【爆アド】生まれた直後から最強悪霊と脳内バトルしてたら魔力量が測定可能域を超えてました〜悪憑の子の謙虚な覇道〜 作:広路なゆる
「じいじ、それって、つまり封魔術を解かない限りは、使える魔力量が常時、減ってしまうってこと?」
「その通りじゃ」
「……!」
(霊魔を無効化するには自分を弱体化させなくてはならないなんて、まさに呪いだな……)
「ここまでは前提知識じゃ。まぁ、百聞は一見に如かずというし、まずは実演を見てみるかな?」
「うん……!」
「よし」
じいじはそう言うと、ポケットから札を取り出す。
「その札に霊魔が封印されているの?」
「そうじゃ。それじゃあ、今からこいつの封印を解くぞ」
(えぇ? 大丈夫なの!?)
などと思っているうちに、じいじはなにやら封印を解呪する呪文を唱えだす。
「封ぜし鎖、今解かれたり。
汝が意、汝が在り処へと。
我、干渉せず。ただ扉を開ける」
すると、札が裂け、光の中から熊のような姿をした奇妙な生物が現れる。
「ウボォオオオン!」
(こ、この独特な鳴き声……! こ、こいつは……)
「
それは九州で、
「
(……あの時、逃げた熊燐……、父ちゃんがちゃんと封印してたんだ……)
「この解呪をしたことで、
「な、なるほどです」
「ウボォ! ウボォ!」
解呪された熊燐は心なしか気分よさげに鳴いている。
と、
「影の名を断ち、力の流れを塞ぐ。
ここに印を刻み、我が結界に縫い止めん」
「ウボォ……?」
「汝が咆哮、いま鎮まりて封ぜられよ――封鎖!」
「ウボォオオ……ォ……ぉ……」
「と、まぁ、こんなもんじゃ……」
熊燐は再び札へと戻っていった。
(…………く、
と界は熊燐への
それはじいじのあまりにも速い印を結ぶ
「封魔術を成功させる最低条件として、まずは霊魔を弱らせる必要がある。まぁ、
「うん」
「だが、それだけではダメだ。界も見ていたと思うが、もう一つ重要なのが、
そう言いながら、じいじは手でいくつかの印を結んで見せる。
「まず最初に
じいじはそう言うと、両の手を胸元で組んだ。
そうして、両手の中指と薬指を交差させてから、人差し指を真っ直ぐ立てて前方へ向けた。
その後、界はじいじから封魔術の
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┗指を組むなどの動作。封印の対象を定める印。
┗手のひらを下に向けるなどの動作。封印の対象を抑えつける印。
┗開いた手の平を閉じるなどの動作。封印の締めに使う印。
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そして、じいじは再び、熊燐の封印を解く。
「ウボォ……」
「いいか! 界! こうやってこうやってこうじゃ!」
「ウボォオオ……」
熊燐は札へと戻っていく。
じいじは再び、熊燐の封印を解く。
「うぼぉ……」
「ほれ、界、やってみろ」
「え……? こう……?」
「ウボォぉ……うぼ?」
身構えた熊燐であったが、何も起きなかった。
この機を逃すまいとエッホエッホと駆けていく。
しかし、
「ちがーう! こうやって……こうやって……こうじゃ!」
「ウボォオオ……」
熊燐は札へと戻っていく。
「こうやって……こうやって……こう?」
「ちがーう! こうやって……」
……
数時間後――。
(むっず……!)
界は苦戦していた。
(これまでの妖術や響術は割と感覚頼りな部分が強かったけど、
「どうした? 界、彰彦からお前は天才だと聞いていたが、こんなものか?」
「っ……! じいじ、まだ始まったばかりだろ!」
「そうだ、その意気だ……!」
「おう、いくよ! 熊燐……!」
「ウボ!」
なんか心なしか熊燐も協力的になってた。
◇
「今日はここまでじゃ」
じいじが今日の訓練の終わりを告げる。
「えぇ……!? じいじ、僕もっとやれるよ!」
「気概は認めるが、今日のところはここまでとする。宿の夕飯の時間も決まっているしな」
(……確かに宿の人に迷惑をかけるわけにもいかないか)
「……わかったよ」
そうして、その日の訓練を終わりにし、宿へと戻った。
「うぉー、すげぇー!」
宿では、豪華な和食料理が出てきた。
「界、強くなりたいなら、たくさん食べろよ」
「うん……!」
(強くなりたいとか関係なく、こんな旨そうなものは食べるさ!)
