少しの間周囲を警戒したが、ヒーロー殺し、ステインが襲ってくる気配はなかった。
さっき曲がるはずだった曲がり角を曲がり、スマホの電源をONにする。
「もしもし相澤先生。雄英の近くのショッピングモールでステインと接触しました。敵連合の下についているそうです。緑谷もおそらく死柄木に接触しています。」
相澤先生に簡単な連絡を行った。ここに近いヒーロー事務所なんて知らないからな。
相澤先生が近くのヒーローに連絡してくれるそうだ。
110にも電話をしておく。これで一応、一安心だ。
「おう治崎。お前今まで一体何処にいたんだ?」
「障子。ちょうどよかった。連絡を手伝ってくれ。俺は今ヒーロー殺しと接触した。」
「なに?!………俺はA組に連絡する。お前はヒーローを呼べ。」
「もう呼んだ。俺はショッピングモールの経営者に話を通してくる。」
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あれから1時間も経たずにショッピングモールは閉鎖した。
モール付近にあるヒーロー事務所のヒーローが辺りを捜索したが、ヒーロー殺しも死柄木も黒霧も見つからなかった。
緑谷とはすぐに合流できた。やはり黒霧にワープされていたそうだ。
俺のいた場所の正反対の、人気のない場所に飛ばされていたらしい。
飛ばされてすぐに死柄木に4本指で首に触れられて制圧され、そのまま2人でカフェに行き、コーヒーを飲みながら話したそうだ。
俺はナイフを突きつけられながら押し倒されていたんだが。
「治崎君。ステインに何かされなかった?」
「いや、特に何も。」
「よかった……すぐに相澤先生も来るんだよね?」
「あぁ。」
緑谷も何かされた様子はない。
ステインの「今日は手を出さない。」という言葉はどうやら本当だったようだ。
「治崎君!」
「どうした飯田?」
「治崎君。君、ステインに会ったんだろう?」
A組も障子の連絡で全員集合出来た。
飯田……あの日の目じゃないな。信じるか。
「あぁステインに会った。奴は前に俺がくっつけておいた手を敵連合に治療してもらったらしい。治っていた。」
「敵連合?!やはりあのあと……!」
「今は協力関係にあるそうだ。」
「治崎君、それって言わない方がいいんじゃ……?」
「どうせすぐ分かる事だ。」
「……僕達のする事は変わらない。ヒーローになろう。迷子を導くヒーローに。助けるヒーローに。」
「あぁ。出来る事を出来るだけ。頑張ろう。」
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あれから緑谷と俺は事情聴取を受けた。話す事が多かったせいで帰るのがかなり遅くなってしまったな。
ステインに襲われた事、ステインが敵連合と最低でも一年間は協力する事、どういう方法かは分からんが新たな個性をもらっていた事。
心を読む個性……ますますステインの1対1の戦闘力が上がってしまった。相手の考えを読みながらあんな動きをされるとほぼ無敵に近いんじゃないか?
……俺は敵連合に勧誘された事を話さなかった。話せなかった、の方が正しいかもしれないな。
「治崎君?治崎君ってば。」
「ん?すまん。なんだ?」
「大丈夫?顔色悪いけど。」
「そうか?……大丈夫だ。」
顔色に出ていたか。
「ようやく帰れるな。」
「うん。僕は親が迎えに来てるみたいだからここでお別れだね。じゃあバイバイ。」
「じゃあな。」
警察署の前で緑谷と別れる。
緑谷は結局死柄木とどんな話をしたんだろうな。聞き忘れてしまった。まぁ言う必要があればあいつから言うだろう。
「廻〜!!!!」
遠くのベンツから聞き慣れた声が聞こえてきた。迎えに来てくれてたのか。
とにかく……今日は帰るとするか。