【爆アド】生まれた直後から最強悪霊と脳内バトルしてたら魔力量が測定可能域を超えてました〜悪憑の子の謙虚な覇道〜 作:広路なゆる
そうして、界とじいじ、くまじいじの三人はさーてぃわんに行った後、適当な道場を借りて修行をすることになった。
(適当な道場を現地で借りられてしまう辺り……やっぱりこの人達、名家なんだなぁ……)
と界は思う。
ちなみに白神家は七大名家に属しているわけであるが、一之瀬家であるくまじいじは白神家に対して特別上に見ている様子はなかった。
界は
(七大名家ではないにしてもやっぱり名家なのかなぁ……)
などと適当に推察する。
「それじゃあ、界、まずは封
「いえいえ、界様、封
(……? 封魔術? 封絶術? なんぞそれ? 確か、父ちゃんが二人はそれぞれ違う方向性のエキスパートって言ってたけど、こういうことか……)
界はじいじの言う封魔術、くまじいじの言う封絶術についてさっぱりわからなかった。
「えーと、じいじ、くまじいじ、それって何が違うの?」
「封魔術の方がかっこいい」「封絶術の方が素晴らしいのです」
毎回、意見の食い違う二人は睨み合う。
(うーん、これ一人ずつの方がよかったかな……)
などと苦笑いしていると、
【封
思いがけず、ドウマが解説してくれる。
(お……?)
(「ドウマ、ありがとう」)
【おう! 儂様は今、気分が良いからの】
と妙に素直である。
(封
(「封魔術ってひょっとして、〝鎮霊の儀〟もその一種だったりする?」)
【その通りだ】
(……なるほど)
界がドウマに二種の封印術について聞いていると、
「それで界はどっちからやりたいんじゃ!?」「界様はどちらがよろしいでしょうか?」
ダブルじいじが鬼気迫る様子で聞いてくる。
(ちょっと言いづらいなぁ…………。でも……ごめん、くまじいじ)
「あ、えーと、じゃあ……封
「界ぃいい!」「……っっ」
じいじの表情は晴れ、くまじいじはシュンとする。
実のところ、界は〝じいじっ子〟である。
なぜなら、じいじは
前世で両親を亡くした界と妹の
界が二十歳になった頃に二人が相次いで病死してしまうまで、本当に大切に育てられた。
そんな大恩があるから、じいじっ子であることは否めない。
勿論、くまじいじとも時々、会う機会はあったが、前世のくまじいじは寡黙なタイプであり、ちょっと苦手ではあった。(ちなみにじいじとくまじいじの関係は今世ほど悪くなかった)
ただ、それは今回、封
「くまじいじ、ごめんね。封絶術についても是非、教えてほしいんだけど、でも僕って依代の子でしょ?」
「……!」
「だから、自分に使われてる封印術についてちゃんと理解しておきたいと思ったんだ」
界が申し訳なさそうに、くまじいじにそう告げると、
「…………うっうう゛……」
(え……?)
くまじいじはすすり泣きし始めた。
「ご、ごめんて、くまじいじ……」
界は罪悪感に
「なんて立派な……」
(へ……?)
