【爆アド】生まれた直後から最強悪霊と脳内バトルしてたら魔力量が測定可能域を超えてました〜悪憑の子の謙虚な覇道〜   作:広路なゆる

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13.飴ちゃん

「界くん、それと雨さん、改めてですが、五大属性の妖術と自属性を混ぜ合わせるのが響術です」

 

「あい」「はい」

 

 界と雨は栗田の前で体育座りして、栗田の話を聞いている。

 

「響術においては、属性同士の『融和』『変質』『反発』を意識する必要があります」

 

(ふむふむ、『融和』『変質』『反発』ね……。なんですか? それは……)

 

 と、聞く前から、栗田はそれぞれについて丁寧に教えてくれた。

 

 =================================================

 

 五大属性……風、炎、土、雷、水

 

 そもそも自属性はこの五大属性である人がほとんどである。

 まれに氷、闇、光といった五大属性以外の属性を持つ者がいる。

 

『融和』…水と氷のように近い属性

 ┗馴染ませるように掛け合わせ、相乗効果を狙う。

 

『変質』…炎に闇を混ぜるような性質変化

 ┗どちらを主にするか決めて調整する。

 

『反発』…水と炎のように相反する属性

 ┗基本的には混ぜることが難しい。

 しかし、まれに新たな属性へと昇華することがある。

 

 =================================================

 

「栗田先生、ありがとうございます」

 

「っっ……! いえ、界くん……こんなものは教科書に載っている情報です」

 

「……つまり、私がやってたのは〝融和〟ってことですね?」

 

 雨が栗田に尋ねる。

 

「そうだね。融和は最も実戦向きです。比較的、容易であるにも関わらず、その効果も高い。つまるところコストパフォーマンスが高い響術です」

 

(……なるほど。実施難度が高いほど、強力ってわけでもないということね……。生前の地震対策の時も、停電時に自動で点灯するやつとか2000円くらいのお手頃価格で買える割に必須レベルの奴から始めたっけな……)

 

 界はふとそんなことを思い出し、少しだけ懐かしく思う。

 

「栗田先生、質問です。闇属性と融和できる属性はありますか?」

 

「ありません」

 

「え゛っ!?」

 

(ないのかーい!)

 

「そうですね。闇属性はそもそも使える人がほとんどいないので、データが少ないのですが、他属性と融和することはないと言われています」

 

「な、なるほどです……」

 

【我が崇高な闇属性が……他の下等な属性と馴れ合うことなど……】

 

(……なんか言ってるし)

 

「なので、界くんはまず『変質』を意識することから始めてみると良いと思います」

 

「……あい」

 

(変質……〝どちらを主にするか決めて調整する〟……か……)

 

「……栗田先生、やってみてもいいですか……?」

 

「はい、どうぞ」

 

「ありがとうございます」

 

(よし…………炎属性を主に…………闇属性を掛け合わせるイメージで……)

 

「炎術〝蛍火(ほたるび)〟」

 

「「っっ……!」」

 

(…………)

 

 

 結論、ほぼ普通の蛍火。

 

 

【あはははは! 田介、なんか雰囲気、一発で成功させちゃいますよ……みたいな感じ、醸し出してたのに、フッツーの蛍火じゃねえか】

 

(……おい、やめろ。なんか恥ずかしいだろ……。って、なんか前にも同じようなことがあったような……)

 

「界くん、大丈夫ですよ。少しずつ練習していけばいいのですから」

 

 栗田は優しく声掛けしてくれた。

 

 それからしばらく界と雨は響術の練習に打ち込んだ。

 雨も氷属性と風属性の〝変質〟に挑戦したりしていた。

 雨はすぐに形になり始めており、界は、「雨さん、すごっ!」となっていた。

 

 

 

「「はぁ……はぁ……」」

 

 響術の練習に励んだ界と雨の二人は、疲労し、膝に手を付いていた。

 

「お疲れ様です、今日はこのくらいにしておきましょう」

 

「いえ、まだ……!」

 

「界くん、休むのも修行のうちですよ」

 

「……!」

 

「オーバートレーニング症候群というものがあります。若いうちは特に……」

 

(…………鏡美先生にも同じようなこと言われたっけな)

 

「わかりました。でも、イメージトレーニングとかは大丈夫ですか?」

 

「い、イメージトレーニング? 界くん、よく知ってるな、そんなの……」

 

 栗田が少し訝しげに界を見る。

 

(あ、やべ……)

 

「はは……えーと、家庭教師の先生に教えてもらいました」

 

「なるほど……。まぁ、それくらいなら大丈夫です」

 

「ありがとうございます……!」

 

「よし、それじゃあ、今日、頑張ったご褒美だ」

 

(……ご褒美?)

 

 栗田はポケットをごそごそとして何かを取り出し、界と雨に差し出す。

 

 それは、

 

(あめ)ちゃんだ」

 

 飴であった。

 

(……飴って…………子供騙しじゃないんだから……)

 

 と、界がちょっと苦笑いしていると、

 

「…………あ、飴ちゃん……」

 

(ん……?)

 

 隣りで、ちょっと欲しそうにしているが、あまり食いついていない界を見てか、我慢してそうな人物がいた。

 

(…………)

 

「ワァアアアア、飴チャンダー」

 

 界は精一杯、童心に帰った反応をする。

 

「……!」

 

 それを見て、雨も栗田から飴を受け取る。

 

「ほら、ご褒美なんだから食べていいんだよ?」

 

 そう言われ、雨は遠慮がちに飴を口に入れる。

 

「…………~~~~っ」

 

 そして、声にならない歓声をあげていた。

 

 それを見て、界は少しほっこりした気持ちになる。

 

(…………そうだよな……雨さんも七歳の女の子なんだよな……)

 

 そんなことを思いながら、自分も飴を口に入れる。

 

「……お」

 

(…………久しぶりに食べると、案外、美味いな)

 

【…………~~~~っ】

 

(……ん?)

 

 

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