ONE PEACE for DROID   作:noob_ Riot

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間章 01

――冷たい風が吹き、男が目覚めた。

瞑想を終え、人間だった時の本能であった睡眠を取ろうとしていた。結果としては……睡眠をとった時のような沈む感覚は得られなかった。そもそも休息が必要なのかはわからない。ただ、休もうとしたという事は精神的には疲労が募っていたという事だろう。

 

疲労に気付かないとは、吾輩もまだまだということか。

「おいテメェ、さっさと拘束ときやがれ!」

 

感傷に浸っていた盤岳へ横槍の一声が届く。声を荒げるのは縛られた海賊の一人、人数が人数なので3本の木に3~4人縛っているが、そのうちの1グループは数時間前に目覚めていた。その時は目覚めて第一声からあーだこーだと喚いていたが、盤岳が拳を握り近づいたらすぐに黙った。

力関係は分かっているとおもっていたのだが、威勢がいい者はまだ数名いたようだ。星が美しい落ち着いた夜に、騒がしいモノである。

 

貴様、まだやり足りないというのか?

「ヘッ、海賊が舐められたら終わりなんだよ!だろ、お前ら?」

「いや、俺は別に」「絶対勝てねぇのに」「あいつすぐ気絶したから(小声)」

他の者達はだいぶ冷静なようだがな。

「……。」

 

戦意喪失した組員の姿を見て体を震わせながら怒りを見せる男。船長でもないというのにやけに強気なのは、海賊だからなのだろうか、そもそもこの男が馬鹿な阿呆なのか。

 

まったく。良い月夜が台無しになるであろう。黙れば痛みはないが、まだしゃべるとゆうのなら――

「んだと!?やれるものなら――」

「馬鹿止せ、動けねぇんだぞ!」「俺ら巻き込むな!?」「俺達関係ねぇからな?な!?」

はぁ…喧騒など要らぬ夜だ、再度気を失って――

 

この下らない会話も面倒だと思い、再度気絶させようとした時だった。この人がこの場以外に居ない筈の島に、何処からともなく美しい音色が風の届けと共に流れてきた。美しい旋律、そして高くも力強い女性の声だ。

 

♫•*¨*•.¸¸ 始めようか 天体観測 ほうき星を探して •*¨*•.¸¸♪

 

遠方の小高い山の崖際に腰掛け、おそらく自身で生成したのだろうマイクを持ち、瞳を閉じ歌う少女の姿。盤岳を目覚めさせ、共に行動していた彼女、テトの姿だった。

 

「んだ?歌?」「誰が……」「あの女じゃねぇか?」「初めて聞くなこの曲…」

 

かなり離れている筈のこの場所まで心地よい歌声が聞こえてくる。星空輝くこの夜にあった美しい旋律。遠方の小高い山の崖際に腰掛け、おそらく自身で生成したのだろうマイクを持ち、瞳を閉じ歌う少女の姿。盤岳を目覚めさせ、共に行動していた彼女、テトの姿だった。

 

 

【挿絵表示】

 

 

♫•*¨*•.¸¸ 深い闇に飲まれないように 精一杯だった •*¨*•.¸¸♪

 

 

♫•*¨*•.¸¸ 君の震える手を 握ろうとした あの日は •*¨*•.¸¸♪

 

 

「どんなところであろうとこの歌声を届ける」そんな思いが伝わってくる。力強い声のハリは周囲の心を落ち着かせていく。先ほどまで騒ぎ立てていた男達すら、言葉を失いただこの歌を聞こうと耳を傾けている。その後ろの気絶した男達は、流れてくる歌声に安らぎを覚え、苦悶の表情を緩め安らぎを得ていた。

 

月明りが彼女を強調するように照らし、星々が煌々と輝き映す。まるで一つのステージだ。

 

♫•*¨*•.¸¸ 見えないモノを見ようとして 望遠鏡を覗き込んだ •*¨*•.¸¸♪

 

♫•*¨*•.¸¸ 静寂を切り裂いて いくつも声が生まれたよ •*¨*•.¸¸♪

 

♫•*¨*•.¸¸ 明日が僕らを呼んだって 返事もろくにしなかった•*¨*•.¸¸♪

 

♫•*¨*•.¸¸ 「イマ」という ほうき星 君と二人追いかけていた •*¨*•.¸¸♪

 

歌い続ける彼女は笑みを浮かべていた。盤岳の心も、歌い続ける彼女を見入ってしまった。気が付いたら、その場で彼女が歌い終わるまで聞き惚れていた。男達も美しい歌声が子守歌にでもなったのだろうか、歌が終わった頃にはすでにいびきをかきながら眠りについている。先ほどまでの喧騒はどこへやら、彼女はたった1曲で殺気と怒りに溢れた男達を沈めてしまったのだ。

 

これが……彼女の歌か。この歌は、世界に轟く旋律となるであろうな。

(そうなったとき、彼女は今日の海賊同様、その特異な身体、美麗な歌声を狙われる可能性がある。歌とは世界を変える力がある。それゆえに、好印象だけを与えられるものではない筈だ。)

(その時、彼女は一人で乗り越えることが出来るのだろうか。)

……いや、だからこそ、であるな。

 

盤岳は彼女を見上げながら、そっと心に一つの誓いを立てた。本来の用途である闘いは過去のものとなった。であるなら、多少は自己の思考を混ぜても問題ないであろう。私が鍛え、携えたこの力を ――

 

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