転生者『虚飾の魔女』(なお中身)   作:白金の絹糸

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 原作キャラも結構増えてきました。




合同訓練

 

 

 突然ではあるが、護廷十三隊は有事の際は戦わなければならないからして、戦闘訓練は大切である。

 で、ここで重要なのは、私はそういう戦闘訓練に全く向いていないという事だ。考えれば当然の話だが、霊圧があるだけで、死神の基本だという斬拳走鬼は全て駄目駄目。戦いにしても大体シャリオ撃つだけだから、他人に教えられるものでもない。

 鬼道はかっこいいので使ってみたさはあるが、ちょっと触ってみたものの才能がないらしく全く駄目。

 

 という事で、他の隊がやるような隊長直々の訓練とかが出来ないので、他の案を考えた。他の隊との合同訓練だ。

 昔思い付いた時は天才だと思ったよね。

 

「おう、ハゲシンジ! 今日もハゲたツラしとんなァ!」

「何すんねん!? ひよ里お前ポンコツコラァ!!」

 

 人が多いから出来る事も多いし、強い人の数も多いからマンネリみたいな事にもならないし。

 

「珍しいじゃないか、京楽。こっちに来るなんて」

「その言い方だとまるでボクがいつもサボってるみたいなじゃないか。ちゃあんと仕事してるんだよ、仕事」

 

 他の隊の隊長格との訓練は色々と刺激になって良い。って、拳西も言ってた。

 

「一応顔を出してはみたものの、コレ、ボクの出る幕はないッスね……」

「良い機会じゃ、喜助。他の隊の者にも隊長らしさを見せてこい!」

 

 うんうん。賑やかなのは良いことだ。

 九番隊の場所を提供するだけで、私はこうして高みの見物を決め込んでいるだけで良い。監督役という大義名分で。これもあってか、九番隊の隊舎周りの土地は増やしてもらったし、良い事尽くめ。

 四番隊も参加してくれているから、怪我をしても安心。四番隊からしても、傷を癒す練習にもなるという事で烈からはいつでも呼んでと言われている。

 

 どういう訓練をするかもその場その場に任せている。

 いやー、楽ちん楽ちん。

 

「オイ隊長。他の隊の奴が相手してほしいってよ」

「それは困りましたね。私は体調が悪いので、代わりに拳西が相手をしてあげてください」

「テキトー言うなや、コラ」

 

 コワモテの副隊長である拳西をいなしつつ、こっちを見ている他の隊の人に手を振ってみる。

 だってねぇ。元柳斎とかならともかく、今の隊長格相手にもシャリオぶっ放すのは気が引ける。かと言って、それ以外で出来る事といえば、ふよふよと浮かぶ書で木刀を受けたり相手の頭を叩いたり、みたいな事ぐらい。それをしょーもなと言ったのは拳西だし。

 

「テメェッ! 今なんつったッ!!」

「ああン!? その耳は飾りかァ!?」

 

 おや、と怒鳴り声が聞こえてきた方を見る。

 あれは確か、六番隊と十一番隊の隊士。喧嘩だろうか。

 

 まぁ、猿柿ひよ里と平子真子みたいにコミュニケーションが喧嘩みたいな人もいるし、人も多くなるから多少の喧嘩は日常茶飯事みたいなところはある。

 

「ありゃ、本気の喧嘩だな。隊長らしく収めてこいよ」

「あなたはそろそろ上司に対する接し方を改めるべきでは……?」

 

 拳西曰く本気の喧嘩らしいが、それはそれとして、こんなに隊長に対してフランク(オブラートに包んだ表現)に接する副隊長いる? ……いるか、じゃあ仕方ない。

 まぁ、ともかく、喧嘩か。

 

「烈はどうしましたか? こういうものは大抵彼女が収めてくれるのですが」

「卯ノ花隊長は用事で欠席だとよ」

「困りましたね……」

 

 喧嘩の仲裁は烈のお家芸なのに、それがお休みとは。

 

