【爆アド】生まれた直後から最強悪霊と脳内バトルしてたら魔力量が測定可能域を超えてました〜悪憑の子の謙虚な覇道〜   作:広路なゆる

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24.運命の日

(いくら子供を慰めるためとはいえ、死なないは言い過ぎじゃないだろうか……)

 

 暁の「お父さんがお母さんは死なないって言ってた」発言に、界は少し思うところがあった。

 

「……暁さん、今日はごめん」

 

「え……?」

 

「今日はもう遊べないよ。その……お家に戻りな?」

 

(自己満足かもしれない。それでも暁さんと瑠美さんの貴重な時間を俺との遊びで奪うわけにはいかない)

 

「……う、うん、わかったのです。急に来ちゃってごめんなさいなのです」

 

 暁はしゅんとする。

 その姿を見て、界は付け加える。

 

「本当、ごめんね。暁さんのことが嫌とか迷惑とか、そういうのじゃ全然ないからね」

 

 と、

 

「はいなのです」

 

 暁は少し顔色が明るくなる。

 

「もう暗くなるから送っていくよ」

 

「あ……ありがとうなのです……」

 

 と、界が暁を送っていこうとしたら、玄関付近で、一之瀬家の使用人の方に発見された。

 使用人の方に「界様が暁様を送ったら、帰りに界様が一人になる。そもそも子供をそれより小さい子供が送るってどうなのでしょう?」という正論を突き付けられ、暁は使用人の方が付き添って青海家に帰ることとなった。

 

 ◇

 

 それから界達は主に母の実家で過ごし、あっという間に時は流れた。

 

 2016年4月14日(父母の命日まであと0日)。

 

「母さん、おんぶー、おんぶー」

 

「ん? 界、どうしたの? 最近、おんぶをせがむことが増えたけど、ひょっとしてお母さんに甘えたいのかな?」

 

 界におんぶをせがまれ、母は嬉しそうにそんなことを言う。

 

「うんー」

 

 界は腰をかがめた母の背中によじよじと登る。

 

【うむ……、やはり田介母の背中はなかなか心地がよい】

 

(…………ちょっと気恥しいが……同意だ。…………そして……守らなきゃいけない背中だ)

 

 界はひっそりと決意をかためる。

 

 その時であった。

 父のスマホが着信を伝える。

 

 父は電話に出て、

 

「わかりました。すぐに向かいます」

 

 神妙な面持ちで、そう答え、電話を切る。

 

 そして、母と界に告げる。

 

瑠美(るみ)さんの陣痛が始まったそうだ」

 

(……、やっぱりか……。やっぱりこの件が……何か関係あるんだ……)

 

「界、これから真弓と私は青海家に行く。その間……」

 

「行く……!」

 

「え……?」

 

「僕も行くよ」

 

「し、しかしな……」

 

 依代の子の出産。それはつまりこれから人が死ぬことを意味している。

 父からすると、九州に連れてきた時のように、駄々をこねたからといって、界を連れていくわけにはいかなかった。

 

「界、今回は……その……」

 

「父さん……」

 

「え……?」

 

「子供としてじゃない……。()を……〝一人の破魔師として〟連れて行ってほしい」

 

「……!」

 

 ◇

 

「んあぁあ゛あああ゛あああぁああ!!」

 

 界を含めた白神家三人が青海家に着くと、すでに瑠美の悲痛な声が聞こえてきていた。

 

「ちょっ、陣痛は始まったばっかりじゃないのですか?」

 

 父が門の近くにいた青海家の使用人に尋ねると、

 

「それがお産が急激に進んだようで……」

 

「そうですか……、わかりました」

 

 三人は儀式の間へ急ぐ。

 

 

 

 儀式の間に到着する。

 

 その場には青海家当主の慶三、そして暁がいた。

 加えて助産師が一人いる。

 

(……思いのほか少ないのだな)

 

 界は率直にそう思う。

 

 界の時は、七大名家の当主のほとんどがいたし、助産師に加えて、降霊の巫女も数名いた。

 七大名家はともかくとして、降霊の巫女はおらず、助産師がいるのみである。

 

(「ど、ドウマ……わかったら教えてほしいのだけど、これだけの人員で大丈夫なの?」)

 

【ん……? まぁ、大丈夫なんじゃないか?】

 

(「そうなんだ……。ちなみに助産師さんって……」)

 

【多分、死なないと思う。恐らく死ぬのは母親だけだろう】

 

(「そうなんだね……、教えてくれてありがとう」)

 

(ドウマの時みたいに周りの人は巻き添えにしないんだな……。聖乱テンシは、日本八柱の慰霊の一角と聞いてたけど、わりと優しい方なのだろうか……)

 

 などと、考えているうちに、

 

「あぁあ゛あああ゛あああぁああ!!」

 

「出てきます!」

 

(えっ、早……)

 

 もはや親族以外(白神家)が儀式の間を去る猶予すらなかった。

 

 助産師が赤子を取り上げる。

 薄紅色の肌はまだ湿り、かすかに震えている。

 新たな生命の誕生である。

 

 

 

 

 

 そして、その赤子に〝(やいば)〟を向ける者がいた。

 

 

 

 

 父が叫ぶ。

 

 

 

 

「な、何をしている!? け、慶三っ!」

 

 

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