「
(うん、なんか大丈夫そうだ)
「じいじ、封魔術教えてください!」
界はじいじの方を向く。
と、
「わかった」
(……っ)
そう応えた時、じいじの雰囲気が明らかに変わった。
憎まれ口の一言でも残すかと思われたくまじいじも険しい顔になり、黙って離れていく。
「界、封魔術を学ぶのであればこれだけは覚えておけ」
「……はい」
界が真剣な顔でそう答えると、じいじはこくりと頷き、そして告げる。
「封魔術とは……
「代償の術……?」
じいじの言葉に対して、界が聞き返す。
「そうだ。界……、大前提として霊魔について知っておくべきことがある」
「はい」
「そもそも霊魔とは完全消滅させることが非常に難しい存在なのじゃ」
「……!」
「霊魔は一度、消滅させたように見えても、しばらくすると魂を取り戻し、活動を再開する。例え、弱い霊魔であってもな……」
「な、なるほどです」
(「ドウマ、ってことは
【相当こんがり焼いたから、しばらくはしないと思うが、ひょっとしたら何十年後かにするかもしれないな】
(「……なるほど……厄介だな」)
「そうした霊魔を実質的に、活動停止に追い込むのが〝封魔術〟だ」
「封魔術を使って封印すれば、霊魔はもう復活できずに活動できないってことだね?」
「封印が解けない限りはそうじゃな」
(封魔術で封印することが実質的に霊魔を殺すことになるってことか……)
「それで、界、最初に言ったことを思い出すんじゃ」
「うん……。〝封魔術は代償の術である〟だね。じいじ、何を代償にする必要があるの?」
「よく覚えていたな、界。それでじゃ、代償は大きく二つある。一つは依代。二つは魔力じゃ」
(依代と魔力……)
「界はな……そのぉ……依代の子じゃろ?」
「あ、うん……」
「だから、実のところ、身をもってそれを知っているはずじゃ」
「えーと、つまりは僕が依代で、慰霊に魔力を吸われてるってこと?」
「前者は合っているが、後者は違う」
「……! 確かに、僕は今、ドウマに魔力供給とかはしてないね。自分の意思でない限りは」
「そうじゃ、魔力を代償にするのは、封印を行った破魔師だ」
「そうなんだね」
(えっ? ということは鎮霊の儀を発明したらしいドウマの魔力ってことかな?)
「鎮霊の儀に関しては少し特殊でな。魔力の代償は必要としない。なにせ鎮霊の儀を発動した史上最高の破魔師は今は……」
【史上最高の破魔師……? この若造め……生意気にも儂様を
(……)
「だが、魔力の代償の代わりとなるものがあるのじゃ」
「……〝母親殺しの呪い〟…………ってこと?」
「……そうだと言われている」
【くそ……忌々しい……】
(……ドウマは母親殺しの呪いについて何かしらの
「あ、そうだ、じいじ、一つ聞いてもいい?」
「なんじゃ?」
「なんで聖乱テンシの時は、呪いで死ぬのが母親だけだったの? ドウマの時は違うはずだったと聞いたけど……」
「ん……? 普通そうじゃろ?」
「へ……?」
「テンシ様が一般的で、ドウマ様の方が特別なのじゃ」
(なんですと……?)
「魔力が強すぎて降霊の巫女が必要で、周りまで巻き込んでしまうのなど、ドウマ様くらいじゃよ」
【っっ……】
(ドウマ……言葉にはしていないが、歯がゆそうにしている……?)
「で、でも聖乱テンシは日本八柱の慰霊だって……」
「ん……? まさか、界……、ドウマ様を日本八柱の慰霊の一角だと思っておるのか?」
「え……? 違うの……?」
「なんと……」
じいじは手の平で頭を押さえるようなジェスチャーをする。
「ドウマ様は日本八柱の慰霊ではない」
「……! え? じゃあ、なんなのさ」
「ドウマ様には枠組みなど存在しない。鬼神ドウマ様は鬼神ドウマ様であり、他と
(……!)
【煽てるな。そんなものより、さーてぃわん】
(……えぇ……、このさーてぃわんおじさんが?)
「それでじゃ、話を戻すが、依代については赤子や人間が必須というわけではない。弱い霊魔であれば、例えば、札であったり、人形であったり、そういったもので構わない」
「あ、うん」
「そして、もう一つ、魔力の代償について。これは封魔術を使うときに魔力が必要なわけじゃが……注意しなければならないことがある」
「……うん」
「封魔術は
(……!)
「じいじ、それって、つまり封魔術を解かない限りは、使える魔力量が常時、減ってしまうってこと?」
「その通りじゃ」
「……!」