【爆アド】生まれた直後から最強悪霊と脳内バトルしてたら魔力量が測定可能域を超えてました〜悪憑の子の謙虚な覇道〜 作:広路なゆる
(「…………こんな霊魔もいるんだなぁ」)
【人間やぞ】
(「え……!?」)
ドウマの指摘に界は動揺する。
と、
ガチャリと音がして、洗い場から別の誰かが出てくる。
(……!)
「あ、あらっ、界……!? 帰ってたの!?」
(……か、母さん?)
洗い場から出てきたのは界の母であった。
もちろんすっぽんぽんだ。
母の身体はもちろん大人のそれである。
美人でスタイルもよいため、見る人が見れば良きものであろう。
しかし、界は流石に母親の身体には劣情を催すことがない程の理性は持ち合わせていた。
「リーゼちゃん、ご、ごめんなさい……! 早くお身体隠さないと……!」
母は慌てた様子で、少女の身体にバスタオルを巻く。
(リーゼちゃん……? ……母は名前を知っている? ま、まぁ、うちの風呂に入ってるんだから、そりゃそうか……)
と頭の中で考えても仕方がない。
「え……? ごめん……。母さん、その子は……?」
「え……、うーん……」
母さんは少し困ったような顔をした後、
「お
と、少しだけ愚痴るように
「この子は、リーゼロッテ・ヴィンターシュタインちゃん」
(……なんて? 長くて一回じゃ覚えられん)
「ドイツから来た
「あ……うん……」
(……ドイツから来た部分だけは理解できたぞ)
「界、リーゼちゃん、とりあえず一度、服を着て、居間で話しましょう。風邪を引いてしまうといけないから」
「あ、うん……」「はい」
(……)
その時、界は初めてリーゼの声を聞いた。
とても可愛らしい声であったが、それよりも、
(…………日本語喋れるのかな?)
と、界は思うのであった。
その後、界はとりあえず着替えだけして、浴室から出て、居間へ向かう。
と、
「真弓さん、ありがとうございます」
(……!)
居間には見慣れないイケメンが一人。
身長は180くらいはある。
年齢は15くらいであろうか、リーゼと同じく色素の薄い髪で、高い鼻、堀の深い顔立ちをしている。
そんなイケメンに、
「ヨハンくん、
母はそんな風に声を掛ける。
(……ヨハンくん? どうやら母がリーゼをお風呂に入れている間、このイケメンが巡の様子を見ていてくれたようだな……。あと日本語ぺらぺらだな)
界がそんな風に思っていると、
「あれ? その子が界くんかな?」
イケメンことヨハンが界に視線を向ける。
「そうなの、この子が長男の界です」
そう言って、母が界を紹介する。
「あ、どうも初めまして、界です」
界はよくわからない状況ながら、自己紹介をする。
「ふむ、噂通り、しっかりとした子だ」
そう言って、ヨハンがニコリとする。
「あ、ごめんね、界。このお兄さんはヨハン・ヴィンターシュタインくん、リーゼちゃんのお兄さんよ」
「よろしく」
紹介されたヨハンがウインクする。
「それで母さん、これってどういう状況なの?」
「あ、うん……えーと……彼ら二人はドイツから来た
「うん」
「二人はしばらく日本で訓練するために、うちにホームステイすることになってるから」
(えぇっ!? ……本当すか)
「ず、随分と急だね……」
「う、うん……実際に急に決まったというのもあるのだけど、お義父さん……つまり、じいじが界を驚かせてやろうって言って、黙っておいてって……」
「そ、そうなんだ……」
(じいじ……、
などと、界が思っていると、
「実はね、うち……つまりヴィンターシュタイン家のじいさんと、白神家のおじい様は古い友人のようでね。今回、二人の間でなにやら話が進んだようなんだ」
兄のヨハンがナイスなタイミングで今回の話の背景を教えてくれる。
「じいさんからは、霊魔大国日本の破魔の技術を学んで来いと言われているよ」
「そ、そういうことなんですね」
(…………霊魔
「というわけなんで、よろしくね! 界くん!」
ヨハンは爽やかに微笑む。
「あ、はい……」
などと、苦笑い気味に返事をする界はなにやら鋭い視線を感じる。
(…………ひっ)
ヨハンの横で、リーゼが界をキッと睨んでいた。
