきたんじゃないかい?』

 

 うーん、どうなんだろ。やっぱり魔女因子の影響とか受けてるんだろうか。

 というか、そもそも私って魔女因子持ってるの? 

 

『もちろんさ。同じ『虚飾』の魔女因子とはいえ、彼女と全く同じ権能が使える理由については分からないけれどね。まあ、それを言ったら彼女と全く同じ容姿である理由の方が分からないか』

 

 普通に考えたらおかしいだろうけど、そこは転生特典的な感じで。

 それよりもそのうち魔女因子に人格歪められないかどうかの方が心配だ。エキドナでさえ、魔女因子が人格に影響を与えていたなんて話があったはずだし。

 

『安心するといい。どうやら君はかなり影響を受けづらい体質らしい。その図太さ故か、あるいは馬鹿だからか』

 

 ねえ、馬鹿って言う必要あった? 

 ASMRで釘○病に堕とすぞ、こら。

 

 ▼△▼△▼△

 

「どうですか…………ゾクゾクするでしょう? ふろうふし…………さいきょう…………むてき…………」

「わ、悪くねェ……」

「何をしているんですか?」

 

 場所は一番隊隊舎。隊首会という各隊の隊長副隊長が集まる会議をやるというので、私も九番隊の副隊長を連れて訪れた。他の隊長たちも集まっていたので、襲われないかと身構えていたが、元柳斎の睨みが効いていたのか、襲われる事はなかった。

 

 あまり聞いていなかったが、会議が終わると不老不死のところに突撃。ASMRをお見舞いしてやったという訳だ。

 

「私の声は脳が蕩けると評判なのです。なのでこうしてお裾分けを」

「脳が、ですか……それは恐ろしい」

 

 気になったのか、声を掛けてきたのは抜雲斎。見た感じガラが悪い不老不死とは違い、黒髪おさげにメガネというお淑やかな見た目なのに、やはり戦いになったら躊躇いなく斬りかかるタイプの女。

 

 ASMRをやろうと思ったのは思い付きだが、この声は至宝なので、独り占めするのは勿体ないと思ったのだ。前世でもその声に堕とされた者は数知れず。

 

「部下にもそのような事をしているんですか?」

 

 あ、評判とか言うと部下たちで試しているように聞こえるか……。

 

「いえ、ここに来る前の話ですよ」

 

 まぁ、ここ(この世界)に来る前(前世)ではあるが。

 

「あなたにもお裾分けしましょうか?」

「遠慮しておきます。というか、どれだけ自分の声に自信があるんですか」

 

 不老不死の背中に覆いかぶさるようにして耳元に口を寄せながら、抜雲斎に提案してみるが、こちらはつれない反応だった。

 声に自信がある? そりゃ、そうでしょうよ。こっちは声帯にくぎゅが住んでるんですが? 

 

「さいきょう…………むてき…………さいきょう…………むてき………………」

「その頭の悪そうな……なんですか?」

「誰の頭が悪ィって!? ああン!?」

「やる気ですか?」

 

 急に沸騰するのやめてね? 

 ほら、八千流(やちる)がこっち見てるから! 

 

 ▼△▼△▼△

 

 なんか、近々滅却師(クインシー)とかいう集団との戦いがあるらしい。らしいというか、たぶんあるというのが元柳斎の見立て。

 よく分からないが、その滅却師は放っておくと世界のバランスがどうとかで、世界の危機らしい。さすがに世界滅亡は困るので、戦うしかない。戦うといっても遠くからチクチク撃ってるだけになるだろうけど。

 

「瞬歩だァ? そんなもん、やれば出来るだろ」

 

 で、訪れたのは六番隊の隊舎、不老不死の隊首室。相変わらず眼帯紫ツインテールという属性に感心しつつ、手土産として部下の人が探してきてくれたお菓子を渡す。

 

 瞬歩とは、簡単に言うと死神が使う高速移動術だ。なんか、襲ってくる他隊長がビュンビュン動いてるなぁ、と思ったので、周囲が更地になったあたりで懲りずに燃える刀を振り回しながら現れた元柳斎に聞いたら、それだけ教えてくれた。基本らしい。

 しかし、当然ながら私にはそんな芸当出来ないワケで。

 元柳斎に詳しく聞くのも熱くてアレだったので、こうして不老不死に聞きに来たのだ。

 

「そう言わず、このお菓子の分だけでも教えてくれませんか?」

「つってもなぁ……こう、構えるだろ? で、足の裏に霊圧を集中させて、バッて感じ」

 

 うーむ、分からん。

 たぶん本気で教えようとしてこの感じっぽいので、ちょっと難しいかもしれない。この子はアホの子なので、教えるにはあまり向いていなかったという事だろう。

 

 教えて抜雲斎〜! 

 

「ここまで説明して理解出来ない人は初めてですね。馬鹿なんですか? 鳥頭なんですか?」

 

 くっ……。言い返したいが、懇切丁寧に説明されても出来なかったので言い返せない……! 

 でもでも、これは私の理解力がないというよりは、そもそも向いてなかった説を提唱したい。決して私が鳥頭という訳ではなく! 

