凛と起つ〜祠を壊した少女と長髪無精ヒゲ退魔師オジさん〜 作:卯月幾哉
「ベソベソ泣きながら何もせず膝を抱えて死ぬか、生き
〝霊能探偵〟を名乗る不審な大男、
――結局、死ぬんじゃない!
それはあまりに理不尽な宣告だった。
「死ぬ、しかないんですか……?」
だから、凛の口調に大男――譲悟を責めるようなトーンが入ったのは無理もないことだった。
譲悟はそんな凛の疑問を、煙草の紫煙をくゆらせながら
「なんだ、生きたいのか?」
「えっ」
何を当たり前のことを――。凛はそう思ったが、譲悟は不思議そうに目を丸くしていた。
「生きていれば、つらいこと苦しいこともいっぱいあるだろう。そりゃあ、化け物に殺されるのは嫌だろうが、苦痛を和らげる
「――――」
譲悟のそんな言葉に、凛は息を
――未解決の航空機事故で両親を亡くした凛が、母方の祖父母に引き取られて転校したのはこの秋のことだった。
『あの
結果として、クラスで大きな存在感を持つ女子グループに目をつけられ、陰湿ないじめを受けることになった。岡部
凛が
昨日、学校行事として行われた遠足。その帰りがけ、凛は円香らに強要されて、正規のルートを外れてその祠の近くまで行くことになった。
そこで
『ヤバっ!
円香たち三人は、壊れた祠のただ中に倒れた凛を指差し、ケラケラと笑った。
――この一件に限らず、凛は彼女たち三人から様々な形で精神的・肉体的な苦痛を与えられていた。
だから、
譲悟の
「嬢ちゃんが望むなら、苦痛を和らげる
譲悟の言葉はまるで、悪魔の
「私は……」
凛が何かを答えようとしたそのときだった。
譲悟が身に
急に北の方角を振り返った譲悟は、その先のある一地点を見据え、眉根を寄せて細い目を更に鋭くした。
「? 何か――」
「嬢ちゃん。祠を壊したとき、ひょっとして他にも誰かいたか?」
雰囲気の変化を察した凛が質問するよりも早く、譲悟はあり得る可能性を凛に問うた。
「は、はい。私以外にも、三人。全員、クラスメートの女子です」
「チッ……。おそらく、それだな」
やや慌て気味に凛が答えると、譲悟は舌打ちと共に煙草を地面に弾き飛ばし、爪先で踏みつけた。
凛は譲悟の様子から、ただならぬ何事かが進行していることを察する。
「何かあったんですか?」
「ああ、最悪なことがな。……チッ、面倒だな。おい、嬢ちゃん。脚に自信はある方か?」
譲悟は
再び舌打ちをした彼は、手袋をしたままの右手で朽葉色の頭髪をぼりぼりと
「はい。元は陸上部だったので」
「よし、じゃあ走るぞ。ついて来い」
「えっ? ――は、速っ!」
凛が
凛は慌てて、譲悟のその大きな背中を追って走り出した。