【爆アド】生まれた直後から最強悪霊と脳内バトルしてたら魔力量が測定可能域を超えてました〜悪憑の子の謙虚な覇道〜 作:広路なゆる
(……父ちゃんが熊燐を封印していた理由は謎だけど、今はそれどころじゃない……)
「ジャァアアアアア!」
最後の一体となってもなお、蛇の霊魔は戦意を喪失してはいない。
状況として、界が魄術で張った透明な壁は健在。
界と蛇の一対一の局面である。
早々に、蛇二体を討伐したじいじとくまじいじは、険しい表情で界の様子を見つめている。
(……さてと。妖術はNG。実戦訓練の意味合いが強いから、可能な限り封魔術を使う。となれば……一度、してみたかったことをやってみるか……)
界は札を取り出し、左手の人差し指と中指で挟むように持ち、一呼吸する。
そして……、
「封ぜし鎖、今解かれたり。
汝が意、汝が在り処へと。
望むなら共に歩まん、我が覇道へと!」
札は強い光を放ち、
「うにょ!」
内部から、意気揚々と熊燐が現れた。
「ジャァアアアアア!」
突如、現れた熊燐に対して、蛇の霊魔は威嚇する。
「うにょっ!?」
その威嚇に、熊燐は驚いたのか一瞬、怯んだような仕草を見せる。
だが、
「うにょぉおおおお!」
(……!)
熊燐は蛇に対して、威嚇し返す。
「じいじ、聞きたいんだけど、霊魔同士が争うことってあるの?」
「なくはない。だが、大抵は上位の霊魔が絡んでいることが多い。こやつらのレベルでは珍しいことだ」
「そうなんだね、ありがとう……」
と言った時であった。
「うにょぉおおおお!」
熊燐が蛇に向かって走り出した。
「……熊燐!?」
熊燐は前足で蛇を抑え込み、かじりつく。
「ジャァアアアアアア!」
蛇は身をよじり、
(これはもう間違いない。熊燐が霊魔と戦ってくれている……! まだ俺のためかはわからないけど……、それでも戦ってくれているのは確かだ……)
界は小さくはない感動を覚える。
「っ……!」
だが、その時であった。
界は違和感を感じる。
「熊燐……! 引くんだ!」
「うにょ!? うにょにょ……」
熊燐は少々、腑に落ちない様子ながら、蛇から離れ、界の元に戻ってくる。
(指示も聞いてくれる……!)
「熊燐、いい子だ……」
界は熊燐のみけんをひと撫でする。
「うにょにょ~♪」
熊燐は嬉しそうだ。
(だけど、今はそれどころじゃない……)
「ジャジャジャジャァアアア!!」
界が違和感を覚えた対象である蛇の霊魔がより強い
(……一瞬、強いプレッシャーを感じたんだ)
すると、突然、
蛇は光を放ち始める。
「な、なにこれ……? じいじ、わかる?」
「……霊魔の
(霊魔の……変態?)
界は異常者の方をイメージしてしまうが、変態とは本来、形や状態を変えることを指す。
例えば、イモ虫が
蛇から手足が生え、更には角が生えてくる。
その姿はまるで……、
(りゅ、龍……!?)
その瞬間、明らかに魔力の気配が上昇する。
「こやつ……、龍であったのか……!? 界、注意しろ! 明らかにクラス2を超えているぞ!」
じいじはそう言って、界に注意を促す。
その一方で、界に訓練を中止させ、自分が対処する姿勢は見せない。
あくまでも訓練は継続する意向のようだ。
「…………熊燐、手伝ってくれてありがとうね。でも、相手が悪そうだ。ここは僕が……」
と、界が言いかけた時、
「うにょにょ」
熊燐が手の平を前に出し、首を横に振る。
(え……?)
それはまるで、界の出る幕はありませんよ、とでも言うように。
「熊燐、自分がやるってこと?」
「うにょ!」
界が尋ねると、熊燐は首を縦に振る。
(……!)
界はいくつかのことに驚く。
まずは普通にコミュニケーションができていること。
界と熊燐は会話こそできないながら、お互いの意思疎通が明らかにできていた。
霊魔としての熊燐は、ウボォオとか鳴きながら突進してくるだけの奴であったのだが……。
そして、熊燐は明らかに界のために戦おうとしている。
しかし、
(熊燐……、本当に戦えるのか?)
霊魔としての熊燐は、低級霊魔。
クラス1、あるいは高くてもクラス2程度であった。
そんな熊燐が、目の前の龍と戦えるのか、界は少し不安であった。
だが、次の瞬間、
「うにょにょにょーーーー!」
(ふぇっ!?)
突如、熊燐が咆哮する。
その瞬間、熊燐の魔力の気配も上昇する。
(ま、まさか…………熊燐……お前も
書籍、本日……!
電子版は本日から配信されています。
紙書籍は配本されたところから順次、書店に並びます。
しつこく申し訳ありませんが、続巻できるかどうかは発売直後が非常に重要と言われておりますので、何卒よろしくお願い致します!!