転生者『虚飾の魔女』(なお中身) 作:白金の絹糸
本格的にパンドラ主が暴れます。
藍染一派と護廷十三隊の戦いは、護廷十三隊の有利で進んでいた。
雛森桃、日番谷冬獅郎の両名により
ワンダーワイス・マルジェラにより、ハリベルを閉じ込めていた氷が解除され、また浮竹十四郎が重傷を負った事により戦況は変わるが、
それぞれの従属官も撃破されており、残る藍染一派の戦力は藍染惣右介、市丸ギン、ワンダーワイス、アールベルティのみとなった。この四者はそれぞれ少し離れた場所にいたが、護廷十三隊側の戦力は自然と藍染惣右介の前へと集まっていた。
人数では圧倒的に有利。しかし、たった一人でありながら強大な力を持つ藍染惣右介の純粋な斬術により、護廷十三隊、あるいは仮面の軍勢の者たちは斬り伏せられていく。
「飛び出すなよ、雛森!」
「分かってる!」
相対する者の中には当然ながら雛森桃の姿もある。炎の羽衣を身に纏い、同じく氷の龍を纏う日番谷冬獅郎と並び立つ。
「氷竜旋尾……絶空!!」
振るった斬魄刀の先から伸びるように氷の柱が藍染へと迫る。
「梅鈴」
氷が藍染を呑み込むその瞬間に内部から大爆発が起こった。氷と炎、二人の協力技だ。
しかし、煙の中からは無傷の藍染が現れる。
「梅炎!」
藍染へと斬りかかりながら、その斬魄刀の軌道には文字が残る。その文字を追えば、それは鬼道の詠唱文。
──“縛道の九十九 禁”
完全詠唱と同じ最高位の縛道。
十字の黒い帯が藍染へと迫り、同時にその背後から氷が斬魄刀を持つ腕、下半身を包み込む。
「迂闊だねぇ……氷に影ができてるよ」
そして、『花天狂骨』の能力の一つである“影鬼”によって影から現れた京楽によって、藍染の胸は貫かれた。
勝機。
それを見出すには十分な痛手。
故に攻める。
藍染の動きに注意しながら、斬魄刀の先に梅鈴の最高火力を込めた突きを。
藍染へと炸裂させるその寸前、雛森桃は背後から胸を貫かれた。
「ぇ……」
そして遅れて理解する。
『鏡花水月』の完全催眠に騙されたのだと。背後にいる存在こそが本物の藍染であると。
「『飛梅』ぇ──ッ!!」
決して浅くない傷。胸に刀が刺さったまま、雛森桃は振り向きながら全力を振り絞る。
正真正銘、本物の日番谷冬獅郎へと。
不幸だったのは、完全催眠で藍染であるように見せられたのは雛森桃の身体であったこと。斬りかかるのではなく、全力の一点に力を込めた突きであったがために日番谷冬獅郎が紅炎の鎧を破ってしまったこと。
そして、『飛梅』との対話を欠かさなかったがために、ただただ全力という曖昧な意思を汲み取り、『飛梅』がアシストしたこと。
結果、『鏡花水月』による同士討ち。
動揺させるには十分で、それを皮切りに、戦線は崩壊した。
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マユリは怒らせると何をし始めるのか分からないという意味で怖いので、触らない事にした。そもそも私は悪くないし。
「そもそもこんな場所に持ってきてる方が悪ィだろうがよ!! 壊したくないなら大事にしまっとけや、ボケが!!」
不老不死とマユリは置いておくとして、一護だ。
不老不死の攻撃よって仮面が割れたらしい一護は、虚特有の超速再生で胸の穴が塞がり、そして生気を感じさせない白色の肌も元の色に戻っていった。やがて目を覚ましたが、身体に異常はないらしい。
何はともあれ、無事で良かった。
「何の騒ぎだ、こりゃ?」
「色々ありまして」
そこに剣八も合流してきた。
あとは烈と勇音も合流すれば虚圏に突入した組は勢揃いだ。
これからどう動くかを考える。
頑張って集中して探ってみても、大きい霊圧は残っていなさそう。私よりも破面の霊圧に詳しいであろうロリに聞いてみても、十刃は残っていないとの事だ。気絶とかのただの戦闘不能なのか死んでしまったのかは分からないが。
弱いのも含めたらまだまだいるのだろうが、そもそもここは虚圏。虚なんていくらでもいるのだから、ある程度強い個体だけ対処すれば十分だ。
マユリは黒腔を解析したと言っていたが、その成果らしきものは壊されてしまったというこの状況。
ちゃんとは確認していないが、誰も帰ろうとしていない辺り、来たときに通った黒腔に細工なり何なりをされたという予想は間違ってなさそうだし。
現世の方がどうなっているかも気になる。
ちょっと見に行こうかな。
「ドラドラどこ行くの?」
「少し違う場所を見てきます。織姫たちをお願いしますね」
剣八の肩に乗っていたやちるに返答しながら、歩いてこの場を離れる。
ちょっと転移で様子を見に行こう。どうせこっちに残っててもやる事はなさそうだし。
『離れたところで急に霊圧が消えるのは察知されるだろうけれどね』
そこは霊圧を消して様子を窺ってたとかで誤魔化せば良いから。桃みたいにすっ飛んでくるようなのもいないし。
まぁ、最悪バレても良いんだけどね。もうシャリオ以外にも魔法使いまくってるし。さっきも封印とか。
という事で転移、お願いします!
