英雄症候群に治す治崎君っ!   作:シュガーマン

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今日は4000文字です。
感想お待ちしてます!チラッ


プールと夕焼け

 

 

「えー!!可愛い!」

 

「素敵なおべべね。」

「可愛い服やねー!治崎君に選んでもらったん?」

「は、はい。」

 

連絡をもらった次の日、俺はエリを連れて雄英高校を訪れていた。

 

前日に妹を雄英に連れていく、という許可を相澤先生にもらっていたから楽に入れた。

USJの事件以来セキュリティが強化されているようだったし、相澤先生に感謝だな。

 

プールの前に着くと大体のクラスメイトはもう揃っていて、皆エリと会う事を楽しみにしていたようだった。

 

エリは芦戸と蛙吹、麗日に服を褒めてもらってうれしそうにしている。

今日のコーデは麦わら帽子にワンピースの夏っぽいコーデだ。はじめは親父が選ぼうとしていたが着物を探し始めたから玄野に止めてもらった。

 

「私、麗日お茶子!あっちにいるのはデク君!眼鏡かけてる人が飯田君ね!」

「お茶子さんとデクさんと飯田さん……お茶子さんと……あれ?」

 

「麗日、エリの目がぐるぐるしてる。もう少しゆっくり教えてやってくれ。」

「本当だめっちゃぐるぐるしてる?!」

 

「よろしくね。僕は緑谷出久。麗日さんみたいにデク、って呼んでくれても良いよ。」

「分かりました、デクさん!」

 

緑谷は小さい子とも話し慣れてるな。ロリコンか?

 

「お前、2度とエリに近づくな。」

「なんで?!」

 

「おっ、この子が治崎の妹ちゃん?ちょー可愛いじゃん!」

「10年後が楽しみだな。うん。」

 

上鳴と峰田は一緒にここまで来たようだ。だがここでもう帰ってもらうか。

 

「もう皆さんお揃いですね!それでは男女に分かれて更衣室に向かいましょう。」

 

エリを麗日に預けて更衣室に向かう。

色んな人と話せてエリも楽しそうだ。

 

 

______________

 

「あぶぶぶぶぶ」

 

「エリー!!!」

 

俺が更衣室から出ると浮き輪を持ったままひっくり返って溺れているエリが見えた。

個性を使って吹っ飛んで行こうとしたら蛙吹が舌で救助してくれた。

 

「助かった蛙吹。」

「梅雨ちゃんと呼んで。」

 

なぜこんな酷い事件が起こってしまったんだ。

近くにいた麗日をにらむ。お前にエリを預けた俺がバカだった。にらむ。もう一度にらむ。にらみつける。

 

「めっちゃにらむね?!ごめん、治崎君。エリちゃんが泳ぎの練習したい、って言いだしたから浮き輪とかビート板を使って泳ぎを教えてたんだけど……」

「だけど?」

「高速でエリちゃんが回転しながら前進して行って……」

 

…………

 

「……泳ぎを教えていない俺が悪かった。すまん。」

 

泳ぎをマスターするまでエリを海へは連れて行けないな。

なんて考えていると着替え終わった上鳴と口田、切島の3人がこっちに来た。

 

「治崎ってあんなデカい声出せるんだな。」

「出せるぞ。知らなかったのか?」

「あぁ。なんか寡黙なイメージがあったからさ。」

「お前寡黙とか難しい言葉知ってたんだな。」

「急にひどい!偏差値80の雄英にこれでも合格してるんだけど?!」

 

「でも確かに治崎君って僕と一緒であんまり話さないタイプだと思ってたよ。」

「あー、確かにお前らとあんまり話さんからな。」

「あんな漢らしい声出せたんだな!びっくりしたぜ!」

 

「治崎の性格をちょっと知れただけでも今日来た意味あったわ。」

 

なんだこいつ。金髪は全員チャラいと思ってたが……こいつはいい奴だな。特別にエリに近づく許可をやろう。ただし、お前は駄目だ峰田。

その汚れた目でエリを見るな目を分解、修復(オーバーホール)して綺麗にするぞ。

 

