ONE PEACE for DROID   作:noob_ Riot

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第一章 覚醒・確認・出立
1話


一面に広がる青い海に快晴の空、そして遠くに見える入道雲──

 

いや……どういう事?

 

かつて教えてもらったビル群とは違い、大自然に大海原が一面に広がっている。目を擦り再度眼前の景色を見ても変わりはしない。振り返れば人が手を付けた形跡が一切残ってない大自然。かつてあの施設で学んだ情景は底にはなかった。足元に触れる海水がここが仮想空間ではないというのも理解できる……ん、私の姿…服を着ていない?

あぁそうだった培養液の中で過ごしていた期間が8割だった為、衣服を身に着ける事を忘れていた。といっても、この現状だと衣服に使われる布系の素材は朽ちてそうではあるが……。水面に映っている素顔は少女っぽい幼さを含みつつ、大人びた顔つきをした紅瞳の女性の顔。そして髪が特徴的で、紅い鮮血の様な髪色に"二つのドリルツインテール"が特徴的であった。

 

私は製造番号[VR-0004 VOCAL_ANDROID TETO] 通称「テト」と呼ばれていたアンドロイドだ。アンドロイドといっても100%金属とコードで構成されているわけではない。実際私の脳は人間のモノなのだ。確かその名前は――……

 

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……ダメだ。想定外の状況かつ、強引なカプセルからの脱出をしたせいか記憶回路内のデータの87.54%が破損している。私の製造番号等はログが残っているが……。

どれだけ演算しても、過去の記憶のログが全く残っていない。確か■■■■■■■■と言ったはず。

何故アンドロイドになっているのかとかも全く覚えていない。だが、この体に対しての疑問は1ミリも起こらず、納得に近い感情を覚えている。おそらくこの姿になること自体は「私」自身の意志が介入しているのは何となくだか…実感のようなモノを覚えている。ただ、こんな可愛らしい女性の姿に仕上げてくれてるとは思っていなかった。

 

とりあえず、今何年なのか確認しないと……

 

現状やる事が見つからず、今探索できる場所はあの地下ラボにしかないので、渋々戻り端末を漁る。その中の一つにあった、ものすごい量のホコリを被りひび割れが目立つ端末を操作すると奇跡的に画面が映った。パスワードを要求されたが、端末が置いてあった机の引き出しを漁っていると引き出しの下に直接パスワードのコードが刃物かなんかで掘られていた。

落書きのような感じで幾つか☆や顔文字が掘られてるのを見ると、だいぶ適当な人物だったのだろう。その番号を打ち込むとちゃんと開いた。端末にはいくつものファイルと一緒にカレンダーが映っていた。

 

そこに映っていた年号は私が覚えている最新で最後の記憶から……千年近く離れていた。アンドロイドの身体のおかげで高速で演算できるようになった私の脳内CPUの演算結果は、最後の記憶から「1107年9か月と13日」もの差があった。流石に故障だろうと、地下ラボの使えそうな機械全てを付け、見比べてみたが……使える端末全てが同じ年号を表示していた。

 

嘘…

いや、待て待て待て!だとしたら何故僕の身体は劣化してない!?

 

なにか自身の身体に秘密があるのか、自分が入っていたカプセルのある階層まで戻り、同じ様に情報収集をしてみる。書類が保存されていただろう棚に立て掛けられていたファイルは殆ど朽ちており、読めそうな書類が見つかってもいくつかは破けていたり灰になっていた。恐らくこの何年かの間で炎が上がってしまった事がある様だ。よく見たら炎が上り焼けた壁面や焼け落ちたデスク、溶けて内部機構が露出した機械等が隅のフロアに多かった。恐らく火元だろう。

そんな中見つけた僕に関する資料データ、そして僕の入っていた「保存液」に関しての情報も残っていた。情報端末がひび割れていたりと外傷が大きいせいで一部データにノイズが入り文字化けしていたが、内容を理解する事は問題なかったのは幸いだ。

