これは、一人の殺人鬼であり、一人の人間の物語である。
※ジョジョの奇妙な冒険第四部のネタバレを含みます。ご容赦ください。
召喚され、お偉い奴らからの会合や話を聞き、その翌日から早速訓練と座学が始まる事になった。
昨日は随分といい睡眠が取れなかった……まぁ、いつもの調子で寝ろというのが難しいものだ。監視されている訳ではないがキラークイーンに監視させておいた。私に触れようとした者は爆弾に変えさせる予定だったが、その兆候は無かった故に問題はなかった。
まず、集まった私達に渡されるのはICカードの様な銀色のプレートだった。一先ず軽く表裏を確認しながらキラークイーンの手を私の手と重ねながら軽く力を入れてみるが、壊れる気配はない。
ふむ、意外と硬いな。シアハートアタック程ではないが……こういう物にGPSの様な機能があると困るのだがね。
……一先ず、私と生徒共に戦術や魔法の知識、座学を教えてくれるという男、騎士団長メルド・ロギンスが直々に説明を聞くことにした。
「よし、全員に配り終わったな。いいか、このプレートはステータスプレートと呼ばれている。
文字通り、自分の客観的なステータスを数値化して示してくれるものだ……そして最も信頼のある身分証明書でもある。これがあれば迷子になった場合も平気だからな、失くすなよ?」
「(これが身分証明書か……チッ、面倒臭いな。ここで身分証明書を強制的に作らされる=私の正体が分かりやすくなるという事だ。だが、ここに来てしまい集められた以上抜け出す事は難しいな。強制的に確認しようものならキラークイーンで木っ端微塵に吹き飛ばす事も考えておくか)」スッ…
自分の身分情報を簡単に確認出来てしまうこのステータスプレート、何とかしなくてはな……
「プレートの一面に魔法陣が刻まれているだろ?
そこに一緒に渡した針で指に傷を作って魔法陣に血を一滴垂らしてくれ。それで所持者が登録され、〝ステータスオープン〟と言えば表に自分のステータスが表示されるはずだぞ。
ああ、原理とか聞くなよ?そんなもん知らないからな」
ふむ、どうやらこのステータスプレートとやらはアーティファクトというものだそうだ。
恐らく魔法の様な非常に理解し難いスタンド能力の様な現象を引き起こす、特別な物がそう呼ばれているそうだ。
スタンド能力を宿した物と考えればいい……私の親父が持っていた〝スタンドの矢〟の様なものか。
にしても……指先か。
「(……自分でも言うのはなんだが、かなり手が綺麗だな)」スッ
私の手袋を外しながら指先を見つめてみる。いざ自分の手を見ると……意外と綺麗だな、と感じる。
顔を顰しかめながら指先に針を刺そうとしてみるが、どうにも傷付ける気が起きなかった。このままでは遅れてしまい嫌に目線が送られてしまう…代わりに、自分の細い腕に傷を付けて小さなドームみたいに浮き上がった血を魔法陣に擦りつけると……魔法陣が一瞬、薄く輝いた。
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吉良ヨシカゲ 17歳 女 レベル:1
天職:爆弾魔
筋力:100
体力:70
耐性:60
敏捷:70
魔力:200
魔耐:200
技能:爆弾製作・熱源探知・追跡・灼熱耐性・言語理解
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「(表示されたっ!)」
おおっ……これがステータスか。
「よし、全員見れたな。説明するが……まず、最初に〝レベル〟があるだろ?それは各ステータスの上昇と共に上がるものだ。上限は100でそれがその人間の限界を示す。
つまりレベルは、その人間が出せる最高の状態を指すんだ。
レベル100なら、人間としての潜在能力を全て発揮した極地ということだからな。まぁそんな奴はそうそういないがな!」
つまりレベル100になったらそれ以上強くなれんという事かね……中々面倒くさい仕様だな。
「ステータスは日々の鍛錬で当然上昇し、魔法や魔法具で上昇させることもできるぞ。
また、魔力の高い者は自然と他のステータスも高くなる。詳しいことはわかっていないがな、魔力が自然と俺達を強化してくれるとか何とかな。
ああそれと、後でお前等用に装備を選んでもらうから楽しみにしておけよ!何せ、国を救ってくれるっー勇者御一行だからな、国の宝物庫大開放だ!」
「(成程な……丁度いい。私も自分の実力は上げておきたい所なのだ。