「おいてめーら!今日何しに来たと思ってんだ?!泳ぐぞ……!!はよ泳ぐぞー!!」

 

「ヤクザみたい。」

 

「あぁ?!」

 

ヤクザの孫にヤクザみたい、とか言われていいのかヒーロー志望。

 

「言い方は悪いが爆豪君の言う通りだ!さぁみんなも泳ごう!準備体操はしっかりな!エリちゃんも一緒に準備体操をしよう!」

 

「はい!デクさん。」

 

「違うそれ僕!」

 

今日もエリは人気者だな。うん。

 

______________

 

準備体操を終えて、今はそれぞれがそれぞれの泳ぎ方で泳いでいた。梅雨ちゃんはとんでもない速さで泳いでいる。

俺も瀬呂と一緒にクロールで泳いでいる。久しぶりに泳ぐと体力を持っていかれるな……

潔癖症の時の俺では今日プールに入る事は出来なかっただろうな。あの日ある程度克服できてよかった。

 

エリの方を見ると、今は八百万に泳ぎ方を教えてもらっていた。八百万ならしっかり教えてくれるだろう。

 

 

「みんな!今から男子だけで個性ありの50メートル自由形の競走をしないか?!」

「それを言うなら競泳じゃね?」

 

飯田が泳いでいる全員に向かって競泳をしよう、と言った。

なかなか面白そうな事を言うじゃないか。

 

「なぁ、どうする?」

「俺は賛成だな。瀬呂は?」

「俺も賛成。」

 

他の男子も賛成している。それを女子も聞いたようでさっきまでエリに泳ぎを教えていた八百万が審判を名乗り出た。

エリも見ているし、勝たなきゃな。

 

______________

 

 

第一回戦、上鳴、爆豪、口田、常闇、峰田。

 

これは爆豪の勝ちだろうな。上鳴は個性使うと死人出るし、口田は周りに動物がいないせいで個性を使えない。

というか爆豪以外そもそも機動力に乏しいからな。

 

「爆豪泳げよ!漢らしくねーよ!!」

 

爆豪は水面スレスレを爆破で移動して泳ぎきった。いや、泳ぎきったと言っていいのかは分からないがな。

 

 

第二回戦、轟、青山、瀬呂、切島、治崎。

 

俺の番だ。さて、どうやって泳ぎきろうか。まぁいつものように石柱をプールの側面から生やして進むか。

 

「あ、治崎君。石柱を生やすと砂埃がプールの中に入ってしまうから石柱は生やさないでくれ。」

 

おい眼鏡。それをはやく言え。

 

「皆さん!準備はいいですか?」

 

まずいまずいまずい。始まってしまう!

石柱無しで俺にどうしろと!水に修復を使って硬くできないか?いやそんなの無理だ。なら体を分解して水の抵抗を、いや体を欠損する方が速度が落ちるだろう。……あ。

 

「よーい、スタートです!」

 

俺は手元にあったビート板二つに右手で触れ、左手で自分の体に触れる。

昔から何年も練習はしてきたが潔癖症のせいで試さなかった奥の手を使うとしよう。エリに無様な姿なんて見せられるか。

 

「なんだあれ?!」

「治崎君、あんな事出来たのか?!」

「治崎君はビート板と自分の体に触れていた。もしかしてビート板を体の中に入れている?個性を使って融合したのか……!」

 

いったいな。いや、痛みより異物感がひどい。背中じゃなく胸の中がぞわぞわする。こんな感覚になるのか……!さっきも言ったが潔癖症をある程度克服してなきゃこんな事出来なかったな。いややっぱ無理かも知れん。蕁麻疹が出てきた。

 

蕁麻疹を分解、修復(オーバーホール)して抑えてなんとか泳ぐ。

ビート板のおかげで体が浮いて泳ぎやすい。先程よりスピードが出ている。

 

隣のレーンを見ると轟が水を凍らせてその上を走っていた。泳げよ。

 

「お前には負けない……!」

「っこっち……こそ……!」

 

最後10メートル!

