林間合宿、スタート
「休憩の時間だ。また整列して降りろ。」
こんなところでか?
相澤先生が休憩、と言った場所はただの道路で周りに建物が一つも建っていない。
崖の下の遠くの方に大きな建物があるくらいだろうか。
あとは近くに見覚えのない黒塗りの車が止まっている。
………ん?待てよ。まさか……
「うおお漏れる漏れる。リトル峰田は決壊寸前だぜ。」
なんだか嫌な予感がしてきた。腰を落としてすぐに動ける姿勢になっておこう。
「あれ?ここパーキングじゃなくね?」
「というかB組は?」
他のクラスメイト達も異変に気づいたか。
「そばおにぎり、本当に食わないのか?お前のために作ってきたんだが。」
「……もらっておこう。ありがとな。」
「……なんの目的もなく、ではなんの意味もないからな。」
意味深な事言わないでくれ相澤先生。
「イレイザー!」
黒塗りの車から声が聞こえてきた。
「この声……まさか?」
緑谷は誰か分かったようだ。
「煌めく瞳で、ロックオン!!」
「キュートにキャットにスティンガー!!」
「「ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!!」」
おーーすごいな。すごい。今この人達何歳なんだろうか……本当にすごいな。
「ままままマジでか。プッシーキャッツが僕達を鍛えてくれるなんて?!プッシーキャッツは主に山岳地帯での救助を得意としていて、〜〜〜〜〜」
ひとまず緑谷の言葉は無視する。
というか確かプッシーキャッツには土を操る、みたいな個性持ちがいたような……バスのそばに移動しておく。
「ここら一体は私達の私有地なんだけどね、あんたらの宿泊施設はあの山の麓にある。」
じゃあやっぱりさっき見たあの建物が……まずい、本当にまずい。
「なぁ、これ……」
「い、一旦バスに……」
「今は9時30分。早ければ……12時前後かしら。」
「バスに戻れ!早く!」
「悪いな、もう林間合宿は始まってるんだ。」
バスの下の土を少し分解してその中に入っておく。ここなら……!
土の弾ける音がバスの下まで届いてきた。
バスの下から緑谷達がいた場所を見ると、そこには抉れた地面があった。
出力が轟並みだな……
「おい、そこにいるのは分かっているぞ。バスで轢かれたくなかったら出て来い。」
やっぱバレてたか。
「自分で降りるのでバスで轢くのは勘弁してください。」
自分で作った穴から這い出して服についた土を払う。
汚れるのは嫌いだからな。個性で吹き飛ばされるより自分で作った穴に入ってる方がまだマシだ。
「じゃ、いってらっしゃーい。」
どう着地するか考えて崖のそばに立っていると不意に後ろから押された。
あ、これ本当にまずい。
足は地面の感覚を失い、浮遊感を感じる。
目に映る周りの景色が二転三転し、吐き気を覚える。
風が全身にぶつかってくる。
さぁ、林間合宿、スタートだ。
おえ。