お酒の力を借りようと思いますわ!   作:名無し

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第1話

 

 

 

 

「まあ、初めて飲んだけど甘くておいしいですわ…」

 

 

 深夜0時。夜も更けに更けた時間に小さく響く少女の声。彼女の手には赤い液体が入っており、その赤い液体を飲むたびにほんのりと彼女の頬が赤くなっていることから中身が酒である事が窺える。どうして本来ならお酒を飲むことを許されていない年齢である彼女が酒を飲んでいるのかと言うと……それは彼女の性格に起因する。

 

 王国の中でも名門と称される伯爵家の生まれである彼女は生来より気の弱い性格で、それこそ名門伯爵家の令嬢にも関わらず舞踏会や夜会では率先して壁の華となることを選ぶほど気弱な性格であり、そんな貴族令嬢として難がある性格だからか中々縁談が決まらずここ数年間は大変肩身の辛い性格を送っていたが……半年前。そんな彼女に転機が訪れた。

 

 それは王家に次ぐ地位を持つ公爵家と婚約が決まったのだ。相手は公爵家の次男ロイド。両親はこの家格が上である公爵家との婚約を大層喜んだが、レオノーラは違った。何故なら公爵家の次男ロイドという人物は快活で明るい性格で、それこそそこにいるだけでその場が明るくなるような、貴族令嬢のみならず社交界で大変人気のある公爵令息であるからだ。だからそんな社交界の人気者と気弱な自分が婚約だなんて、十中八九性格の違いで婚約解消されるに違いないと思ったレオノーラは全くこの婚約を素直に喜ぶことは出来ず『どうせ解消されるというのに……こんな婚約何の意味があるのかしら』と鬱々とした気分でいたが、その考えは実際にロイドと会ってから変わる。何故ならこのロイドという令息。レオノーラが気弱ゆえ無愛想に見える態度を取っても気分を悪くするどころか、気にする様子もなく

 

 

『レオノーラ嬢、どうかな?口にあったらいいんだけど……ふふ、ごめん。実はこのお菓子が君の好物だって君の侍女に聞いていたんだ』

 

『レオノーラ嬢、これから一緒に郊外の森に散策に出かけないかい?……ふふ、ごめん。実はもう君のご両親には許可を取っていてね。』

 

『レオノーラ嬢、今度最近社交界で噂の演劇を見に行かないかい?なんて……もう二人分席は取ってあるんだけどね?』

 

 

 と言った具合にぐいぐいと多少強引に見えるくらい積極的にレオノーラと距離を縮めようとしてきて、勿論レオノーラはそんな積極的なロイドに最初は戸惑いはしたものの、今まで会って来た縁談相手と違って自分が無愛想な態度を取っても不機嫌そうに眉を顰めず、ニコリと優しく微笑み掛けてくれるロイドの態度に心を溶かされていき……気が付けばロイドの事が好きになっていた。そして好きになったからこそ、好きになった今もロイドに対して無愛想な態度を取ってしまう自分が許せなくて、何とか気弱な自分が素直になれる方法はないかと考えて、ついに見つけた方法が『酒』であったのだ。

 

 

 

 

 

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