前世ファンだったヤツのイナイレ転生 作:Lcrcl (エルマル)
side三人称
帝国学園。
40年前からずっとフットボールフロンティアを制覇し続けた、強豪の中の強豪校である。
しかし、その裏側では犯罪とも取れる工作が行われていたのも事実。その工作の主犯となっていたのは…最近姿を消した総帥、影山零治である。
「何故突然辞任したんですか、総帥…」
総帥を慕っていた帝国学園サッカー部のキャプテン、鬼道有人。彼は影山の辞任を怪しいと思っていた。総帥室にて、彼は残された書類からヒントを見出す。
「コレは…過去の全国大会における各学校の重要人物?」
40年前から今年までのFFにおいて、優勝候補とも言われるチームの主力選手が書かれたリスト…その名前の横には一部バツ印が入っていた。過去の事故や事件を調べ、鬼道はソレが『出場不可』を意味すると気付いた。…そして、もう一つ重要なものがあった。
「木戸川時代の豪炎寺は『排除失敗』、そして雷門の乙女乃には『排除不可』…乙女乃が排除不可なのは理由が予想できるが、豪炎寺のコレは…?」
スパイをする事で相手チームの情報を抜き取るのは帝国の常套手段だ、しかし『排除』という文字を見て鬼道は困惑する。もう少し調べて…別の書類には一部の選手をどうやって『排除』したのかが書かれていた。
「まさか、今までの帝国はこうして主力選手を排除する事で優勝を続けていたのか…ッ」
その事実に気付いた鬼道は顔を顰める。スパイも褒められたものではないが、意図的に事故で相手の選手生命を潰すのは彼にとってはやりすぎだった。
「総帥が消えたのは、つまり逃亡の為か…!」
事の重大さに気付いた鬼道は、警察に連絡した。そこに来たのは、影山を追っているという刑事、鬼瓦だった。残された書類を一通り見た鬼瓦は、鬼道に言った。
「この書類は確かにヤツの悪行を示すものだ…だが、この程度の証拠だと握り潰されてしまうだろう」
「!?」
「…当事者になる可能性も高い、君には伝えるべきだろうな」
鬼瓦は神のアクアについて鬼道に説明し、その大元に影山が潜んでいる事を示した。
「神のアクアを選手に飲ませ、超人的な身体能力を持たせる…コレが別の書類に書かれていた『プロジェクトZ』とどう関わっているかまでは不明だが、碌でもないのは間違いない」
「ッ、俺は…そんな人を慕っていたんですか」
「…君には考える時間が必要だろう。私はこの書類を一度署に届ける、ではな」
「………」
ーーー
その夕方、鬼道は雷門中の近所にある河川敷まで来ていた。そこでは偶々、稲妻KFCの子たちと雷門サッカー部…三雲や乙女乃が練習していた。
「姉ちゃん、俺必殺技覚えたんだぞ!」
「へぇ、じゃあ使ってみなよ…フッ!」
「うおおお、プレッシャーパンチ!」
KFCのキーパーはゴールバーの上に立ち、そこから飛んできたボールに飛び込みパンチで勢いを殺した。
「どうだ兄ちゃん、姉ちゃん!」
「「凄い!」」
「…フッ(微笑ましいな)」
邪魔するのも悪い、と鬼道はその場を去ろうとした。…が、背後から声を掛けられた。
「お兄ちゃん?」
「…春奈」
鬼道の妹…音無春奈だった。2人は幼少期に両親を亡くし、別々の家庭に受け入れられたのだ。
「どうしてココに…」
「…少し、気晴らしに歩いていてな。ココまで来たのは偶々だ」
「そうなんだ。…そういえば、ある人から聞いたんだけど」
「?」
「今年帝国が優勝すれば、私を引き取るって…」
「──ッ!?何処でソレを」
「ふーん、本当なんだ」
「………」
鎌をかけられたのかと、鬼道は少し恥ずかしそうに目を逸らす。
「何となく、どうしてそうしたいのかは分かるよ?…でも、大丈夫だよ」
「?」
「育て親が違っても、私達が兄妹であるのは変わらないから」
「…!」
「それに、私は今の両親が大好きなの。…だから、大丈夫だよお兄ちゃん」
「……そうか」
ソレを聞いた鬼道は安堵した。
「あ、でもだからと言って次の試合でわざと負けろとは言ってないからね?ちゃんと全力で勝負してよ!」
「…フッ、もちろんだ。勝つのが帝国である事に変わりはない」
「いやいや、勝つのは雷門だよ!」
「帝国だ」
「雷門!」
ーーー
鬼道と音無が言い合いしてる光景を、少し遠くから見ていた人が約一名。
「…上手く行ったようだな」
三雲拓也。音無に約束の内容を明かした人物である。
「あれ、あの2人って兄妹だったの!?」
近くにいた乙女乃が驚く。
「まぁな。音無が仲直りしたそうにしていたから、少し助言した」
「ふーん…ソレは良かったね」
影山って鬼道大好きですよね。近くにいる時少しずつ存在のヒントを出すし、鬼・道という劣化コピーまで作るし。
円堂はこの件を知ってるかって?影山に会ってないので知らないです。なんなら、影山が早めに姿を消した以上実際に会うのは世宇子戦までないと思います。
次回もよろしくおねがいします。