ミレニアムの秘密の研究室   作:まったり愛好家

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第五十八話 ヘモドライブ コハク過去編あり

部屋の扉が、ほとんど音を立てずにゆっくりと開いた。

重厚なヒンジがわずかに軋むその音は、この静まり返った客室の中ではやけに大きく響く。

 

入ってきたのは、黒い制服に身を包んだカイザー社の職員と、もう一人。

二人の間に挟まれるようにして、低く安定感のある台車が押し込まれてくる。

 

台車の上には、布で丁寧に覆われた何かが載っていた。

そのシルエットは、どこか不気味なほど“人間的”で――

 

私は、無意識に息を詰めて、それを見つめる。

 

職員の一人が布の端をつまみ、ゆっくりと持ち上げた。

 

――現れたのは、人間の腕と脚だった。

 

いや、正確には「そう見えるもの」だ。

血の気を感じさせる柔らかな肌。

うっすらと浮かぶ血管。

関節の形状、指の長さ、爪の色。

 

それらは、あまりにも本物の人体と見分けがつかない。

 

台車の上に横たわるそれらは、まるで解体された人間の手足が、丁寧に並べられているかのようだった。

 

「……相変わらず、悪趣味な見た目ですね」

 

私がそう言うと、職員は一瞬だけ困ったように笑った。

 

「見た目に関しては、あえて“本物”に近づけておりますので」

 

そのまま、彼は改めて姿勢を正し、少しだけ声のトーンを上げて説明を始めた。

 

「こちらが、コハク様専用の武装――

ヘモドライブ義肢、正式名称《Hemo-Drive Limb》でございます」

 

彼はそう言って、台車の上の腕を両手で持ち上げた。

 

その動作は慎重で、まるで美術品か何かを扱うかのようだった。

 

「素体には、コハク様ご自身のコピー体を使用しております。

そのため、外見はもちろん、触感、温度、質感に至るまで、通常の人体と区別がつきません」

 

彼は義手の手首を軽くひねり、指を一本ずつ動かして見せる。

 

関節は滑らかに、まるで生きているかのように動いた。

 

「エネルギー源は、コハク様の血液です。

内部に搭載された血液変換機構により、化学エネルギーを即座に推進力へと変換いたします。

外部からの電源供給や燃料補給は、一切必要ありません」

 

「つまり……私が生きて動いている限り、こいつも動き続けると」

 

「その通りでございます」

 

私は、じっと義肢を見つめる。

人間の腕と、どこが違うのか――そう問われても、答えに詰まるほどに完成度が高い。

 

職員は、義肢の内側を見せるように少し角度を変えた。

 

「噴出口は、こちらになります」

 

彼が指し示したのは、手のひら、肘の関節部、そして肩関節の背面だった。

 

さきほどまで滑らかな皮膚に見えていた部分が、まるで生き物の鱗のように開き、内部から金属質のノズルが露出する。

 

「これらの噴出口から、血液を変換したジェットを噴出し、

コハク様の機動力を飛躍的に向上させます。

跳躍、急加速、空中姿勢制御……あらゆる動作を補助、あるいは強化可能です」

 

私は思わず、その構造に見入った。

 

普段は完全に隠れている噴出口が、使用時だけ露出する。

その切り替えはあまりにも自然で、どこまでが肉でどこからが機械なのか、視覚だけでは判断できない。

 

「普段使いにも支障はありません。

衣服の下に装着していても、外見から義肢だと見抜くことは不可能でしょう」

 

「……本当に、人間をそのまま機械にしたみたいですね」

 

私の呟きに、職員は否定も肯定もしなかった。

 

少し間を置いてから、彼は一つだけ、少し硬い口調で付け加える。

 

「一点だけ、注意点がございます」

 

私は視線を上げる。

 

「この製品は、コハク様のコピー体を素体にしておりますが、

再生能力は付与されておりません。

また、内部に搭載されている血液変換機構や推進器の影響で、重量も通常の四肢よりかなり重くなっております」

 

「つまり、壊れたらそのまま壊れるし、動かすのにもそれなりの筋力が要る、と」

 

「はい。取り扱いには、十分ご注意ください」

 

「ふーん……」

 

私は、腕組みをして少し考え込む。

 

「神経は通ってるんですか?」

 

「通っております。ただし――」

 

職員は少し言葉を選ぶように間を置いた。

 

「完全な生体神経ではなく、擬似的に再現したものになります。

感覚の伝達、運動指令の伝達は可能ですが、微細な違和感が生じる可能性は否定できません」

 

「……まあ、それは仕方ないですね」

 