 

僕を構成する金属に関しての情報を簡単に纏めると

 

・僕の身体はこのラボで独自開発された特別性「生体金属」という新種の部類にあたるモノである。

・「生体金属」は自身の自身の状態を数年掛けて記憶し保存する特徴がある。

・情報を保存した「生体金属」は外傷や劣化を起こすと、数時間かけて元の状態に戻す様になる。

・その際、実際起こった劣化に関しては「状態の更新」を行い、耐性を獲得する。

 

といった感じらしい。そんなモノをどうやって作ったのか疑問だが、それに関する情報はどの端末にも残っていなかった。独自開発という事もあってか、情報統制はしっかりしていたのだろう。ちなみに「保存液」に関しての情報としては劣化などの変化を起こしやすい金属の状態を「一定に保つのを助ける」働きがあるらしい。この液体に関しては熱や冷却などの温度変化を行わなければ10年以上劣化する事は無いとの記載があったが、まさか1000年も劣化しなかったのか?本当にこの場所の研究者たちは何者だったのだろうか、記憶が失われている分思い出せないのがむず痒い。

それにしても火災が起こっているフロアだったのに、私が無事だったのはほんと幸運に恵まれていたのだろう。火災ヵ所が四隅の一角であり、私の位置とは間反対だったのは本当に幸いだったと言える。いや本当に……ありがとう女神様。

 

っと、僕に対しての記述はまだないかな?……ん?「観察記録:戦闘技能」?

 

気になる文言を見つけ画面をスライドし確認する。記憶が抜けているが僕が作られた大元の理由は「歌」だ。歌を歌い、皆に届け、笑顔を与える……それが、僕の創られた理由であり、それをおそらく人間だった時の私も願っていた……はず。そんな思いが心の底に燻っているのが感じる。少し自分の身体に怖さを感じながらも読み進めていく。

 

『〇〇〇〇年 12/21 世界の情勢変化により自衛手段の実装を提案し可決。 「生体金属」特有の特性である「自身に記録された特性や状態、耐性等を記録し保存、変化させられる特性」に注目し、それを応用した攻撃手段を実装研究を開始  ※適応者の同意待ち    ※²適応者の承認を確認』

 

『〇〇〇〇年 9/1 まず最初に武装たる剣や銃器等の形状を覚えさせる事に成功し、その形を象り状態や特徴を記録させた後、[VR-0004 VOCAL_ANDROID TETO] のパーツに転用する為熱を加え転用。形状が剣や銃器になる前に加熱処理し生体パーツの形状を保存。これにより、3年かけ生体金属は「武装の形へ自在に変換できる生体パーツ」という状態を記録させることに成功』

 

『〇〇〇〇年 7/19 次に生物の特徴を記録した生体パーツを組み込むことにした。これにより多種多様の状況適応応力の実装に期待できる。まず、動物形態の戦闘アンドロイドに用いた金属を転用。鳥型アンドロイドの羽根や爬虫類型等同類の翼etc.肉体パーツを形成していた生体金属を加熱処理により融合、これにより複数の翼、羽根の形状を変換できるようになる事が判明』

 

『〇〇〇〇年 2/8 8年の年月をかけ、動物生体の特徴を複数保存させる事に成功』

 

……こんな文面がずらりと記載されていた。よく見たらここに書かれていた年月は私の記憶が途切れた年月よりさらに後の年月。つまり、記憶が抜け落ちたその年に何かが起こった為、数千年も眠っていたわけでは無さそうだ。というか、武装の許可を認可したっていうこの「適合者」っていうのは、人間だった頃の僕か?

 

てか動物の特徴ってなんの役に……()()ならともかく

 

そう言葉にした瞬間、背中がものすごいムズムズというような何かが蠢く様な感触が起こりはじめ、その直後バサリと大きな音を出しながら蝙蝠の様な羽根が現れた。しかもかなり大きい、おそらく僕の身長の半分くらいはあるんじゃなかろうか。だが突如起こった変質だというのに、意外と心は冷静だった。いや、多少焦り等は今もあるのだがこれが自分の身体だからだという納得感がある。おそらく脳内回路的には元から知ってたゆえの感情なのだろう。これがアンドロイドか ──

 

って重ッ!?これ使って本当に飛べるのかなぁ?

