仮面ライダージオウ 外伝 FUTURE大戦 作:ボルメテウスさん
爆煙がゆっくりと薄れていく。
砲撃の衝撃で割れたアスファルトから、まだ細い煙が立ち上っていた。
ゲイツは構えを解き、視線を前へ向けたまま周囲を確認する。
先ほどまでいたG4の姿は見えない。
砲撃と必殺の衝撃を受けた場所には、焦げ跡だけが残っていた。
重い機械音が背後で止まる。
履帯が回転を止め、仮面ライダータンクの巨体がゆっくりと静止した。
数秒の沈黙のあと、装甲が光を失う。
変身が解け、装甲の中から一人の女性が姿を現した。
黒髪を揺らしながら、彼女は辺りを見回す。
街の景色を確認する視線には、明らかな戸惑いが混じっていた。
「は、初めまして模型 創華です。
歳は二十歳で○○大学の特撮撮影兼特殊撮影研究部の部長を努めています」
突然の丁寧な自己紹介に、ゲイツはわずかに眉を動かした。
戦闘直後の空気とは思えないほど真面目な声だった。
創華は少し慌てた様子で言葉を続ける。
「えっと、その……今の状況があまり分かっていないのですが、
ここは撮影予定だった場所とは全然違うみたいでして……」
言葉の途中で、彼女の視線が周囲の建物に向く。
見慣れない街並みに気づき、困惑がはっきりと顔に出た。
ゲイツは短く息を吐く。
「ここはお前の時代じゃない。
今は二〇一八年だ」
創華の表情が一瞬固まる。
「……え?」
理解が追いつかない様子で、彼女は周囲をもう一度見渡す。
「に、二〇一八年って……
ちょっと待ってください、私のいた時代は二〇三〇年頃なんですけど」
ゲイツは腕を組んだまま頷く。
「未来から来たライダーは珍しくない。
この世界では、そういう事が起きている」
創華は口を開きかけ、言葉を失った。
さっきまで戦っていたことを思い出し、顔が引きつる。
「ああああああああ!
こうゆう事は特撮だけで十分なのに!!」
声が街路に響く。
だが次の瞬間、その叫びをかき消すような低い振動が地面を揺らした。
ゲイツの視線が鋭くなる。
遠くの通りの奥、ビルの間に黒い影が立っていた。
それは人影ではない。
街灯の光を遮るほど大きく、建物の壁に異様な影を落としている。
巨大な肩。
異形の腕。
影がわずかに動いた。
その動きだけで、地面の空気が重く沈む。
創華もそれに気づき、思わず声を落とす。
「……あれ、着ぐるみじゃないですよね」
ゲイツはゆっくりと前へ一歩踏み出す。
「違う。
あれはアナザーライダーだ」
影の輪郭が街灯に触れた瞬間、異形の姿がわずかに浮かび上がる。
巨大な身体。
人間の倍はある体格。
腕が異様なほど長く、筋肉の膨らみが装甲のように盛り上がっていた。
それは、まるで巨大な獣人のようだった。
創華の声が震える。
「もう嫌だ!
お家に帰りたい!!」
ゲイツは視線を外さない。
巨大な影がゆっくりと動き出す。
アスファルトが、重い足音に合わせて軋んだ。
街の奥で、不穏な気配が静かに膨れ上がっていく。