私は、義肢の指先を軽くつついてみる。

ひんやりとしているのに、どこか人肌のような柔らかさがある。

 

「耐久力は?」

 

「一般的なキヴォトスの生徒と同等です。

小火器による被弾程度であれば問題ありませんが、継続的な損傷や大口径の攻撃には耐えられません。

定期的なメンテナンスは必須となります」

 

「なるほど……」

 

私は、台車の上に並べられた義肢を見下ろしながら、さらに質問を重ねた。

 

「現時点で、これって何セットあるんですか?」

 

「実戦投入が可能なものは……今ここにある、この一式のみです」

 

「やっぱり」

 

私は、小さく頷いた。

 

「コピー体を素体にしている関係で、試作自体に制限がかかりますし、

構造も極めて複雑ですので……量産は、現実的ではありません」

 

「でしょうね」

 

私は、少しだけ口元を歪めた。

 

「ところで……カイザー理事は、これを“完成形”だと思ってます?」

 

その問いに、職員は即答しなかった。

ほんの一瞬、視線を逸らしてから、静かに答える。

 

「いいえ。これは、あくまで試作機に過ぎません」

 

「……ほう?」

 

「理事が目指しているのは――」

 

職員は、少し声を落とした。

 

「コピー体の再生能力を失わず、なおかつ脳と脊髄神経のみを残した状態で、

全身を血液駆動機関へと置換することです」

 

「全身を……」

 

私は、思わず息を吸った。

 

「つまり、人間を丸ごと“エンジン”にするわけですか」

 

「……はい。戦術兵器として運用可能な存在を想定しております」

 

「なるほど……」

 

私は、義肢から視線を離し、天井を仰いだ。

 

「そりゃあ、コピー体の需要も高まりますよね」

 

職員は、静かに頷いた。

 

「ええ。すべては、コハク様ありきの研究ですので」

 

その言葉が、やけに重く響いた。

 

私は、早速その義肢を装着してみることにした。

 

そう口にすると、職員は一瞬だけ目を見開き、それから深く一礼して奥の通路を指し示した。

 

「こちらへどうぞ。試着・試運転用の部屋をご用意しております」

 

案内された先は、店内の豪奢な客室とは打って変わって、無骨で実務的な空間だった。

広めの四角い部屋で、床も壁も天井も、すべてが灰色のコンクリートで覆われている。どこか巨大な輸送コンテナの内側に入り込んだような感覚があり、音は不思議なほどよく反響した。

 

天井には頑丈そうな照明がいくつも埋め込まれており、影ひとつない明るさで室内を照らしている。

 

「ここは、本社製品の試着および試運転を行う専用室です」

 

職員は壁際のパネルを操作しながら説明した。

「構造は衝撃や振動に耐えるよう設計されていますので、どのような動作を行っても問題ありません。遠慮なくお試しください」

 

そう言って、彼は台車の上に用意されていた義肢一式と、工具としてのナイフとノコギリを私の前に置いた。

 

「……工具までセットなんですね」

 

私が半ば冗談めかして言うと、職員はわずかに視線を逸らした。

「装着には、どうしても必要になりますので」

 

彼はそれ以上何も言わず、軽く一礼して部屋を出ていった。

重厚な扉が閉まると、コンクリートの空間に、私一人が取り残される。

 

「なるほど……」

 

私は台車の上の義肢を見下ろした。

そこに並んでいるのは、あまりにも人間の四肢そのものに見える装備だ。

そして、その下に置かれたナイフとノコギリの意味も、嫌でも理解できる。

 

「……そうか。この義肢、装着するには、今の四肢と“入れ替え”なきゃいけないのか」

 

口に出して言うと、現実味が増した。

 

私は一度深く息を吸い、覚悟を決めて服を脱ぎ始めた。

白衣をハンガー代わりのフックに掛け、制服と下着を畳んで部屋の隅に置く。

冷たいコンクリートの床に素肌で立つと、足裏からじんわりと冷えが伝わってきた。

 

「……まあ、慣れてるし」

 

私は小さくそう呟き、台車の横に立つ。

 

自分の再生能力を意図的に制御しながら、右腕を義肢と入れ替える準備をする。

ここで起きていることは、私にとっては日常の延長線上にある作業だった。恐怖も痛みも、今となっては意識の奥に押しやられている。

 

慣れたものだ。今となっては、もう麻酔など必要ない。痛みさえも、遠い記憶の残響のように薄れている。

 

ナイフの先を肩関節の窪みに合わせ、ゆっくりと押し込む。皮膚が抵抗する感触が指先に伝わり、ぷつりと小さな音を立てて裂けた。

 