「銀嶺は何をしていますか?」

「朽木隊長も欠席だぞ」

「……大婆様に言いつけなければなりませんね」

 

 十一番隊はともかく、六番隊は不老不死の子孫である朽木銀嶺が隊長をやっている。自分の隊の人間の教育ぐらいちゃんとやっていてほしいものなのだが。

 ちなみに朽木家の大婆様とは不老不死の事である。

 

「ちょっとちょっと君たち、落ち着いて」

 

 八番隊の隊長である京楽春水が仲裁に入ってくれたようだが、何故か周りの人間も加わってヒートアップしているらしく、止まる気配がない。

 

 これ、どうしたら良いと思う? 

 

『卯ノ花烈は普段、恐怖で秩序を保っているじゃないか。君も同じ事をすれば良い』

 

 恐怖て。烈は微笑んでいるだけなのに。まぁ、怖いのは否定しないけども。

 まぁ、仕方ないか。

 恐怖、恐怖ねぇ……。

 

「もし、どうされましたか?」

 

 とりあえず話から。

 

「もし……」

「やれぇ!! ぶっ殺せ!!」

「テメェッ!! 顔覚えたぞ、コラァ!!」

 

 とりあえず話。

 

「あの……」

「死ねェ!!」

「殺せェ!!」

 

 話……。

 あー。駄目だ、コレ。全然聞いてくれない。

 

「──エル・シャリオ」

『ッッ──!!??』

 

 太さを絞って、真上に。

 霊圧を全開にしてエル・シャリオを撃った。

 

 しーん、と静まり返った。さっきまでの喧騒が嘘のようだ。

 

「嘘やろ、遮魂膜ブチ抜きよった…………コワ……」

「だ、だ、黙っとけハゲシンジ!」

 

 さて。

 ちょっと怖がらせようと思ったんだけども。真上に向けた右手を戻しながら、考える。何を言ったら丸く収まるだろうか。

 

「仲良くしていただかないと、困ってしまいます」

 

 手を頬に当てて、言ってみる。

 

 しーん。

 誰か、何か言って? 

 おーい。

 

「ほらほら、虚飾隊長もこう言っている事だし、解散解散。話はボクと浮竹が聞くからさ」

 

 春水が仕切り始めてくれた。

 助かった。これで訓練の続き……。

 

 しーん。

 

「その霊圧引っ込めねぇと動けねぇよ……」

「おや。これは失礼しました」

 

 私の霊圧のせいらしい。

 

「恥ずかしいですね」

 

 霊圧の垂れ流しは恥ずかしいって聞いた事あるし。恥ずかし、恥ずかし。テヘペロ。

 

「可愛くねぇ」

「それは聞き捨てなりませんね?」

 

 この身体が可愛くないはずないだろうに。強がりか? 本当は可愛いと思ってるけど誤魔化すための強がりか? 拳西、この野郎。

 

「ともかく、他の方々は訓練に戻ってください。分かりましたか?」

 

 まぁ、最近はあんまりなかったが、初期のバチバチを思えばかわいいものだ。むしろ、懐かしい気分になれたと考えればムカつきもしない。この至宝(こえ)を無視する大罪も、水に流そう。

 が、動かない。

 

「おや。分かりましたか? と、言ったのですが」

「こ、コワ〜……」

「聞こえるやろ、アホ!」

「聞こえていますよ。真子、ひよ里。この後、一緒にお茶でもいかがですか?」

「……コレ死んだんちゃうか、俺ら」

 

 失礼な。仲良くなりたいから誘っているだけだというのに。ちょっと狙って言ったが。

 

 まぁ、ちょっとぐらい怖がられた方がパンドラ様ムーブとしては正解かもしれないし。

 

「みなさん、戻りましょうか?」

 

 ぱんぱんと手を叩いて、促す。

 今度はみんな動いてくれた。

 

 ▼△▼△▼△

 

「という事がありまして」

「ほー、なるほどな。オイ、銀嶺ッ!! テメェ、弛んでるんじゃねェのかァ!?」

「この度は申し訳なく……ほほほ……」

 

