呪いと支配の崩壊戦   作:構造系魔女

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1話

 太陽は、波打つ雲を纏い、

薄い光がぽつり、ぽつりと地に届く。

 

森に立つ木々の影は、

空から差された光に触れようともせずに

 ……ただ囲うだけ。

その光景は、けれど──

ナニカに怯え、惑う空の表情にも見えた。

 

やがて、二つの流星が交差する。

 

片や、四つ目と四つ腕を備えた異形。

もう片や、無数の手をまとった異形。

 

二つの意思は、交わった瞬間に定まる。

 

破壊と悦楽を求め、

全てを喰らい尽くす化身は、

奪った影を沈め、

本来の姿を取り戻した呪いの王──両面宿儺

 

片割れを求め、

総てを奪い続ける意思は、

導いた崩壊を取り込み、

壊し尽くす破壊の魔王──オール・フォー・ワン

 

今ここに、

混沌の暴君と悪の支配者が、幻想を斬り崩す。

 

対面した瞬間、会話は要らない。

目が合った瞬間、闘争の羅針盤は定まった。

 

宿儺の右上の手が握るは

特級呪具──雷武解。

 

呪力が流れ、雷武解が空を裂く。

雷轟がオール・フォー・ワンめがけて降り注ぐ。

 

オール・フォー・ワンは

無数の手を生やし、片手をかざす。

黄金と黒い閃光が脈打つ波動を吐き出し、

稲妻を打ち消す。

 

衝突。煙が辺りを包む。

 

オール・フォー・ワンは

足元から円形のエネルギーを形成し、

躍るように宿儺へ迫る。

乾いた笑みを浮かべ、触れんとする

その瞬間――触れかけた手が、下へ折れ、鮮血が流れ落ちる。

 

宿儺は小さく口ずさむ。

「──解」

短い合図のように続けた。

 

 

二人の距離を切り裂く斬撃が、オール・フォー・ワンを捌き、空を裂き、地を割る。

 

下から噴き上がった土煙が晴れたとき、そこに立っていたのは、肉の鎧を剥がされ、芯を晒した魔王の姿だった。

さっき受けた傷は既に塞がっている。

 

表情は好奇と支配衝動を滲ませ、宿儺を見据える。

 

「まったく、随分と大胆な歓迎だね……これがここの儀礼というわけかい?」

 

オール・フォー・ワンは上から見下ろす。

先ほどまで緑に覆われていた木々は土を晒し、深く刻みを残していた。

 

「腕が四本、目が四つ、腹にもう一つの口──とても人間とは思えない姿だ」

 

宿儺は目を向けてクハッと、嘲るように笑う。

「貴様が言えたことではないだろう?」

 

オール・フォー・ワンは

なるほど"君もか"と言わんばかりに、興味深そうな様子で目を細める。

その視線に映るは、前の宿儺の肉体のさらにその先を見据えるように囁く。

 

「見たところ、君の肉体には二つの意思がある……」

「片方がもう片方を沈める形で制御している……だが、その身体は君自身のものだ」

 

「元来の宿主の肉体を変容させている、それも科学ではなく、意志という現象で──」

 

オール・フォー・ワンの目には、

支配とも破壊衝動とも違う──未知への好奇心が滾る。

「実に興味深い、ますます知りたくなったぞ──君(異能)を……!」

 

宿儺は視線を外さず、不敵に笑った。腕を組んで鼻で嗤う。

「御託はいい、来るなら来い」

 

視界の端で、宿儺の内的観測が滑る。

 

術師でも、呪いでもない存在がやって来るのか。

──否、俺が移動されたのだろう。

 

迷い込んだ空と地、木々。

──見たことのない世界、触れたことのない現象、呪力なくして成立するその原理。

 

両面宿儺は更に臓腑から呪詛をこみ上げ、先の戦いを思い返す。

五条悟、江戸の雷術師・鹿紫雲一。

「次から次へと、上等なものが出るものだ……いいだろう」

 

四つの腕を広げて嗤う宿儺は間合いを計る。

「興が乗ってきたところだ」

「まずはその手……お前の得意を潰してやろう」──手の側面を向け、睨む。

「次は治す暇もなく刻む」

 

オール・フォー・ワンは予想外の展開に苛立ちを覚えつつ、興味が揺れる。

(OFAを得る機会は延びたが……これは思いがけない収穫だ)

「まさか、個性因子以外の、感情を具現とする異能とは……弟を取り戻すまでのいい手土産になりそうだ」

 

雲は暗く、深く染まっていく。

空気が軋み、呪いと支配が幻想を掻き乱す。

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