鮮血が刃を伝って滴り落ち、温かく生臭い匂いが鼻腔を満たす。筋肉の層を一つ一つ剥ぎ分けるように、刃を滑らせていく。赤黒い筋繊維が露わになり、断面からじわりと血が滲み出る。

 

次に腱だ。白く太い腱は、刃を噛むように頑強に立ち向かう。片手だけの作業では力が入りにくく、何度も刃を引いては押し込みを繰り返す。

 

なかなか断ち切れず、苛立ちが募る。結局、歯を食いしばり、全身の体重を乗せて引きちぎるように力を込めた。びりびりと繊維が千切れる感触が手に伝わり、ようやく腱が途切れた。血しぶきが飛び散り、床に赤い染みを作る。

 

関節の隙間にナイフの刃を差し込み、梃子の原理で慎重にてこを効かせる。骨と骨が擦れ合う鈍い感触。次第に隙間が広がり、水分の多い青木をゆっくりと折り曲げたときのような、湿ったミジジジッという不快な音が静かな部屋に響き渡った。

 

ついに、肩の関節が外れ、腕全体が重く垂れ下がる。体から切り離されたそれは、まるで異物のように、ただそこにあった。

 

私は、その切断面に義肢の接続部をそっと合わせた。

 

次の瞬間、義肢の内部から微かな駆動音が響く。

それは低く、規則正しく、まるで小さな心臓が鼓動を打ち始めたかのようだった。

 

義肢の内側に組み込まれた接続機構が作動し、私の体内に流れる血液を感知して、瞬時にリンクを開始する。

見えないところで、無数の細かな“触手”のような接続子が伸び、切断面と義肢を精密に噛み合わせていく感覚があった。

 

痛みというよりも、むしろ“はめ込まれていく”という感覚に近い。

 

「……」

 

私は息を止めて、その過程をじっと待つ。

 

やがて、義肢と私の体は、ぴたりと一体化した。

外見上は、まるで最初からそこにあったかのように自然だ。

 

私は、恐る恐る指を動かしてみる。

 

五本の指が、意図した通りに開閉した。

手首をひねれば、違和感なく回転する。

力を込めれば、しっかりと筋肉の代わりに内部機構が反応するのがわかる。

 

「……すごいな」

 

思わず、感嘆の声が漏れた。

 

血液が義肢の内部を循環し、エネルギーとして変換されているのが、なんとなく体感できる。

自分の体の延長として、義肢が“生きている”。

 

「ここまで自然に繋がるとは思わなかった」

 

私は、何度か腕を振り、握ったり開いたりを繰り返す。

ほんのわずかな違和感はあるものの、それもすぐに脳が補正してしまう程度のものだった。

 

勢いづいた私は、同じ要領で左腕、そして両脚にも義肢を装着していった。

足の方は両手が使える分、作業は比較的スムーズだった。

一つひとつ、義肢が自分の体に組み込まれていくたびに、私は“人間でありながら人間でなくなっていく”ような、不思議な感覚を覚える。

 

やがて、四肢すべてがヘモドライブ義肢に置き換わった。

 

私は、ゆっくりとその場で立ち上がった。

 

床に伝わる感触は、確かにある。

体重の移動も、バランスも、普段とほとんど変わらない。

むしろ、どこか軽く、力強くなったような錯覚すらあった。

 

「……」

 

私は自分の手を見下ろす。

それは、私の手だ。見た目も、動きも、感覚も。

けれど、その内側では、血液がエンジンとなり、機械がそれを推進力へ変えている。

 

そして、ひとつだけ、はっきりとわかったことがあった。

 

私は、意識的に再生能力を働かせようとした。

いつもなら、失った四肢はすぐに元に戻るはずだ。

 

だが――何も起きない。

 

「……再生しない、か」

 

義肢と一体化した部分を見つめながら、私は静かに呟いた。

 

脳が、もうこの腕と脚を“自分の体”だと認識している。

失われたものとして扱っていない。

だから、再生の対象にもならない。

 

「なるほど……」

 

私は小さく息を吐いた。

 

「これが、私のコピー体を素体にしているっていうことの意味か」

 

その事実を、私は静かに受け入れた。

 

 

コハク過去編 11

 

意識が、ゆっくりと浮上してきた。

 

まるで頭蓋骨の内側に詰め込まれていた大量の砂鉄が、磁力を失って一粒ずつこぼれ落ちていくような感覚だった。重く、ざらついた思考の塊が、少しずつ剥がれていく。視界の端に、ぼんやりとした光の輪郭がにじみ、やがてそれが天井の照明だと理解できるようになるまで、数秒――あるいは数十秒がかかった。

