ONE PEACE for DROID 作:noob_ Riot
僕は外の景色を盤岳に見せる為に、さいど階段を上り外へと出た。一面の大自然、眼前に広がる海を目にし、その景色に感動を覚えたのか、それとも見違えた景色に唖然しているのか、表情を変えない彼の顔から小さい息が漏れた音がした。
しばらく無言で景色を眺めていると、一話の小鳥が彼の手に飛んできた。盤岳は小鳥を脅かなぬ様に静かに指を指しだすと、小鳥が止まりにきた。小さく跳ねながら盤岳の指で休む小鳥、その光景は何処か微笑ましく、仙人のような見た目とは裏腹に少し戸惑ったような声が漏れていたのはちょっと面白かった。
「どうだい盤岳、外の景色は。」
「美しいな―― かつての鉄筋とコンクリートで包まれた街並みの痕は何処にもなく、一面に広がる大自然が世界の変化を伝えてくれる」
「…もしかしてさ、君って家族とかいて、寂しかったり、する?」
「いや、吾輩に家族と呼べる者はおらぬ。だが、かつての光景が無いというのは…どこか沈む。おそらく、少しだけであるが、寂しいという感情があるのだろうな。」
「…そっか。」
ちょっとしんみりとした空気になってしまった。でも仕方がない。なにせ気が付いたら900年、僕は1000年以上も寝ており、起きたら全てが無くなっていた。なんて、誰でも気分がいいモノのはずがない。ましてや、普通の人間だったら発狂してしまうかもしれないし、絶望し、その命を絶とうとするかもしれない。こんなあっさり受け入れられるのは、僕達が今はもう、人間じゃあないからだ。
「そういやテト殿。汝は家族は居らなかったのか?」
「僕?僕はー……わからないや。」
「わからない、とは?」
「僕の
「……酷な事を聞いたな、忘れてくれ。」
「気にしないでくれ。正直な話、こんな事になっても冷静な時点でおそらく大事な人はいないんだと思うから。これでも、脳自体は元の人間の臓器そのものに近い形だからね!昔の感覚はそのままなのさ!」
盤岳の変わらない顔がこっちを見て、悲しそうな表情をしてるのを感じる。で本当の話なんだ。僕に過去に感傷的になる要素を感じていない、おそらく何かを思っているとか、そんな思い出も無いんだろう。だから、そんな風に優しくされると、逆に暗くなってしまう。
お願いだから、あまり僕の事を哀れまないで欲しい。これでも、今の自分には納得してこうなっているし、なんなら今後、自分がどのように過ごしていくのか、そういうのを考えるのを楽しみにしてるんだから!
「まあそう気を落とさないで!これでも今どうしようか楽しんでるんだから!この先の楽しい未来に――」
「――――‼」
「……⁉」「―――っ!」
とか言っていたら、後方から数人の人が話すような声が聞こえてきた。反対側にはいった事は無かったけど、この感じそれなりの人数が居るのは間違いない。もしかしたらこの島に住んでる人がいるのかも⁉
そう思った私はすぐに駆け出した。盤岳も同じなのか、顔を見合わせた時に頷き、一緒に駆け出してた。幾つも並ぶ樹々の隙間を凄いスピードで駆け出していく盤岳。やばいねアレ、只走るんじゃなくて、枝でスイングして飛んだり、樹の幹で思い切り蹴り加速したり、凄い技術だ。
もしかしたら僕もできるかな…なんて、やろうと思ったけど。僕は別の方法で彼の速度に追いつくようにした。
翼を展開し、高速で飛び追いかける!蝙蝠の羽根にイルカのエコーによる空間把握能力、そして猫の耳を生やし音による空間認識を可能にさせた。そうするとどうなる、超高速で動きつつも、勢いよくこちらに向かってくる樹々を難なく躱しながら、速度を落とすことも無く、追いついたのだ!機械様々、動物感謝!