 だって私はこの世界生まれじゃないし。

 

 や、八千流〜。

 

「その霊圧、使い方さえ覚えればと思いましたが……どうやら見込み違いだったようですね」

 

 ホントにゴメンね!? 

 まさかそんなに出来ないなんて思ってなかったから! 

 

 

 だ、駄目だ……一人だけ瞬歩使えないなんて事になったら仲間外れになるかと思って試したけど、全然出来る気配がない……。

 

『どうやら霊圧、ボクたちの世界で言うところのマナの保有量や出力は並外れているようだから、いっその事普通に走った方が早いんじゃないかい? やりようによっては『剣聖』の真似事が出来るかもしれないよ』

 

 いや、あれはマナ過剰循環体質にプラスして『流法』が凄いって話なんだから、マナだけ多くても真似出来ないでしょ。

 

『よく分かっているじゃないか』

 

 え、なに。また馬鹿にしてた? 

 

『いやいや。君が出来るかどうかはともかくボクが言ったのは本音さ。それに、『剣聖』とまではいかなくても、君はそれなりに動けるはずだ』

 

 うーん……というか、パンドラ様の格好でドタバタ動いてる姿があんまり想像出来ないんだよなぁ……。

 

 とか言って悩んでいると、滅却師が攻め込んできたという報せが届いた。

 

 ▼△▼△▼△

 

 土煙が晴れ、アル・シャリオによって大きなクレーターができた前方を眺める。

 

「まったく、どうしてこうなったのやら」

 

 なんやかんや言って開幕一発を任されたが、結局のところ戦っている途中に邪魔されたら嫌だから、みたいな理由があったように思える。だから最初に一発だけかまして満足しておけ的な感じで。

 

 べつに私は他の隊長たちと違って戦闘狂じゃないし、勝手に戦う分には戦ってくれたら良い。邪魔をするつもりもない。

 ただ、わざわざ半ば強制的にこんな職に就かせておいてそんな扱いかと思わなくはない。そんな思いに加えて、戦争という未知の恐怖が、私にアル・シャリオという手札を切らせるに至った。

『虚飾の権能』でなかった事に出来るとしても、痛いものは痛い。痛い思いをするかもしれないなら、その芽は潰しておきたいと思ったのだ。

 

「派手にやり過ぎだ。もうその卍解は使うでないぞ」

 

 と、私の肩に手を置いて前に出る元柳斎。

 卍解? そんなもの使ってないんですけど……。

 

『手加減したとはいえあの威力だからね。卍解と見間違えてしまうのも仕方ないさ』

 

 まぁ、わざわざ訂正するまでもないかと、前に出て行く隊長たちを見送る。

 

 それにしても、さっきの一撃でたぶん数千人レベルで死んだと思うのに、あんまり実感が湧いてない。直接斬ったり刺したりした訳じゃないから、というのもあるだろうけど。やっぱり魔女因子の影響を受けてるんだろうか。

 精神衛生的にはそっちの方が助かるからいいけど。

 

 というか、敵の数減らしすぎって後で八つ当たりされたりしないよね? そっちの方が心配になってきた。

 あー、ほら、八千流がめちゃくちゃ暴れてる……。

 不老不死? そんな舌出しながら戦うのははしたないですわよ? 

 抜雲斎? なんでそんなに冷静に人の身体を割れるの? もはや一番怖いまである……。

 

 他の隊長たちも暴れ散らかし、最終的に敵の首領であるユーハバッハのみが残った。

 

 そして──。

 

「──卍解『残火の太刀』」

 

 元柳斎が卍解を披露し、ユーハバッハを斬った。

 余談だが、その熱の余波で流魂街と瀞霊廷の結構な範囲が燃えた。

 

 派手にやり過ぎだ、とは? 

 もう一回同じ事言ってもらっていいですかね? 

 





○パンドラ主
 星の光を放つシャリオを適当にぶっ放しておけば普通にあしらえると分かったため、最近は他の隊長たちを舐め腐っている。
 滅却師の軍団には星を落とすアル・シャリオをお見舞いした。周囲に被害を出しすぎないように、大きさは控えめで重力軽減の魔法ムラクによって運動エネルギーはかなり軽減していたが、それでも滅却師の大半を消し飛ばした。
 これでも始解。瞬歩は苦手(斬術や白打、鬼道が出来るとは言ってない)
 口調はパンドラ様リスペクトで丁寧になるように気を付けている。霊圧を垂れ流すのは下品という噂をどこからか聞きつけたので、滅却師戦後あたりから他の隊長と同じぐらいの霊圧になるように頑張って調整している。

 ○山本元柳斎重國
 ハゲだのなんだのと言われるが、実力は本物。不老不死によって掘り出し物が見つかったかと喜んだのもつかの間、建物を破壊しまくるパンドラ主に頭を悩ませている(他の隊長が襲ってこなければ破壊しない)。
 パンドラ主のアル・シャリオにやり過ぎだとか言ったものの、自分も『残火の太刀』で同等以上の被害を撒き散らした。
 
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