英雄症候群に治す治崎君っ!   作:シュガーマン

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短いですが……


失敗

「脳無だ!」

 

何ッ?!

 

暗い路地の中、ヒーロー殺しとの戦いは終わった。

プロヒーロー達も駆けつけてくれたおかげですっかり緊張が解けてしまっていた。

 

 

「うわぁぁあぁぁ!」

 

上を見ると羽の生えた脳無に緑谷が足で掴まれていた。

なぜ脳無がここに?!

まずい!連れ去られる!

 

脳無は中々の速さで飛び去っていく。

プロヒーローのほとんどは移動系の個性じゃなかったようで、

仕切りに応援要請をかけている。

おじいちゃんのヒーローが真っ先に脳無に走り寄ろうとしていた。

お、俺に出来る事はッ?!

 

「贋物は……」

 

?!

 

「粛清しなくては……!」

こんな時にか!

ヒーロー殺しは意識を取り戻し、どうやってかは分からないが足を縛っていた縄を解いていた。

だが、腕は俺の個性で接合しているから動かせないようだ。

応援要請をかけていたプロヒーローと轟と共にヒーロー殺しを包囲する。いや、しようとした。

 

「何ッ?!」

 

轟の声が響き渡る。包囲が完成する前にヒーロー殺しは空に跳んでいた。

これで拘束系の個性なの納得いかないな?!

 

目にも止まらぬ速さで、走り出そうとしているおじいちゃんヒーローを追い抜き、羽が生えた脳無に追いついた。

 

「お前がここで死ぬのは惜しい。」

 

口で刀を?!

ヒーロー殺しは口に咥えた刀で脳無の足を斬り、接合されている腕で緑谷を抱え着地した。

 

「お前ら、人質を取られたぞ!」

 

おじいちゃんヒーローの怒声でプロヒーロー達は一斉に構えた。

そこにエンデヴァーも現着。威圧感がすごいなエンデヴァーは。

肌が緊張でピリつく。ヒーロー殺しは一言も話さず、足元に緑谷をおいたまま無言に徹している。

 

 

……………

 

 

「誰かが。」

 

ッ!

 

「正さねば。」

 

「贋物が蔓延るこの社会を……!」

 

 

「正さねば……!」

 

なんだこれ。動けない!他のヒーローも動かない。いつ血を舐められた!

まずいまずいまずい!………いや、これは個性じゃない。

蛇に睨まれたネズミのように、恐怖で動けないだけか……………

 

ヒーロー殺しは話し終えたのか、装備を整えている。

まさか、逃げる気か!

ヒーロー達もそれに気づいたようで、一斉にヒーロー殺しに走り寄った。

 

 

「おやおや、大変そうですね。」

 

黒い霧が急に出てきた。まさか…黒霧か!

脳無がいるのに敵連合の事を完全に忘れていた!

ヒーロー殺しと敵連合は繋がっていたのか。

 

「……黒霧。」

 

「どうぞこちらへ。」

 

黒霧は自身が出てきたゲートを指差す。

 

「お前ら!逃げられるぞ!」

 

いやエンデヴァー。もう…遅いようだ。

 

ヒーロー殺しは影も残さず霧に包まれた。

 

 

俺がヒーロー殺しの体を治してなければ逃げられなかったんじゃないか?

俺が敵連合を警戒していれば変わったんじゃないか?

そもそも俺が緑谷を助けていればヒーロー達は敵連合に対応できたんじゃないか?

 

ヒーロー殺しは影も残さなかったが、俺の心にはただ無力感と後悔が残った。

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