「なるほど。其方も中々不可思議な力を持っているのだな」
「まあね。君もすごい速度だ。普通じゃ追いつけなかったよ」
「機械の身体ゆえの芸当であるがな。む、そろそろ着くぞ」
「了解。さーて、どんな人なのかな?町や村の人だといいなぁ」
高速で移動し、樹々の隙間を縫う様に突き進む僕達。そして、少し開けた場所に出るとそこに居たのは、数人の男達だった。僕達は速度を落とし、彼らに接触しようとする。もちろん僕の羽根や猫耳はしまってね。けど、だいぶ迂闊だった。
よく見たら男達は腰にまあまあ大きな剣だったり、少し古いタイプの木と金属で出来た短銃だったり、というかよく見たら人相悪人面のオンパレードだし、奥にはまあまあ大きい木の船。船の帆には骨の逆十字に髑髏のジョリー・ロジャー……海賊じゃねぇか!
「ん?おい、だれか居やがるぜ!」
「(ゲッバレたし!)」
「おい、面白れぇ奴らが居やがるぜ!」
「何だこいつら!てかアイツ鉄で出来てやがるぜ!」
「おい、あれ闇市流せばいくらで儲かる?」
「ふむ。これが世界の現状か。」
「こんなん知らない!」
あきらか敵意むき出し、というか欲望むき出しの表情でこっち来るし!全員剣やら銃やら引き抜いてるし!え、殺しに来てるん⁉
「あわわわわ……!」
「ヒヒ、大人しくしてろよぉ~」
「ふむ。これは、正して良い者達と認識して良いな」
「え、やるの⁉本気⁉」
「このような古き風貌、そして我らが時代に対して劣っている武装…おそらく、人間の文化そのものが後退しているのだろう。それゆえ、このような海賊などという悪も居ると」
「冷静に分析している場合!?」
10人近い人数が私達を囲う様に集まってきている。私はあまりの状況に逃げるという判断が出来ずにいた。盤岳さんに関してはやる気マンマンだし、もしかして僕も決意決めないといけない系?ほんとに海賊跋扈の戦国時代ですか!?
「おまえら、やっちまえ。あぁ女はいらねぇ、あの機械の奴だけ傷つけるなよ?いけぇ!!」
「ヒャッハァーーー!」「うぉらあー!」
「ヒィ~!判断早いぃ!」
私に向かって振り下ろされる武器、私は咄嗟に頭を抱えた。すると、カキンッとかいう高い金属の音が鳴り響き、私は恐る恐るみてみると、男が私に振るっていた剣が折れ、盤岳が攻撃してきた男へ拳を振るっていた。メキリと嫌な音を出しながら、嗚咽しそうな苦悶の表情を見せる男。盤岳は表情こそ変わらないけど、なにかウキウキしてるような気がする!
「悪漢を制するのは我が目的の一つ。さて、次はどうする?」
「な、なんだこいつ!?」「おい、起きやがれ!」
倒れた男が白目をむき、泡を吹きながら舌だしながら意識を失っている。腰を上げたなっさけない姿勢で。とか思っていたらサイドからもう一人斬りかかってきた!うわヤバイって思ったら、剣の刃が身体に通らない……?
「はぁ⁉」
「あ、あれ?」
「汝よ。己が身が人の身でない事を忘れてはおらぬか。」
あそうだ、自分の事なのに忘れてた。今の自分、アンドロイドじゃん!そりゃ普通の刃とか通るわけないわな!
「う、うるさい!/// 目覚めたてだから、自分の状況わすれるんだよ!///」
「そうか。なら今のうちに慣れるがよい。悪辣な輩と戦うという心得を。」
そうだ。今の僕達はこの世界にとっては遺物であり、異物に近い。さっきの男の発言的に、機械についての知識もほとんど無さそうだ。となると、僕達を襲う輩はこれからも現れる可能性がるってことか……。仕方がない、覚悟決めるか!
「わ、わかった。やるよ!せぇの!」
「へ?ぐぼほぉ!?」
思い切り殴りつけてみた。うわ、体の内部近くまで体めり込んでった…。そういや、握力やら何やら化け物じみてたなぁ。すごい勢いで後方に吹っ飛んだ男は木にぶつかって動かなくなった。それになんだろう…自分に武器が効かなかった事実と、自身の実力を知った途端。恐怖心が全くなくなった。まるで、抑制制御されたかのような感覚だ。これもアンドロイド化の影響なのか?
