ハリー・ポッターとファッキンブラザーズ   作:Lianno

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Need a little time to...

その日は良くも悪くも何かが起こる予感を感じていたのか、いつもよりもずっと早く目が覚めた。

窓の外を見るとまだ明るくなり始めたばかりのようで思わず溜息をつく。最低でもあと1時間は寝れたのに、ファッキン最悪だ、と二度寝をするには冴えすぎた頭で思うが、起きてしまったからには仕方ない。

しばらくはベットの上でじっとしていたが、限界が来た。飽きた。ファッキンつまんねえ。

取り敢えず隣のベッドで寝ているやつを起こすことにした。

「ニール、ニール、ニーール」

俺の退屈しのぎの犠牲になったのは俺の兄貴、といっても同い年のニールだ。

ニールと俺は双子だが、顔も性格も俺とは真反対だ。口が悪いのは同じだがこいつは歳の割に大人びた性格だし、身長は俺よりも小さくて、顔だってハンサムな俺とは違って、どちらかといえば可愛いと言われるタイプだ。

呼びかけてしばらくすると、まだ半分眠っている不機嫌そうな声が返ってきた。

「...っとなんだよほんと...」

「なんか目ぇ覚めちゃった」

「…意味わかんねえよ。まだ6時だぜ?

お前が起こさなきゃあと1時間は寝れた。」

恨めしげに俺を睨みながらニールが言った。

「一人で起きてんのってファッキンつまんねえんだよ。」

「へえ、俺を起こして面白いのかよ」

「一人でいるよりはマシだ」

「ウィリー、お前はいつまで甘えん坊のウィータビックスちゃんでいるつもりだ」

ニールが鼻で笑いながらそう言った。

そんな事を話していると、下の階からコツ、コツ、という音がしてから郵便受けから何かが落ちる音がした。

「新聞か?」

「だったらもっと早えだろ」

俺が言うと馬鹿にしたような顔でニールに返されて腹が立つ。

「朝、うちに新聞以外の郵便なんて来るか?」

「そんなんしらねーよ」

そう言うとお互いに黙った。多分考えている事は同じだ。

先に口を開いたのは俺の方だった。

「なんかさ、変な予感するんだけど」

「認めたくねえが分かる」

「なんか」

「ノックみたいな音したよな」

「ああ。」

黙って顔を見合わせた。

母親が起きるまではまだ少し時間があるはずだ。

母親を起こさないようにそろりと廊下に出て階段を降り玄関に向かうと、何かが落ちていた。

よく見るとそれは2つの封筒だった。

「なんだこれ?」

拾い上げるとそれは見た目よりもずっしりとしていた。真っ赤な蝋で封がされ、それの上にはHというレタリングの周りに鳥とかヘビとかよく分かんない動物がデザインされたマークとHOGWARTSの文字があった。裏返すと深い緑色のインクで宛名が書かれていた。

 

 ウィリアム・アルバーン様

   小さな子供部屋

クランウェル・ドライブ5番地

    バーネイジ

   マンチェスター

 

変な予感は当たった。ただ、悪ふざけにしたってもっとマシな方法あったよな。嫌な気分になったことは認めてやるが、何がしたいのかファッキン意味不明だ。

こんな凝った手紙を誰かが俺らへの嫌がらせの為にわざわざ作ったということだろ…?意味分かんねえ。ファッキン頭おかしすぎる。

「ニール…?」

兄を見ると自分と全くおんなじ、名前だけが違うふざけた手紙を見つめていた。

「この手紙を送りつけて来たファッキン野郎はまじで俺達をファッキンに馬鹿にしてやがるな。ただ悪ふざけにしても気味わりぃ。切手はねえし、わざわざ『小さな子供部屋』なんてファッキン見張ってるぞっていう脅しか?」

