仮面ライダージオウ 外伝 FUTURE大戦   作:ボルメテウスさん

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「この本によれば、普通の高校生常磐ソウゴ。彼には、時の王者、オーマジオウになる未来が待っていた。しかし、その出来事も今は、改変し、不確かな未来となっている。
そして、我が魔王、常磐ソウゴの前にも、ひとつの試練が立ちはだかっていた」

ウォズの声と共に映し出されるのは、破壊された街。
血と獣の匂いを纏う存在――アナザーアマゾンアルファ。

「それは、生存本能のみを肥大化させた歪み。
 理性を失い、ただ喰らうために存在する怪物」

その前に立つのは、仮面ライダージオウ。
そして、未来より来訪した銃のライダー――ジョニー。

「二人は激突した。
 力と力、意思と暴力がぶつかり合う、凄惨な戦いであった」

だが、アナザーライダーは倒れない。
何度でも立ち上がり、街を、人を脅かす。

「そこで現れたのが――
 本来、この時代では変身できないはずの忍」

一瞬、映るのは忍装束の影。

「未来の記憶を呼び覚まし、
 ウォズより授けられたシノビミライドウォッチ」

一時的に力を取り戻した、仮面ライダーシノビ。

「忍の刃、
 魔王の力、
 そして、未来の銃弾」

三つの力が、ひとつの敵へと向けられる。

「彼らは、初めて肩を並べて戦った」

無数の分身。
斬撃。
銃撃。

「そして、ついに――
 アナザーアマゾンアルファは、その歪んだ歴史に終止符を打たれる」

爆炎の向こうで、怪物は崩れ落ちる。

「これは、偶然の共闘ではない」

ウォズは静かに告げる。

「未来と現在が交差した、
 最初の証明なのである」

ウォズの声と共に、映し出されるのは雲に覆われた空。
重く垂れ込めた雲海を、轟音と共に突き破る何か。

「そして、我が魔王と共に行動していたガンナーとは別にまた1人、別のライダーが未来から」

雲の中から現れる、翼を持つシルエット。
背中で唸るエンジン。
一瞬だけ煌めく、炎の軌跡。

「 ただ空を取り戻すために飛び続けた」

姿はすぐに雲へと溶け、再び見えなくなるり、ウォズは、意味深に微笑む。

「さて、彼がここで齎すのは。」

ページの端に、ただ一言。

――JET。

「それが、空の仮面ライダー。
 仮面ライダージェットである」

本は閉じられる。

「こうして、FUTURE大戦は――
 静かに、しかし確実に幕を上げる」


2050:フライト

昼下がりの街。

人通りが途切れた一角で、ツクヨミが足を止めた。

 

「……ゲイツ、ここ」

「あぁ、何かあったと思うけど、何が起きたんだ」

 

目撃情報が集中していた地点。

壊れたアスファルト。

潰れたガードレール。

そして――

 

空気が、重い。

 

次の瞬間、

コンクリートの壁が内側から“へこんだ”。

 

ドンッ――!!

 

壁を突き破って現れたのは、黒鉄の人影。

 

「あれって、仮面ライダービルド?」

 

そこに立っていた1人のライダーを見て、ツクヨミは思わず呟く。

ゲイツ達にとっても、一番最初に出会った仮面ライダーであるビルド。

だが、その姿は、漆黒に染まっており。

 

「・・・いや、何か違う」

 

そう、ゲイツの呟きの次の瞬間、まるで獲物を狙うようにゲイツに接近する。

すぐに防御の構えを取るゲイツに対して、ビルドは容赦なく、拳を放つ。

 

「ぐっ」

 

拳の衝撃が、まだ腕に残っている。

ゲイツは浅く息を吐き、ゆっくりと立ち上がった。

 

(重い……だが――)

 

視線を上げ、黒鉄の怪物を睨み据える。

 

「……違う」

 

低く、はっきりと言い切った。

 

「こいつは、ビルドじゃない」

 

過去に出会った男の姿が、脳裏をよぎる。

戦兎の笑顔。

誰かを守るために頭を回し、傷つくことを選んだ背中。

 

「仮面ライダービルドは……

 こんな戦い方はしない」

 

メタルビルドは無言のまま、一歩踏み出す。

地面が沈み、粉塵が舞う。

 

ゲイツは続けた。

 

「力だけを切り出して、

 理由も意思も削ぎ落とした――」

 

拳を握りしめる。

 

「……アナザーライダーと同じだ。

 ライダーの形をした、ただの歪みだ」

 

次の瞬間、

黒鉄の拳が再び迫る。

 

「だから――」

 

ゲイツは腰のジクウドライバーに手をかけた。

 

「俺が止める」

 

「変身!」『ライダータイム!仮面ライダーゲイツ』

 

黒鉄の怪物が、一歩踏み込む。

その動きは直線的で、無駄がない。

だが一歩ごとの圧が、空気を震わせる。

 

「……っ!」

 

ゲイツは即座に距離を取る。

だが、それでも間合いは一瞬で詰められた。

 

――ゴォンッ!!

