「おうおはようさん」
自宅であるアパートを出て幾分、俺はある店に入っていた。
「今日も働きにきた」
「そりゃ有難いな。だが、いいのか?お前ならレースで稼げるだろうに。ドリームにでもなんにでも出れば」
出迎えたのは、一人の中年。
ガタイが結構良く、顔も厳つい。
額にタオルを巻いているので猶更だ。
元々の俺と年が近いはずなんだがなぁ……俺がヒョロヒョロすぎたのか?
確かに運動をサボりがちだったのは否めないが……この人も大して運動してないだろ。
「いや、私はあまり走るのが好きではないから遠慮しておく」
「そうか……ならいい。これ今日の配達予定だ。確認しとけ」
「了解した」
同年のおっさんは、俺に一枚の紙を渡すと奥へと引っ込んだ。
同時に麺をこねる音が聞こえ始める。
ウマ娘の耳を持ってすれば隣の部屋からでも作業音がよく聞こえる。これは便利だ。
音色を聞きながら視線を落とす。
「うん?今日は結構多いな」
今日は何故か注文がやたら多い。
いつもの二倍はないか……?
「あぁそれな。今日は近所で大食いの祭りがあるらしくってな。それでだ」
「なるほど」
祭り?そんなの聞いてないな。ま、知らないってことは小規模なんだろうな。
そう思っていると、辺りを良きスープの香が漂い始めた。
いい匂いだ……。前世食事拘りまくり人間である俺でもいいと感じる。
なんなら前世より詳細に嗅ぎ分けられるからいい。
ウマ娘の体をプラス評価にしている最大の要因だろう。
「大将、今日は少し塩気が多くないか?」
「マジか。助かった。調整しておくわ」
おっさんが奥から出てきて上着を脱ぎ、スープを煮込んでいる方へ向かって行った。
しくったな、と呟くのもバッチリ聞こえている。
――――――ん、待て待て。
何だよそのTシャツ。
葦毛の怪物とデカデカと書かれたTシャツを着ている。
ガタイのいいおっさんとは全くマッチしていない。
痛車ならぬ痛者だな。
「オグリキャップ好きなのか?」
「まぁな。ああいう成り上がりで頑張れるやつぁ俺は好きだ。ま、そろそろ引退らしいがな」
「そうか」
これは初耳。といってもまだ浅い付き合いだが。
「というかそろそろ配達頼むわ。これな」
おっさんが具を飾り付け、それを取っ手付きのボックスに入れた。
「了解した。少し遠いな……10分で戻る」
「帰ってきたら次はこれな」
「了解した」
俺はボックスを片手に持ち、店を出て暖簾をくぐった。
今時こんな配達結構珍しいが、ウマ娘ならば確かに使える。
この凱旋門賞3連覇ボディなら猶更だろう。
さて、任された仕事はちゃんとこなさなければ。
前世の真面目さは結局変わらないらしい。
俺はボックスの中を揺らさないことを片隅に置いて、程々の力でスタートを決めた。
ゴルシンゴルシンゴルシンシーン!!!!
やっぱり掲示板は要る、よね?
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うん
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いや
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え?
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既に掲示板にいる
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パクパクですわ!!!!