今回は護衛任務の続きになります。
何かご指摘あればコメントください。
ティナ・神城ペアの事務所襲撃から2日、十六夜は聖天子の護衛という事で皇居の前で聖天子の登場を待っていた。
蓮太郎はまた襲撃される事を視野に入れていた十六夜に木更・延珠と共に事務所待機になった。
夕方特有の雰囲気を味わいながら十六夜は先日襲撃してきた神城 冥という少年の事を考えていた。
直接戦えば負けることはないだろう、だが自分の戦闘時に周りへ新手が襲撃してきたら…などの不安要素が拭いきれない為十六夜は苦い顔をしていた。
たとえこれが”聖天子”の護衛だとしても自分の周りの人間が傷ついてしまったら元も子もない、この時代では捨て去られてしまった考えかもしれないが人の命は皆平等なのである。
それらを踏まえて十六夜は携帯電話を取り出し電話をかける。
「よぉ、急に悪いんだけどちょっと頼まれてくれねえか?」
電話の相手は承諾したのか十六夜はすまねえなとだけ言って電話を切る、十六夜の顔からは先ほどの苦い表情は拭われていた。
「ま、あいつで無理なら仕方ねえし俺は俺でやる事やるしかないわな」
などと言いながら頭をクシャクシャとかいていると皇居から聖天子が出てきた、横にはあの気持ち悪い護衛もいる。
「待ちくたびれたぜお嬢様」
「それは失礼致しました、それでは参りましょう」
聖天子が言うと十六夜は仰せのままにと頭を下げる、勿論悪ふざけである。
だがそれが気に入らなかったのか聖天子の横にいた保脇は十六夜の胸ぐらを掴んで怒鳴りつける。
「いい加減にしろ民警風情が!立場を弁えろ!」
「おいおい離してくれよ、ちょっとした冗談だろ?」
十六夜が鼻で笑いながら保脇を煽ると保脇は頭に血管を浮かばせながら十六夜を突き飛ばす、十六夜が服を叩いていると保脇は不満そうな表情で皇居の中へと去っていった。
すると聖天子が軽く頭を下げて十六夜に詫びを入れる。
十六夜からしてみれば煽ったのは自分であり気にかけるような問題でない為咎める事なく聖天子を車に入るように促す。
車に乗るとすぐに車は目的地へと走り出した。
聖天子は車に置いてあるグラスにジュースを入れて十六夜に渡すと十六夜に問いかける。
「あの、里見さんはどちらに?」
「それ発車前に行く事じゃねえのか?」
笑いながら疑問に疑問を投げ返すと聖天子はそれもそうですねとクスッと笑う、いくら地位的には上に立っていてもやはり年頃の女の子なんだなと十六夜は改めて実感する。
「それで、里見さんは?」
「あぁ、あいつはまた事務所襲撃された時用にお嬢…社長と一緒に置いてきたぜ」
先ほどの問いに答えた時、十六夜はほんの一瞬だけ違和感を感じた。
すぐに違和感の正体を掴めた十六夜は誰にも悟られないように頭の中でなるほどなとだけ呟いて聖天子との会話を続ける。
それから数分、他愛もない話をしていると車は渋滞に差し掛かり速度を緩めた。
時間には余裕を持って皇居を出た為会談に遅れる事はないだろう。
「そういや伝え忘れてたが、狙撃はもう来ないぜ」
と車の中で十六夜がいきなり言うので聖天子はえ?と首を傾げる。
「あぁいやお嬢様に言ったわけじゃねえんだ、なあオイ聞こえてんだろ?」
続けて十六夜は誰に対して言っているかも全く分からないセリフを1人で吐き続ける。
聖天子は車に盗聴器が仕掛けられていると感じ取り車の中であちらこちらと盗聴器を探す。
「そういう訳でもねえんだお嬢様、俺が会話してるのは”アンタ”だ」
そう言った十六夜の指の先には聖天子が居る、聖天子は訳も分からず声も上げずに驚いた顔をしているが十六夜は続けて言う。
「オイオイもうアンタがオレたちに明確な殺意を向けてるのはバレてんだからかくれんぼは辞めにしようぜ」
「やっぱりバレちゃってたのね…一瞬だけ敵意を向けちゃったんだよなぁ」
爽やかで通った声が車の中に響くと聖天子も何が起こってるのかを察知して十六夜の近くに寄り添った。
先ほど聖天子がいた位置の真後ろ元い運転席からは長い溜息が聞こえてくる。
「いやでもいい線行ってたんじゃねえか?片方が運転で絶好の狙撃ポイントに持って行ってもう片方の凄腕スナイパーが標的を仕留めれば確かに作戦は綺麗に終わるわけだ」
と十六夜が相手の策を全て見透かしたように言うと運転席からは更に重い溜息が聞こえてくる。
「そんな落ち込むなよ、別に俺とやり合うのも選択肢には入っていたんだろ?」
「入ってるけどやりたくはないでしょ…」
運転手改め神城の様子からして恐らく手詰まりなのであろう、十六夜は心配していた不安要素が拭えた事からいつもの軽ノリに戻る。
「とりあえずあの金髪ロリのとこにでも行ってきたらどうだ?あいつも今中々苦労してると思うぜ?」
笑いながら十六夜が言うと神城は完全にやる気が折れたのかハンドルにもたれかかってる、恐らく戦う気もないのだろう。
十六夜としては残念だが全て事が上手い方向に進んでる為文句を言うわけにもいかない。
「参ったねこれは、完全に手詰まりだ」
笑いながら冥は両手を上げて降参の意を示した。
場所は少し離れいくつかビルが並んでいる中で最も高いビルの最上階ヘリポート、そこでティナ・スプラウトは片足と片手をついてはぁはぁと息切れしながら相手を睨みつけていた。
「あなたは何者なんですか…こんな戦闘能力…データにはありませんでした」
相当体力を削られていた為会話するのもままならないが言葉を振り絞り相手に質問を投げかける。
「ややっ!?黒うさぎは黒うさぎと最初から主張していると言っているではありませんか!」
相手はムン!と豊満な胸を張りながら答えるがそれは今のティナには悪ふざけにしか聞こえなかった為、怒りの起爆ボタンにしかなりえなかった。
もう一度戦う為一歩前に足を踏み込んだ所で身体に限界が達したのかティナの意識は途絶えた。
短いアンド中途半端ですみません、次から頑張っていきます!
それでは!