訓練のせいかお腹がすごく空いていたこともあり、界はたくさん食べた。
その後、じいじ、くまじいじと三人で大浴場に入り、寝ることにする。
じいじ、くまじいじは相変わらず些細な事でいがみ合いしていたが、慣れてくるとそれも味があって、界は楽しかった。
夜――。
ご老人二人は、界と寝れる……と、うっきうきだった。
そのわりに、長距離移動したこともあり、流石に疲れたのかさっさと眠りについていた。
界はその隙をついて、最も基本的な動作の
(まずは
「うーむ……難しいな……指がうまく動かないのよ……」
(次に
「うむ……個人的には、この
(最後に
「うん、割とこれが一番覚えやすいまである」
などと、練習していると、ドウマが話しかけてくる。
【おい、田介、なんでそんなに頑張る?】
(「え……? どういう意味?」)
【お前は別に無理に封魔術覚えなくてもいいだろ。圧倒的な威力で吹き飛ばせば、そいつは数十年は復活できないわけだし……】
(「そうかもしれないけどさ、やりたいんだよ」)
【だから、なんでだよ!】
(「うーん、それは、まぁ、企業秘密というやつで」)
【は? なんだそれ……?】
(「まぁまぁ……、俺はもう少し練習を続けるね」)
【……好きにしろ】
そうして、界はしばらく
それからしばらく封魔術の訓練が続いた。
一週間ほど経ったある日のこと。
「影の名を断ち、力の流れを塞ぐ。
ここに印を刻み、我が結界に縫い止めん。
汝が咆哮、いま鎮まりて封ぜられよ――封鎖!」
「ウボォおお……ぉ……」
札に熊燐が吸い込まれていく。
「…………できた…………できた!」
界は思わずガッツポーズする。
「おぅ……、界、よくやったな」
じいじが界の頭をわしっと撫でる。
「僕、やったよ! じいじ、ありがとう!」
「あぁ……じゃが、まだまだじゃ」
「あ、うん……」
「
「うん……」
「まだまだ改善の余地はあるぞ!」
「うん……! 僕、もっともっとやるよ!」
界は訓練を継続した。
「界! 伏印が下手くそ! もっと霊魔を強く抑えつけるんじゃ! そうすることで
「う、うん……」
じいじのアドバイスを聞きながら、界は思っていた。
(……それが原因かもな。なんとなく熊燐を抑えつけることに抵抗感がある。不本意だろうけど、ずっと訓練に付き合ってくれてるし……)
「ウボォ……」
(じいじ、悪い…………俺は抑えつけるんじゃなくて……!)
「ウボォおお……」
熊燐は札の中に消滅していく。
「こらっ! 界! もっと下手になっているぞ! こんな低級霊魔にそんなに魔力を使っていてはダメじゃ……」
「う……ごめんなさい……」
「謝罪は不要じゃ、さぁ、もう一度やるぞ!」
そう言って、じいじは熊燐の封印を解こうとする。
が、しかし、じいじの動きが止まる。
一向に熊燐の封印を解かずに渋い顔をしている。
界は恐る恐るじいじに尋ねる。
「…………どうしたの? じいじ」
「…………な、なんじゃこりゃ!?」
(……何が!?)
告知です。
本作の書籍1巻が
2025/12/26(金)に発売となります。
いよいよ来週です。。。
https://www.kodansha.co.jp/comic/products/0000423408
書籍版には、書き下ろしで「赤池の顛末」というエピソードを追加しております。
何卒ぉ……。