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現世、空座町。
私にとって見慣れたその街並みは、激しい戦闘があったのだろう。ところどころで破壊跡が見える。
そりゃ、こんな街中で戦えばそうなるだろうという感じなのだが、それよりもおかしいところがあった。戦っているにしては霊圧を全然感じないし、そもそも静かだ。
「ようやくお出ましか。山本元柳斎が倒れた今、もはや戦力は君一人だ」
一体どうしたのかと思っていると、悠々と近付いて来たのは……惣右介?
印象がめっちゃ変わってるから一瞬分からなかった。
と、そんな事よりも聞き捨てならない事があった。
「元柳斎が、倒れた?」
「何を驚く事がある。所詮はただの死神に過ぎない。対策を練るなど容易い」
元柳斎が倒れた。というよりも、この口振りだと元柳斎を倒した。
ちょっと話が変わってきたな?
元柳斎を倒した? ヤバいんだけど。帰っていいかな?
「……元柳斎を倒したと言っても、正面から倒したわけではないでしょう? それにしては街が無事過ぎますから」
「随分と動揺しているな。君らしくもない、虚飾隊長」
そりゃ動揺もするでしょうよ!
滅却師とか相手にした時は瀞霊廷とか流魂街とかめっちゃ燃えたからね? あんなの正面から相手するものじゃないから。核弾頭よ、核弾頭。
「事実でしょう? そもそも、彼の卍解を前にして街もあなたも無事でいられるとは思えません」
「確かに彼の斬魄刀は君のものと並んで最強の斬魄刀。まともに戦えば戦闘能力は私よりも上だろう」
「ええ」
「故に封じた」
「封じた……?」
そりゃ正面からじゃないとは思ったが、封じるとは。
「他のあらゆる能力を捨て、ただ一点のみに特化すればその最強にも対抗出来る。おいで、アールベルティ」
次の瞬間、背後に白い何かが現れ、そして殴られたような衝撃。
吹き飛ばされ、土煙を上げながら地面を転がった。
いったぁ……。見間違い、見間違い。
急に何。破面?
「アールベルティ・レオーニエ。虚飾パンドラ、君に特化させた改造破面だ」
浮かんで戻ってみれば、そこには惣右介と白い化け物。クラゲというか宇宙人というか、みたいなフォルムの白い異形。
「彼女の帰刃は『
「シャリオ」
星の光を放ってみれば、その光は白い異形に触れた瞬間に消失した。いや、消失というよりは吸収されたという方が正しいかもしれない。
『今、一瞬軌道が変わった。恐らく吸い寄せる能力もあるね』
ふーん。
「シャリオ」
斜め前方、追尾機能によって白クラゲを避けて惣右介に当たるような軌道。しかし、不自然な軌道で吸い込まれる。
「エル・シャリオ」
まさかと思って全く真逆の後方にエル・シャリオを放ってみれば、少し進んだかと思えば180度旋回して白クラゲに吸い込まれていった。
「……なるほど。同じように元柳斎の炎も封じたわけですね」
確かに元柳斎なんて炎しか取り柄がないのだから、それを封じられたらなす術なくやられてしまうかもしれない。
「その光はもはや私には届かない。君の卍解ですらも」
「卍解ですか」
たぶんアル・シャリオの事だろうとは思うが、まさかアル・シャリオも同じように吸収するのだろうか。
「虚飾パンドラ。並の隊長に倍する霊圧を持つ君は脅威となり得たが、その霊圧すらもはや私には敵わない。卍解しようと届かない。精々、山本元柳斎のように無様を晒さない事だ」
めっちゃ煽ってくるんだけど、コイツ。ムカついてきた。というか、ずっと騙してた事まだ許してないし。
もうやっちゃうか。
「──アル・シャリオ」
「────」
「おや、何を驚いているのですか? あなたが届かないと言ったのではありませんか」
天から極大の隕石が落ちてくる。
落下予測地点の中心は当然ながら惣右介。
「ああ、驚いたよ。このままでは他の隊士たちが巻き添えだ。まさか君がこんな手段を──」
「届かないのでしょう?」
「……アールベルティ」
アールベルティと呼ばれた白クラゲ破面が空高く飛び上がっていく。
吸収されるならされるで、べつに良い。
吸収出来ないならアル・シャリオで星を落としたという事実をなかった事にすれば良い。