◇
突然現れたドイツからのホームステイ。
兄のヨハンと妹のリーゼと共に、初めての夕飯である。
「それじゃあ、いただきます」
母の言葉で、皆が食事を始める。
食卓にいるのは、母、界、巡、ヨハン、リーゼ、そして鏡美である。
鏡美は、食事の準備のタイミングで来てくれたのだ。
というのも父は現在、修行で長い期間、家を空けている。
その間、母の補助として家事の手伝いをしてくれる人を探していた。
そこで、すかさず立候補したのが鏡美であったというわけだ。
鏡美は家庭教師のみならず侍女としての全般スキルを備えており、どれをとってもプロフェッショナルである。
実を言うと、鏡美は、界の修行相手としての自身に限界を感じ始めていた。そんなこともあり、そろそろ自主的に降板すべきではないかと真剣に悩んでいた。例えそうなっても、界と関わっていたいという思いがあった。とはいえ、そんな思いは、鏡美の胸の内にしまっているのである。
「今日はヨハンくんとリーゼちゃんの歓迎で、パーティという程ではないのだけど、ちょっぴり普段より豪華なご飯だよ」
確かに普段よりお肉系や揚げ物が多かったりと豪華であった。
「わぁー、ありがとうございます」
ヨハンは爽やかに喜ぶ。
「…………ありがとうございます」
リーゼもお礼を言う。
ただ、少し社交辞令感のあるお礼であった。
「ごはん たべる」
二語文を発することができるようになってきた巡もなんだか嬉しそうである。
「……真弓様……
鏡美は普段から一緒に食事はしているのだが、歓迎会というイベントに家族以外の自分がいてもいいのかと遠慮気味である。
「鏡美さん、いいに決まってますよ」
そう言って、母は微笑む。
(…………うっま……うっま……)
【うむ……美味いな……美味いぞ……】
界はマイペースに、母と鏡美の作った美味しいご飯をパクパクと食べていた。
と、
「あ、そうだ。界」
母が界に声を掛ける。
「ん……?」
「リーゼちゃんは界と同い年みたいよ」
「へぇ……」
そうなんだーと思いつつ、リーゼの方をちらっと見ると、
(ひっ……)
リーゼは界のことをキッと睨みつける。
(…………なんでや? なんか恨まれることしたかな?)
界は6歳の女子の精神年齢が男子のそれより遥かに高いことをあまり知らなかった。
要するに羞恥心が結構、発達している(個人差あり)。
と、
「リーゼ、ダメだろ、界くんにそんな態度しちゃ」
ヨハンがリーゼをたしなめる。
「…………はい、ごめんなさい」
ヨハンに注意され、リーゼは少ししゅんとしていた。
「あぁ、いいのよ。リーゼちゃん、あの件よね……。ごめんね、界がやらかしちゃって」
すかさず母がフォローする。
それでようやく界は、リーゼの裸を見てしまったことがまずかったのだと気が付く。
「…………うぅ……」
リーゼは少し恥ずかしそうに
「きゃはは おにい やらかし おにい やらかし」
(変な言葉覚えないで、巡……!)
◇
その晩、就寝時間である。
ヨハンとリーゼは別の寝室が振り分けられ、兄妹で寝ることになった。
界は母と巡と一緒の部屋で眠る。
つまり、就寝時間についてはいつもと同じである。
界は狸寝入りしながら、
(「なぁ、ドウマ……」)
ドウマに話しかけていた。
【なんだ?】
(「ドウマは
【知らぬなぁ。だがまぁ、異国の破魔師というわけだろ?
(「そうなんだね。ドウマって過去に依代の子の中にいた時の記憶は残ってるってこと?」)
【まぁ、そうだな……。その時に得た知識は残っているよ。ただ、依代の子そのものの記憶はあまり残っていないがな……】
(「……っ」)
【……どうかしたか?】
(「ううん…………なんでもないよ」)
そうして、その日は狸寝入りしているうちに眠ってしまった。
◇
「よぉし、界、ヨハンくん、リーゼちゃん、おはよう」
道場にて、じいじが少々、機嫌よさげに挨拶をする。
「おはようございます。白神様」
「……おはようございます」
ヨハンとリーゼがそれぞれ返事をする。
「よしよし、ヴィンターシュタイン家の爺さんから話は聞いているよな?」
「「はい」」
「それじゃあ、破魔師と