装備も出来るだけ生存特化で……いや待て、服とかは作ってもらえるのかね。この制服のままでは目立ってしまう)」
もし服も作って貰えるなら、お気に入りのジャンフランコ・フェレの服でも繕って貰おうかね……ああ、この世界の人間には分からないかね?それなりに似たデザインのものを見つけるのもありだな。
「んじゃ次に、ステータスプレートに〝天職〟ってのがあるだろ?それは言わば〝才能〟だ。最後の欄にある〝技能〟と連動していてな。その天職に関するものなら無類の才能を発揮するぞ。だが、天職持ちは少ない。天職は主に、戦闘系天職と非戦系天職に分類されるんだが…戦闘系は1000人に1人、ものによるが10000人に1人の割合だぞ。
非戦系も少ないと言えば少ないが、それでも物によっちゃ100人か10人に1人ってか感じに、珍しいもんだ。
生産職は持っている奴が多いと思うぞ?」
私のこの〝爆弾魔〟が戦闘職…なのは間違いないだろうな。
生産職かと思ったが、爆弾魔は別に爆弾を作る工場みたいな扱いじゃあないだろう。
しかし、このステータスの数値が高いかと言われたら怪しい所だな。
イシュタルが呟いていた「勇者御一行」という単語も、きっとこの生徒共の中に〝勇者〟の天職を持っている奴がいるのかもしれん。
私の正体を見極める様な能力であれば、出来るだけ接触は避けなければな。
しかし、技能の方は…生き延びる技能は、ないか。
まぁ問題はない。魔法や色々な物を覚えれば技能がなくとも自然に生き残れる筈さ。
「各ステータスはまぁ、見たままだな。
レベル1の平均は10程だが…お前達ならその数倍、いや数十倍は高いだろう!全く羨ましい限りだ…ああ、ステータスプレートの内容は報告するように。
お前達に付ける訓練内容の参考にしなきゃならんからな?」
「(ステータスは…スタンドについて描かれている訳ではないな。まぁいいだろう、見せる事自体に何かを暴かれる要素はない。
にしても最低が10であるのに、このステータスの高さ…ちょっとした優越感を感じさせるな)」
周りを見ると、大体暗い表情をしている生徒共はいなかった。
どうやら大体強い……ん?
「(あの男、周りをキョロキョロしているな)」
私の
恐らく他の者のステータスが気になっているのか?まさか、尽く低かったか物凄い数値だったか…のいずれかか。
どっちにしろ私の気にする事ではないがね……
周囲を見渡していた南雲ハジメを横目に、早速ステータスの報告に名乗り出たのがあの天之河光輝だった。
どれどれ…お前のステータスを拝見させてもらおうか。
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天之河光輝 17歳 男 レベル:1
天職:勇者
筋力:100
体力:100
耐性:100
敏捷:100
魔力:100
魔耐:100
技能:全属性適性・全属性耐性・物理耐性・複合魔法・剣術・剛力・縮地・先読・高速魔力回復・気配感知・魔力感知・限界突破・言語理解
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「(ほう!オール100……しかもスキルがとても多いな。
しかし私の正体を探ろうとするスキルは無いようだな、本当に助かったぞ)」フゥ
「ほぉ、流石勇者様だな!レベル1で既に三桁、技能も普通は2つ、3つ程度なんだがな。頼もしい限りだ!」ガシッ
「あはは……」
そんなメルド・ロギンズのレベルは62だった。
ステータス平均は300前後と言っていたが、この世界の人間の強さとしては上澄みだろうな。だが、天之河光輝はレベル1で既に三分の一に迫っていると考えれば私や他の人間もあっさりメルド・ロギンズ追い抜くだろう。
そして、その後に技能の詳しい説明がされる。
技能=才能である以上、先天的なものでは増えたりする訳ではない。唯一の例外が〝派生技能〟である。
これは一つの技能を長年磨き続けた末に〝限界を超える〟事に至った者が取得する後天的技能だ。
キラークイーンの〝シアハートアタック〟の様なものだろう。あれも、私がキラークイーンを初めて発現させたタイミングではまだ存在していなかった。私がキラークイーンを成長させる事でより強くなったと共に、シアハートアタックが発現した。
この様な形で、成長と共に増えていくと思うと少し笑みが零れそうになるな…ふふっ、目立つ事は嫌いだがこうして自分の才能の高さをまじまじと客観的に見せられると、中々嬉しいものではないのかね?うん?