やがて隕石は何か結界のようなものを破り、そしてアールベルティに吸収された。
純粋に驚いた。パチパチパチと手を叩いて称賛する。
「驚きました。アレをどうにか出来るのは『剣聖』か『青き雷光』ぐらいのものだと思っていましたから。称賛に値します」
「これで分かっただろう。君の斬魄刀はもはや無力──」
「そういえば思い出したのですが、私は霊圧の操作が得意でありません。なので、最初のうちは恥ずかしながら霊圧が垂れ流しになっていたのです」
「何の話だ」
「あなたが言ったのではありませんか。私の霊圧ではあなたの霊圧に敵わないと。普段は霊圧がどうとなどとは考えませんが、あなたに侮られるのは不快ですから」
もはや当たり前になっていたから普段は頭の中から忘れ去られていたが、私は尸魂界にいる間もずっと限定霊印をつけているのだ。
大きい霊圧はそれだけ普段から抑えておくのが疲れる。ここで解除してしまえば、付け直してもらいにいく必要はあるが、仕方ない。
「限定解除」
「……馬鹿な」
かなり久しぶりで、思ったよりも大きかった霊圧が溢れ出る。
普段なら抑えるところだが、今は戦闘中だ。まぁ、垂れ流してもべつに良いだろう。
「驚く事ではないでしょう? 自分と同等の霊圧を持つ者はいないと、根拠もなく確信していたのですか? それとも、自分にしか出来ないズルをしていたから、でしょうか」
前に見た時よりもなんか霊圧が大きくなっているが、どうせ『崩玉』でも使ったのだろう。『崩玉』のためにあんな大それた事をやらかしたのだ。虚化が魂魄の限界を超えるための云々みたいな事を言っていた気がするし、そういう感じで霊圧を大きくしたのだろう。
「何でも構いませんが、一つずつ片付けるとしましょう。おや、どうしましたか? 口数が少ないではありませんか」
「……。随分と余裕を見せるものだ。たとえ霊圧を隠していようと、斬魄刀の能力が通用しない事に変わりはないというのに」
「一つ思ったのですが」
双極の丘では呆れるぐらい喋っていたくせに、どうも今は歯切れが悪い。余裕がなくなったというならちょっとはスカッとするのだが。
「シャリオを吸収する能力があるとして、なにも容量が無限というわけではないでしょう? 一体どれだけ吸収出来るのか、興味がありますね」
アル・シャリオが効かない相手なんて、想像もしていなかった。それも、正面から打ち破るという分かりやすい形ではなく。
特化させたというだけはある。ただ、所詮は一破面の能力。限界はあるはずで、純粋にどれぐらい吸収出来るのか気になった。
「これならどうでしょう────アル・シャリオ」
再び星を落とす。
ただし、一つではない。その数は十を超える。
「現世を滅ぼすつもりか?」
「この程度では滅びませんよ」
その全てを、アールベルティは吸収した。
「この程度は問題ないようですね」
ぱっと見た感じ、様子が変わったような事もないし、恐らくはまだまだ吸収出来るのだろう。
「正直なところ、限界まで試したい気持ちもありますが。それでは代わり映えしませんね」
アル・シャリオはかなりの霊力を消費する魔法だが、『虚飾の権能』を使えば魔法を使ったという結果だけ残して霊力の消費はなかった事に出来る。インチキもインチキだが、権能とはそういうものだから仕方ない。
そういうわけで、実質霊力が無限の私はいつまでもアル・シャリオを撃ち続ける事が出来るし、そうすれば吸収の限界も知る事は出来る。ただ、さすがにちょっとシュール過ぎるし。
アル・シャリオは打ち止め。
上空からアールベルティが戻ってくる。
離れている間に惣右介に攻撃する事も考えたが、離れていてもシャリオ系統を撃てば軌道を曲げて吸収されて届かないのだろう。学習しないな、みたいな事を言われたらムカつくのでやめておいた。
まぁ、べつにシャリオ系統以外にも攻撃手段はいくらでもあるのだが。
「次の手を打つとしましょうか────エル・クラム」
超重力の魔法。
エル級とはいえ、容易に周囲の風景を潰し、更地とするその魔法の範囲に惣右介もアールベルティも巻き込む。
「ぐっ……」
さすがに多少は余裕もなくなってくるらしい。