それに、脳内回路が自身の身体の使い方を凄い速度で演算し、回答を出していく。自身にあった戦い方が脳内で構築され、それにそって自分の身体が100%順応し動ける。後続の男達の剣の軌道が分かり、こっちに避ける。こう避けるが直感的に出来ている!
「あ、あたらねぇ!」「避けやがって!!」
「すごい、これが……!」
「(どうやら問題なさそうだな)では、やるか?」
「チィ、何してやがるテメェら!全員でかかりやがれ!」
「「「「へ、へい!おぉぉぉぉ!!」」」」
一斉にこっちに走ってきた!どうしようか、ってそう言えば自分武装に変化できたじゃん!何ができるが分からないけど、剣をイメージ、剣をイメージ……。手のひらが変形して、ナイフ出てきた!もしかして、剣とかは覚えてないか!?武装に関しては、イメージできるモノが全てできるわけじゃ無いのか?違いが分からない。
でもこの数相手に只のナイフだけじゃ、心もとない。相手の方が間合い長いから、大変だしどうしようか……。そうだ、タコやイカをイメージして、腕を変質させれば。
「おらおら!かかってきやが…れ?ぎゃぁ!」
「な、なんだ!」
「腕が変わりやがったぞ!」
「ほぉ、器用なモノだな。触手へと変容させナイフの間合いを広げるとは」
「関心してるなら手伝っ……て?」
気付いたら3人ぐらいのしてた……。足元に2人倒れてるし、もう一人首根っこ掴まれて宙ぶらりん。流石戦闘用に創られてるだけはあるなぁ。てか、いつの間にか背後に浮いてる玉?みたいなモノも出てるし、あれも武装の一つなのかな?って考えてたら、ふと思った。自分、意外と血とか暴力的な状況に驚いていない。これに関しては、抑制されている感?は感じないし、元々の自分が強かったのかな?
「まぁ、今はそれどころじゃないか……なぁ!」
回転蹴りの勢いをつけ、同時に脚をダチョウの脚へと変える。ダチョウは脚力が随一、本気をだせばそのキックの圧力は4トンだすらしい。もちろん自分の知識じゃない、脳内回路に入っている情報から得ただけだけどね。
まぁ、ともかく…その勢いで蹴られれば人間はひとたまりもない。もちろん殺さぬように威力は頑張って押さえてるけど、腕から胴が軽いくの字に曲がり、何人か巻き込んで吹っ飛んでった。バキって腕に当たった瞬間なったけど…気のせいだな!ウン。
「こ、こいつらつえぇ!」
「こいつら、"悪魔の実の能力者"か!?」
「"悪魔の実"、"能力者"?」
「俺らだけじゃかなわねぇ、船長ぉ~!」
「たく、情けねぇなぁおめぇら!」
船長と呼ばれた男が前に出てきた。よくみたらその姿はさっきまでの普通の男の身体とはどこか違った。腕がまるでガトリングの様な形状へと変わっており、先ほどまでの人の腕ではなかった。それをおもむろにこっちに向けると……勢いよく撃ってきた!!
「盤岳!」
「ムッ!」
「おらおらおらおらおらおらおらおらぁ!!!」
凄い掃射、間一髪私が翼を生やし盤岳を掴むことで空へ避難できた…。動画で見たことあるガトリングとは発射速度にはものすごい劣っているし弾がばらけてるけど、それでも凄い速度で連射されている。ていうか、弾丸すらないのにどうやってあんなに撃ちまくってるんだ!?私でも、多分内部の鉱物を弾丸状に形成しないといけないぞ!?
「だははは!見ろこれが俺様の能力!俺様がダンダンの実を食べた"弾丸人間"!俺の身体は弾丸を生成する!発射も補充も何のそのよ!だーはっはっはぁ!!」
「奴も我らと同じ、改造されたモノか?」
「いや違う!あいつ、悪魔の実の能力者とかいってた。多分、能力者って名前からさっするとぉおおおおおおおおおおおお!!?」
話してる余裕がない!あの掃射が止まる気配がない…てか、銃器つかってんならオーバーヒートするでしょ⁉撃ちすぎ……だし…それだ!あえて撃たせ続ければいいんだ!