俺はもう一度体に手を触れてビート板と体を分離させる。いったいなほんと。

俺の体から出て行ったビート板は浮力によって水の中から轟の方へ飛び出した。

 

「なに?!」

 

ビート板に轟の足元の氷が当たり、氷が崩れ轟が水面に落ちる。だよな。氷を壊される想定なんかしていないから脆いよなぁ!

 

最後の10メートルを2人で泳ぐ。

 

「負けっない!」

 

先にゴールに手が届いたのは俺だった。

 

「ぷはっ!……負けちまったか。」

 

そのあと続々と瀬呂達がゴールする。青山は溺れていたのを救助してもらっていた。

まぁエリの前でかっこいいところを見せれたんじゃないか?

 

「治崎さん。失格です。」

「……は?」

「なんで1人だけビート板使ってるんですか?!ルール違反で最下位です!」

 

嘘だろ八百万……

 

俺は溺れていた青山と同率になった。なんで青山はそんな誇らしげな顔してるんだ。

 

「治崎君あんな事出来たんだね!」

「あぁ。俺が個性を発現してすぐくらいに思いついた技だ。それから練習だけはしていたんだが潔癖症のせいで試せなくてな。今日が初運用だ。」

 

「へー………………… この技…仮に融合としよう。例えばワイヤーなんかと融合しておけばいつでもワイヤーを取り出せるのか……いや、そもそも無機物じゃなく有機物、生き物とでも融合出来るなら使い方なんて無限大だ。例えば人間と融合すると意識はどうなるんだ?個性は複数持ちになるんだろうか……

 

「緑谷。マッドサイエンティストみたいな考えを垂れ流すのはやめろ。」

「え?!ごめん!」

 

よくそんなにいろんな使い方を考えれるな……この部分だけは見習わなくてはな。この部分だけは。

 

緑谷に少し怖がっているとエリがこっちまで走ってきた。

麗日と八百万が優しそうな目でこちらを見ている。

 

 

「治崎さん!すごかったです!」

 

……青山と同率でもいいか。

 

______________

 

決勝戦まで勝ち上がったのは爆豪、轟、緑谷の3人だった。

空を飛ぶ、地面(地面?)を走る、水中を泳ぐ、という3パターンに綺麗に分かれた。

さぁ、どうなる。

 

「それでは3人とも!準備を!………よーい、スタートです!」

 

爆豪が飛び上がり、轟が氷の道を作り、緑谷の体に稲妻が走ったその瞬間。

 

「何やってるお前ら!もうプールの利用時間は過ぎてるぞ!」

 

相澤先生の個性で3人の個性は不発になり、一斉にプールに落ちた。

 

不完全燃焼だが仕方ないな。今度こそ俺が一位になってやる。

 

______________

 

 

「今日は楽しかったです。バイバイ。」

「うん!エリちゃん、バイバイ!」

 

エリは疲れたのか眠たそうな目で緑谷達に手を振った。

 

「今日はエリによくしてくれてありがとう。それじゃあ、また。」

「おう治崎!またなー!」

 

上鳴達にも手を振り、そしてその手でエリの手を握る。

さぁ帰ろうか。

 

「エリ、今日は楽しかったか?」

 

エリの顔は夕焼けに照らされて真っ赤になった。

 

「はい!楽しかったです!また、みんなで遊びたいです!」

「そうか。それはよかった。」

 

 

エリが楽しんでくれたなら何よりだ。

 

 

 

 

 

 

 




個性発現時から融合を練習している、というのはオリジナル設定です。このえこなち緑谷が名付けてくれた融合は体に結構負担があるので治崎君は多用しません。あくまで奥の手、なので。それをなんでプールなんかで使ったのかって?

エリちゃんが治崎の勝利を求める顔してたッ!からです。
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