ちょっとしたスピンオフなど、ちまちま書きました。
本日は、王子さま視点の本編裏話をどうぞ。
明日以降は、南ヲ国の短編など、小説二本、
あと四コマも描いてるので、ぼちぼちと公開していきます。
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王子さま・ひすとりぃ(絵物語)
ある王国に、お互いをとても想い合っている王と王妃がいらっしゃいました。
お二人は心優しく誰に対しても誠実で、国民にも臣下にもたいそう慕われておりました。
が、お子だけには恵まれませんでした。
側妃をという声はあまり立ちませんでした。
王妃が国民に大人気なのと、近親に優秀な子供が多くおり、継承には困らなさそうだったからです。
王弟の所の長子が特別に秀でていて、周囲も「この子が次期王冠かなぁ」という空気に、何となくなっていました。
そんな折り、忘れていたのを思い出したように、王妃が懐妊しました。
王も周囲も国民も、忘れていたのを思い出したように諸手を挙げて万歳しました。
そうして生まれたのが、ローザリンド・エクター・サフィール・バッフェルベル殿下でした。
王も王妃もこの子を溺愛しましたが、小さく弱く生まれてしまった王子に、多くは望まぬお気持ちでした。
***
四歳になったばかりの雪の日、王子は謎の高熱で命を落としそうになりました。
『流れ者の治療師』の不思議な処置で命は繋ぎ止めたものの、それ以来、たまに身体が光るようになりました。
周囲に気味悪がられて心を傷付けるよりはと両親は、城の奥の宮で静かに生活させました。
限られた大人しか来ない庭園で、王子は一人、鳥や虫や空の雲を友達に、密やかにお育ちになりました。
そうしたある日、探検で迷い込んだ二人の男の子と出逢います。
ローザリンド六歳、男の子は八歳と九歳でした。
二人とも国の重鎮の子息で、王子に
三人の絆は大人になっても、堅く清らに続いています。
***
当時の回想
【 アーサー談 】
ビビッと来たのだ。
出逢った瞬間。
理屈などでは説明出来ない。
幼い頃から、将来は玉座だと言われて育った。
直系の男子が存在すると聞いても、特に気にしていなかった。
別にどちらでも、向いている方が就けばよいのだ。あちらが無能なら私が就く。
ただ正直、自分は向いていないのでは? と思う事は、ままあった。
どうやったって自分の両親は、あの睦まじい国王夫妻とは別物だから。
ある時、城の奥庭の塀に、子供なら通れる隙間を見付けた。
ジークを誘って潜って行った。
名目は探検だが、奥に隠された王子を一目見てやろうって気持ちがあった。
そして出逢った。
衝撃だった。
全身に電流が走った。
彼を玉座に付ける構想を、一瞬で脳が組み立てた。
それから殿下は、期待に違わずスクスクと、斜め上へ向いての成長を続けられている。
振り回される毎日が少々大変だが、喜ばしい限りである。
【 ジーク談 】
まぁ、あのアーサーが一瞬で
あいつの直感は馬鹿にならないからな。
騎士系侯爵家の次男に生まれ、幼い頃から高位貴族の子供たちの輪に放り込まれていた。
どいつもこいつもお行儀良くて、退屈この上なかったが、王弟んちのアーサーだけは別だった。
器が違う、別格、そんな感じ。
少し話しただけでウマが合った。
集まった時、真っ先に俺の所へ来てくれるようになったのは、かなり嬉しかった。
その頃は、身体が弱くて表にも出られない王子より、アーサーが王位に付く説が濃厚で、国のトップの近衛になる事を目標にしていた俺は、将来はこいつを護る事になるんだと、薄っすらと思いながら傍に居た。
ある日、二人して王宮の奥へ忍び込んだ。探検だってアーサーから誘ってきて、珍しいなと思った。
庭の樹木の奥の奥にそいつはいた。
キラキラ眩しい木漏れ日の中、飛び立つ鳥の隙間から、驚いた目を見開いてこちらを見る子供。
宝石みたいな瞳。
その時アーサーはビビッと来たらしい。
『お前は武を極めてあの子を護れ、自分は
一方的に将来を決められちまった訳だが、不思議に腹も立たず、すんなり受け入れられたんだよな。
俺もアーサーのコト笑えねぇ。
【 宰相談 】
『ローザリンド殿下にお会いしました、彼に王様をやって貰いましょう』
或る日、九つの甥っ子にそう進言され、応接椅子の隣に座す彼の父親(私の妹の夫、王弟)は苦笑いしていたが、私は震えた。
『あの方の吸引性は半端ではない。対抗に立つより、推し立てて利用する方が効率が良い』
と続くアーサーの言葉は、私も心ひそかに思っていた事だった。
私は『奇跡の夜』の目撃者である。
治療師の人間業とは思えぬ処置で、青黒かった殿下がみるみる蘇生して行く様を目の当たりにした。
まさに奇跡だった。
去り際に治療師が残した『この子の周囲は清らかで満たされねばならない』という言葉に王と王妃はおののいて、我が子を隔離したが、私はそれが正しいと思わなかった。
彼は、『その子を閉じ込めて何にも触れさせるな』と言っただろうか?
治療直後、私は彼と二言三言を交わしていた。
『過ぎた報酬は要らん』
『欲は俺の力を弱くする』
いずれも彼の清廉性を表す言葉。
『うちの娘もこの位の歳なんだ』
『助けられて良かったなぁ』
垣間見せる人間味。
子供を見つめる澄みきった瞳に、私は激しい憧れを抱いた。
その彼の助けた子供を国の王として立てる…………胸の奥底が震える。私はきっとそれを望んでいたのだ。
アーサーの提案に私たちは乗った。
王弟は王と王妃を説得し、私は国民の間に、まるで最初からあったかのようにお伽噺を流布した。
光り輝く王子殿下を奇異ではない存在にする為だ。
王妃陛下には事後承諾で、殿下を連れ出し、見聞を広めて頂いた。
城の下働きの労働を見せ、スラムの民の暮らしを見せた。
穢れを目の当たりにしても、殿下は怯まず真摯に受け止め、己の中で消化された。
ほら、大丈夫なのだ。
興味を持たれた場所には出来うる限りお連れした。
【 続・宰相談 】
ある日視察から戻る馬車の中で殿下は、『国民の神さまになりたい』と神妙に仰った。
王太子になる自覚に目覚められたのだろうか、その後みるみる丈夫になられた。
私は間違っていなかったのだ。
治療師殿はきっと、『穢れが近寄ってもはねのけ、自らの力で清らかを満たせる子に育てよ』と言いたかったのだ。
その殿下が、いよいよ学園に通われる。
最高学年にアーサーもいるが、是非とも新たな友も見いだして、意義ある学園生活を送って下さるよう願ってやまない。
【 ここから本編の裏側、殿下sideの物語、
十一枚ノンストップでお楽しみ下さい 】
王子さまのご入学
王子さまの再会
王子さまのご登校
王子さまの教室
王子さまの席替え
王子さまの贈り物
王子さまの願い
王子さまのランチ
王子さまの友達
王子さまの決意
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王子さまのうたた寝
遠回りばかりの燃費の悪い王子さまですが、周囲に支えられてきっと立派な王様になります。