私がステータスプレートを見つめながら笑みを浮かべていると、遂に報告の順番が回ってきた。まぁ見せても何も問題はない…筈だ。
そして、私のステータスを確認した団長の表情を確認してみる。どうやらよく分かっていないのか少しの沈黙と笑顔のまま固まり、私に対して質問してきた。
「ああ、そのな…この〝爆弾魔〟というのはなんだ?」
「まぁ、言ってみれば〝爆弾〟という物を作ったり、使ったりする天職になりますね…ああ、例えば…大勢群がる魔物を倒したい時があるだろう?そういう時に、爆弾を使えば魔物を吹っ飛ばして命も纏めて消す事が出来るんですよ……
爆弾は、要するに爆発するものみたいなものと思ってくれればいいですね」
「ふむぅ……戦闘職ではないが、他の技能も優秀だな。一点特化じゃないにしても、技能にも恵まれてるから成長次第だな」
「ありがとうございます」
中々いい反応を貰えたんじゃあないのかね…
周囲の反応としては、特に何かを言われることはなかった。しかし南雲ハジメの方は私に視線を送っている……なんだね、何か文句でも?
しかしそんな奴に、背後から肩を組む様にステータスプレートを見ようと顔を覗かせた。
「おいおい南雲よぉ〜、もしかしてお前、非戦闘職か?
鍛治職がどうやって戦うんだよ?ってかメルドさん、その錬成師って珍しいんっすか?」
「いや……鍛治職の10人に1人は持っている。国お抱えの職人は全員持っているが」
「おいおい!南雲よぉ?お前、そんなんで戦えんのかよ?」
その声の正体は、檜山大介だった。
まるで見渡せば、周りの男子生徒がハジメの周囲を取り囲んで笑いあっている。
こいつらは何時までも変わらなさそうだな。馬鹿な真似は幾らでもしてくれても構わんが……
「いやぁ、やってみないと分からないかな…」
「そこまで言うんなら、ちょっとステータス見せてみろよ?天職がパッとしない分ステータスはもちろん高いんだよなぁぁ~?」
メルド・ロギンズの表情も少し申し訳なさそうな表情に変わっている。しかし、周囲は助けることはない。
しかしなんだ、地味にこいつらのノリは私がカフェでお茶をしていた時に絡んできたあの不良共を思い出させるな……
……そうだ。いいアイデアがあるじゃあないか。
今の私や他の生徒共は能力の使い方なんて分かっていない、青二才共だ。
つまり
私の爆弾魔のスキル、ちょこっと使ってみるとするかね……一つ試したい事もあるのだが。
周囲を軽く見渡し、一瞬〝キラークイーン〟を出して南雲ハジメのステータスプレートに高速で触れ〝爆弾製作〟のスキルを念じてみる。そしてそれを〝キラークイーン〟が更に接触型の爆弾にすると共に、
スタンドを戻し、少し懐を漁る。おお、メモ帳があった。さて…どんな結果が起きるのやら。
「ぶっはははははっ!!!!なんだよこれっ、一般人しかねぇじゃねぇか―――」
南雲ハジメのプレートの内容を見て檜山大介は爆笑した、その瞬間がお前の〝身体〟をシェイクした飲み物みたいに吹き飛ばしてやる合図だ。
「(キラークイーンは既にステータスプレートに触れている……)」カチリ
そして、檜山大介が自分達の取り巻きにステータスプレートを投げ渡し内容を見せようとした瞬間に、爆弾とキラークイーンのスイッチが入った。
ドグオオオオォンッ!
見事に、結構な爆発が檜山大介の体に広がり全身を焼き焦がしながら吹き飛んだ。
地面にバナナの皮の様にヘナヘナと落ちた檜山大介の姿を見つめながら、メモ帳に爆発の威力や近くにいる自分に対するダメージを計算する。
……うむ、殆ど私のキラークイーンの火力と変わらんな。
「ぎゃは、は……?」
本来であれば、次々と笑い出す檜山大介の取り巻きの笑みが消えていく。この爆発に対して白崎香織や天之河光輝がと動き出した。
私らしくはないが、私の前でこんな下らない茶番を見せられて喜べる程の暇は無いのでね……それに、とっとと私も休みたいのだよ。昨日はあまりぐっすり寝れなかったからね……
「(しかし、いいぞ……!この吉良吉影の強さはこっちでも健在だ。東方仗助や空条承太郎、岸辺露伴に広瀬康一がいないこの世界で私を追跡出来る者はいない!ふはははははっ)」
心の中で笑みを浮かべながら、私は周囲のざわつきと共にこれからの事を考えるのだった。
to be continued……