 

私は、まぶたをゆっくりと開いた。

 

白く、無機質な天井。

規則正しく並んだライト。

そして、どこかで低く鳴り続ける機械音。

 

次に、自分の体を認識する。

 

両腕も、両脚も、胸も、腹も、首も。

すべてが、あの拘束椅子にがっちりと固定されたままだった。金属のバンドが肌に食い込み、ほんのわずかな違和感として存在を主張している。

 

「……」

 

声を出す前に、小さく息を吸い込む。

 

「目が覚めましたか。随分と早かったですね」

 

横から、聞き慣れた声がした。

視線を向けると、黒服さんが少し離れたところに立ち、タブレット端末を操作しているのが見えた。

 

「おかげで……次の段階に進めます」

 

私は、まだ完全に覚醒しきっていない頭を必死に回転させながら、尋ねた。

 

「……結果は……どうでしたか……?」

 

声が、少し掠れている。

それでも、言葉にはなった。

 

黒服さんは、タブレットを閉じ、こちらを向き直った。

 

「相当な差がありましたよ。意識がある状態での再生時間が約三・五秒だったのに対し、無意識下では……」

 

一拍、わざとらしいほどの間を置く。

 

「――四十分、かかっています」

 

「……四十分、ですか」

 

その数字の大きさに、さすがに少し驚いた。

目を見開くと、視界の端で、私の右腕がちゃんと元通りになっているのが見える。

 

「切り落としたのは……手首から先、ですよね?」

 

「ええ。先ほどと、まったく同じ位置を切断しました」

 

ならば、と私は頭の中で計算する。

 

「……それなら、多分ですけど」

 

ゆっくりと言葉を選びながら、私は続けた。

 

「無意識下の再生速度って、私の神秘が覚醒する前――小学校の頃の再生速度と、ほぼ同じだと思います」

 

黒服さんの眉が、ほんのわずかに動いた。

 

「ほう。つまり……」

 

「意識がある時は、私が自分の神秘を操作して、再生を加速させている。でも、神秘そのものの基礎性能が劇的に上がったわけじゃない。だから、意識を失うと……元の、遅い再生に戻る」

 

自分で言いながら、妙に納得してしまった。

あの、覚醒前の私の再生は、確かに速いとは言えなかった。致命傷は防げても、指一本生えるのに何十分もかかっていたのを覚えている。

 

「……おそらく」

 

最後に、そう付け加える。

 

黒服さんは、しばらく私の顔を見つめてから、無言で端末を取り出し、何かを書き込み始めた。ペン先が画面を走る音が、静かな室内にやけに大きく響く。

 

「わかりました」

 

やがて、彼は頷いた。

 

「仮説としては、非常に筋が通っています。では、次の実験に移りましょう」

 

その言葉を聞いた瞬間、私の中にほんの少しだけ、緊張が走った。

 

「次は、あなたの再生が、どのような“手順”で行われているのかを調べます」

 

黒服さんは、淡々と説明を続ける。

 

「具体的には、顕微鏡とハイスピードカメラで再生の過程を記録し、後から詳細に観察します」

 

彼が操作パネルに触れると、機械が低く唸りを上げた。

天井や床に隠れていたアームがせり出し、その一つが、私の右手首のすぐ近くで止まる。先端には、小さなレンズと、無数の微細なセンサーが取り付けられていた。

 

まるで、私の皮膚の毛穴一つ一つを覗き込もうとしているかのようだ。

 

「……すごい至近距離ですね」

 

「細胞レベルで観察する必要がありますから」

 

もう一つのアームが、ゆっくりと、しかし確実に動き、私の手首に位置取りする。

先端の刃が、無機質な光を反射した。

 

「――では、いきます」

 

宣言と同時に、痛覚のない私の手首が、再び切断された。

 

ピッ、という電子音とともに、録画が開始される。

 

視界の端で、切断面から血が溢れ、だがそれもすぐに止まった。

そして、私は目を凝らす。

 

自分の体が、どうやって“戻る”のかを。

 

数秒後、手首の断面が、泡立つように変化し始めた。

細胞が、まるで意思を持っているかのように増殖し、盛り上がり、骨の形をなぞり、筋肉の束を編み、血管を這わせていく。

 

その様子は、どこかウレタンフォームが膨らんでいく映像に似ていた。

非現実的で、グロテスクで、そして妙に美しい。

 

再生が終わると、私の前にモニターが降りてきた。

今しがた起こった光景が、スローモーションで再生される。

 

「……うわ」

 