 

拳が振り下ろされ、

アスファルトがクレーターのように砕け散る。

 

「チッ……!」

 

跳び退きながら、ゲイツは歯を食いしばった。

 

(このままじゃ押し切られる……!)

 

腰のホルダーに手を伸ばす。

取り出したのは――ビルドライドウォッチ。

 

「……ビルドならば」

 

短く息を吐き、続ける。

 

「同じ“ビルド”だ」

 

ウォッチを起動。

 

『ビルド!』

 

そのまま、ジクウドライバーへ装填する。

 

『ライダータイム!仮面ライダーゲイツ!アーマータイム!ベストマッチ!ビ・ル・ドー!』

 

爆音と共に、歯車と金属音が重なり合う。

 

赤と青の装甲が分解・再構築され、ゲイツの右腕へ集束していく。

 

形成されたのは――

巨大なドリルユニット。

 

回転を始めると同時に、周囲の空気が巻き込まれ、唸りを上げた。

 

「……行くぞ」

 

ゲイツは地面を蹴り、踏み込む。

 

ドリルを突き出し、一直線の突進攻撃。

 

――ガガガガガッ!!

 

ドリルがメタルビルドの胸部装甲に食い込む。

火花が散り、金属同士が削り合う音が響く。

 

「効いてる……!」

 

だが、次の瞬間――

 

メタルビルドは、退かない。

 

むしろ、ドリルを受け止めたまま、巨大な掌でゲイツの肩を掴んだ。

 

「――ッ!?」

 

そのまま、力任せに振り回す。

 

――ドンッ!!

 

車両に叩きつけられ、ドリルの回転が一瞬止まる。

 

「ぐあっ……!」

 

装甲越しでも衝撃が貫通する。

視界が揺れ、耳鳴りが走る。

 

(ドリルでも……止まらない!?)

 

立ち上がる間もなく、今度は拳が叩き込まれる。

 

――ガンッ!

――ゴンッ!

 

連続する打撃。

ガードしても、腕が痺れる。

 

「くそ……!」

 

反撃に転じようと、再びドリルを回転させる。

 

「はぁぁぁっ!」

 

横薙ぎの一撃。

 

だが――

メタルビルドは、腕で受け止めた。

 

ドリルが装甲を削る。

確かに、傷は付く。

 

だが、致命傷にはならない。

 

(……重すぎる)

 

ゲイツの呼吸が荒くなる。

ビルドアーマーに負荷が、確実に蓄積していた。

一方で、メタルビルドは変わらない。

 

疲労も、迷いも、ない。

 

次の瞬間――

巨大な拳が、真上から振り下ろされる。

 

避けきれない。

 

(――マズい!)

 

――その時。

 

空気が、裂けた。

 

ゴォォォォン――

低く、鋭い轟音。

 

「……?」

 

ツクヨミが、空を見上げる。

 

雲間から、白い軌跡が一直線に降下してくる。

炎を纏った影が、戦場へ突入しようとしていた。

拳が振り下ろされる、その直前だった。

空気を切り裂く轟音が、戦場を覆い尽くす。

 

ゴォォォォン――!

 

次の瞬間、空から赤熱した閃光が突き刺さるように降下した。

メタルビルドの肩口をかすめ、爆炎と衝撃波が弾ける。

 

「――ッ!」

 

初めて、黒鉄の怪物が動きを止めた。

わずかに体勢を崩し、ゲイツへの追撃が途切れる。

 

「何……?」

 

ツクヨミが息を呑む。

 

空を見上げると、そこには翼を広げた影。

背中のエンジンが白い噴炎を吐き、旋回しながら再び射線を取る。

 

――ドンッ!

――ドンッ!