私や元柳斎の相手を他人に任せるぐらいだ。当然といえば当然だろう。まぁ、自分の力で正面から全部跳ね返してくるとなると真面目にバケモノ超越者の域になるので普通に逃げるのだが。
「部下にばかり任せていないで、あなたも動いてはどうですか?」
動けるなら、だけども。
「もう限界ですか?」
「…………。ああ、どうやらそうらしい。限界が訪れたようだ。死神としての私に」
「……?」
一体何を言っているのかと思えば、惣右介の胸の辺りから白い何かが溢れ出した。
似たようなのを見た事がある。虚化だ。
「『崩玉』の意志が漸く私の心を理解し始めたようだ」
「はぁ」
「『崩玉』は意志を持っている」
「そうですか」
何やら惣右介が語り始める。
余裕が出てきたのが大変分かりやすい。双極の丘でもそうだったが、自分の斬魄刀の詳細までペラペラと語り始めるぐらいだから、相当話すのが好きなのだろう。
こっちは難しい話をされてもよく分からないから困るのだが。
まとめると、『崩玉』が持つ力は死神を虚化させるというものではなく、願いを叶えるというものらしい。
惣右介の変化も虚化ではないとか。違いは分からないが。
そして、最終的に惣右介は全身真っ白の人型になり、超重力領域の中を歩く。
「どうした。もう終わりじゃあないだろう? 早く次の手を打つがいい。その全てを打ち砕こう」
「そうですね。では、次の一手といきましょうか」
ここまでしても倒れない相手はそうそういない。
本気で倒そうと思って倒せなかったのは、あの腹黒性悪ハゲ坊主以来……。嫌なもの思い出した。
そういえばあの時使おうとして結局使わなかったっけ。
使ってみるか。
○藍染惣右介
原作通り元柳斎はワンダーワイスと相打ちの形で瀕死にさせる事が出来た。
色々と対策を練ってきているのでシャリオ系統は完封したし、認識改変?への対策も練っている。ただ、何百年も前からつけっぱなしの個人的な限定霊印の記録などないし、なんか重力を操っているっぽい能力を使ってくるし、そんなの知らない。
有利な場面でも不利な場面でもたくさんお喋りをする。お喋り大好き。
はんぺん状態に変身した。まだ変身を残している。
○パンドラ主
元柳斎がやられたと聞いて動揺したし、煽られてムカついたので、ちょっとテンションが変になっている。藍染がめちゃくちゃマウントを取ってくるので、マウントを取り返したくなった。煽り返して気持ち良くなっている。
転界結柱の事をよく知らない(つまり本物の空座町だと思っている)のにアル・シャリオを連発しだすイカれ女。最悪街に被害を出す前に権能でなかった事にすればセーフらしい。空座町の周りに張った結界など一発目で完膚なきまでに破壊している。一応アールベルティを殺さないようにアル・クラムではなくエル・クラムを使うだけの良識は残っていた。
「だって元柳斎が負けるのが悪いでしょ」
調子に乗っている様子がウザかったので、途中からエキドナは黙っている。
せっかく藍染が『崩玉』について語っても、真面目に聞いていないので「そうですか」とか「はぁ」としか返さないので語り甲斐がなさそう。
まだ変身(卍解)を残している。
○アールベルティ・レオーニエ
対シャリオ特化型破面。帰刃すると白いクラゲのような姿になる。
帰刃は『
頑張っていっぱい隕石を吸収したら、今度は重力に押し潰されそうになったため、地面でもがいている。
○雛森桃
若干シチュエーションは違うが、原作のように完全催眠によって冬獅郎から胸を貫かれた。ただし、こちらの雛森は反撃するだけの余力が残っていて、そのせいで冬獅郎は大切な幼馴染を傷付けただけでなく、その幼馴染の反撃によって重傷を負った。
東仙を殺した事により、藍染から八つ当たりを受けた可能性がある。
冬獅郎と相打ちになる形で倒れたが、パンドラ主が現れた事で気力が回復して、傷の治療を始めた。パンドラ主の活躍()を全身で感じて色んな意味で絶頂しそうになった。
○その他大勢の居合わせた隊長格や仮面の軍勢の皆さん、それと生き残っている破面や市丸ギン
パンドラ主「霊圧ドーン、隕石ドカーンドカーン」
みんな「」
○浦原喜助を含む現世組追加戦力
出るタイミングを失った。というか、あんな天変地異の中心に飛び込めるわけがない。