思わず、素直な声が漏れた。

 

「こんなふうに……再生してたんですね。なんというか……気持ち悪い」

 

自分の腕の断面が、泡のように膨らみ、形を成していく様子を、客観的に見る。

それは、いくら自分の体でも、強烈な違和感を伴った。

 

「やはり、超高速の細胞分裂によって再生していますね」

 

一方、黒服さんはまったく動じることなく、画面を指でなぞりながら分析している。

 

「トカゲやタコのような“不完全再生”ではありません。むしろ、クラゲやプラナリアのような、万能細胞による完全再生に近い」

 

彼は、興味深そうに続けた。

 

「要するに、あなたの細胞は、傷を“治す”のではなく、失われた部分を“作り直す”構造を持っている。細胞自体に、体の設計図が書き込まれているようなものです」

 

「だから……切り落とされた腕から、コピー体ができる?」

 

「ええ。おそらくそうでしょう」

 

私は、モニターの映像を見つめながら、少し考え込んだ。

 

「……でも」

 

ふと、疑問が浮かぶ。

 

「そのコピー体に……自我がないのは、どうしてなんでしょう」

 

同じ細胞。

同じ脳。

 

それなのに、あれはただの“動かない肉の塊”だった。

 

「何が……足りないんですか?」

 

黒服さんは、少し間を置いてから、答えた。

 

「おそらく――魂に類する、何かでしょう」

 

その言葉に、私は思わず小さく笑った。

 

「魂、ですか。急にオカルトっぽくなりましたね」

 

「そうですね」

 

だが、彼の表情は真剣だった。

 

「ですが、そうでも考えないと説明がつかない。あなたのコピー体は、脳も含めて完璧に再現されているはずです。記憶も、思考のパターンも。しかし、それでも自立して行動できない。つまり、人間が意思決定を行うための“何か”が、そこには存在しない」

 

彼は、静かに言葉を重ねる。

 

「それを、便宜上、魂と呼んでいるだけです」

 

どこか、確信に満ちた口調だった。

 

「……何か」

 

私は、黒服さんの顔をじっと見つめる。

 

「そう思う、根拠みたいなものは……あるんですか?」

 

その確信の正体を、知りたくなった。

 




コハクのプロフィールを作ってみました。

ミレニアムの学生としてのコハクと、実際のコハクの2通り作りました。



真田利コハク ミレニアムサイエンススクール

学年:一年生 年齢:15歳 誕生日12月24日 

身長:135cm 体重:30キログラム 

所属:神秘研究同好会・会長

趣味:食事・神秘研究・自己鍛錬・格闘ゲーム

使用銃:トリプルアクション サンダー .50BMG・アンツィオ20mm対物ライフル

入学初日に同好会を設立するなど、とにかく行動力が高い生徒。研究熱心であり、日々神秘の研究のためにキヴォトスを飛び回っている。そのこともあって、神出鬼没気味。小さい体ながら、戦闘能力が高く、自称キヴォトス一の耐久力。その実力は、C&Cも認めるほど。
ゲーム好きで、特に格闘ゲームが得意。ゲーム開発部で時折目撃される。食事も好きらしくとても美味しそうに食べるらしい。青春、ロマンという言葉にこだわりがあり、年相応。



真田利コハク ミレニアムサイエンススクール・カイザー・ゲマトリア

学年:一年生 年齢:15歳 誕生日12月24日 

身長:135cm 体重:30キログラム 

所属:ゲマトリア カイザーウェポンズ カイザーコーポレーション カイザーPMC 神秘研究同好会・会長

趣味:食事・神秘研究・自己鍛錬・格闘ゲーム

使用銃:トリプルアクション サンダー .50BMG・アンツィオ20mm対物ライフル

12歳の時にゲマトリアへ加入。一年後にはカイザーコーポレーションにも加入する。その後、カイザーウェポンズの設立とともにそちらにも加入、開発部門特別監督としてコピー体を提供し続け、その発展に大きく貢献する。キヴォトスでも異質な神秘を有し、その優秀さからカイザーコーポレーション実験体部隊隊長、カイザーPMC戦闘体製造主任に就任し、カイザー社の中でも一際貢献度の高い社員となる。カイザー理事と直接契約を結んでおり、多少の融通は通るほどにその存在は大きい。戦闘能力も相当なもので、十六夜ノノミと一対一で拮抗するほどの戦闘能力を有しているが、新しい銃と義肢の扱いによっては美甘ネルや剣先ツルギに届きうるかもしれない。



プロムフィールにカイザーって文字多すぎるだろ。ホシノ死ぬぞ
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