 

連続する空中射撃。

地面を抉る衝撃が、メタルビルドの進路を強引に遮断する。

 

狙いは正確だった。

致命傷を与えず、ただ距離を切るための牽制。

 

黒鉄の怪物が、ゆっくりと空を仰ぐ。

その瞬間を逃さず、影は急降下に転じた。

 

轟音と共に着地。

アスファルトが割れ、砂塵が舞い上がる。

爆風が収まり、砕けたアスファルトの隙間から白い蒸気が立ち上る。

その中心に立つ、翼を備えた仮面の戦士。

 

メタルビルドがゆっくりと拳を構え、再びゲイツへ踏み出そうとした瞬間だった。

 

「下がれ」

 

低く、だがはっきりとした声が響く。

 

ジェットは半身でメタルビルドを牽制しながら、視線だけをゲイツへ向けた。

 

「ここからは、俺が引き受ける」

 

一瞬、ゲイツは言葉を失った。

敵意はない。

警戒も、探るような含みもない。

ただ、戦場に立つ“味方”の声だった。

 

「……チッ、突然来て勝手なこと言いやがって」

 

そう言いながらも、ゲイツは一歩退く。

身体がまだ痺れていることを、相手は見抜いていた。

 

ジェットは一切振り返らない。

視線は正面、黒鉄の怪物だけを捉えている。

 

背中のエンジンが低く唸り、翼の縁が淡く発光した。

空気が引き絞られ、周囲の砂塵が中心へ吸い寄せられていく。

 

メタルビルドが拳を振り上げる。

 

その瞬間――

ジェットの姿が、掻き消えた。

 

次の刹那、衝撃音が遅れて炸裂する。

空と地上、その境界で始まる戦いだった。

 

ジェットの一撃を受け、メタルビルドの装甲に確かに傷は入った。

だが、それだけだ。

 

黒鉄の怪物は、わずかに体勢を崩しただけで、すぐに立ち直る。

装甲が砕ける気配はない。

拳を握るだけで、周囲の空気が軋む。

 

「……やっぱりな」

 

ゲイツは息を整えながら、確信する。

 

(力も、防御力も……

 あいつの方が上だ)

 

事実、ジェットの攻撃は致命傷になっていない。

真正面から殴り合えば、押し潰されるのはジェットの方だ。

 

それでも――

戦況は、完全にジェットが握っている。

 

メタルビルドの拳が振るわれる。

だが、そこにはもう誰もいない。

 

「……同じだ」

 

ゲイツの脳裏に、過去の戦いがよぎる。

ゲイツリバイブ・疾風で速さと共に飛んだ時の経験。

そして、アナザーカブトのクラックアップによる戦い。

それらの経験が、僅かだが、現状を確認出来る。

 

(速さで“当たらない戦い”をする……)

 

力を受け止めない。

防御力を削り合わない。

相手が攻撃を出す前に、間合いそのものを消す。

 

ジェットは、まさにそれをやっている。

 

見えない速さで現れ、

見えない速さで離脱する。

攻撃は浅くても、確実に“位置”を奪っていく。

 

メタルビルドは強い。

だが――追いつけない。

 

「……スピードで、戦場を制してる」

 

ゲイツは、無意識にそう呟いていた。

 

ジェットが選んでいるのは、勝てる戦い方だけだ。

メタルビルドが拳を振り抜いた、その瞬間だった。

ジェットは正面にいない。

 

――上空。

 

背中のエンジンが唸りを上げ、翼が最大展開する。

空気を吸い込み、圧縮し、次の瞬間には灼熱の噴炎として解き放つ。

 

「……遅い」

 

低く呟くと同時に、ジェットは急降下に転じた。

速度は音を越え、視界が一直線に歪む。

 

メタルビルドが気づいた時には、もう遅かった。

拳を振り上げる前に、ジェットはその懐へ滑り込んでいる。

 

「――これで終わりだ」

 

ジェットブレードが展開され、翼のエンジンが逆噴射を開始する。

吸い込まれた空気が刃に纏わりつき、回転する炎の輪を形成した。

 

一閃。

 

刃は“斬る”のではない。

速度と炎そのものを叩きつける。

 

――ズバァァァン!!

 

爆発的な衝撃が一点に集中し、メタルビルドの装甲が悲鳴を上げる。

耐えていた黒鉄が、ついに限界を迎えた。

 

亀裂が走り、

次の瞬間、内部から噴き出すエネルギー。

 

ジェットはすでに離脱している。

背後で起こる大爆発を振り返ることなく、着地した。

 

轟音と共に、メタルビルドは粉砕され、

黒煙の中へと消えていった。

 

「ここがお前の着陸地点だ」

 

エンジン音が静まり、翼が畳まれる。

 

「・・・また、未来からの仮面ライダーか」

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