 数日後。普通に不老不死にチクった。

 

「テメェは部下の手綱も握れねェのか。アタシの頃はなァ、生意気なヤツはぶちのめして逆らわねェように……」

「ええ、ええ、大婆様の武勇は常々……」

 

 十代の少女と言っても通じる容姿の不老不死に、軽く還暦は迎えているような容姿の銀嶺が叱られている図は少し滑稽だ。

 ちょっと銀嶺が可哀想に見えはするが、こっちも困ったのは事実なので。遮魂膜を破った件にも、割とガチめで怒られたし。

 だって遮魂膜出てるとか知らんじゃん。タイミング悪く瀞霊廷に侵入しようとした誰かのせいじゃん。私悪くなくない? 

 

「ったく、鍛え直してやるから付き合えや」

「この老体に無理を言いなさる……」

「ああン? 誰が老体だァ!?」

「私の事なのですじゃが……」

 

 銀嶺を鍛えてあげるらしい。

 私は和菓子でも食べながら眺めていようか。

 

「パンドラ、オマエも手伝え」

「私もですか?」

 

 和菓子はお預けらしい。

 まぁ、手伝っても良いけども、私に一体何が出来るのかはちょっと疑問だ。

 

「白哉に四楓院の娘か。ちょうど良い。テメェらも付き合え。パンドラ、シャリオ撃ってこい、シャリオ」

 

 おーっと、話が変わってきたぞ。

 

「ぬわっ!? 何故に儂も!? おい白哉坊! シャレにならん! 逃げるぞ!」

「諦めろ。大婆様からは逃げられん」

「おおい!? いつもの威勢はどうした!?」

 

 銀嶺のさらに孫である白哉少年と、二番隊で隊長をやっている褐色美人の夜一が巻き込まれた。かわいそ。近くで遊んでいたのが運の尽きだ。

 

「知らんのか、白哉坊! 虚飾隊長のは本気でシャレにならん! 遮魂膜に穴を開けるぐらいじゃ。儂らなど、容易く塵にされるぞ!」

「さすがにそこまではしませんが……」

 

 ビビり過ぎじゃない? あんなの(エル・シャリオ)人に向けないって。襲撃かけてきたら知らないけど。

 

「オラ、何やってんだ! 撃ってこい!」

 

 と、2人の首根っこを掴んだ不老不死から催促。

 不老不死は木刀でも弱めのシャリオぐらい軽く弾いてくるから問題ないが、その体勢だと刀も握れないと思うのは私だけだろうか。というか、斬魄刀でもない普通の刀、ですらない木刀でシャリオ弾いたりするのって、おかしいよね? 

 

「……シャリオ」

 

 軽めに軽めに、シャリオを撃ってみる。

 

「ギャ──!!??」

 

 ビビり過ぎ。ビビり過ぎ。隊長なんだから、もうちょっと威厳出そう? 

 

「なッさけねェなァ……オマエら」

「あまり情けない声をあげるものではありませんよ。襲撃してこいとは言いませんが、千日(ちか)はこの程度、どうという事はありませんでしたし」

「ぐおぉ、出よった老人共の昔話……!」

「テメェ、実は余裕あるだろ?」

 

 まったく、老人なんて失礼な話だ。

 興が乗っちゃうぞ? 

 

 

 白哉少年曰く、あれ以降化け猫が近付く事はなくなったという。

 

 ▼△▼△▼△

 

 パチ。

 

「ぐ……まさか、これ程とはの」

 

 パチ。

 

「脳も衰えたのでは? そろそろ隠居するのが良いかと思いますが」

「生意気を言いよるわ。糞餓鬼が」

 

 パチ。

 

 場所は一番隊隊舎。

 私は盤を挟んで元柳斎と向かい合っていた。

 

「ぬしのような考え無しが、これ程指せるとはな」

「考えなしはお互い様でしょう。あなたのような者を脳筋というのですよ」

 

