【爆アド】生まれた直後から最強悪霊と脳内バトルしてたら魔力量が測定可能域を超えてました〜悪憑の子の謙虚な覇道〜   作:広路なゆる

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65.預けた

(それはそれとして、これならさ、守りながら攻撃もできるよね)

 

「ギィ……ギィ……」

 

 界は手の平を、グリム・アスシュナーベルへと向ける。

 

(とりあえずあの鳥の周囲のもやもやした奴が邪魔だな……)

 

光炎合術(こうえんごうじゅつ)蛍灯柱(けいとうちゅう)

 

「ギィ……?」

 

 グリム・アスシュナーベルの周囲にぼんやりとした火の弾がいくつか発生する。

 

 そして、火の弾を発射元として、幾本もの輝く火柱がグリム・アスシュナーベルの瘴気を貫く。

 

「ギィイイイ……!」

 

 火柱に触れた瘴気は、まるで元から存在していなかったかのように消滅していく。

 

 と、

 

【ちょ、田介! 今、何をしやがった!?】

 

 ドウマがなぜか少し怒るように、問いかけてくる。

 

(……、戦闘中なんだけどなぁ……)

 

 こっそりそんな風に思う界をよそにドウマは続ける。

 

【おい、今、お前、響術の変質と合術を同時にやりやがったな?】

 

 響術の変質とは、自属性と五大属性を混ぜ合わせる術である。

 合術とは、同属性の妖術を複数組み合わせる術である。

 

(「え? うん……」)

 

【え? うん……。じゃないわ! 腹立つわぁー!】

 

(「なんでだよ……!」)

 

【……ぐぬっ……、教えん……!】

 

(栗田先生に教わった響術と暁さんに教わった合術を組み合わせてみたのだけど……この反応は……ひょっとして結構難しいのかな? ……いつも一発目失敗してドウマに笑われるから、たまにはいいだろ……!)

 

 などと思っていると、

 

「ギィイイ……!」

 

「あ……!」

 

 グリム・アスシュナーベルは界のいる場所を避けるように迂回する。

 

【あの鳥……、田介は無理と判断し、弱い者を狙うことにしたか……。……あ、すまん、儂様が邪魔したのが原因か】

 

「ギィイイイイイ!」

 

 グリム・アスシュナーベルは一直線に、ヨハンやリーゼを治療中のじいじの方へ突っ込んでいく。

 

「くっ……」

 

 ヨハンは唇を噛みしめる。

 

 だが、

 

「うねぇ……」

 

「ギィ!?」

 

 グリム・アスシュナーベルの前に、輝く龍が立ち塞がる。

 龍門(たつもん)である。

 

「うねぇ……」

 

 龍門(たつもん)はうねうねとしながら、グリム・アスシュナーベルを睨みつける。

 

「ギ……」

 

 グリム・アスシュナーベルは、小さくはない危機を感じ取ったのか、方向転換する。

 

 今度は、鏡美と軽自動車の方へと向かっていく。

 

 しかし、そこには、

 

「うにょ!」

 

 熊燐(くまりん)が仁王立ちしていた。

 

「ギィイイイイイ!」

 

 しかし、今度は、グリム・アスシュナーベルは怯まない。

 

 熊燐(こいつ)ならやれる……、そう判断したのだろう。

 

 グリム・アスシュナーベルはぐんぐん加速し、熊燐に突進した。

 

「ギィイイアアア……!」

 

 結果として、グリム・アスシュナーベルは熊燐の手前で〝障壁〟に激突した。

 

「ギィ……ギィ……」

 

 それは界が熊燐に預けた壁であった。

 わずかながら光属性を持つ熊燐には光属性の共鳴により壁を付与していた。

 

 自身の生み出したエネルギーによりダメージを受けたグリム・アスシュナーベルは地面でもがく。

 

 そんなグリム・アスシュナーベルの耳に、声が届く。

 

「ありがとう、熊燐」

 

「もにょ~~」

 

 熊燐はとろけるような鳴き声をあげる。

 

 そしてその声は今度は、グリム・アスシュナーベルへ向けられる。

 

「彼らは観戦のために出したわけじゃないんだよ?」

 

 それは幼い子供の少し高い声であるのだが、グリム・アスシュナーベルにとってはすでに畏怖を感じるものとなっていた。

 

「さて……、そろそろ終わりにしようか……」

 

「ギッッッ……!」

 

 

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