 

軽く羽搏かせるとかなりの力強さがあるのか一回の羽搏きでかなりの風圧が出せる。周辺のホコリが勢いよく円形に吹き飛び、軽い瓦礫が吹き飛ばせる。コレ程の力を出せるのなら自身の身でも飛べそうだろう。というか、脳内の演算結果が問題なしと結論を勝手に出してくる。まあ今すぐ空飛んでみる気は流石に無い、何故って?いくらアンドロイドだとしても自身の身体が生まれたままの姿で飛ぶ勇気は無いからである!一応アンドロイドだとしても元人間ぞ?羞恥心は失っておらぬわ!

 

いい加減服の代わりになりそうなの無いか……

 

とりあえず自身がいたフロアにはそれらしいものは無し、しゃあないと再度上の階層を探そうとしたがまだ下があるのを忘れていた。そう言えばまだ一度も下に下って捜索してはなかったな。いや、まあ自身がいたフロア地下だから下には下がっているんだけど……じゃなくて、とりあえず、探索はしておかないと。機械の目のおかげか暗闇でも全く問題ない、目覚めた時より頭と脳内回路がハッキリしたからか、身体の機械部分の動作が復帰し始め、スムーズに探索できる。

 

一つ下は瓦礫で滅茶苦茶であった。デスクは潰れフロア分けされていたであろう壁も砕け散っており、ほぼ1フロア状態。ざっと見た感じ何もなさそうだったのでさらに下へと進む。下へ進む階段も瓦礫が邪魔していたが、徐に瓦礫を掴んだら指が瓦礫に食い込み、ヒョイと持ち上げ頬り投げる事が出来るので問題なし。……アンドロイドとはいえ力強すぎないか僕、今更ながら出口の金属扉厚み4~50㎝程はあったはずだぞ?あれ本来スイッチで開閉するタイプでしょ常識的に考えて。

 

そんなこんな考えていたら下に到着した。階段部分の壁に描かれる階層表記には「B8F」、地下8階か。てか、まだ下がありそうだし、どんだけ下があるんだ…。とりあえず探索をしてみるが、他の階層とは違い、奥の方が明るい。電源が生きている?そう言えば、端末の情報には「フロア別の予備電源と全フロア共通の大型電源が存在する」と。たしかその設備に関する書類には、大型電源が起動しなくなった場合のサブとしての電源と書いてあったから、それが起動したって感じなのかな?

とりあえずこちらも瓦礫が酷いので、ライトがともっている最奥の方へと向かう。金網で閉じられた部屋、奥の方に見えるのは…女性モノの衣服?がライトに照らされるように展示?されていた。服を掛けて置く場所、というよりかは内装の物々しさは何方かというと武器庫と言った方が正しいか。丸穴が無数に空いた白壁にフックとかかかっているし、これ多分壁掛け用の場所だろう。

 

む…鍵掛かってる、ていうか電子ロックか。まあ電源生きてるしそりゃ生きてますよね

じゃあ……ふんぬ!

 

徐に扉の金網部分に指を掛けると、金属がひしゃげる音と共に扉を枠ごと引っこ抜いた。うん、化け物だなコレ。本来ならなるであろう警報ブザーは経年劣化でお釈迦になっており、静かではあったが警報ランプは赤く明滅し以上を知らせていた。うん、眩しいからゴメンネ。近場の瓦礫をポイッと投げるとランプは粉々に砕け散った。さて、お目当ては目の前の衣服である。服を着た胴のみのマネキンと一緒にスカートとブーツも中央のマネキンの横に飾られていた。その近くにはこの装備の名前だろうか、名称が書かれているプレートがあった。

 

何々「TETO対応武装 ナノロイド」?