 指しているのは将棋だ。

 元柳斎から一緒に将棋をしないかと誘われたから、わざわざ来てあげたという訳だ。だというのに、開口一番に、ルール知ってる? あっ、知らないかー。みたいな反応されたからボコボコにしてやっている。

 

『ボクのおかげでね』

 

 さすがですエキドナ先生。

 

「……。そもそも、儂が一体どれだけ貴様に困らされたと思うておる」

「おや。説教でしょうか? 負けそうだからといって、見苦しいですよ」

「先日の遮魂膜の件も……」

「その件は既に謝罪しましたね。そもそも、遮魂というならばもう少し強度があって然るべきでは? エル・シャリオ程度で破れるなど、想定外というものです。文句があるならば遮魂膜の方を見直すべきでしょう。あの様子では、いつ侵入者に破られるか分かったものではありませんよ」

「ぺらぺらと口の回る……!」

 

 だって事実だし。

 一応ちゃんと謝ったから、もう済んだこと。遮魂膜が名前の割に弱っちかったのも本当。アル・シャリオならともかく、エル・シャリオで破れるなら他の者にも破れてもおかしくない。火力特化の卍解とかで。元柳斎だって破れるだろうし。

 

「さて、王手です」

「ぐぬぅ……!」

 

 いやー、さすがはエキドナ先生。言われた通りに指すだけで面白いように元柳斎が苦しんでいく。

 

『これで詰みだね』

 

 オッケーい。

 

「審判、決着を」

「あ、えっと……虚飾隊長の勝利……です」

「次は、茶菓子でも用意しておくと良いですよ」

「くっ……!」

 

 ちょっと煽り過ぎたかな? 

 でもあっちも煽ってきたし、そもそも私に将棋を持ち掛けたのだって私がアホっぽかったから、軽く捻って悦に入ろうとかそういう感じだろうし。結果はこのザマであるが。

 

 普段偉そうに色々言ってくるから、スカッとしたぜ。

 

 





 ○パンドラ主
 訓練で楽をするために、定期的に他隊との合同訓練を開催している。
 また、四番隊で烈が生け花教室を開いていると聞き、九番隊では、月1でお菓子品評会と称したお菓子持ち寄り会を開催している。参加者は九番隊に限定していないため、他の隊の参加者も多い。
 アイドル的な人気も高いが、今回の一件で隊長としての威厳を見せつけた(オブラートに包んだ表現)。

 ○六車拳西
 パンドラ主が総隊長と同じぐらい強いという評判を聞き、九番隊に入隊した苦労人。仕事を押し付けられまくっている。卍解も出来るし、実力もあるため、他隊の隊長にならないかと打診された事もあるが、パンドラ主を倒してからにすると断った。

 ○猿柿ひよ里&平子真子
 パンドラ主と元十二番隊隊長であった曳舟桐生(散々止められたが零番隊になった)の仲が良かったので、ひよ里はパンドラ主の事も慕っている。今回の件では割と本気でビビっていた。
 真子はそれほどパンドラ主と関わりがある訳ではないが、隊首会などで顔を合わせた際には、この子ボケッとしてるけど大丈夫なんか……?とか思っている。今回の件では、いきなり霊圧全開にして遮魂膜ブチ抜くとか怖過ぎると思っている。そもそも遮魂膜って破れるもんなんか……?とも思っている。
 
 ○四楓院夜一
 二番隊隊長。四楓院家として朽木家とも関わりがあるが、たまに不老不死に絡まれる。ご先祖の話とかを延々聞かされて正直鬱陶しいが、逃げようにも何故か追いつかれて逃げられない。
 白哉をからかうのを天秤にかけるとトントンだったが、パンドラ主との組み合わせが良くないと学習したので、とりあえず少しの間は朽木邸に近付かない事にした。

 ○元柳斎とパンドラ主の将棋の審判をさせられた一番隊隊士
 平隊士。一番隊の中で最も将棋に詳しいという事で抜擢された。終始胃が痛かった。
 普通、将棋に審判はいないとは言い出せなかった。

 
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