「盤岳!あえてこのまま撃たせ続けるけど問題ない!?」
「何か策が有るのだな、問題なし!」
「なぁにだべってやがる!?それ、まだまだいくぜぇ!」
調子に乗って連射を続けている。よーくみると銃身の先が赤熱を帯びている。多分このまま行けば…!けど、弾幕が!空中高くいるのと、あの銃器の性能があまりよくないのもあって、ばらつきと勢いが弱くはある。でもそれは高さを稼いでいるから、近づけばその分集団率はおのずとよくなるし、勢いも全然違うはずだ。だからこそ…今は耐えないと!
「いつまで逃げ続けるきだぁ!?おれの「
「(あぁは言ってるけど、顔に余裕がなくなってきてる!あとちょっと、あとちょっと…!)」
そしてその時が来た!突如銃器から大量の白煙が噴き出し、掃射が止まったのだ。当たり前だ、あれだけの連射、休ませず撃ち続ければ銃身は熱を持ち、いずれ壊れる。たぶん、あいつはあれ程長期的に撃ち続けたことが無いんだろう、ちょっと調子突かせただけであんなに撃ち続けるとは!これで、近づける!
「あち、あちちちち!!俺の連銃がぁ!」
「今だ!」
「(そういうことか!)我は捨ておけ!いって……来い!」
盤岳が私から離れ、私の足を思いきり押し、投げ飛ばしてくれた。ああいうからには、何か案があるのだろう。僕は心配なんてせず、目の前のことに集中する!
勢い着いたこの状況を逃さない為、僕は翼を閉じ、なるべく空気抵抗を押さえるように楕円に近い形に身体の向き・姿勢を調整し、一気に落下する。流石にハヤブサのような速度はだせないけど、これでも十分に素早さはある。そのままの勢いで、男に向かって突っ込む!どうせ機械の身体だ、この程度で壊れるようなことはない……ハズ!
「なぁ!くるなぁ来るんじゃねぇ!!」
もう片方の指は拳銃の様に撃てるのか、指で銃を表すようにすると、そこから何度も発砲してきた。けど問題はない。拳銃程度なら自分の身体は傷一つ付かない!それに、翼を身体に包む様に畳んだから身体の形は流線形に近い。すなわち、機械のボディ故に何発かは身体を滑っていく!鋼鉄の身体で受けた弾丸は、痛覚あるからちゃんと痛い。けど、我慢できないほどじゃあない!このまま地面をぶち抜くつもりで行く!
……せっかくだ、この攻撃に技でもつけてやるぞこんにゃろう!複数の動物の特徴をもったアンドロイドが隕石のごとく降る…「奇妙なメテオ」、キメラの様な僕だから付けた技名を――
「"メテオッド"!」
「ぎゃああああああああああ!!!!」
「
片手の銃器はベッコベコに折れ曲がり、歪み、潰れちゃった。多分、死の物狂いで防ごうとした際に盾にしたんだろうね。けど、普通の武器…ってわけでもなさそうで、僕の変身と同じ様に銃器がうねる様に動くと、銃器は元の人間の腕に戻っていた。
「テト殿、無事か!」
盤岳がゆっくりと空から落ちて。そう言えば盤岳さんなぜか浮遊できるんでしたね。そりゃ、あんな大胆な行動できるわ。それに、心配される感覚は、どこか恥ずかしい。だから僕は恥ずかしさを隠すため、そして自分の無事を伝える為にこう言ってピースしてやった。
「君は実にバカだな!この程度で終わる僕なわけないだろ♪」
土に汚れながらも笑みを返してやった。僕はただの歌うだけのアンドロイドじゃない――
"U:歌い響かせ、T:敵意を貫く、A:明日を創り、U:運命を謳う"モノ――「UTAU」だ!
……ちょっと無理矢理かな?///