「俺ら、こんな恨まれるようなことしたっけ?」

少しイラついて早口になっているが、小声で呟くニールに、俺は最近起こした問題や面倒、喧嘩の数々を思い出しながら返した。

「まあ恨まれるようなことしかしてねえだろ特にお前」

「まあそうだけどニールだってたまに学校行ったってファッキンな面倒しか起こさねえだろ」

「うっせ。とにかく、何が入ってんのか分かったもんじゃねえから間違っても開けんなよ」

封筒をくるくるひっくり返しながらニールが言った。

「言われなくてもそんぐらい分かってるって」

俺だってそこまで間抜けじゃねえ。

「まあとりあえず母さんには死んでも黙っとかないと。」

「だな」

先日起こした騒ぎのせいで学校に呼ばれた後の母親の恐ろしさと、手紙を見つけて今度は何をやったのかと怒る母親の姿を思わず思い浮かべて恐ろしくなった。

どんな上級生との喧嘩も乱闘も、母親の雷に比べたら可愛いもんだ。

「そろそろ部屋戻んねえと」

来た時と同じようにできるだけ静かに部屋に戻り、しばらくすると母親が起こしに来る声がした。

手紙のことは気にしないようにして、何事もなかったことにした。

 

次の日、その手紙の事はもうすっかり忘れて、ただいつも通り新聞を取りに行くと、その上に例の手紙が置かれていて思わず叫びそうになった。

ファッキンなんなんだよこれマジで。

しかも手紙の数は4枚に増えやがっていた。最悪すぎる。ポケットに押し込んで見えないようしてリビングに戻った。

「新聞を取りに頼んだだけなのに随分時間がかかったわね」

母親の言葉に冷や汗が出た。

ニールは全てを察したようで、若干表情が引きつっていた。

 

またその次の日の朝は一昨日と同じくらいに早く起きる羽目になった。というのも今度はニールに起こされたからだ。

「ウィリー、起きろ。これまた増えてやがった。」

そう言って突き出して来たのは8枚の手紙だった。

「ファッキンまじかよ!」

「これで明日もこの調子でもっと増えてたら母さん、絶対気づくぜ。

今日でもう結構やばかったから。明らかに隠し事してるってことはバレてるな。」

眉間にシワを寄せながらニールが呟いた。

この調子だと明日は多分16枚、その次の日はその倍......

俺らが大変な目に遭うだけなまだ良いが、手紙が家に届くとなると話が違う。

「真面目にファッキンやべぇ…どーしよ」

「どうせバレるんだから今のうちに白状しとくか…?」

「隠しきれずに怒られるよりかはまだましかもなぁ」

運が良いのか悪いのか、今日は日曜日で時間は十分にある。

パジャマから着替え、ジーンズのポケットに忌々しい手紙を突っ込んだ。

これを出した奴、ファッキン一生呪ってやるから覚悟しろ。

落ち着かない気持ちで朝食を取り終え、お互いに目配せをしあいながらタイミングを見計らっていた。

「ねえ、母さん」

無言の押し付け合いの末、折れたニールが言った。

「ニール、どうしたの?」

「あの俺とウィル宛に手紙が来てんだ。一昨日くらいから、毎日。」

全部説明を任せるつもりだったのだが、ニールにちらりと目線をよこされて仕方なく口を開いた。

「んで、その手紙が普通じゃねえんだ。いたずら?嫌がらせ?の手紙なんだけど、俺らの部屋まで宛名に書いてあるし、お高そうな封筒に入ってるしなんかよくわかんねえけど不気味なんだ。」

「とりあえず無視しようと思ったんだけど放置したらどんどん倍に増えて、最初は俺ら1人に1枚ずつ、昨日今日って増えてるから多分明日からもっと増えるかも」

ニールが俺の言葉を引き継いで言った。

「…あんた達今度は一体何をやったのよ…とりあえずその手紙を見せなさい。」

母さんが言ったので俺はポケットからくしゃくしゃになった手紙をひっぱり出して恐る恐る渡した。

まじでやべえ。まじで心当たりがないのが更に怖い。母さんの顔を真っ直ぐ見上げられずに、じっと足元の古ぼけたadidasを見つめていた。

「ホグワーツ、ね」

母さんの声に思わず顔を上げると、悲しそうな、しかし嬉しそうな表情をしていてびっくりした。

そしてためらうこと無く赤い蝋を割ると、中から手紙を取り出したことに更にびっくりした。 

「え、かあさん…?」

思わずそう言ったのが、俺だったのかニールだったのかは分からない。

まじでファッキンなにが起きてんだ。

 

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