【爆アド】生まれた直後から最強悪霊と脳内バトルしてたら魔力量が測定可能域を超えてました〜悪憑の子の謙虚な覇道〜 作:広路なゆる
「ちょ、
青海は暁を
「そ、そうですよね。ごめんなさいです。その……でも、私、ドウマ様に……」
「暁!」
「はぅっ……」
暁がドウマと口に出した時、青海はやや厳しい口調を暁に向ける。
(ん……? ドウマに何か用か……?)
「も、申し訳ありません、ド……いや、界くん……、その……うちの娘が失礼を……」
(……他の大人より露骨ではないが、青海さんもドウマへの
【全く、悲しいなぁ……。儂様は子供の
(「割と思われてるぞ」)
【へ……?】
(うーん、ずっとこんな感じされると、正直しんどいな……)
「あ、あの、え、えーと…………き、気ニスルデナイ。今後モ小サキコトハ気ニシナイ」
「……! な、なんと寛大な……」
【おい、今のなんだ? 儂様になりきったつもりか? おい、田介、そうなのか!? ……少し馬鹿にしてないか?】
(…………)
「パパ、小さいこと気にしないって! じゃあ、界くん、稽古しようです!」
子供の順応は早い。
「あ、暁ぁ……」
青海は少々、困った様子だ。
「ははは、暁ちゃんは元気だなぁ……界、どうする?」
父が界に尋ねる。
「え……」
(相手は天才幼児と呼ばれる青海暁さん……、そんなの……)
「僕もやりたい!」
「よしきた!
父は青海(下の名前は慶三)に尋ねる。
「えぇ、本当にやるのぉ……? まぁ、裏庭は使えるけど……」
「こっちなのです!」
暁は居ても立っても居られない様子で、通路の先を指差す。
「
「あぁ、うん」
母は、今回、依代の子を生む瑠美と親しい仲であった。
ゆえにまずは瑠美と話をしたいというのは当然である。
「わかった、真弓。それから慶三に瑠美さん、子供達は私が見ているから、心配するな」
「ありがとうございます。白神さん」
瑠美は頭を下げる。
「いや、彰彦、流石に俺も行くぞ。暁が礼を欠いてはまずいからな……」
「お、そうか? わかった」
そうして、青海、父、暁、界の四人で裏庭に行くことになった。
その途中で父が界にぼそりと教えてくれる。
「暁ちゃんは魔力量〝赤〟レベル7の水術使い。超がつく天才だぞ……」
(……! まじか……!)
魔力量〝赤〟レベル7とは、魔力量測定における最大値。
その割合は1000万人に一人と言われていた。
四人は裏庭に着く。
裏庭は25メートルプール場くらいの広さの空き地となっていた。
と、
「ど、ドウ……界くん!」
(いや、今、ドウマって言おうとしたよな?)
「お願いします。わ、私に……
「す、すいらん……めっぱ……?」
(何ですか? それ……)
「あ、暁……!」
いきなり界に懇願した暁に、青海はやや強い口調で窘めようとする。
しかし、暁はめげない。
「お願いしますです。ドウマ様……!」
(もはや包み隠すことすらせず……)
(「お、おい……ドウマ、どうすんの? 何? すいらんめっぱって?」)
【…………】
(「ちょ……ドウマさん?」)
なぜかドウマはツーンとしている。
息づかいは聞こえるので、意図的に無視しているのだと界にはわかった。
(全く、この気まぐれおじさんめ……、どうすりゃいいのよ……、はぁ……)
「ぼ、僕……そんな技……知らないよ……」
正直に言わざるを得なかった。
「え……!?」
暁は目を見開いて露骨に驚いた顔をする。
「本当に?」
「はい、本当に……」
「うーん……」
すると、暁は、今度はまじまじと界のことを観察し始める。
(え……!? ちょ、なに、この子、怖い……)
界が動揺した様子をしていると、
「…………えー、こほん」
暁は咳払いし、
「界くん、稽古をつけてあげるのです! お姉さんに何を教えて欲しいですか?」
急にお姉さん風を吹かせてきた。
(ははっ……、この子、すごいわかりやすっ)
界はちょっと苦笑いする。
(だけど、あの初めて魔力発現のことを知った動画に出ていたレベル7の子と稽古できるなんて、滅多にないチャンスだ。例の日まで、残された時間は多くはない。一方で事変が震災のように突然、発生するなら、ギリギリまで準備に充てることができる。少しでも強くなるチャンスがあるのなら逃すわけにはいかない)
「暁さん! 暁さんの考えた最強の水術を教えてください……!」
◇◇◇
「暁さん! 暁さんの考えた最強の水術を教えてください……!」
私、
ふふ……。
ドウマ様の依代の子って聞いてたのだけど、ちょっぴり残念です。
この子は、どう考えてもただの子供です。
まぁ、子供には優しくしてあげるのが、お姉さんとしての役割なのです。
「なるほどです。私の考えた最強の水術ですね?」
「はい」
きらきらした目をして、可愛いらしいのです。
うーむ、でも私の最強の水術をいきなり教えて、謎の自信に溢れた
「ふふっ、わかりましたです。見ていてください」
「はい……!」
「水術:
「おぉ……!」
まずは水の
ふふ、びっくりしているようですね。
簡単そうに見えて、水を刃のように薄くするのは結構、難しいのです。
でも、これだけではないのです。
水刃に……水弾を合わせて……、
「水術
水の刃を弾にして、連続で飛ばす……!
