期末試験が終わった。
あの後緑谷と爆豪は大怪我を負って保健室に運ばれてきた。
特に緑谷は腰を強く打ったせいで歩けなくなっていたほどだ。
まぁ、個性による自傷ではないから許してやろう。
「やばいよ〜ヤオモモ〜。」
芦戸はまた八百万に泣きついている。どうやら筆記は八百万先生のおかげでできたそうだが実技がまるでダメだったようだ。
上鳴はアホになって現実逃避をしていた。いや何してんだお前。
「おい、今何分だと……!………これからHRを始める。」
相澤先生は俺達を注意しようと勢いよく扉を開けて入ってきたが、その時には全員静かに席に着いていた。
積み上げてきた時間は伊達じゃない。初めから静かにしろって?そんなの聞こえない聞こえない。
「今から期末試験の結果を発表する。」
緊張が教室に走る。
「筆記試験での赤点はいなかった。残念ながら。」
「残念ながら?!」
赤点になってて欲しかったのかよ。
「だが。……実技試験で赤点を取った者がいる。」
誰かが生唾を飲み込む音がした。
飲み込んだのは芦戸か上鳴あたりだろうな……
「芦戸、上鳴、切島、瀬呂の4名。赤点だ。」
4人が真っ白になった。個性を使わずにどうやって真っ白になっているんだろう。
「俺達は林間合宿で強くなってくる。じゃあな。」
「鬼だ!鬼がいる!鬼!治崎!」
俺の名前を悪口みたいに言うなよ……だがまぁ、赤点を取ると林間合宿に行けなくなる、というのは……
「赤点を取ったお前らも林間合宿に来てもらうぞ。この前言ったのは合理的虚偽、ってやつだ。」
「「えーーー!!!」」
実力を強化する合宿である林間合宿に、実力不足の生徒を行かせないわけないだろう。
「きょ、教師が嘘など?!」
「飯田さんは気づいてなかったんですか……?」
パンッ、と相澤先生が手を叩く。
「だが。赤点を取ったお前らは林間合宿中に補習を受けてもらう。夜は寝れないとお思えよ。」
「やっぱ鬼だ。鬼がいる。鬼だ。」
赤点を取らなくてよかった。そう考えながら飯田の方を見ると、飯田と目があった。
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「治崎さん。おかえりなさい!」
「ただいま、エリ。」
最近は家に帰るとエリが玄関まで出てきてくれるようになった。
一緒に某女児アニメを観た甲斐があったというものだ。
「今日も一緒に観ますか?!」
「きょ、今日は勉強をしなくちゃいけないんだ。」
すまんエリ。俺は4周目をしたくないんだ。
「そう……ですか。」
そんな悲しそうな顔をするなよ……はぁ。
「少しくらいなら一緒に観ても「じゃあくみちょーさんと一緒に観ますね。…………今何か言いましたか?」
「い、いや何も。」
すまん親父。……いや、可愛い孫と一緒の時間を過ごせるんだ。嬉しいだろう。これでみんなハッピーだ。
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俺は自室の椅子に腰掛けて目をつぶった。
考え事がある時はこの姿勢が1番楽だ。
俺はどんなヒーローになりたいのか、それを深く考えたくなった。
飯田と仲直りをして、考え方が少し変わったせいかもしれない。
俺は親父のようにヒーローの手が届かないような場所にも手を伸ばせるヒーローになりたい。
これは一生ブレる事のない夢だ。
俺には家族に捨てられたせいで家族の大切さが分からない。いや、分からなかった。
今はエリのおかげで家族とは何か、という事が理解……はまだ出来ないがイメージ出来るようになった。
これは飯田とエリのおかげで考えれるようになった事で、理解しようとし続けなくてはならない事だ。
俺は今の腐ったヒーロー社会を内側から
体育祭の観客のようなヒーローは必要ない。あんなのに助けを求める人を救えるわけない。
ヒーロー殺し、ステイン。あいつの手段は気に食わないが、ヒーローは自己犠牲の精神を持って人を救うべき、という考えは正しいと思う。
実際、オールマイトは恋人を作る事もなく何十年も人を救い続けた。あの人こそが本物と呼べるヒーローだろう。
俺は今のヒーロー社会を壊す。そのためならなんだってしてやる。
これは、いやこれこそが。俺のオリジンだ。
なんかアニメ一期の最終話みたいですけどまだまだ続きますので!これからもよろしくお願いします!