その国の王子さまはとても病弱でいらっしゃいました。
四つの冬に生きるか死ぬかの病を患われ、それ以来 本人も周囲も気弱になって、雛鳥のようにおどおどとお育ちになりました。
特に王妃様は『穢れ』に対してとても神経質になっておられたようです。
何かというと熱を出す王子さまは、王さまになる事などとても出来ないと、ご自分でも諦めていらっしゃいました。
それが十歳の秋、下町で出逢った強く優しい女の子に、すっかり運命を変えられてしまったのです。
夕陽を映して燃えるような髪の女の子は、泥池の彼岸花のごとく凛と背を伸ばし、橋を作る人を『神さまみたい』と言いました。
この時 王子さまの胸に、ストンと何かが落ちました。
――ああ、自分は神さまになる立場に生まれ、そして生かされたのだから、この人たちにとっての神さまにならねばならない……と。
その日から王子さまは熱を出さなくなりました。
学園に入ってその子を見掛けた時は胸踊りましたが、その子はあの橋の上での出来事を忘れているようで、少しがっかりしました。
それでも良き友人として学生生活を送れ、王子さまはたいそう幸せでした。
今でもたまに、心の中であの日の女の子に問い掛けます。
――わたしはちゃんとやれているだろうか。
あなたを心安らかに暮らさせてあげられる、神さまへの道を辿れているだろうか、 と。
――大丈夫、皆があなたを支えます。神様は一人ではなれないですから。
~きよらかな王子さま・完了~
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おまけ:人物紹介(登場時)
ルカ・ハサウェイ(一年生)
侯爵家の三男、庶子、下街育ち
すべての思考の出発点が母親基準、それは一生治らない。
ロッチ・ラツェット(一年生)
伯爵家の六男、主人公のバディ、比類なきバネ
多兄第で育ったので生存力は高い、が、コンプレックスは深い。
リリシア・ブルー(一年生)
男爵家の養子、孤児院出身、治癒師の遺児
基本は控え目で臆病な娘。饒舌になる時は聖書の影響を受けている。
ローザリンド・エクター・サフィール・バッフェルベル(一年生)
王太子、入学式でルカを見付けた時は、男子制服にガッカリしたが、
それは三秒ぐらいで、再会出来た事の歓びが上回った。
アーサー・ストラスフォード(四年生)
王弟大公の嫡男、サロンのリーダー、宰相の甥
属性的に腹黒くありたいと思っているが、どうにも良心的な人。
マリサ・カンタベリィ(四年生)
公爵家の長女、サロンのサブリーダー、声は優しい
兄二人に弟一人、自分の家族大好き、ファザコンのブラコン。
ジーク・ガヴェイン(三年生)
侯爵家の長男、騎士団長の息子、サロンの庶務
殿下と二人きりの時は名前で呼び合う仲。
イサドラ・フロレイン(三年生)
伯爵家の次女、絶世の美貌、サロンの庶務
悪い事をしていないのに悪役令嬢だと言われるのは割と好き。
ダミアン・ボワイエ(二年生)
伯爵家の次男、サロンの書記、医者の家系
最後の方は万能便利キャラに。
ケイト・ベペー(一年生)
男爵家の長女、リリィの親友、オタク女子気質
一番安定していて、一番幸せな未来をおくると思う。
メム
平凡な庶民の少女、初登場時は十四歳
環境が変わっても本質を崩さず、一番才能を開花させた人。