「おぉお! ……すごい! ご、ごうじゅつ!?」
まぁ、こんなものですかね……。
初めて見る合術に驚いているようですね……。
それもそうでしょう、妖術を同時に使い、それを組み合わせる
極めて繊細な魔力のコントロールが要求されるのです。
……しまったです! 結局、謎の自信に溢れた
「暁先生……! ごうじゅつとはどういう字を書くのですか?」
せ、先生……? ふふっ、可愛いですね。
「合わせるという字に術で
「おぉー、つまり二つの妖術を合わせるということですね?」
「そうです。同じ属性の妖術を二つ組み合わせることで、より強力な術を使えるのです」
「へぇー、すごいですね。
響術……!? わ、私がちょっとばかり苦手としている技術です。
なぜそれをこの子が……。
ま、まぁ……七大名家の家庭ですので、概念くらいは知っていてもおかしくはないのです。
「じゃあ、ちょっと試しにやってみますね。合術」
「えっ……? あ、いきなりやってみるのですね?」
「え……? はい……」
こ、これだから謎の自信に溢れた
まぁ、そこを優しく教えてあげるのがお姉さんの務め。
「であれば、まずは二つの妖術を同時に出すことから始めてみるといいのです」
「わかりました!」
妙にいい返事ですね。
「それじゃあ、やってみますね。炎術:
あら、炎術のもっとも初歩的な妖術、蛍火ですね。
私も最初の頃はそんな感じでした。なんだか懐かしくて微笑ましいです………………、
「って、えぇ……!?」
「っ……! あ、暁先生、どうしましたか?」
「い、いや……何でもないのです」
な、なんでこの子、蛍火をこんなにたくさん出してるの!?
20……30……? いやそれ以上……。
「暁さん、どうですかね? 全く同じ炎術ではあるのですが……」
「…………、ま、まぁまぁ、やるのですね」
「ありがとうございます!」
っ……。
……私、水環を30も同時に出せるですか?
それに……これって本当に蛍火なのですか?
私の知っている蛍火とは違うのです。
……一つ一つの蛍火が……とても力強いのです。
…………、いや、私は異なる妖術を同時に出せるのです。
負けてなんていないのです。
「それじゃあ、今度は炎術:蛍火と炎術:火柱を同時に出してみようと思います」
「えっ……、あ……ちょ……」
ちょっと……ちょっと待……、
「あれ? 失敗です……」
「っ……!」
失敗した?
「…………おい、やめろ、なんか恥ずかしいだろ……」
「……?」
独り言を言っている?
「あ、ごめんなさい、何でもないです。それより、二つ同時に別の妖術を出すのって意外と難しいんですね」
「あ……、えーと…………そ、そうなのですよ! でも界くん、最初にしてはとてもよくできている方なのですよ」
「ありがとうございます……! それじゃあ、続けて練習の方を……」
「あ、ちょ、ちょっと待つのですよ」
「え……?」
「まずは同じ妖術を同時に出す方に磨きをかけるのですよ」
「え……? あ、はい……。でもどうしてですか?」
「っ……! き、基礎はとても大事なのです」
「……! わかりました!」
たった一日で異なる妖術同時出しまでされてしまったら、私の自尊心が粉々なのですよ。
◇◇◇
「それじゃあ、今度は、火柱の同時出しやってみたいと思います!」
(暁さん、すごい有意義なことを教えてくれる。確かに基礎は大事だよな。鏡美先生も栗田先生も同じことを言っていた。すごく有り難い……)
界はそんなことを思いながら火柱を50本、同時に出そうとする。
と、
「ウボォオオオン」
「「「「っ……!?」」」」
突然、奇妙な呻き声が聞こえた。
界、暁、そして二人の父は、その方向に目をやる。
そこには熊のような姿をした奇妙な生物がいた。
「あ、あれは……
(く、
熊じゃなくて熊燐なので……。
本作について一点、告知がございます。
講談社Kラノベブックスより書籍化していただくことになりました。
2025/12/26(金)に発売となります。
https://www.kodansha.co.jp/comic/products/0000423408
書籍版には、書き下ろしで「赤池の顛末」というエピソードを追加しております。
昨今の物価高により本体価格が少々高めで申し訳ないのですが、何卒よろしくお願いします。
※更新は継続します