選手宣誓が終わった後、雄英生徒達は狭い場所に並ばされていた。
皆所狭しと身を捩りなんとか自分の場所を確保している。
誰かがこけると将棋倒しになりそうだ。
『今年の第一種目はぁ!コレ!障害物競争ゥ!!』
…いちいちやかましいなプレマイ。
しかしここがスタート地点なら…もうスタートでふるいにかけられそうだな。
俺はちょうど真ん中に位置している。可もなく不可もなく…じゃないか。
ちっ、先頭に轟がいる。運のいいやつめ。
『コースさえ守れば何をしたって構わないわ! まだ位置についてない子はドンドン位置につきまくりなさい!!』
『よーい!スタァートォ!』
こんな急にかよ!
俺は急いでいつもの石柱を生やして前のやつの頭を通り越して前に出る…が。
『さーて実況してくぜ! 解説アーユーレディ!? イレイザーヘッド!!』
『なんで俺がこんな事を…』
治崎の他に瀬呂や八百万、そして麗日や爆豪も頭を通り越して前に出てきていた。
だがその中でもやはり、轟が抜きん出ていた。
『凄いぞヒーロー科A組!一気に先頭を独占だァ!やはり敵を乗り越えているだけあるぜ!』
『まぁ今年のA組には機動力のあるやつが多いからな。』
ちっ、轟がやはり一位か。氷を足元に出してその上を滑って移動している。
単純なように見えて強い作戦だ。
かなりの速度が出ているし、後続の足止めも出来る。
「スカしてんじゃねぇ!半分野郎ォ!」
『轟速い!一気に後続との距離を離す!だが爆豪も負けてねー!オイオイもう熱くなってきてるじゃん!』
『A組の中でも機動力が高い2人だ。』
クソ!石柱の移動はあまり速度が出ない上に失敗するとコースアウトや他のやつとぶつかって事故になる可能性もある。
なかなか厳しい展開だ。
俺は初動こそよかったがもう後半集団に入ってしまっていた。
『さあいきなり障害物だ!! まずは手始め……第一関門!! ロボ・インフェルノ!!』
段々と見えてきた障害物に多くのヒーロー科生徒は驚愕した。
なぜなら入試で避けるべき物として出た0ポイントロボットが今度は立ち塞がる物として出てきたらからだ。
だがA組の立ち止まる時間は極めて短かった。
『おいイレイザー!お前んとこのクラス動き速すぎだろ!』
『あいつらはもう敵との戦闘を経験してる…今年のA組は強いぞ。』
『ベタ褒めだぁ!』
…これは…面白い事が出来るかもしれないな。
『おおっとA組轟と爆豪などそれぞれがクレバーに突破していくぜぇ!!』
轟は不安定に凍らせてその下を通り後続の妨害をしつつ進んでいく。
爆豪、それに瀬呂やあ、…梅雨ちゃんもうまく避けて通っていく。
なら俺はもっとクレバーに突破してやる。
『なんだぁあれ!A組治崎がヤベーモン作ってんぞ!』
『あれは…なるほどテコを使うのか。面白い事を考えるやつだ。』
治崎は一体のロボットを分解し腕を支点、胴体を板状に変え巨大なシーソーを作り出していた。
そして片方に自分が乗り…もう片方に足を乗せて。
テコの原理で空を飛んだ。
『ヤベー!なんて豪華なテコだ!』
『あいつ…着地どうする気だ?』
…あ、着地忘れてた。
「つ、梅雨ちゃあぁぁぁぁああん!!!」
「ケロ!」
先頭集団にいるのが見えていた梅雨ちゃんの名前を咄嗟に叫び梅雨ちゃんになんとか助けてもらえた。
この勢いのまま飛んでいれば轟を追い越せただろうが間違いなくコースアウトするし
なんなら即死していた。
「はっ。つい助けてしまったわ。…今は敵同士だったのに…」
なんか梅雨ちゃんが後悔してる。いや申し訳ない…
「今度なんか治すからそれで手打ちにしてくれ。」
『治崎無策で飛んでいたぁ!』
『…終わったら説教だな…』
や、ほんと、すんません。
俺は梅雨ちゃんに感謝を伝えまた石柱による移動を始めた。
そんな都合よくテコとか出来るの?っていうのは言わないでください…