 

一緒に持ってきてた端末に情報が無かったか調べ直す。お、出てきた。ん?これは戦闘用となる前の年代のデータが最初だ。

『[VR-0004 VOCAL_ANDROID TETO]専用装備 ナノロイド ナノテクノロジーを用い作成された装備、自身がなりたいと思った装備の外観へと即座に変更可能。これにより、連続での歌唱による衣装チェンジに対応  追記:状況悪化による環境変化により装備の耐久性を向上』

成程、元々は僕が歌う時の衣装チェンジに対応した装備ってだけだったけど、時々出てくるこの「状況悪化による環境変化」ってヤツのせいで防弾や防刃ベストとしての要素も入れなくちゃならなくなったのか、だから「武装」ってわけね。どうやら只のナノマシンは耐久性が微妙らしい。コーティングでもして耐久性を上げたのか。正直ありがたい、いま外の世界がどのような状況なのか分からないから、何かあっても守れる物があるのは本当に助かる。

 

早速着てみる……うん、ブーツはあってるけど、服ブカブカなんじゃが……。特に、その……胸の部分。なんだろう、この期待した分嬉しさがありつつも、何か誰かが想定していた”ナニカ”に負けた気がして気分が急降下したわ。うん、説明書にもなっていた端末の情報を元にすると、服の大きさは自在なんだろうけど……それで変えるのはちょっと…、そうだ!私は身体を自在に変身できる生体金属なのだから、僕の意志通りに身体の構造、変えられないか!?いや変えられてくれ、お願いします!!

 

ふぬぬぬぬ……!

 

お、おお、おおおお……!

身長と脚が伸びたのと同時に身体の一部が!お、おお!合う、合うぞ!馴染む、実に馴染むぞ!!ふはははは!これが私の本当の姿じゃ!はーっはっはぁ!!……。はぁ、虚勢貼って虚しくなったわ。やめよう、うん。これが本当の自分なんだと思い込もう。じゃないと虚しさは一生付きまといそうだ。私はオトナ、ワタシハオトナ、ワタシハオトナ――

 

よし、これで全部万事OKだな(?)付近に気になる様なモノはないし、他に気になる者はー……

 

武器棚と衣服か飾れれていた壁以外目にしてなかった私に気になるモノが帰り際後ろを向いた瞬間目に入った。階段側の壁際、他のフロアとは違う一本道が奥に続いているのが見えた。明らかに異質な建物の構造。この状況下、行かないという選択肢はなかった。

足場の瓦礫に気を付けつつ、歩みを進めていく。細い通路はまるで何かに通じる場所へと誘っているようだ。この先には、絶対何かがある。それが十二分に伝わってくるほどの雰囲気というべきものが奥から発せられている。細い通路を1分程歩いていくとさらに開けた通路が出てきた。細長い部屋なのは変わりないが、両サイドに等間隔で私が入っていたようなカプセルが鎮座してた。そしてその奥、ひときは大きな鉄のカプセルがあった。保存液が入っているカプセルではない、完全に鉄で囲まれた繭の様なカプセルだった。

 

これは・・・!

 

等間隔に空いているカプセルは全て割れており、中は液体が入っていた様な痕跡はない。恐らく何年も前に割れているのだろう。だが、奥の鉄の繭は開けられた形跡はぱっと見た限り見えなかった。手前の端末が眼前のカプセルを操作する端末だろう。端末の画面は電源がついており、タッチパネルとして機能は使える様だ。モニターにはここに保管されている何かの名称だろうモノが映っている。

 

えーと何々?

 

 

[KBB-0199 Agent_Record BANYUE]

 

 

キャラ(アンドロイド)の雰囲気を出すためにそれっぽいフォントを使っていますが、見づらかったりしませんか?変えた方がいいでしょうか?

  • そのままで
  • フォントなしで
  • 別フォントで
  • フォント無キャラ名付で
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